フジックス 【東証スタンダード:3600】「繊維製品」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは縫い糸、刺しゅう糸及び手芸用各種糸の製造・販売を主たる事業とし、「誠実」の社是のもと、「すぐれた技術とまごころがつくり出す製品を通じて社会に奉仕する」ことを経営理念としております。ユーザーである縫製業者や刺しゅう業者、手作りホビーを楽しむ人々への価値ある製品とサービスの提供を通して、株主、投資家、取引先、従業員あるいは地域社会など、全てのステークホルダーに長期安定的に貢献できる企業グループを目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは経営の基本方針に記載の通り、全てのステークホルダーに長期安定的に貢献できる企業グループであるために、連結・個別ともに堅実で安定的な利益の確保が重要と考えております。中長期的にも連結・個別における経常利益並びに売上高経常利益率の向上を目指しております。
(3) 中長期的な会社の経営環境
新型コロナウイルス感染症は、発生以来、感染拡大と収束を繰り返しながらおよそ3年半が経過し、世界はすでに新型コロナウイルスとの共生の時代に入っております。
また、世界情勢は政治的・経済的にも先行きは不透明で、未来の予測はますます困難になっております。
縫い糸や手芸用各種糸などの製造販売を主な事業とする当社グループが、深く関わるアパレル・ファッション業界や手芸関連業界におきましても、ここ数年の世界およびわが国の大きな状況の変化は消費者のライフスタイルや価値観そして消費志向を大きく変えつつあり、従来の延長線上での予測は困難になっております。
その上、温室効果ガスや環境汚染問題を背景に持続可能な社会の構築への関心が世界的に一層高まり、当社グループにおいても環境負荷軽減の様々な要請が高まりつつあります。
このように国内外の状況が大きく変わりつつあるなか、当社グループといたしましては、中長期的な縫い糸事業の環境について、次のように考えております。
① 工業用縫い糸の事業について
縫製業は、衣料用、非衣料用のいずれにおいても工程の多さや作業内容から、労働集約型産業であり、豊富な労働力が求められるため、特に単品大量生産型の安価な衣料品は、その縫製も低賃金で労働力の豊富な地域や国に移動する傾向があるが、小ロット多品種で、且つ高い縫製品質が求められる高級品や高機能品については、縫製工の熟練が求められ、その最終消費地(消費国)への短納期での供給を踏まえて、賃金が上昇傾向にある中国や東南アジア諸国においても、今後も一定の生産規模を維持していくと考えられる。
世界の同業他社の事業状況からの推測ながら、当社グループの世界の縫い糸市場におけるシェアは極めて低く、世界各国の同業他社がしのぎを削るアジア地域においても、競争は厳しいものの、独自の製品の開発や供給利便性も含めて、競争力を高めることにより、中長期的にはシェアの拡大の余地がある。
しかしその一方で、温室効果ガスや環境汚染問題を背景に、当該事業においても持続可能な社会の構築に向けて、製品の仕様や製造工程における様々な環境負荷軽減への対策が一層求められることが予想される。
② 家庭用縫い糸の事業について
わが国の手作りホビー分野におけるソーイング需要は、コロナ禍による手作りマスク需要や巣ごもり需要により、一時的に需要が急増した後、その反動や、新型コロナウイルスの感染状況の影響等で需要の低迷が続いている。しかし一方では、在宅時間における癒しやオリジナリティを求める傾向やSDGsの観点から「ハンドメイド」が見直される傾向も見受けられることから、今後も手作りホビーの一分野として有効な提案を継続することにより、需要掘り起こしの余地がある。
また、わが国よりはるかに大きな成熟市場を有する欧米市場における当社製品のシェアは極めて低く、独自性の高い製品の提案等によって、販売拡大の余地があるほか、中国を始めとする東南アジア諸国においては、富裕層などを中心に、一定の手作りホビー需要が根付きつつあり、今後も市場成長の可能性がある。
当社グループは、これらの縫い糸事業の中長期的な見通しや可能性を踏まえた上で、下記「(4) 会社の優先的に対処すべき課題」に取り組み、中長期の業績の回復と成長を目指してまいります。
(4) 会社の優先的に対処すべき課題
上記の「(3) 中長期的な会社の経営環境」に記載の事業環境を踏まえて、当社グループは、下記の諸課題に優先的に取り組んでおります。
① 高機能はもちろん、持続可能な社会の構築に寄与する技術開発や製品開発を強化して家庭用から工業用、衣料用から非衣料用に至るまで、独自性があり且つ高品質な製品により付加価値の増大を目指す。
② 環境負荷軽減への対応を含む様々な海外事業のリスクを踏まえつつ、アジア地域での生産および販売体制の整備や見直しに努めて、競争力を強化し、アジア事業の一層の拡大を図る。
③ 国内連結子会社3社も含めて、国内事業のさらなる効率化と収益力の回復を目指す。
④ 手芸関連市場に対してSNSなども活用しながら、自宅で楽しめる手作りホビーの魅力を発信し、新たな需要の掘り起こしに努めるとともに、家庭用縫い糸においても独自の製品を提案し、欧米およびアジア諸国向けなど、海外市場の開拓に努める。
⑤ 取引先やユーザーへの効率的な営業活動や、生産の合理化・効率化を目的としてDXやIoTの活用を目指す。
⑥ 生活様式の変化や働き方改革の今後の動向も踏まえつつ、ステークホルダーの信頼の維持はもとより、環境負荷の軽減を始め、企業としての社会的責任を果たす。
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