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【東証グロース:6195】「サービス業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「自治体を通じて人々に新たな価値を提供し、会社及び従業員の成長を追求する」ことを企業理念に掲げ、創業以来、自治体の自主財源確保支援を主軸とした事業を展開してまいりました。近年では、自治体との強固なネットワークやノウハウを活かし、広告事業、ジチタイワークス事業に加え、企業版ふるさと納税支援事業や空き家対策関連事業など、より多角的な事業展開を進めております。
広告事業においては、自治体が有するホームページや広報紙等の広告枠を活用したSRサービスや、子育て情報・空き家対策冊子等を当社グループがデザイン・制作し、自治体と協働で発行するマチレット等のSCサービスを提供し、財源確保と経費削減の両面から自治体を支援しております。
ジチタイワークス事業では、自治体の業務改善や民間企業のマーケティング活動を支援するBtoGソリューションの提供や、自治体職員向け行政マガジン『ジチタイワークス』を通じて、情報提供と官民連携促進を図っております。
また、企業版ふるさと納税支援事業では、寄附促進に向けた民間企業とのマッチングを行い、地域の魅力発信および自治体の財源確保をサポートしています。空き家対策関連事業では、自治体が抱える空き家問題の解決に向けた各種支援を展開しております。
当社グループは今後も、自治体のさまざまな課題に寄り添いながら、既存サービスの高度化と新たなサービス開発を推進し、自治体を通じた社会価値の創出と企業価値・株主価値の持続的な向上を目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは営業利益成長率及び従業員一人当たりの売上総利益を重要な経営指標として定め、それらの維持又は向上を方針としております。
(3)中期的な会社の経営戦略
わが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、景気は緩やかな回復傾向にあります。一方で、欧米の高い金利水準の継続や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気に影響を与える可能性があります。また、物価上昇、通商政策を含む欧米の政策動向、金融資本市場の変動等の影響にも十分な注意が必要な状況であり、先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況下において、グループ全体での事業規模の拡大を推進するとともに、事業運営におけるリスク管理体制の一層の強化を図るなどの取り組みを推進することで、グループ企業理念の実現及び企業価値の向上に努めております。
当社は、2024年5月15日付で、当連結会計年度を初年度とする3か年の中期経営計画を策定・公表しており、適切な資源配分によるオーガニック成長の実現、堅実な投資による事業価値の創出、リスクマネジメント機能の強化、資本配分方針/財務の規律付け、攻守兼ね備えた強固なミドル層の構築に積極的に取り組んでおります。
当連結会計年度においては上述の中期経営計画で公表した財務方針に従い、自己株式取得を実行するなど資本生産性の改善・向上と経営環境に応じた機動的な資本政策の遂行に努めております。
各事業における中期的な取り組みは次のとおりであります。
広告事業においては、連結子会社である株式会社ジチタイアドにて、当連結会計年度においても引き続き生産性を可能な限り維持しつつ、利益創出事業として計画的な事業規模の再拡大を目指し、事業全体におけるコスト効率化と受注単価の向上に向けた取り組みを行ってまいりました。また、SCサービスにおけるマチレットの新媒体や広告以外の新サービス開発にも積極的に取り組んでおります。2026年3月期以降においては、引き続き1人当たりの生産性の維持・向上に努め、利益創出事業として安定成長を目指してまいります。
ジチタイワークス事業においては、官民連携に対する需要が大きく、市場の開拓余地は十分に存在することから、連結子会社である株式会社ジチタイワークスにおいて、自治体ビジネスのニーズの顕在化に対応していくことで、サービス提供機会を増やすことを目指しております。併せて、行政マガジン『ジチタイワークス』のブランド力を強化することで、BtoGソリューション等の拡大による収益の追求、また多面的展開の促進による高付加価値なサービスの拡大に繋げております。
その先に、当社グループを中心とした自治体情報の循環によるさらなる官民連携の促進、また、自治体情報データベースを活用した、事業の強化・支援・創造が可能になると考えております。これを実現するための施策として、引き続き、公務員個人の領域でマーケットを拡大し、事業を展開するとともに、さらなるコンテンツ制作体制の充実と、BtoGソリューションの推進、官民協働を支援するweb上のプラットフォームである「ジチタイワークス民間サービス比較」(旧 「ジチタイワークスHA×SH(ハッシュ)」)の運営推進等多面的な展開を進め、公務員プラットフォーム構想(注)の実現を目指してまいります。
また、当社は、株式会社地方創生テクノロジーラボ(以下「地方創生テクノロジーラボ」)を連結子会社化しました。
同社は、自治体市場において、民間企業による実証実験の段階から事業化、さらには事業拡大に至るまで、一貫して支援を行う「伴走型サポート体制」を強みとしており、主な顧客層は、自治体市場において新規事業の立ち上げ及び事業拡大を目指す民間企業であることから、当社グループとは主な顧客対象が異なります。そのため、相互送客によるシナジーの創出が期待できるほか、同社は当社グループとは異なるアプローチで自治体の課題解決に取り組んでおり、当社グループがこれまでに築いてきた自治体リレーションや営業力を活用することで、同社の事業拡大を後押しできると考えております。あわせて、当社グループとしても新たな事業領域への進出が可能になることから、両社の強みを掛け合わせることでシナジーを発揮し、自治体の課題解決を一層加速させるとともに、資本関係を構築することが当社の企業価値向上に資するものと捉えております。
(注)公務員だけが利用可能なプラットフォームを構築し、自治体が抱える様々な課題をto公務員というアプローチで解決支援を図るネットワーク構想
(4)経営環境及び対処すべき課題
当社の中長期的な経営戦略を実現させるためには、以下の課題への対処が必要であると考えております。
(優先的に対処すべき課題)
① 生産性向上に向けた業務改革とDXの推進
当社グループが持続的に成長していくためには、全社的な生産性の抜本的な向上が不可欠であると認識しております。事業の拡大や人員の増加に伴い、従来のやり方のままではスピードや効率に限界が生じつつある中で、今後は経営資源をより高付加価値な領域に集中させ、業務の精度・迅速性を高める取り組みを全社的に推進してまいります。
この生産性向上を実現する上での中核的な手段が、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進です。現在は、生成AIなどの新技術の活用や業務プロセスの見直しに着手し始めた段階であり、今後、これらを本格化させていく考えです。また、現場起点の改善のみならず、グループ全体での業務最適化に向けて、デジタル基盤の整備や人材育成も含め、段階的に取り組んでまいります。
今後も、継続的な技術の導入と運用改善を繰り返しつつ、グループ全体の競争力強化と企業価値向上につなげてまいります。
② 優秀な人材の確保及び育成
今後、当社グループが持続的に成長していくためには、組織において中核的な役割を担う人材の確保と育成が課題であると認識しております。この課題に対処するために、一般的なビジネスリテラシー水準の向上と、ミドル層や経営者候補人材の育成に繋がる教育制度や仕組みの構築に積極的に取り組んでおります。
③ ジチタイワークス事業におけるサービスのブランド価値向上及び事業規模の拡大
当社グループは、ジチタイワークス事業を、成長をけん引する「花形事業」と位置付けております。ジチタイワークスのブランド価値を高め、自治体と民間を繋ぐメディアとしての地位を確立させることが成長の実現につながるものと認識しており、この数年にわたりこれに努めてまいりました。
今後より一層、成長のけん引役として、BtoGソリューション等、ジチタイワークスブランド下のプロダクト、サービス開発、その運営体制のさらなる充実化等を進めていく予定です。
(その他対処すべき課題)
① 広告事業の生産性維持、収益性改善・向上
当社グループは広告事業を「利益創出事業(金のなる木)」と位置付け、より安定した収益事業への転換に向けて、事業規模の適正化に加えて、その収益性の改善・向上を進めてまいりました。
具体的には、SRサービスにおいて、中長期的な収益性の改善を実現するために、戦略的な観点を踏まえ、適切な価格で仕入れを行うことを目的とした応札価格の妥当性の検証を行うことにより、ノウハウの一層の蓄積を重ね、業務実態へと反映させるPDCAサイクルの運用を行っております。また、各施策を通じて事業全体におけるコスト効率化と受注単価の向上を推進してまいりました。引き続き利益創出事業として生産性の維持・向上に努め、安定成長を目指してまいります。
なお、SCサービスにおけるマチレットについては、冊子の発行が下半期へ偏重する傾向があります。これについては、サービスの性質上、事業拡大により偏重度合いが高まる構造である一方で、コスト合理化における継続課題として認識していることから、引き続き事業拡大とのバランスを保ちながら平準化努力を継続してまいります。
② 経営管理体制の強化
事業の成長や業容の拡大に伴い、経営管理体制のさらなる充実・強化が課題であると認識しております。当社グループにおいては、従来より経営の意思決定や社内手続等が適正に行われるようガバナンスの強化に努め、コンプライアンスや適時開示体制を重視した経営管理体制の構築を行っておりましたが、今後はこれらに加えて、次の点についても強化を進めます。
・投資規律・財務規律のアップデート: 当社は事業成長のための投資において、より厳格な規律を設け、戦略的な投資判断を徹底する方針です。これにより、投資効率を最大化し、リスクを最小限に抑えることを目指します。財務規律についても、資本コストの最適化やキャッシュフロー管理の強化に取り組み、企業価値の持続的向上を目指します。
・PMI体制の確立: 新規事業開発やM&A活動の実施に伴い、PMI(Post Merger Integration)体制の確立は重要な課題です。当社では、M&A後の統合プロセスを円滑に進めるため、統合計画の立案及び実行を一元的に管理する体制を強化し、シナジー創出に向けた組織・業務の統合を徹底します。
これらの取り組みにより、リスク管理体制を全社的な視点で合理的かつ最適な方法で運用し、より高い企業価値の実現を目指してまいります。既存事業が抱えるリスクに対する対応策の検討・協議に加え、新規事業開発やM&A実施時におけるリスク評価・分析を強化し、内部統制の整備・見直しを進めるとともに、法令遵守の徹底にも引き続き注力します。
③ 新規事業・サービスへの挑戦
当社グループの行う事業は行政政策や社会的な課題の変化に直接的に影響を受け、誕生・発展してきたと言えます。広告事業及びジチタイワークス事業に加えて、企業版ふるさと納税支援事業と空き家対策関連事業akisol(アキソル)の2つを次なる事業の柱とするべく取り組んでおります。企業版ふるさと納税支援事業においては中期的な花形化を目指し、akisolにおいては早期の収益モデルの確立を目指しております。これらに加えて、マチイロ事業においては、改めてアプリ「マチイロ」の機能充実化を図り、収益化を進めていく方針です。
また今後も、行政政策等自治体を取り巻く環境の変化への機敏な対応を軸に、自治体との取引実績、ノウハウ、営業力の有効活用、ITによる効率的な事業化への取り組み等を行い、継続的に自治体の自主財源確保に繋がる新たなサービスを開発していくことが重要であると考えております。
④ 東京証券取引所「グロース市場」の上場維持基準について
当社グループは、東京証券取引所における市場区分「グロース市場」に上場しております。本書提出日現在、当該市場では「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」が開催され、実効性のある市場形成に向けた議論が行われており、この中では、上場後の成長を促すことを目的として、現行の上場維持基準の引き上げが検討されています。本書提出日現在においては、検討の段階であり、当該規則の改正は行われていないものの、上述の会議にて、「2030年以降、上場5年経過している企業」に対して「時価総額100億円以上」とする新たな基準を適用する案が提案されております(なお、現行の上場維持基準は「上場10年経過後から時価総額40億円以上」)。
当該基準は検討の段階であるものの、足元の当社グループの時価総額はこの基準を大幅に下回っていることから、将来的に当該基準に抵触する可能性があるため、リスクとして認識しております。これに対し、当社グループは方針として、営業利益年平均25%成長を2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画上の目標に掲げておりますが、同様の継続的な利益成長の実現とともに、より一層のアカウンタビリティ(説明責任)の充実に努めてまいります。これは、一定の成長を継続的に実現していくことにより、当期純利益(及びEPS)を高め、あわせて当社グループの経営戦略及び業績を市場に対して透明性高く、かつ、明確に説明していくことが、市場における当社グループへの成長期待を向上させ、結果的にPER(株価収益率)を押し上げ、株式の評価を高めていくことに繋がると考えているからです。引き続き東京証券取引所の議論の進展を注視しつつ、当該リスクの解消に向けた上記方針に基づき、中長期的な視点での施策の検討と実行を通じて企業価値の向上に努めてまいります。
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