フィードフォースグループ
【東証グロース:7068】「サービス業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題などは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「『働く』を豊かにする。~B2B領域でイノベーションを起こし続ける~」をミッションに掲げており、デジタルマーケティング分野に特化し、グローバルな市場で事業展開を進めるGoogleやMetaなど、デジタルプラットフォーマーが提供するインターネット広告媒体やID認証などを活用した広告運用サービスやツールの提供を通じて、顧客ビジネスの業務効率向上を支援しております。
(2)経営戦略等
当社グループは、2021年9月に純粋持株会社へ移行し、現在は合計7社の事業子会社を有しております。これらの子会社は、インターネットにおける運用型広告代理事業を中心とする「プロフェッショナルサービス事業」、データフィード管理ツール、ソーシャルログインシステム、ユーザーへのメッセージ配信ツールなどを提供する「SaaS事業」、及び主にShopifyをプラットフォームとして、サイト構築やShopifyアプリ・IDソリューションを提供する「DX事業」の3つの事業セグメントに分類されます。当社グループは、各セグメントのサービスを顧客である事業者に対して一体的に提供し、その成長を支援することで、グループシナジーの最大限を図ることを主要な戦略としております。
プロフェッショナルサービス事業においては、大手企業を中心とした先進的な顧客のニーズにテイラーメイドで対応することで、当社グループとしてのノウハウを蓄積しております。これにより得られた知見を、SaaS事業における各サービスの機能に適宜組み込むことで、幅広い顧客に対して高品質なサービスの提供が可能となっております。一方で、データフィード分野においては、プロフェッショナルサービス事業での広告運用にSaaS事業のサービスを利用するなど、両事業セグメントは相互に補完関係を構築しております。
また、DX事業は、2021年5月期に新たな事業セグメントとして設立されて以降、主にEC事業者を対象に、販売促進及び業務効率化の支援に注力してまいりました。現在では、Shopifyを用いたサイト構築の支援に加え、Shopifyアプリなどの開発・提供も行っており、これらの取組は、SaaS事業で提供するサービスとの親和性も高く、相乗効果を生む構造となっております。また、案件規模に応じた支援体制を構築しており、主にエンタープライズ企業に対しては、サイト構築や広告運用を通じたマーケティング支援を提供する一方、潜在的な顧客企業数が多いSMBに対しては、App Unity参画企業との協業や、Shopifyアプリの提供を通じて、幅広いEC支援を展開しております。
この方針の下、2020年10月には㈱リワイアを子会社として設立し、2021年5月には国内環境に適合したShopifyアプリを提供する企業アライアンス「App Unity」を設立いたしました。さらに、同年10月にはECビジネスのバックヤード業務を支援するツールを展開するシッピーノ㈱を連結子会社化(2022年4月にテープス㈱をシッピーノ㈱から新設分割により設立)し、11月には、Shopifyアプリの開発及びオフショア開発拠点として、ベトナム共和国にて「FEEDFORCE VIETNAM COMPANY LIMITED」を設立し、12月にはEC事業者のブランディングからサイト構築を支援する㈱フラクタを連結子会社化、2023年6月には簡易株式交換により完全子会社化いたしました。これらの取組により、当社グループは積極的かつ集中的な投資を通じて、DX事業の規模拡大を行ってまいりました。
2025年5月期においては、DX事業の中核を担う㈱リワイアへ経営リソースを集約すべく、㈱フラクタのShopify関連事業を同社へ譲渡する事業再構築を実施いたしました。これにより、ポストCookie時代や生成AIの進展といったデジタルマーケティングの環境変化に対応すべく、IDソリューションやShopifyアプリなどの新サービスを継続的に開発・提供する体制を強化しております。
こうした基盤を踏まえ、当社グループでは今後の中期的な成長に向けて、グループ横断での顧客支援体制を強化し、共通のデータ基盤の活用を通じて顧客ニーズを的確に捉えたサービスを提供することで、長期的な信頼関係の構築と継続的な取引拡大を目指してまいります。また、小売業や人材業といった成長領域においては、特化型のソリューション提供を通じて高いシェアの獲得を目指すとともに、AI技術の進展や新たな購買チャネルの拡大に対応したサービス開発を進めてまいります。さらに、パートナーとの連携やM&Aによる事業アセットの拡充、海外市場への展開といった取組を通じて、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、ROE20%を維持しつつ、売上高4,800百万円、営業利益1,800百万円を2025年5月期の中期目標として掲げておりましたが、SaaS事業におけるARR成長の鈍化や、DX事業の収益性が想定を下回ったことなどにより、売上高4,373百万円、営業利益1,592百万円と、売上・利益の両面で未達となりました。一方、株主還元の強化やレバレッジの活用によりROEは33.4%となり、目標を上回る水準を確保いたしました。
2028年5月期に向けては、売上高8,000百万円、営業利益3,000百万円、ROE30%以上を数値目標として掲げ、さらなる成長を目指しております。
また、当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、今後の顧客基盤の拡大を前提としているため、当社グループの各サービスにおける利用案件数を主要な指標として評価しております。現時点におけるこれらの指標は以下のとおりであり、各事業セグメントにおける多くのサービスにおいて利用案件数の増加が継続しております。
(サービス利用案件数推移)
| 2021年5月 | 2022年5月 | 2023年5月 | 2024年5月 | 2025年5月 |
プロフェッショナルサービス事業 |
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Anagrams | 115 | 116 | 156 | 166 | 160 |
Feedmatic | 45 | 49 | - | - | - |
SaaS事業 |
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EC Booster | 303 | 283 | 460 | 419 | 317 |
dfplus.io | 175 | 235 | 302 | 375 | 414 |
ソーシャルPLUS | 309 | 361 | 391 | 440 | 467 |
DX事業 |
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Shopifyアプリ | - | 532 | 144 | 258 | 650 |
FRACTA | - | 53 | 43 | 8 | - |
Shippinno | - | 495 | 435 | 417 | 381 |
(4)経営環境
当連結会計年度における当社グループの主要な事業領域である国内インターネット広告市場の2024年の市場規模は、社会のデジタル化を背景に堅調に伸長し、前年比9.6%増の3.6兆円と過去最高を更新しました。総広告費における構成比は47.6%を占め、広告市場全体の成長をけん引しております(出典:株式会社電通「2024年日本の広告費」)。また、消費者向け電子商取引(BtoC-EC)市場は、経済産業省による2024年の調査「令和5年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、国内のBtoC-EC市場の市場規模は前年比で2.1兆円、9.2%増の24.8兆円と引き続き拡大しています。物販系分野のBtoC-EC市場規模については、2023年において、伸長率は鈍化したものの前年比4.8%増の14.6兆円となり拡大傾向が継続しております。また、EC化率(全ての商取引市場規模に対する電子商取引市場規模の割合)が前年比0.3ポイント増の9.4%となるなど、BtoC-EC市場は依然として着実な成長を続けております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 新規ビジネスの創出と顧客基盤の拡大
当社グループは、創業以来、デジタルマーケティング領域において様々な新規サービスを開発し、新たな収益機会を創造してまいりました。今後も競争優位性を確保し、長期的に成長し続ける組織であるためには、既存サービスの新規機能追加に加え、広告主である企業や広告媒体となるデジタルプラットフォーマー、更にはその先にいるエンドユーザーのニーズの変化を的確に捉え、新たなビジネスやサービスを創出することが極めて重要であると考えております。具体的には、デジタルプラットフォーマーが事業者向けに提供するサービスを中小規模事業者であっても、自社で保有するデータを活用して簡易かつ効果的に利用できるサービスの開発に注力していく方針であります。当社グループでは、デジタルプラットフォーマーをはじめとした様々な分野のパートナーと連携し顧客基盤の強化を図るとともに、デジタルマーケティング分野におけるデジタルトランスフォーメーションを促進する新規ビジネスの創出に努めることで、将来の収益の柱を育てるべく尽力してまいります。
② グループ会社とのシナジーの最大化と市場の拡大
2025年5月31日現在、当社グループは、当社及び当社の連結子会社7社(㈱フィードフォース、㈱ソーシャルPLUS、アナグラム㈱、㈱リワイア、㈱フラクタ、シッピーノ㈱、FEEDFORCE VIETNAM COMPANY LIMITED)で構成されており、各社が強みを活かしたデジタルマーケティング関連サービス、EC事業者向けShopify構築支援サービスやEC事業者支援のための各種アプリを提供しております。今後は、グループ全体におけるシナジーの最大化を図り、さらなる市場の拡大を目指してまいります。
③ 人材の確保と育成
当社グループが今後更なる事業を拡大していくためには、優秀な人材の確保と育成が必要不可欠であると考えております。特に、幅広い分野に精通した優秀なエンジニアの採用は、他社との獲得競争が激しさを増す昨今の状況に鑑みると、継続的な課題と認識しております。これらの課題に対処するために、当社グループは、知名度の向上、研修制度の強化、待遇及び福利厚生の充実を図り、優秀な人材が長期にわたってやりがいを感じて働くことができる職場環境の整備を進めるとともに、採用活動の柔軟化により適時な人材の確保と育成に努めてまいります。
④ 認知度の向上
当社グループは、これまで提供サービスの広告宣伝には注力しておらず、機能優位性とデジタルプラットフォーマーとの連携に拠る営業活動を通じて新しいマーケットの創出に取り組んできました。その結果、現在、幅広い業種、企業に当社グループサービスを導入頂き、継続的な取引による確固たる顧客基盤の構築を実現することができていると考えております。しかしながら、既存サービスの更なる拡大及び競合企業との差別化を図るためには、当社グループ及び当社サービスの認知度を向上させ、新規案件を獲得していくことが重要な課題であると認識しております。当社グループとしましては、費用対効果を慎重に検討の上、広告宣伝による販売促進活動に取組、認知度の向上を図ってまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
当社グループが今後更なる業容拡大、継続的に成長するためには、リスク管理体制の強化と、確固たる内部管理体制構築を通じた業務の標準化及び効率化の徹底が重要であると考えております。当社グループとしましては、更なる内部管理体制の強化によって、より一層のコーポレート・ガバナンス機能の充実を図り、経営の公正性・透明性の確保及び企業価値の最大化に努めてまいります。
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