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企業概要

 当社グループの経営方針経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります

 なお文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

(1) 経営方針

 当社グループは「すべてはエンタープライズOSSエコシステム(注)発展のために より高速に、より安全に、より安心してオープンソースソフトウェアをお客様のビジネスでご活用いただくために、私たちは、IT業界におけるユーザーの期待とベンダーの現実のギャップを解消し、エンタープライズOSS(オープンソースソフトウェア)エコシステム発展のために全力を尽くして参ります。」を企業理念に掲げ、超高速CMS実行環境「KUSANAGI」及びオペレーティングシステム、処理エンジン、AIにより構成する「KUSANAGI Stack」の開発・提供により、顧客課題の解決と高度な自動化による生産性向上の実現に貢献することを通じ、企業価値の最大化を図る方針です。

(注)エンタープライズOSSエコシステム:OSS(オープンソースソフトウェア)とは作成者がソースコードを無償で公開し、利用や改変、再配布が自由に許可されているソフトウェアのことで、小規模のものから大規模に世界中に開発者がいて協力して開発しているものまであります。特に商業向けのものがエンタープライズOSSと呼ばれ、代表的なOSSである「Linux」はオペレーティングシステムとして基幹業務系システムから最新のデジタルサービス向けシステムまで幅広い領域で採用されております。このように世界中の開発者が参加し、それぞれのソフトウェアが相互に補完しながら、高い価値を生み出している様相を「エンタープライズOSSエコシステム」と呼んでおります。

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループでは、ストック型ビジネスの売上高を重視して、その向上に努めてまいります。中心となる「KUSANAGIマネージドサービス」の新規の月額課金額の増大及び解約率の低減のための事業活動、事業の基礎となる「KUSANAGI」及び「KUSANAGI Stack」の開発を通じて、継続的な企業価値の向上を目指してまいります。

 また、「売上高経常利益率」を重要経営指標として考えております。利益率の成長は当社グループの知的資本の優位性が具現化した結果であると考えており、これが競争優位性になるものと考えているためです。

(3) 経営環境及び中長期的な経営戦略

 当社グループのKUSANAGI Stack事業の成長は、クラウドサービスの普及・市場の拡大の動きに影響されます。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の トレンドが進展する中、生産性の向上や業務の効率化を目的として、クラウドを前提に事業運営を行おうとするクラウドファースト戦略を実行する企業が増加しており、2021年の国内クラウド市場規模は、前年比34.7%増の4兆2,018億円となりました。また、2021年~2026年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は21.1%で推移し、2026年の市場規模は2021年比約2.6倍の10兆9,381億円になると予測されております。(出所:IDCJapan株式会社「国内クラウド市場 用途別 売上額予測、2021年~2026年」)この市場予測から当社グループの属するクラウド市場は、本格的な普及期に入ったものと認識しております。

 また、クラウドサービスにおけるオープンソースソフトウェアの活用は、サーバ、ソフトウェアライセンス、ネットワーク機器等の初期投資及び運用にあたって従来のオンプレミス(自社運用)における商用ソフトウェアの活用と比較し、調達コスト、運用コスト等においてメリットがあり、また特定企業の製品ではないためベンダーロックインの回避のメリットもあり、企業の情報システム構築・運用にあたり主要な選択肢となりつつあると同時に十分なクオリティとサポート体制が求められています。

 さらに、国内における働き方改革の機運に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機としたテレワーク拡大等の企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みは、クラウドコンピューティングの活用やAI技術による高度な自動化への取り組みを推進させるものと考えております。具体的に新型コロナウイルス感染症拡大が当社グループに与える影響については以下に示す「マイナス影響」と「プラス影響」に大別して認識しております。

 マイナス影響

 ・顧客の収益悪化に伴う当社サービスの解約(すべてが新型コロナウイルス感染症に起因する訳ではありませんが、小規模の顧客等について一定の解約が続いたと認識しております。)

 ・感染症対策に伴うコストの増加

 プラス影響

 ・WEBサイトが集客チャネルの中心になるため、当社サービスに対するニーズの増加

 ・顧客のDX推進に伴うクラウド活用に対する機運の上昇

 このような経営環境のもと当社グループは以下の事項を中期的な経営戦略として、事業を推進してまいります。

① 業界標準となる製品開発

 当社グループの開発する超高速CMS実行環境「KUSANAGI」は2023年11月現在34カ国206リージョン、国内外の主要な26クラウド事業者でご利用いただくことが可能であり、累計稼働台数も8万台を超えるに至りました(2023年10月末現在)。

 市場に求められる機能の開発を強化し、累計稼働台数の増加、海外での利用比率の向上を進め、エンタープライズCMS実行環境としての業界標準を目指してまいります。

② 提供サービスの付加価値の増加と収益構造の変革

 当社グループの開発する「KUSANAGI Stack」はAI技術を活用した高度な自動化による生産性の向上を実現し、当社グループの企業価値を向上させるものと考えております。

 具体的には主力サービスである「KUSANAGIマネージドサービス」の売上高に対しては、付加価値の向上による単価・件数の向上に寄与し、経常利益については、工数の削減等による原価率の低減が寄与することが見込まれると考えておりますが、「KUSANAGI Stack」の提供の形態の多様化とクラウドサービス化を進め、より容易なサービス提供及び単体サービスとしての提供が可能となるよう開発を進めてまいります。

 あわせて、顧客及び顧客のグループ内にある複数の管理されていないWebシステムを統合し、「KUSANAGIマネージドサービス」上で統合管理してほしいというニーズも出てきており、統合運用基盤としての「KUSANAGIマネージドサービス」の開発とその営業活動も進めてまいります。

③ 研究開発及びパートナーシップによる新市場、販路の開拓

 当社グループが開発する「KUSANAGI」は国内外の主要な26クラウド事業者でご利用いただくことができますが、同時に、当社グループは主要なクラウド事業者11社と、13のパートナーシップを結んでおり、協業のチャネルとしても機能しております。

 「KUSANAGI Stack」の社内での研究開発によるWeb高速化以外の分野への応用、また、パートナーシップを中心とする他社との協業を進め、新市場の開拓及び販路の拡大を目指してまいります。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 優秀な人材の確保

 当社グループは国内外各分野において、人工知能や機械学習を活用した自動化技術であるハイパーオートメーションを実現するために、また同時に外部環境の不確実性及び新型コロナウイルス感染症の拡大の影響等による経済活動の停滞に備え、従来からの取り組みを前倒して実施する機会ととらえて、一段階上の体制づくり、すなわち管理部門に至るまで全ての社員がエンジニアレベルの知識を有し、日々の業務においてそれを遺憾無く発揮できる「全社一丸となったAIカンパニー」化を進めることが必須であると考えております。

 全社的に先端AI技術の研究・開発 、及び応用を推し進めるAIカンパニー化を実現することによって、「KUSANAGI Stack」を中心としたプロダクト開発とサービス展開をさらに加速させ、各分野の皆様のビジネスにおけるハイパーオートメーションの実現に貢献できるものと考えております。

 「KUSANAGI Stack」の顧客に対する提供では、高速性、自動化という2つのアプローチにより、より短い時間で、かつ作業工数・人員数を大幅に減らしたミスの少ない事業を推進することができるようになり、顧客課題の解決、及び生産性向上、付加価値の増加を継続的に実現することが可能となります。

 一方でそれを支える技術力の高い優秀な人材を確保することは当面の当社グループの最大の課題となります。顧客の数歩先をいく、管理部門を含めた全社的なデジタルトランスフォーメーションと業務の自動化を推進し、一人当たりの生産性、収益力の高い状態を作り出すため、開発力に優れたエンジニア、経験とスキルを持った優秀な人材を採用し、確保することを積極的に進めております。

② 「KUSANAGI」及び「KUSANAGI Stack」の提供形態及び適用分野の拡大

 今後の当社グループの構想図として、「KUSANAGI Stack」は現状ではWebの高速化、セキュリティ強化、コスト削減を実現するプロダクト群としての位置付けに止まりますが、今後はより汎用性のある技術として、機械学習(AI)や自動化ツール等を組み合わせて、業務の自動化、経営資源の最適化に貢献するソリューションとしての開発を推し進めて参ります。これにより、各分野でのハイパーオートメーションの本格的実現、更には、医療等での高速なデータ収集や解析のシステム等としての応用も可能になると考えています。

③内部管理体制の強化

 顧客満足度の高いサービス提供のためには、内部管理体制の強化が必要であると認識しております。また、事業規模拡大に対応した十分な内部管理体制の整備が必要であることも認識しております。当社グループは、内部管理部門についても積極的な人材採用を進めてまいりますが、社内業務のIT化、自動化を図ると共に、積極的に外部委託を活用し、より効率的で効果的な内部管理体制を構築してまいります。

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