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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

(1) 会社経営の基本方針

 当社は「ヒラメキあふれる世界をつくる」をミッションに、「あらゆる『人』と『組織』が成長し、可能性がひらかれるプロダクトをつくる」をビジョンに掲げ、1冊約10分で読める本の要約コンテンツや、有識者による動画、インタビュー等の特集記事等を集約したプラットフォームを運営しています。法人における人材育成目的のSaaS型サービスが中心となっているため、サービス改善、新機能追加、セールス、カスタマーサクセス、コンテンツ編集が重要な役割を担っています。

 会社運営においては、採用、育成、カルチャー浸透に特に力を入れています。行動指針にあたるバリューとして、「楽しむ」、「スピード」、「Self-starter」、「挑戦」、「Respect」、「三方良し」の6つをかかげ、事業成長を重視した上で、知の流通という社会的価値も追求しています。

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は中長期における持続的な企業価値の向上を目指しており、KGIとして全社における売上高、営業損益、営業損益率、売上成長率、MRR(注1)、主要な成長セグメントであるエンタープライズ事業セグメントにおける売上高、売上成長率、エンタープライズ事業売上高比率を、KPIとしてエンタープライズ事業セグメントの主力サービスである「flier business」におけるMRR、契約社数(注2)、ARPA(注3)、Net Revenue Churn Rate(注4)を重視しています。また、それらの基盤となるステークホルダーとの信頼関係と提供するコンテンツの質を大切にしています。

(3) 経営環境

 国内HRテックSaaS市場は2024年に1,442億円(※)となり、今後も成長率32.6%(※)で拡大することが予想されています(出所:デロイトトーマツミック経済研究所「HRTechクラウド市場の実態と展望2023年度版」)。加えて、グローバル環境下での人材獲得競争はますます激しくなっている中で、OJT以外の人材投資において日本の投資金額は大幅な劣位にあり、対GDP比でアメリカの20分の1程度と開きがあることから、今後は海外水準に近づけるべく国内でも一層の人材育成への投資が求められると考えられます。さらに2018年に発表されたISO30414(人的資本に関する情報開示の国際的ガイドライン)にあるように、人的資本経営への関心が海外だけでなく国内においても高まっております。このような状況を背景に、労働生産性向上やリスキリング等への関心が高まっており、従業員の自律的な学習機会の提供及び自己研鑽の支援を行う法人内の人材育成需要が拡大していると考えております。


 あわせて、事業構造を革新するDX化や生成AIの発展等のトレンドと、新型コロナウイルス感染の拡大をきっかけに、人材投資においてリアルの研修だけでなくオンラインの環境整備を進める機運が高まったことから、インターネットを通じたサービスを活用するSaaS(Software as a Service)の市場成長が継続しています。新型コロナウイルスの猛威が収束した現在においても、オフィス勤務とリモート勤務を合わせたハイブリッド出社が一般化したこともオンライン上の人材育成への投資が広がる一因となっており、今後もオンラインの人材育成市場は継続的に拡大するものと考えられます。

※ 「デロイトトーマツミック経済研究所「HRTechクラウド市場の実態と展望2023年度版」

2021年から2027年を対象期間としたCAGR(年平均成長率)は32.6%

年度

2021年

2022年

2023年

2024年

2025年

2026年

2027年

市場規模  (億円)

588

805

1,108

1,442

1,897

2,488

3,200

(4) 経営戦略

 このような環境認識の下、当社の中長期の経営戦略の軸はエンタープライズ事業セグメントの拡大となります。そのための主要な戦略の方向性は、「flier business」の顧客基盤の拡大、新規事業である「flier 成長組織ナビ」の展開本格化、両サービスのクロスセルの拡大となり、下記施策に注力していきます。

   エンタープライズ層の開拓

 従業員500名以上のエンタープライズ企業への開拓を進めていくことにより、導入規模・案件の成約単価をともに大きなものとしていきます。

   販売パートナー網の構築

 中小規模の企業群にも顧客基盤を拡大していくために、代理店網の開拓にも取り組んでおり、今後より本格化していく方針です。

   法人向け新規事業の有償化

 新規事業である「flier 成長組織ナビ」を通じて、企業の成長組織への変革を推進し、新たな収益の柱を確立していく方針です。

「flier business」の収益拡大のために、従業員500名以上のエンタープライズ企業への開拓を進めていくことにより、導入規模・案件の成約単価の拡大を目指します。また、中小規模の企業群においても顧客基盤の拡大を進めていくために、代理店網の開拓にも取り組んでおり、今後より本格化していく方針です。

 上記に加え、新規事業である「flier成長組織ナビ」を通じて、企業の成長組織への変革を促進し、新たな収益の柱を確立していく方針です。

 このような営業戦略と合わせて、プロダクトのさらなる開発にも注力していきます。各社の要約閲覧情報が集約されることを見通して、業界別職種別階層別の読書傾向の把握や、要約のレコメンド機能の強化のため、自然言語処理・統計処理等の先端技術の活用を進めていく予定です。会社全体で幅広くAI(注5)を用いたサービス企画や業務改善を行うため、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)のディープラーニング資格の取得支援制度を設けており、役員及び社員の約4割がG検定を既に取得しています(2025年2月末時点)。

 また、知に対するリスペクトを大切にし、知の創出に関わる人々に対する価値も一層提供していき、出版社・著者等の著名人・全国の書店等のネットワークをさらに充実させ、コンテンツの充実やビジネスパーソンの学習の質を高めていくことを通じて顧客価値につなげていくよう努めてまいりますそして、その取り組みの中で培われた出版社・著者等の知の生産者との強固なネットワーク、3,900冊超に及ぶ要約コンテンツ、さらに累計会員数123万人といった顧客基盤といった資産は、相互に作用しながら蓄積されることで高い参入障壁を形成し、当社の競争優位を築いています。このような当社が有する強みを引き続き磨き上げながら事業運営を行っていく方針です。


(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 不安定な国際情勢や米国の金利上昇に伴うインフレの継続により、日本経済の先行きは不透明な状況が続くと見込まれております。当社を取り巻く環境が変化し続ける中、当社におきましても、引き続き事業の成長を実現すべく、以下に掲げる課題に取り組んでまいります。

① サービスの付加価値創出について
 現時点で、当社が顧客から期待されていることは、第一に質の高い要約・動画等のコンテンツであり、第二に人材育成や自己啓発に導きやすいサービス機能の充実だと考えています。そのため、コンテンツの企画や編集力を磨きながら、連続的に新しい質の高いコンテンツを提供しつつ、エンタープライズユーザの人材育成を促すための機能改善、最先端テクノロジーの活用を進めてまいります。

② サービス認知度向上について
 当社の累計ユーザ数は増加していますが、ビジネスパーソン全体から見ればまだ成長の余地が大きいと考えております。特にエンタープライズ事業セグメントの拡大にはサービス認知度の向上が重要なテーマであるため、広報活動、マーケティング施策を強化し、書店や出版物との連携等、多角的な露出戦略を展開します。

③ 販売力、価値提供力の向上について
 エンタープライズ事業セグメントは当社の成長の中核であり、この分野における販売力と価値提供力の向上は最重要課題です。顧客の多様なニーズに応えるため、セールス・カスタマーサクセス人員への投資を行い、顧客対応力を強化します。また、全国的な展開スピードを加速するため、販売パートナー網の構築を推進します。

④ 人事系サービスの領域拡大について
 当社は本の要約を通じて人材育成に資するサービスを提供していますが、「知のプラットフォーム」として人材・組織の成長を支援するためには、より広い領域へサービスを展開していく必要であると考えています。そのため、当社は社内外における新規サービスの開発・連携等を視野に入れ事業運営を行っていきます。

⑤ 優秀な人材の確保について
 持続的な事業拡大のためには、優秀な人材の確保と定着が不可欠です。そのため、当社のバリューを組織内に浸透させ、社員が能力を最大限に発揮できる組織文化を醸成します。また、社員に成長機会を提供し、魅力的な事業を展開することで、優秀な人材が長期的に活躍できる環境を作ります。

⑥ システムの安定的な稼働について
 当社のサービスはインターネットを通じて提供されるため、通信ネットワークやシステムの安定稼働が求められます。これに対し、システム投資、メンテナンス投資、セキュリティ対策を強化し、安定稼働を確保します。

⑦ ステークホルダーの期待に応えるコーポレート・ガバナンスの実現について
 各方面でのステークホルダーの期待に応え、事業成長を健全な形で持続していく上で、コーポレート・ガバナンス機能の強化は不可欠と考えております。常にステークホルダーとの対話を行うことで客観的な状況把握に努めるとともに、会社経営においても適切な牽制機能が働く経営体制の構築に取り組んでまいります。

(注) 1.MRR(Monthly Recurring Revenue)
当社が提供する月額課金サービスにおいて、顧客から毎月継続的に得ることのできる月次収益額。

2.契約社数

  「flier business 」の契約のうち、3か月以上の継続取引における契約社数。

3.ARPA(Average Revenue Per Account)

    「flier business」の契約における月次平均単価。

4.Net Revenue Churn Rate

 (月次の新規受注額+既存顧客の金額変更―既存顧客の解約額)/(前月末の既存顧客に対する継続課金残高)によって算出される月次解約率の指標。販売契約のうち「flier business」の契約を対象とする。

5.Artificial Intelligenceの略。知的活動を人間に代わってコンピューターに行わせる技術。

より抜粋
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