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【東証グロース:3807】「情報・通信業」
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企業概要
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、次の3点を経営の基本理念としています。
① 金融サービス業におけるベストカンパニーを目指すこと。
② 中立な姿勢と公正な思考に徹すること。
③ 個の価値を尊び、和の精神を重んじること。
当社は社会的資産の最適な配分実現のため、あらゆる状況下の金融や投資に係る市場の調査・分析・予測結果を情報(コンテンツ)やアドバイスとして提供し、来るべき成熟社会の一翼を担いたいと考えております。そのため、専門性はもとより利益相反を徹底的に排除する中立公正な思考に徹する企業姿勢、そして優れた「個」の力が発揮される社内環境を維持してまいります。
(2) 経営環境
当社の情報サービス事業と関連性の高い国内株式市場におきましては、2024年3月、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した政策金利見通しで年内3回としていた利下げ予想を維持したことなどを受けて、投資家のリスク選好姿勢が強まり、米国株式市場が続伸しました。2024年9月、FRBが4年半ぶりの利下げを行ったことを受けて上昇し、FRBが今後も利下げを続け、米国景気がソフトランディング(軟着陸)できるとの見方が強まり、最高値を更新し、1年を通して見れば大きく上昇した堅調な相場展開となりました。一方、日本の株式市場は、2024年8月月初に歴史的な下落幅を記録した後、急速に持ち直し、引き続き堅調となっております。
また、暗号資産市場も、全体的に上昇基調となりました。暗号資産は、今後、送金や決済などの手段としてだけでなく、あらゆる組織や企業、個人が価値を交換する手段となり、メタバースやゲームの世界、もしくはコミュニティの中での流通など、新たな価値・用途も生まれ、大きく普及していくことが予想されます。
(3) 目標とする経営指標
当社は、高付加価値による収益性の高い企業を目指しており、収益拡大と持続的成長の競争力を高めるため、資本効率を意識した経営に取り組んでおります。当社の「事業計画及び成長可能性に関する事項」において、長期的な成長目標として、既存事業をベースに、フィスコブランド活用並びに新規事業(M&Aの活用)により、事業規模拡大を目指しております。
また、当社の経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標(以下「KPI」といいます。)として、売上高前期比15%増、売上高営業利益率及び売上高経常利益率は15%以上、自己資本比率60%以上及び株主還元は復配を目標としております。2025年12月期における当社の達成すべき最終的な目標を示す重要な指標(以下「KGI」といいます。)として、売上高887百万円、売上高営業利益率3.4%、売上高経常利益率3.4%、株主還元として復配、及びKPIとして、IR支援会社数480社を目標としております。なお、当該KPI及びKGIの各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(4)中長期的な会社の経営戦略
① 情報サービス事業
金融・経済情報配信サービス分野では、証券会社向けアウトソーシングの底堅い需要により継続的な売上の縮小を見込むものの、前期から進めている金融・経済データ取得の内製化と人的リソースの再配置・最適化といった一連のコスト削減施策の実行により、2025年度の利益は7百万円を見込んでおります。
企業IR支援サービス分野では、前期に引き続き当社の中核サービスであるスポンサー型アナリストレポート(フィスコ企業調査レポート)の新規受注の増加を見込んでいるほか、内製化に伴う外注加工費の削減により、2025年度の利益は、295百万円を見込んでおります。
この結果、2025年度のセグメント利益は302百万円を見込んでおります。
② 広告代理業
広告代理業では2021年以降広告市場においてインターネット広告は従来のマスコミ4媒体による広告費総額を上回っております。4媒体に代わりデジタル広告・オンライン広告が成長を牽引していくなか、特にYouTubeを中心とするネット動画の活用増、Tik Tok、インスタグラム、X(旧twitter)等横断的なPR手法はますます進化するとともに、AI技術がマーケティング全体に影響を及ぼしていくため、広告手法の多岐化の傾向を踏まえ、提案力の強化を進めながら利益率の高い案件の獲得につなげてまいります。
2025年度のセグメント売上については、45百万円を見込んでおりますが、売上および利益の確保を目指し、広告制作の収益性の向上につなげてまいります。
③ 暗号資産・ブロックチェーン事業
当社は、引き続き暗号資産に対する自己勘定投資を予定しており、暗号資産の価格の推移を見極め、慎重にトレーディングを行ってまいります。当社発行暗号資産フィスココイン(FSCC)の認知度向上を図りつつ、暗号資産分野における新規ビジネスの創造、FSCCの価値向上を通じて、当社の企業価値の向上を目指しています。
2025年度のセグメント売上については、売上の見込みはございません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、経営方針に基づく経営戦略の実践において、投資家の皆様のご期待にお応えし、友好かつ継続的な関係を維持していただくためには、健全な財務体質強化と持続的な成長拡大が必要であると認識しております。そのため、下記の当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題を掲げ、その対応に取り組んでまいります。
① コンテンツ制作体制の増強・整備と品質管理体制の強化
当社は、既存事業の中核である情報サービス事業におけるコンテンツの品質を高めるため、オペレーションの最適化を進めております。
主力事業である情報サービス事業において、コンテンツ制作の多極化に取り組み、より専門化、より多様化する商品を開発するため、持続的なアナリスト教育とスタッフ個々のレベルアップに取り組むと同時に、客員アナリスト等の外部アナリストによるコンテンツ制作等もより積極的に取り組み、安定的な収益確保に努めます。企業IR支援サービス分野では、統合レポート、アニュアル・レポート、ESGレポート、及び英文翻訳業務の拡大と、スポンサー型アナリストレポート(企業調査レポート)を起点とした、企業の非財務情報を適時配信するソリューション提供サービス、企業のIRに関する課題をワンストップで解決できる体制構築を目指します。
② 販売・マーケティング体制の強化
当社ブランドの強みを生かし、IRコミュニケーション・サービスの需要を引き続き取り込むべく、IRコンサルティング事業本部を中核に営業活動を展開しております。投資教育、暗号資産など個人投資家の関心が高い分野及び機関投資家向けのアナリストレポートの販売など、様々なニーズに即応するサービスの開発提供に取り組んでまいります。
③ ウェブサイト及びスマートフォンアプリ運営の拡充
無料スマートフォンアプリ『株・企業報』、『仮想通貨ナビ』及びウェブ版『FISCO』並びに有料課金サイト『クラブフィスコ』においては、定性情報とともに定量情報を横断的に提供しておりますが、特に個別銘柄及び個別資産に関してのデータベースの構築、インターフェイス改良及びデータ処理速度の向上、システムトラブルの対応等に経営資源を継続的・計画的に投下してまいります。
④ システムの強化、バックアップシステムの拡充
コンテンツ供給の多様化、個人顧客をはじめとする供給先の増加、社内情報ネットワークの複雑化、今日的にますます重要となったコンプライアンス上の要請などにより、安全な社内インフラをはじめとするシステムの強化と災害等に対応したバックアップ体制の強化を図っております。今後もこのような内外の体制を厳格に維持する必要があるため重点的に資本投下を継続してまいります。
⑤ コンテンツ配信における最新テクノロジーの適正な評価
当社のコンテンツ販売にシステム開発や維持は欠かせないものですが、テクノロジーの進化が思わぬ陳腐化や競争力低下を引き起こす可能性があります。当社では、いたずらに新技術を追い求めるのではなく、俯瞰的にこれをとらえ、適時適切に最新テクノロジーを評価した上で設備投資計画を策定、実行すべきと考えております。
⑥ 内部管理体制の強化
当社が業績を回復させるためには、業務運営の効率化や、上場会社及び金融商品取引業者としての法令遵守、リスク管理、IR充実のための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。このため、今後も業務運営上のリスクを把握してリスク管理を適切に行える体制整備に努め、財務報告に係る内部統制システムの整備をはじめとして、定期的な内部監査の実施によりコンプライアンス体制を強化するとともに、監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実等により、企業としての自浄作用が有効に機能するよう図っていく方針であります。
⑦ 暗号資産・ブロックチェーン事業の拡充、安定化
自社発行の暗号資産フィスココイン(FSCC)の認知度向上を図りつつ、暗号資産分野における新規ビジネスの創造、フィスココイン(FSCC)の価値向上を通じて、当社の企業価値の向上を目指しています。
⑧ シナジー効果の追求
当社は、それぞれの事業の特性や強みを活かし、当社全体の最適化を進めることが重要な課題であると認識しております。今後さらに、顧客に付加価値の高いサービスの提供を可能とするため、当社全体でのシナジー効果を追求し企業価値の増進に努めてまいります。
⑨ グループ会社間のサービスの提供
グループ間でのサービスの提供が拡大するにつれ、その代価の決定に、より客観的な根拠が必要となっております。このため、きめ細かなコスト計算を図るとともに第三者価格などの情報を入手し、合理的な算定根拠を明示して、厳格な承認手続のもとにグループ間の取引を進めてまいります。
⑩ チャイニーズウォールの拡充
当社のみならず、子会社にも内部監査体制を充実させ、フロントランニング行為や利益相反を起こす可能性のあるリスクに備えて組織的な内部監査体制のもとにチャイニーズウォールを拡充する必要があります。
⑪ 全社的な課題
内部統制の運用及びその評価については取締役による検証のほか、一定の計画に従った定期的な内部監査や外部専門家によるチェックを実施しており、継続的に有効な管理体制を維持しております。直近の課題として国際会計基準導入を視野に、全社統制、決算・財務報告プロセスにおける統制及びIT全般統制を整備してまいります。
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