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【東証スタンダード:3600】「繊維製品」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは縫い糸、刺しゅう糸及び手芸用各種糸の製造・販売を主たる事業とし、「誠実」の社是のもと、「すぐれた技術とまごころがつくり出す製品を通じて社会に奉仕する」ことを経営理念としております。ユーザーである縫製業者や刺しゅう業者、手作りホビーを楽しむ人々への価値ある製品とサービスの提供を通して、株主、投資家、取引先、従業員あるいは地域社会など、全てのステークホルダーに長期安定的に貢献できる企業グループを目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは経営の基本方針に記載の通り、全てのステークホルダーに長期安定的に貢献できる企業グループであるために、連結・個別ともに堅実で安定的な利益の確保が重要と考えております。具体的な数値目標は掲げておりませんが、中長期的にも連結・個別における経常利益の確保と売上高経常利益率の向上を目指しております。
(3) 中長期的な会社の経営環境
当面の見通しにつきましては、長引く国際紛争に加えて、米国の関税政策の成り行きが世界経済に大きな影響を及ぼすことが懸念され、わが国経済も予測が困難で、ますます不透明感が強まっております。
当社グループが関わるアパレル・ファッション業界や手芸関連業界におきましては、このような先行き不透明な経済情勢や引き続く物価高が国内消費の減退を招くことが懸念されるほか、米国向けビジネスの停滞などが、アジア地域全般での競争の激化やデフレ傾向に繋がることも懸念されます。
さらに温室効果ガスや環境汚染問題を背景に持続可能な社会構築の機運も徐々に高まりつつあり、当社グループにおいても環境負荷軽減の要請が今後さらに高まると予想されます。
このように当社グループを取り巻く短期的な経営環境が極めて不透明かつ変化の途上にあり、中長期的な縫い糸事業の環境については、環境負荷軽減の要請も含めて予測は極めて困難な状況ではありますが、当社グループといたしましては、縫い糸が縫製業や手芸関連には不可欠な副資材であることを基本として、現段階では次のように考えております。
① 工業用縫い糸の事業について
縫製業は、衣料用、非衣料用のいずれにおいても工程の多さや作業内容から、労働集約型産業であり、豊富な労働力が求められるため、とりわけ大量生産型の安価な衣料品は、その縫製も低賃金で労働力の豊富な地域や国に移動する傾向がある。
しかしながら小ロット多品種で且つ高い縫製技術が求められる高級衣料品については、熟練した労働力が必要であり、製品の最終消費地(消費国)への短納期での供給体制も踏まえて、賃金の上昇傾向にある中国や東南アジア諸国においても、今後も一定の生産規模を維持していくと考えられる。
縫製副資材として多色を必要とする工業用縫い糸は、品質や価格に対する要求はもちろん、縫製現場の調達利便性が求められるが、世界の縫い糸市場における当社グループのシェアは極めて低く、製品の仕様や製造工程における様々な環境負荷軽減への対策を行いつつ、これらの競争上不可欠な要素を一層磨き、アジア地域を中心としたユーザーの評価を高めることで当社グループのシェア拡大による成長の余地は十分にある。
② 家庭用縫い糸の事業について
わが国の手作りホビー分野におけるソーイング需要は、かつてのコロナ禍による手作りマスク需要や巣ごもり需要により、一時的に需要が急増した後、その反動や、昨今の諸物価上昇による節約志向の強まりもあって、需要の低迷が続いている。しかし一方では、癒しやオリジナリティを求める傾向や、サステナブル対策の観点から「ハンドメイド」が見直される傾向も見受けられることから、今後も手作りホビーの一分野として消費者の関心を高めるような用途を含めた提案を継続することにより、需要の掘り起こしの余地がある。
また、わが国よりはるかに大きな成熟市場を有する欧米市場における当社製品のシェアは極めて低く、独自性の高い製品の提案等によって、販売拡大の余地があるほか、中国を始めとする東南アジア諸国においては、富裕層などを中心に、一定の手作りホビー需要が根付きつつあり、今後も販売拡大の可能性がある。
当社グループは、これらの縫い糸事業の中長期的な可能性を踏まえた上で、下記「(4) 会社の優先的に対処すべき課題」にも取り組み、まずは損失の解消に努めつつ、中長期の成長を実現して、全てのステークホルダーへの貢献を目指してまいります。
(4) 会社の優先的に対処すべき課題
当社グループの喫緊の課題は、多額の経常損失の縮小、解消であり、そのために先ずは早期に実施可能な収益改善策を実行してまいりますが、上記の「(3) 中長期的な会社の経営環境」に記載の事業環境を踏まえて、当社グループは、下記の諸課題に取り組んでおります。
① 変化しつつある工業用縫い糸のニーズをあらためて把握したうえで、営業戦略の練り直しに基づいた国内外の製造・販売体制を再構築し、品質や価格、調達利便性などの競争力を強化して、アジア地域における顧客の評価を高めてシェアの拡大を図る。
② 今後も高まると予想されるアジア各国や関連業界の環境負荷軽減への要請に対応し、製品仕様はもちろん、生産技術の研究を継続し、環境負荷軽減に寄与する。
③ 国内連結子会社3社を含む国内事業は、きめ細かなビジネスに対応できるようさらなる効率化を図り、収益力の維持向上を図る。
④ 手芸及びホビー関連分野においては、独自の製品や用途提案を継続して、欧米諸国やアジア各国などへの販売拡大を実現し、極めて低い海外市場におけるシェア拡大を図る。
⑤ ライフスタイルの変化や働き方改革の動向も踏まえつつ、企業としての社会的責任を果たす。
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