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【東証グロース:4478】「情報・通信業」
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企業概要
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションを掲げ、「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム」をコンセプトとしたサービスを提供しております。
(2) 当社グループの強み
① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジション
国内企業の99.7%を占める中小企業(注1)は大企業と比べて生産性が低く、テクノロジー活用において大きな成長ポテンシャルが存在しております。当社グループは、個人事業主をはじめ、従業員規模別に法人顧客を区分したSmall(従業員19名以下)及びMid(従業員20名以上1,000名以下)の3領域に対して、それぞれのニーズに即したソリューションを提供しております。(注2)
当社グループは、ビジネス向けの財務関連ソフトと人事労務ソフトのTAM(注3)について、合計で約1.6兆円と推計(注4)しております。また、財務関連ソフト及び人事労務ソフトの市場におけるクラウドソリューションへの支出額比率は各48.4%及び66.7%であり(注5)、諸外国との比較においてもクラウド浸透が低い水準に留まっていることから、クラウドERP市場の拡大ポテンシャルは高いと認識しております。さらに、大企業よりも深刻な人材不足(注6)等を背景とした業務効率化ニーズの高まりをはじめ、経営者の世代交代の活発化(注7)、新設法人数の増加(注8)といったマクロ環境の変化がスモールビジネスにおけるクラウド浸透の継続的な追い風になっていると考えております。
財務関連ソフト及び人事労務ソフトにおけるクラウドソリューションへの支出額比率の比較(注9)
| 日本 | アメリカ | イギリス | オーストラリア | ニュージー ランド |
財務関連ソフト | 48.4% | 64.1% | 60.7% | 83.0% | 89.9% |
人事労務ソフト | 66.7% | 85.6% | 63.5% | 87.9% | 91.1% |
前記「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)統合型クラウド会計ソフト・人事労務ソフトを提供する「freee」が選ばれる理由」にて記載のとおり、当社グループの提供するサービスは、単に従来型の会計ソフト・人事労務ソフトをクラウド化したものとは異なる統合型のクラウド会計ソフト・人事労務ソフトであり、経費精算や請求書発行といった記帳業務の上流工程まで含めた一体的な設計により、経理業務の枠を超えたバックオフィス全体の効率化、及び経営者の意思決定のナビゲーションにも寄与するものです。
こうしたユニークなサービス設計・顧客価値により、成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場において当社グループのユーザー規模は創業以来順調に拡大しており、マーケットリーダーとしてクラウド会計・クラウド人事労務業界を牽引しております。なかでも、「freee会計」については新設法人、並びに「freee会計」及び「freee人事労務」の両者についてはIPO準備企業群にて多く使われております。
(注) 1.中小企業庁「中小企業白書(2025年版)」
2.個人事業主、Small及びMidにおける潜在企業数と出所は下表のとおり。尚、Midの潜在企業数については、「令和3年 経済センサス 活動調査」における雇用者規模20~999名の企業数を参考値として使用。
顧客セグメント | 潜在企業数 | 出所 |
個人事業主 | 4,488,359 | 国税庁令和5年調査 |
Small(従業員19名以下の法人) | 1,768,899 | 令和3年 経済センサス 活動調査 |
Mid(従業員20名以上1,000名以下の法人) | 291,957 |
3.TAM:Total Addressable Marketの略称。当社グループが想定する最大の市場規模を意味する用語であり、当社グループが本書提出日現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示す目的で算出されたものではない。各プロダクトのTAMは、一定の前提の下、外部統計資料をはじめ、プロダクトラインナップ拡充やプラン改定等の当社ビジネスの取り組み状況も踏まえ、国内における全潜在ユーザー企業において各プロダクトが導入された場合の年間支出総金額を当社グループが推計したものであり、その正確性にはかかる統計資料や推計に固有の限界があるため、実際の市場規模はかかる推計値と異なる可能性がある。
4.国内における当社グループの全潜在ユーザー企業において「freee会計」及び「freee人事労務」が導入された場合の全潜在ユーザー企業による年間支出総金額。全潜在ユーザー企業は、個人事業主と従業員1,000名未満の法人の合計。(「freee会計」及び「freee人事労務」の全潜在ユーザー企業数(国税庁「令和5年申告所得税」、総務省統計局「令和3年経済センサス 活動調査」) × 従業員規模別の「freee会計」及び「freee人事労務」の想定年間課金額)
5.International Data Corporation(IDC)「Worldwide Software and Public Cloud Services Spending Guide_2025V2」。財務関連ソフトウェア及び人事労務ソフトウェアそれぞれについて、従業員1,000人未満の中小企業及び個人事業主を対象に、クラウドソリューションへの支出額をオンプレミスを含むソフトウェア全体への支出額で除して算出。尚、人事労務ソフトウェアのデータは、給与計算関連のソフトウェアのみを対象に集計。
6. リクルートワークス研究所(2025)、「ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」。従業員300名以上の企業における大卒求人倍率は約0.9倍である一方、従業員300名未満の企業における同倍率は約9.0倍。
7. 中小企業庁「中小企業白書(2025年版)」。2015年から2024年にかけて、経営者が最も多い年代が60代から50代にシフト。
8.「国税庁法人番号公表サイト」より、各年に新たに法人番号が指定された法人を新設法人として抽出し集計。新設法人数は、2016年から2024年にかけて104,355社から140,439社に増加。
9.IDC「Worldwide Software and Public Cloud Services Spending Guide_2025V2」からクラウド化率が比較的高い国を抜粋。当該国には、ニュージーランドの同業プレーヤーであるXeroが進出。
② スモールビジネス向けクラウドERP市場における更なるTAMの拡大
当社グループは、上記のとおり、従来の会計・人事労務ソフトの枠を超えて、バックオフィス全体の効率化に資するERP(統合型業務ソフト)を志向してサービスを提供しております。今後はさらに提供するサービスモジュールを広げ、スモールビジネス向けERPとして実現・提供可能なサービスの範囲拡大を目指してまいります。これは、上流工程から下流工程までを一貫してソフトウェア化するユニークな設計思想によって可能になるものです。
そのため、従来の会計・人事労務の枠を超えたバックオフィス全体の効率化に資するERP(統合型業務ソフト)のTAMとして捉えた場合には、当社グループが狙うTAMは合計で約3.6兆円(注)まで拡大すると考えております。
(注) 当社グループの全潜在ユーザー企業において「freee会計」「freee人事労務」「freee販売」「freeeサイン」「freee業務委託管理」及びファイナンスサービス(カード・ファクタリング)が導入された場合の全潜在ユーザー企業による年間支出総金額。全潜在ユーザー企業は、個人事業主と従業員1,000名未満の法人の合計。(各プロダクト及びサービスの全潜在ユーザー企業数(国税庁「令和5年申告所得税」、総務省統計局「令和3年経済センサス 活動調査」) × 従業員規模別の各プロダクト及びサービスの想定年間課金額)
③ スモールビジネスの情報が蓄積されたビジネスプラットフォーム
「freee会計」は、統合型会計ソフトであるため、経理財務情報のみならず、上流工程である個々の取引情報まで広くカバーしており、各ユーザー企業のトランザクションデータを保有しております。ECサイトや決済サービス等も同様にトランザクションデータを保有しておりますが、一つのユーザーが複数のECサイトや決済サービスを利用するのに対し、「freee会計」は他のソフトと併用する必要はなく、すべてのトランザクションデータが集約される点が強みです。
また、「freee人事労務」には、人事労務の定型業務に係る情報が一元的に蓄積されており、従業員向けの付加サービスを提供する上での有力なプラットフォームになると考えております。
④ 高い安定性を誇る財務モデル
当社グループは、サービスの多くをサブスクリプション(継続課金)方式で提供しており、売上高合計に占めるサブスクリプション売上高の比率は90%超(注1)と、安定的かつ継続的な収益構造にあります。
顧客生涯価値(LTV)(注2)の長期的な最大化を企図し、機能の開発及び改善やカスタマーサクセス等に投資しております。その結果、2025年6月期における月次平均解約率(注3)は約1.1%となっており、大企業と比して廃業率が高く他のソフトウェアへの乗り換えが多い傾向にあるスモールビジネスを対象としたサービスとしては、低い解約率を実現しております。
(注) 1.サブスクリプション売上高(顧客から解約意思を示されない限り継続する自動更新契約から毎月得られる収益)を全売上高で除した比率(2025年6月期)。
2.LTV:Life Time Valueの略称。顧客から契約期間(Life Time)を通じてもたらされる価値であり、契約期間×MRR×売上総利益率によって算出。
3.(当該月に有料課金ユーザーでなくなったユーザーに関連するARR÷前月末ARR)の過去12ヶ月平均。当社の全顧客領域を集計対象。
⑤ 企業文化
「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションの実現に向け、当社グループは「マジ価値を届けきる集団」であると自己定義し、「本質的な価値(マジ価値)をユーザーに届けきること」を世の中へのコミットメントとして位置づけております。「マジ価値」とは、「ユーザーにとって本質的な価値があると自信をもって言えることをする」という意味であり、当社グループが創業以来、大切にしている考え方です。同時に、これは届いてこそ意味があるという考えから、マジ価値を届ける共通基盤である全役員及び全従業員が持つべきマインドとして「マジ価値2原則」を、マジ価値をチームとして届けるために大切にしたい行動として「マジ価値指針」を全役員及び全従業員で議論し浸透させております。
また、当社グループは原則全日出社の方針を設け、働き方の柔軟性を担保しながら「一緒に出社」することで高いスピード感で事業を推進しております。
当社グループは、ミッションやコミットメントに共感する社員が集まり、個々人が高い自律性を持ちながらも強い一体感・カルチャーを持つ組織を実現しています。
マジ価値2原則
・「社会の進化を担う責任感」:社会をよい方向へ進化させる責任を有するという自負をもって、あきらめずに挑戦する姿勢。また、世の中を変えうるよい事例は率先してつくるという姿勢
・「ムーブメント型チーム」:目指すべき世の中の方向性に共感し、自律的にアクションを起こす姿勢
マジ価値指針
・「理想ドリブン」:理想から考える。現在のリソースやスキルにとらわれず挑戦しつづける
・「アウトプット⇒思考」:まず、アウトプットする。そして考え、改善する
・「Hack Everything★」:取り組んでいることや持っているリソースの性質を深く理解する。その上で枠を超えて発想する
・「ジブンゴーストバスター」:フィードバックを貪欲に求めることで、自分が認識出来ていない自分を知る。強み・弱みと向き合い、自分を進化させ続ける。
・「あえて共有」:人とチームを知る。知られるよう共有する。オープンにフィードバックをしあうことで一緒に成長する
(3) 経営環境
我が国は、少子高齢化を背景に人口減少フェーズに入り、生産年齢人口の減少が見込まれております。また、2017年3月に政府から「働き方改革実行計画」が発表されて以降、労働環境の規制が強化されています。加えて、最低賃金も上昇するなど、労働生産性の向上が益々要求される局面を迎えております。生産年齢人口が減少する一方で、新設法人数や副業者数は増加傾向にあります。こうした独立を志向した生き方に対するニーズが時代に合わせて大きくなることで、スモールビジネスの裾野は広がりを見せております。
当社グループでは、このような環境下において、スモールビジネスは労働力への依存から脱却し、テクノロジーに代替可能な作業を積極的に置き換える必要があるほか、だれもが自由に経営できる社会をつくり、新しい生き方のニーズに対応することが重要であると認識しており、スモールビジネスが強くスマートになることに貢献するサービスの開発、提供を目指してまいります。
また、(2) 当社グループの強み ① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジションに記載がある通り、現状の我が国における会計ソフト及び人事労務ソフトの普及余地は多分に存在するものと考えております。
(4) 中長期的な経営戦略
上記の経営環境を前提とし、今後も継続的な成長を実現することを目的として、中長期成長戦略のもとで事業を推進しております。この度アップデートした中長期の財務見通しにおいては、事業からのキャッシュ創出力を示す調整後フリー・キャッシュ・フロー(注1、以下「調整後FCF」という)を採用し、2028年6月期までに調整後FCFマージンを15%以上に向上させることを目標に掲げました。加えて、当社グループでは、キャッシュ創出力及び収益性の中長期的な向上の前提として売上高成長が重要であると考えており、双方を踏まえた目標として対前期比売上高成長率と調整後FCFマージンの合計で40%に到達することを掲げ、持続的な事業成長と収益性の向上の両立を図ってまいります。
① ユーザー基盤の更なる拡大
当社グループの2025年6月期末における有料課金ユーザー企業数は606,533件であり、創業以来順調に拡大し続けております。これまでは、WebマーケティングやSNS経由で流入した顧客の自発的なユーザー登録をはじめ、インサイドセールス(注2)及びフィールドセールス(注3)経由での獲得が中心でした。近年では、これらのダイレクトチャネル経由での顧客獲得に加えて、会計事務所とのパートナーシップ拡大により会計事務所経由での顧客獲得が大きく伸長しています。これは、会計ソフトと申告ソフトの双方を提供し一気通貫でオンライン完結できるプラットフォームとしての価値が会計事務所及び顧問先から高く評価されているものと考えております。
加えて、会計・人事労務といったコア事業領域においてプロダクトの業種別ニーズへの対応を進めております。具体的には、店舗と本社での小口現金に関するデータ連携を可能とする「freee支出管理 小口現金」や、AIでシフトを自動作成できる「freee人事労務 AIシフト管理」等をリリースしました。今後も、プロダクトの業種別ニーズ対応を加速させることで、統合型プラットフォームとしての価値を多様な業種のスモールビジネスに提供し顧客基盤をさらに拡大させていきます。
今後もスモールビジネスへのタッチポイントの深化、多様化を進めることで、ユーザー基盤の更なる拡大を進めてまいります。
有料課金ユーザー企業数推移(件)
| 2021年6月期末 | 2022年6月期末 | 2023年6月期末 | 2024年6月期末 | 2025年6月期末 |
全社 | 293,296 | 379,404 | 451,088 | 532,637 | 606,533 |
法人 | 103,080 | 129,644 | 159,375 | 197,701 | 234,072 |
個人 | 190,216 | 249,760 | 291,713 | 334,936 | 372,461 |
(注)1.調整後フリー・キャッシュ・フロー:一般的なフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー+ 投資活動によるキャッシュ・フロー)に対して、クレジットカード事業で発生する立替金の増減が営業キャッシュ・フローに与える影響と、M&Aに伴う支出及び収入が投資キャッシュ・フローに与える影響を調整したもの。
2.メールや電話等を活用し、非対面で実施する営業活動。
3. 見込み顧客を直接訪問し、対面で実施する営業活動。
② 顧客価値の最大化
当社グループは継続的に新規サービスをリリースしてきたほか、既存サービスの機能改善などにより、顧客価値の向上に努めております。また、プロダクト価値の向上に応じた機動的なプラン改定の実施や、複数プロダクトの利用を促すクロスセルを推進した結果、ARPU(注)の上昇を実現してまいりました。
今後は、収益の中心である会計・人事労務領域に留まらず、「freee販売」をはじめ高い成長ポテンシャルを有する新規事業領域にも注力し、スモールビジネスの業務の効率化と可視化をより幅広い領域で実現することで統合体験を強化していきます。
真にスモールビジネスに必要とされる既存サービスの改善や新規サービスのリリース等を通じて、顧客価値の最大化を目指してまいります。
(注)ARPU: Average Revenue Per Userの略称。1有料課金ユーザー企業当たりの平均単価。各期末時点における合計ARRを有料課金ユーザー企業数で除して算出。
③ 金融サービスの拡大
当社グループは、新規事業領域の1つとして金融サービスに注力しております。2022年1月には、Midセグメント(注1)を中心とした顧客の成長資金ニーズに対応すべく「freeeカード Unlimited」をリリースし、2023年2月にはSmallセグメント(注2)にも提供範囲を拡大いたしました。また、M&Aも積極的に活用しながら金融サービスのラインナップ強化に取り組んでおり、即日払いのファクタリング等の金融支援サービス「FREENANCE」を提供するGMOクリエイターズネットワーク株式会社を2025年9月に完全子会社化いたしました。
今後もスモールビジネスにとって大きな課題である資金繰りに対して、これらの改善を進めるとともに、データとテクノロジーの力を活用することで、あらゆる経営課題の解決に貢献するサービス開発及び提供を目指してまいります。
(注)1.従業員が20名以上1,000名以下の法人を指す。
2.従業員が19名以下の法人を指す。
④ AI活用の推進
当社グループは、プロダクトの価値強化と社内業務の生産性向上の双方においてAIの活用を進めております。プロダクト強化の取り組みにおいては、AIエージェント及び、6つのAI新機能を新たに開発し、ユーザーからのフィードバックを得ながら収益化を進めております。なかでも、業務負荷が大きい年末調整の領域では、2025年度分の年末調整業務での利用を見据え、情報の自動入力・不備検知が可能な「AI年末調整」をリリースします。業務効率化ニーズが大きい領域にAI機能を導入することで、さらなる顧客獲得やfreeeプロダクトのクロスセル促進を図っていきます。
また当社グループは、全社的なAI活用を通じた更なる業務効率化・生産性向上を重点施策として推進しております。既にセールス活動の生産性向上の取り組みにおいて実績が出始めており、商談前後の業務時間削減やセールスノウハウの属人化解消を実現したことが評価され、Forbes JAPAN NEW SALES OF THE YEAR 2025において「AIトランスフォーメーション賞」を受賞しました。セールス以外の領域においても、例えばAIチャットボットによるカスタマーサポートの更なる効率化や、AIコーディングによる開発生産性の向上等、更なる生産性向上に繋がる高いポテンシャルを有していると考えております。
(5) 対処すべき課題
① スモールビジネス向けクラウドERP市場の拡大
当社グループは、スモールビジネス向けのクラウド会計ソフトとクラウド人事労務ソフトのTAMについて、合計で約1.6兆円と推定(注)しております。また、財務関連ソフトウェアを利用する従業員1,000人未満の中小企業及び個人事業主におけるクラウドソリューションへの支出額比率は48.4%であり(注)、クラウドERP市場の拡大ポテンシャルは高いと認識しております。
当社グループは、スモールビジネス向けクラウドERP市場におけるリーディングカンパニーとして、市場を引き続き牽引することが重要であると認識しております。
(注)前記「(2)当社グループの強み ① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジション」を参照。
② 持続可能な社会の実現と、そのための組織体制の整備
「freee会計」、「freee人事労務」をはじめとする各サービスの提供により、だれもが自由に自然体で経営できる環境をつくることで、ユーザーの皆様を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することが重要と考えております。また、当社グループが持続可能な組織であるために、多様なバックグラウンドをもった優秀な人材を採用し、強い組織体制を整備することが重要であると認識しております。
上記をはじめとするサステナビリティ推進活動の詳細に関しては、当社グループWebサイト内の「サステナビリティ」コーナー、及び「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
③ 情報管理体制の強化
当社グループは、提供するサービスに関連して多数のユーザー企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報資産を保護するため、専任の情報セキュリティチームを設置しております。また情報セキュリティ基本方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理、保護しております。今後も社内教育・研修の実施のほか、システムの強化・整備を実施してまいります。
④ 新規事業の展開
現在、当社グループの収益の大半が「freee会計」や「freee人事労務」等のSaaSサービスから成り立っております。今後も継続的な事業成長の実現に向けて、既存サービスの伸長に加えて、金融サービスや取引プラットフォームにおける新規事業の展開を積極的に検討してまいります。
⑤ 利益及びキャッシュ・フローの創出
当社グループの収益の中心であるSaaSビジネスは、サブスクリプション方式でユーザーに提供しており、継続して利用されることで収益が積み上がるストック型の収益モデルになります。SaaSビジネスにおいては、開発費用やユーザーの獲得費用が先行して計上される特徴があり、短期的には赤字が先行することが一般的です。当社グループは、2024年6月期まで、開発費用やユーザーの獲得費用等に先行投資を行ったため営業損失を計上しておりましたが、2025年6月期においては営業損益の黒字化を達成しました。
SaaSビジネスにおいては、投資効率を計る指標として顧客生涯価値(LTV)(注1)と顧客獲得コスト(CAC)(注2)のバランス(LTV/CAC)が重要であるため、当社グループではこれを重要指標の一つとして顧客獲得活動における投資判断を行っております。さらに、既存顧客からの収益拡大の状態を示す重要指標としてNet Revenue Retention Rate(注3)を定めており、収益獲得の効率性を測っております。これらの指標を基準として成長投資を継続することが中長期的に利益及びキャッシュ・フローの最大化に寄与するものと考えております。
また、今般アップデートした中期財務目標においては、事業からのキャッシュ創出力を示す調整後フリー・キャッシュ・フロー(注4、以下「調整後FCF」という)を採用し、2028年6月期までに調整後FCFマージン(調整後FCFの売上高に対する比率)を15%以上に向上させることを目標としております。加えて、当社グループではキャッシュ創出力及び収益性を中長期的に向上させるためにその前提となる売上高の成長が重要であると考えており、双方を踏まえた目標として対前期比売上高成長率と調整後FCFマージンの合計で40%に到達することを掲げ、持続的な事業成長と収益性の向上の両立を図ってまいります。
(注)1.LTV:Life Time Valueの略称。顧客から契約期間(Life Time)を通じてもたらされる価値であり、契約期
間×MRR×売上総利益率によって算出。
2.CAC:Customer Acquisition Costの略称。顧客の獲得に要するコストであり、セールス活動及びマーケティング活動に係る費用が該当。
3.Net Revenue Retention Rateは、該当期間中に、前期の同期間において顧客であったユーザーの該当期間における売上を前期の同期間における売上で除して算出。会計事務所の売上増分は顧問先の売上増加を含む。
4. 調整後フリー・キャッシュ・フロー:一般的なフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー+ 投資活動によるキャッシュ・フロー)に対して、クレジットカード事業で発生する立替金の増減が営業キャッシュ・フローに与える影響と、M&Aに伴う支出及び収入が投資キャッシュ・フローに与える影響を調整したもの。
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