プロジェクトホールディングス
【東証グロース:9246】「サービス業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは創業来「プロジェクト型社会の創出」をミッションに掲げております。「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおり、工業資本主義から情報資本主義に世界が転換しつつある中、我が国の主要産業においては、右肩上がりの経済や第2次産業を中心とした産業構造を前提とした、言われたことを速く・正確にこなす“タスク型”の働き方からの脱却が進まなかったことが、日本社会を停滞させる大きな問題であると捉えています。この認識に基づき、当社グループは、「タスク型」の社会を「プロジェクト型」に変革し、プロジェクトのミッションに基づいてプロフェッショナルが集まり、ミッションを実現していく社会像の実現を目指しています。
(2)基本戦略
このミッションの実現に向けては、「次世代を率いるプロフェッショナル人材の輩出」という人材育成を目指すHR戦略と、「日本企業を変革する多様なソリューションの提供」という事業開発を目指す事業戦略の両面でアプローチする成長戦略を定めています。
HR戦略では、コンサルティングを行う上での基本スキルと、事業会社にマッチし顧客ビジネスの創造・牽引を可能とするソフトスキルの両スキルを高度に体現したプロジェクト型人材の輩出を目指し、人事評価制度改革やHRポリシーの策定などの取組みを進めております。プロジェクト型人材やそれを目指す人材を増やすことで、顧客を深く理解し、当事者意識を持った支援が可能となり、顧客への深い入り込みによる事業課題・組織課題の検知が可能となると考えております。
こうして検知した課題の解消に資する支援体制の構築を行うため、事業戦略として新規事業開発を進めていく方針です。既存のDXコンサルティングでは対応しきれない、専門性が高くかつ顧客にとって重要な専門テーマについては、これに対応可能なエキスパート機能を立ち上げ、より高付加価値なコンサルティングを提供していくことを目指しています。一例として、生成AIなどの活用に対する需要の高まりを受け、AIの利活用推進を支援するAIコンサルティングサービスを新規に事業化しております。専門領域での支援を行うことで検知される顧客に共通するニーズや専門的知見に基づく顧客に潜在するニーズに対しては、人月で稼働するモデルとは異なるスケーラビリティの高いソリューションの開発・提供を行うことで支援していくことを目指しております。
(3)経営環境
当社グループは、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載したデジタルトランスフォーメーション(DX)市場において事業を営んでおります。本市場では、これまで戦略検討が多くの企業で進んできたものと認識していますが、足元で実行フェーズへの移行が本格化しており、多くの企業が具体的な取組を行っている一方、成果が出ている企業は少数に留まっている状況と捉えています。この主な要因として、戦略の実行を担う部課長などミドル層が人材不足や業務の複雑さ拡大などを理由にキャパシティ不足に陥っており、ビジネスボトルネックとなっているためであると考えております。
そのような状況下、ボトルネックを解消するため当社グループは顧客企業に深く入り込み伴走するコンサルティング要素に、当事者意識をもって事業グロースを支援する事業開発の要素を掛け合わせた「コンサル×事業開発」人材を競争力の源泉と捉えております。この競争力の源泉をもって、ミドル層が抱える課題をトータルサポートするパートナーへとなるべく、顧客企業の事業の現場に深く入り込み当事者意識をもって事業グロースを支援するスタイルでサービスを提供しており、引き続き需要は活発であるものと考えております。
(4)目標とする経営指標
当社グループは、収益の7割超を中核子会社である株式会社プロジェクトカンパニーが手掛けるデジタルトランスフォーメーション事業を通じて得ております。当該事業は、コンサルタントの稼働を人月単位で提供するモデルを主とするため、従事する従業員数及びコンサルタント単価を経営上の主要な指標としております。当該事業においては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)基本戦略」に記載のとおり新卒・第二新卒を中心としたポテンシャル人材を採用し、プロジェクト型人材へ育成することを基本方針とするため、「新卒・中途社員の採用(入社)数」及び「育成を担うマネージャー人材数」を確保しつつ、離職率を抑制していくことが重要であると考えております。
(5)会社の対処すべき課題
ここまでに記載した内容を踏まえ、当社の現状に照らして対処すべき主な課題は以下のとおりです。
① 人材採用と育成、離職抑制
主力のデジタルトランスフォーメーション事業においては、競合他社との人材獲得競争が激化しており、優秀な人材の採用と育成は重要な課題であると認識しております。とりわけ、当社グループにおいては組織の急拡大に伴い、プロジェクトのマネジメントや顧客折衝を担える「マネージャー人材」の確保と育成が大きな課題となっています。このような課題に対応するため、人事評価制度、待遇改善を含め給与テーブルや社内の育成制度を全面的に改定したほか、事業会社での人事マネージャー経験者を新たに採用し人事企画部門長に登用するなど、HR機能の強化を図っており、引き続き人材採用と育成に注力してまいります。
また、前連結会計年度に発生した不祥事等の影響もあり、当連結会計年度初においては離職率が高止まりしている状況にありましたが、2024年第1四半期をピークに低下傾向に転じており、上述の施策等が一定程度、奏功したものと評価しており、引き続き離職抑制に関しても注力してまいります。
② 技術革新への対応
当社グループの主力事業であるデジタルトランスフォーメーション領域においては、顧客ニーズが常に変化し続けており、AIをはじめとする技術革新に適応し続けることが重要な課題となっています。市場環境や顧客の期待が日々進化する中、最新の技術を適切に活用し、柔軟かつ迅速に対応するため、適切な知見を持つ人材の育成・獲得等を通じて、競争力の維持・向上を図るとともに、持続的な成長の実現を図ってまいります。
③ 内部管理体制の強化
当社グループは創業以来、継続的かつ急速な成長を遂げてまいりました。今後も当社グループが継続的に成長し、持続可能な経営活動を続けるためには、グループ全体の内部管理体制の強化、内部統制やコンプライアンスの徹底が不可欠な課題であると認識しており、持株会社である当社が中心となって体制構築に努めます。
④ ハラスメント対策及びコーポレート・ガバナンスの強化
2023年9月に、当社前代表取締役副社長が、役職員へのハラスメント行為及び暴力行為を起因として辞任しております。このような事態を受けて、ハラスメント行為の再発防止策の徹底及びガバナンス改善による経営陣への監督機能の強化が急務であると認識しており、当連結会計年度においては、監査等委員会設置会社への移行、役員の指名報酬プロセスの改善、第三者機関による取締役会の実効性評価等の各種施策を推進してまいりました。今後も引き続き、ハラスメント対策及びコーポレート・ガバナンスの強化に注力してまいります。
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