文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
■ミッション | 個性という輝きとグループの絆をもって、誠実で大きなビジネスを通じ、一人一人が誇りを持って豊かな人生を歩む。 |
(経営理念) |
■ビジョン | 時代にマッチした価値を創出し続け、すべてのステークスホルダーに夢と感動をもたらし続ける。 |
(中期目標) |
■バリュー | 企業価値向上と組織の継続的な成長を追い求め続け、プロフェッショナリズム・新しい発想・継続的な革新を持って常に新しく質の高いサービスを提供し続ける。 |
(組織で共有する基本的価値観) |
(2)目標とする経営目標
当社は、主な経営指標として、事業本来の収益力を表す営業利益を重視しており、常にコスト意識を持ち、収益の改善に努めることで、継続かつ安定的な事業の拡大を図ってまいります。
(3)経営環境
当社の経営環境につきましては、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に重複しますので記載を省略いたします。
(4)中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき課題
当社グループの対処すべき課題は、収益基盤の安定化及び財務状態の健全化です。誠に遺憾ながら当連結会計年度において、408,600千円の親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。上記に掲げる経営方針のもと、アフターコロナを見据えた事業環境を踏まえ、「選択と集中」をテーマに既存事業の見直し、主力ドメインの選択、経営資源の集中を行い、急激な経営環境の変化に対応できる強靭な企業体質の構築に向け、以下の課題に取り組み、企業価値の向上に努めてまいります。
ⅰ.事業の持続的成長
短期的な環境につきましては、各事業において、経費徹底削減、顧客管理、工程管理の強化に努め、仕掛案件の収益化を行うことで、手元流動を確保しながらキャッシュポジションの改善を図ります。また、中長期的な経営環境につきましては、安定的な収益基盤を確保すべく主力ドメインの選択を行い、既存事業を見直し、各事業において培ったノウハウ・技術等を駆使し、新しく質の高いサービスによって継続的な事業成長を実現してまいります。
ⅱ.管理体制強化
継続的な事業成長の達成において、コーポレート・ガバナンス機能と内部管理体制は不可欠であります。コーポレート・ガバナンスに関しては、経営の効率性、健全性を確保すべく、内部監査及び内部統制システムの整備及び強化を図ります。コーポレート・ガバナンスの実効性を強化するため、当社グループ全体で、リスク管理、内部統制、コンプライアンスの取り組みを徹底することで自浄の向上に努め、すべてのステークスホルダーからの信頼の向上に努めてまいります。
また、内部管理体制については、管理部門の増員を図り、イノベーション機能をより一層の強化に取り組んでまいります。
ⅲ.人材の確保と育成の強化
継続的な事業成長の達成において人材確保は必要不可欠であります。人材採用において積極的な情報開示により、当社に共感していただける人材の確保に努めます。
また、経営基本方針に掲げているように、一人一人が誇りを持って豊かな人生を歩めるよう、従業員の成長を通して会社の成長を目指します。
ⅳ.社内体制の不備及び役職員のコンプライアンス意識の欠如への再発防止策の徹底
当社は、2022年7月1日付「(経過開示)社外調査委員会の最終報告受領に関するお知らせ」にてお知らせのとおり、社外調査委員会による調査の結果、当社代表取締役個人が取締役会の承認を受けずに当社を連帯保証人とする金銭消費貸借契約書を締結していたことが判明いたしました。
さらに、2022年10月19日付「(経過開示)社内調査委員会の最終報告受領に関するお知らせ」にてお知らせのとおり、連結子会社であったピクセルソリューションズ株式会社(以下、「PXS」という。)の元代表取締役増井浩二氏がPXSの印章を偽造して使用した可能性のある事案について、事実関係に関する調査報告を受領いたしました。PXSは、2022年10月19日付「連結子会社等の異動(株式譲渡)及び債権譲渡に関するお知らせ」及び2022年11月1日付「(経過開示)連結子会社等の異動(株式譲渡)及び債権譲渡完了に関するお知らせ」のとおり、現在、当社連結子会社から外れておりますが、当該調査報告において指摘された原因及び再発防止策の提言は、当社の今後の事業運営において真摯に受け止めなければならいものと認識しております。
当社は、上記の結果を踏まえて、2022年10月6日付「再発防止策の策定に関するお知らせ」及び2022年12月28日付「再発防止策の策定に関するお知らせ」にて以下の再発防止策を策定しており、今後再発防止策に基づいた体制整備を進めてまいります。
(1)コンプライアンス意識の徹底
ⅰ.コンプライアンスを最優先した経営の実現
当社は社外調査委員会より、「代表取締役自ら、コンプライアンス遵守が経営の最重要課題であることを再度明確し、自身の戒めをメッセージ発信すべき」との提言を受けたことから、当社2022年12月期第2四半期決算説明動画(当社YouTubeチャンネル2022年8月12日配信)にて、代表取締役自身が法令遵守・コンプライアンス向上及び維持の確約についてのメッセージを株主及びステークホルダーの皆様に向け発信いたしました。
また、当社グループの全従業員に向け、代表取締役自身がコンプライアンスを重視する旨(代表取締役個人におけるコンプライアンス欠如故に発生した事案について謝罪するとともに、法令・定款・社内規程を遵守していく旨について)のメッセージを発信いたしました。当該メッセージは、当社グループ全社員が参加し、事業進捗等の報告を目的とする全社会(月1回開催)にて2022年8月5日に発信しております。
ⅱ.取締役・監査役に対するコンプライアンス意識の改革
コンプライアンス意識の向上及び維持のため、代表取締役へのコンプライアンス研修を行う旨を2022年3月に公表し、コンプライアンス教育及びリスク管理研修を月1回、定時取締役会後を研修日と定め1年間のコンプライアンス研修のスケジュールを策定いたしました。
2022年4月より研修を開始し、これまでに会社法・金融商品取引法等が求める取締役の義務・責任を学ぶべく利益相反取引をはじめとするコンプライアンスと法律知識について、社外調査委員会の事務局であられたシシダ法律事務所の宍田弁護士を講師に招いた他、経営コンサルタントや有識者(弁護士・会計士)が講師に集いセミナー・研修のLIVE配信を行う企業セミナーに2回参加し、3度研修を実施いたしました。
2022年4月22日 | 利益相反取引について |
2022年5月23日 | コーポレート・ガバナンスについて |
2022年6月22日 | コンプライアンス・リスクマネジメントについて |
その後、2022年6月30日に社外調査委員会より「取締役会、監査役会全員においてのコンプライアンス研修をすべき」と提言を受けたことにより、研修の内容を改め、また、研修の有効性を高めるため講師を招いて開催する対面研修で行う方針へ変更し、2022年4月に策定を行った年間スケジュールを中断の上、2022年7月より講師の再選定と研修内容の再検討を行うことにいたしました。
早急の研修再開が重要であると認識しておりましたが、当社が厳しいキャッシュ状況にあり、限られた予算の中で対面研修を行うため講師・企業の選定に時間を要し、2か月の間研修を実施することができませんでした。
2022年9月20日に1年間(2022年9月~2023年9月)の研修スケジュールが確定し、再策定後の第1回研修は、2022年9月22日に実施いたしました。当該研修は、講師に社外調査委員会の事務局にてご尽力いただいたみらい総合法律事務所(当社顧問弁護士)パートナー弁護士の小堀優弁護士を招き、社外調査委員会の設置起因となった事案のおさらいを行い、内部統制の構築におけるポイント、再発防止策実施における継続的なモニタリングの重要性について学び、代表取締役・組織上の問題点を再認識する研修を実施いたしました。(2022年9月より運用開始)
なお、研修スケジュールは以下のとおりとなっております。
2022年10月21日 | 9月12日設置 社内調査委員会による調査及び事案のおさらい |
2022年11月22日 | 親会社による子会社管理の在り方について |
2022年12月22日 | 実効的な内部統制システム構築・監督実務について |
2023年1月24日 | 取締役会の権限と役割・運営における評価について |
2023年2月21日 | CGコード下での監督機能・実効性強化について |
2023年3月22日 | 会社法・金商法・市場ルールとコーポレートアクションについて |
2023年4月21日 | 経営幹部における役割・実務について |
2023年5月23日 | 金融商品取引法の知識と実務について |
2023年6月21日 | ※2023年6月以降の研修内容につきましては、定時株主総会後の役員状況と研修実施状況を鑑みて2023年4月に決定する予定です。 |
2023年7月21日 |
2023年8月21日 |
(2)印章管理体制の強化
当社はこれまで印章利用時には、押印を必要とする文書及び押印依頼申請書を印章管理者へ提出する社内手続きを当社印章管理規定に定義していたものの、その社内手続きが遵守されず、印章管理者へ口頭での申請のみで印章使用されていることが多く、実態として押印可否の判断は印章管理者に委ねるものとなっておりました。
また、印章が営業時間外は金庫で保管されていたものの、営業時間内は代表取締役の単独の持出しが可能な管理体制となっており、その管理体制の甘さから今回の代表取締役が個人用途で使用した不正事案につながる原因になっておりました。
そのため、2022年4月以降、印章利用における社内手続きを厳格化し、印章管理体制の強化として管理者を2名(取締役、常勤監査役)とし、印章利用方法については下記のとおりとしております。
・使用時以外は常時金庫にて管理
・利用時は押印事由・社内手続の決裁状況を確認し、印章押印申請が行われている書類のみに対応
・押印状況は随時監査役が印章押印申請をモニタリング
・取引等によって持ち出しが必要の場合は所定の印章持出申請を行うと共に管理者2名のどちらかが同伴。
上記の取組みによって不正事案の発生を未然に防ぐことのできる体制といたしました。(2022年4月より運用開始)
(3)相互監視機能の強化
2022年4月以降、稟議手続きの厳格化、円滑な情報共有と相互監督機能の強化を目的に、軽微な内容を含めて全ての電子稟議フロー(書面稟議書等の使用はありません。)において社外取締役が事前に確認を行える業務フローに変更いたしました。当社の電子稟議フローは、当社業務権限規程に則り起案者から管理本部の受付を経て取締役が承認後、代表取締役の決裁で完了しておりますが、社外調査委員会からも「稟議起案者と決裁者が同一人物であるケースや、稟議手続を完了する前に契約締結や送金を行い、事後に稟議を行う(事後稟議)が相当数ある」との指摘を受けました。
これらの指摘は、決裁前の段階で社外取締役の目に触れる機会を設けたことで、質問や意見を事前に受けることにより(ただし、決裁自体は当業務権限規程等に準ずる。)稟議起案者と決裁者が同一人物である場合や事後稟議を防ぐための監督機能の強化につながると考えております。また、稟議起案者と決裁者が同一人物であったことで事業進捗管理の観点から取締役会で報告すべき契約や支払の報告が不十分であった状況を改善することが可能となり、電子稟議フローにて事前の情報共有経路を確保することができます。加えて、社外取締役が全ての電子稟議フローに目を通すことで決裁者だけでなく起案する全ての従業員に対し、稟議手続の厳格化が根付くための牽制機能強化にも繋がると考えております。
なお、社外取締役はあくまで稟議手続の業務フローにおいて、決裁でなく確認の位置づけのため、当社が定める業務権限決裁基準は改訂いたしません。(2022年4月より運用開始)
(4)社内規程の運用状況のモニタリング強化
意思決定における稟議フロー、印章における申請書類等のモニタリング強化を行うべく2022年4月より当社と同様の電子決裁システムを使用する子会社の一部(ピクセルエステート株式会社、ピクセルゲームズ株式会社)を対象に内部監査部門が月1回、モニタリングを実施しております。
また、他の電子決裁システムを使用するピクセルソリューションズ株式会社については、2022年4月から内部監査部門がモニタリング方法を検討し、その結果、当社と同様の電子決裁システムを導入し、2022年7月より月1回のモニタリングを開始しております。
全てのモニタリングの結果は、定時監査役会において内部監査部門から報告されており、不備が検出された場合は、常勤監査役が直接対象となる部門・担当者へ指摘を行い、改善に至るまでのフォローを行うことで規定遵守に対する意識の醸成に努めます。
また、不備が検知された際は、取締役会へ報告の上、内部監査部門が不備に至る経緯を調査し、その調査結果を以て常勤監査役が直接的に是正指導に努めます。
当該モニタリングの強化を通じて、役職員はじめ、グループ全社員における規程順守の徹底を図ります。(2022年7月より運用開始)
(5)企業風土の改革と権限集中の解消
当社は、社外調査委員会より「コンプライアンス重視の企業風土への改革及び権限集中を是正すべき」との提言を受け、コンプライアンス重視の企業風土を醸成するとともに、代表取締役への権限集中を解消し、取締役会の有効性を高めるために上程予定とする事項についての事前審議を目的として取締役会審議会を新設いたしました。
当該審議会は、月1回、子会社管理機能を高めるため事業報告及び進捗管理を目的に各事業部長が参加し開催される経営戦略会議(※)後に続けて開催し、構成を取締役(社外取締役含む)、常勤監査役及び各事業部門長及び担当者としております。
当該審議会を経営戦略会議後に開催することで取締役会上程予定としている議案に対し、意見や質問・説明を起案した事業部へ直接的に求めることが可能であり、事業継続性を鑑み、状況に応じて社外取締役・監査役が、事業の撤退・停止などを常勤取締役へ進言するに十分な情報を得られる場としての機能が期待できます。
また、従来の取締役会直前に議案が上程されるといった状況が改善されるため、十分な検討事案を設けることが可能となりこれにより常勤取締役をはじめ各事業部への牽制が機能することとなります。
これらの取組みによって、法令・規定の遵守徹底と、リスク事象の早期検知、社外取締役・監査役会への円滑な情報経路を確保による相互監督機能を強化し、コンプライアンスを重視する企業風土への意識醸成と、権限集中を解消いたします。(2022年8月より開始)
(※)経営戦略会議は、事業報告及び進捗管理の他、重要案件(当社社内規程で定義されている稟議対象となる契約の締結・費用の支出、その他当社のキャッシュ・フロー・財務状況に重大な影響を与えうる取引全般)の進捗管理や社内手続の状況(事業が進捗する中で必要とする稟議等の提出状況、不備・不正等の確認)も確認することで、法令・規定遵守の徹底を図る目的で開催されております。
また、当該会議はこれまで常勤取締役、各事業部長及び担当者で構成されておりましたが、取締役会審議会を新設したことで当該会議の構成員に社外取締役、常勤監査役を追加いたしました。構成員の追加によって案件毎のリスク事象や規定外の裁量付与(権限集中)が起きかねない状況を把握・指摘することが可能となり常勤取締役への牽制効果が機能いたします。
(6)取締役・監査役に対するコンプライアンス・ガバナンス意識の改革
2022年3月31日付「財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ」、同年10月6日付「再発防止策の策定に関するお知らせ」に記載のとおり、当社代表取締役はコンプライアンスやガバナンスに対する意識が欠如しておりましたが、その他の取締役・監査役についてもコンプライアンスやガバナンスに対する意識が希薄でありました。
その結果、全社的にコンプライアンス意識が醸成されず、本件事案につながったと考えております。これらを改善するため当社取締役、監査役に対しましてコンプライアンス意識の改革が必要と認識し、2022年10月6日付「再発防止策の策定に関するお知らせ」に記載のとおり、社外を含めた当社取締役・監査役に対しコンプライアンス研修を実施しております。また、今後は研修の理解度を確認するため四半期に一度eラーニングによるテストも実施してまいります。これにより各役員のコンプライアンス意識が醸成され、意識付けが働き、各役員相互の牽制効果を高めてまいります。
過去の実施状況と今後の実施状況につきましては以下のとおりです。(※がついているものは、後述「(8)ⅰ.当社取締役、監査役に対する内部監査に関する研修の実施」)に該当する研修となります。
開催(予定)日 | 研修内容 |
2022年4月22日 | 利益相反取引について |
2022年5月23日 | コーポレート・ガバナンスについて |
2022年6月22日 | コンプライアンス・リスクマネジメントについて |
2022年9月22日 | 再発防止策・リマインドの重要性について |
2022年10月21日 | 9月12日設置 社内調査委員会による調査及び事案のおさらい |
2022年11月22日 | 親会社の子会社管理に関わる諸問題 |
2022年12月22日 | ※上場維持の観点から見た内部統制について |
2023年1月24日 | ※内部監査について |
2023年2月21日 | CGコード下での監督機能・実効性強化について |
2023年3月22日 | 会社法・金商法・市場ルールとコーポレートアクションについて |
2023年4月21日 | 経営幹部における役割・実務について |
2023年5月23日 | ※一般社団法人内部監査協会の研修会より選定 |
6月以降も1か月毎に研修を実施いたします。 | 2023年6月以降の研修内容につきましては、定時株主総会後の役員状況と研修実施状況を鑑みて2023年4月に決定する予定です。 |
(7)コンプライアンス・ガバナンス、内部監査の知見を有する社外取締役の選任
当社取締役・監査役のコンプライアンス・ガバナンスに対する意識の欠如等に対する対応策として、当社役員に対しては上記の研修を行ってまいりますが、取締役会の構成としてコンプライアンス・ガバナンス、内部監査等の専門知識を有した社外取締役の選任が不可欠と考えます。候補者の選定方針といたしましては、コンプライアンス・ガバナンスや内部監査に知見を有する弁護士などの専門家から選定する方針で、役員選任基準(後述「(9)役員選任基準の見直し」に記載)を基に選任いたします。当該条件を満たす候補者は、経営に新たな視点を導入する観点から、社外の人材より招聘する方針です。
(8)内部監査体制等の強化
内部監査室においてもコンプライアンス・ガバナンス意識が希薄となっていたことと、適切な教育が行われてこなかったことによる業務に対する理解不足への対応策として、以下を実施いたします。
ⅰ.当社取締役、監査役に対する内部監査に関する研修の実施
当社取締役、監査役は、内部監査に対する知見が十分でなく意識も希薄であったことから、内部監査で検出された不備に対して是正処置がなされず放置される結果となっておりました。これらを改善するため、社外を含む当社取締役、監査役を対象とした内部監査に関する研修を実施してまいります。研修スケジュールにつきましては上記再発防止策「(6)取締役・監査役に対するコンプライアンス・ガバナンス意識の改革」に合わせて記載しております。(※がついているものが内部監査に係る内容となっております。)
ⅱ.取締役会において内部監査運用状況の確認を毎月実施
取締役会においては月次で開催される定時取締役会にて、必ず内部統制、内部監査の議題を設け内部監査室に問題点の確認を行うこととします。また、報告を受けた管掌取締役はただちに被監査部門に状況を確認し是正処置を行い、次回取締役会に必ず報告を行います。2023年1月よりこれらの運用を実施することとし、毎回の取締役会で必ず議題に上げることで内部統制、内部監査を重視した経営を行ってまいります。
ⅲ.監査役会において内部監査運用状況の確認を毎月実施
監査役会においては月次で開催される定時監査役会にて、必ず内部統制、内部監査の議題を設け内部監査室に問題点の確認を行うこととします。また、内部監査室から報告を受けた監査役会は取締役会へ是正の勧告を行い、その後の進捗状況についても監査役会にて毎回確認を行い不備が是正されるまでの勧告を行います。2023年1月よりこれらの運用を実施することとし、毎回の監査役会で必ず議題に上げることで内部統制、内部監査への意識が高まり、取締役会へ勧告を行い続けることで不備の早期是正を図ります。
ⅳ.内部監査室の報告の義務化(内部監査規定の改定)
内部監査室は当社の定時取締役会、定時監査役会に必ず出席し、内部監査の実施状況及び不備事項等の結果報告を行うこととします。また、発生原因を分析し、当社管理本部、事業部、子会社事業部の部門長及び担当役員に原因解決に向けた助言を行うとともに、被監査部門より報告を受けた改善対応については改善が認められるまで継続的に取締役会及び監査役会にて報告することといたします。当該報告体制等にかかる内部監査規定の改定は2023年1月より当該運用を開始しております。
これにより、内部監査室による継続的なモニタリング機能が働き、被監査部門の是正処置を促し、不備の早期是正を図ります。
ⅴ.不備が検出された被監査部門の改善報告の義務化(内部監査規定の改定)
被監査部門においても内部監査規定改定により、内部監査室から指摘があった際の回答書の提出による報告を義務化することで、適切な改善処置を行い、不備の早期是正を図ります。
ⅵ.内部監査室の研修実施
内部監査室においても内部監査や内部監査規定などの理解度を高める必要があり、それらの理解に必要となる基本的な知識を得るために内部監査協会などの研修を年に4回実施します。また、研修の理解度を確認するため、研修内容を取締役会、監査役会へ報告するものとします。これにより内部監査室のスキルアップを図り、当社の内部統制、内部監査体制の強化を図ります。2023年12月期のスケジュールは以下のとおりです。
なお、具体的な研修内容は現在検討しております。
開催(予定)日 | 研修内容 |
2023年1月31日 | 内部監査の品質改善プログラム:基礎編 |
2023年4月30日 | 一般社団法人内部監査協会の研修会より随時選定・受講 |
2023年7月31日 |
2023年10月31日 11月以降も四半期毎に継続的に研修を実施いたします |
ⅶ.内部監査(業務監査)のレビュー実施
内部監査室の業務監査の運用状況モニタリングについては、外部の専門家にて、内部監査室が計画通り、また適正に実行されているか四半期に1回レビューを実施することとし、2023年1月より開始いたします。内部監査室自体へのモニタリングを強化することによって、適切に内部監査室が機能し、結果的に不正などの発生の未然防止を図ります。
ⅷ.内部監査の人員強化
内部監査室の体制を強化するため、2022年5月以降、従前の内部監査室の従業員1名に加えて、外部の公認会計士3名が当社内部監査室の一部業務を実施しております。具体的には、外部の公認会計士はJ-SOXに係る監査を担当、内部監査室従業員は監査計画の策定、業務監査の実施、外部の公認会計士が実施するJ-SOXに係る監査の管理等を行う体制としております。2023年12月期においても当該体制を継続します。
(9)役員選任基準の見直し
当社はコーポレート・ガバナンス報告書に記載のとおり役員選任基準を設けていたものの、当時の取締役の意識が希薄であったこと、選任基準やプロセスを社内規則やマニュアルに落とし込んでいなかったことから、これまでの当社及び当社子会社の役員選任時においては経歴や年俸、事業に対する知見などを重視するのみで、選任基準を踏まえた慎重な検討はなされていませんでした。また、当社は役員選任にあたり指名報酬委員会の審議を必要としておりますが、子会社役員の選任に関しては、運用が定まっていなかったため指名報酬委員会の審議を経ておらず、十分な審議が行われておりませんでした。
このため、記載のコンプライアンス・ガバナンス意識改革を進めることを前提に、以下のとおり、役員選任基準を改めたうえで選任プロセスを明確化し、当社グループ共通で適用することといたしました(当該基準及び運用は重任時にも適用されます)。これらは2023年1月までに規定として文書化し関係者に周知徹底のうえ、2023年2月以降の役員選任より運用を開始します(上記「(7)コンプライアンス・ガバナンス、内部監査の知見を有する社外取締役の選任」におきましても、本基準と運用プロセスにより実施いたします)。
これにより当社及び当社子会社において、コンプライアンス意識を有し内部統制の知見を有した人選がなされることとなり、本件事案のようなことの未然防止を図ります。
<役員選任基準>
・心身ともに健康であり、取締役としての職務遂行において支障がないこと。
・法令に定める取締役の欠格事由に該当しないこと。
・遵法精神に富んでおり、取締役としての職務遂行において忠実義務・善管注意義務を適切に果たすための資質を備えていること。
・当社事業に関する知識に加えて、事業運営、会社経営、法曹、 会計、システム開発・構築のうちいずれかの分野における豊富な経験を有すること。
・当社の持続的な成長及び企業価値の向上に資するという観点から、経営監督に相応しい者であること。
・当社主要事業分野において、経営判断に影響を及ぼすおそれのある利害関係・取引関係がないこと。
・当該候補者が選任される場合に、他の役員との関係において、知識・経験・専門能力に特段の偏りがないこと。
・コンプライアンス・ガバナンスを重視し、内部統制の知見を有すること。
<役員選任プロセス>
・可能な範囲でバックグランドチェックを実施する。
・当社役員、子会社役員については、当社の指名報酬委員会にて審議を行い決議を取る。
・当社役員、子会社役員については、当社の取締役会に付議する。
(10)管理体制の統一化
PXSには、代表取締役(創業者)自らが担当者として案件の獲得・管理を行う“社長案件”が存在していたところ、創業者に異を唱えられないPXSの企業風土により牽制が機能しておらず、適切な社内手続きを経ていない状況や社内ルールの形骸化が常態化していたことへの対応策として、当社は、2022年10月19日付「連結子会社等の異動(株式譲渡)及び債権譲渡に関するお知らせ」にて公表しているとおり、当社グループの事業再編の一環からPXSの譲渡を実行し、PXSの事業及び人員は当社への移管・移籍を行いました。また、現状、全ての当社グループ会社(ピクセルエステート株式会社、ピクセルゲームズ株式会社、海伯力(香港)有限公司)の管理部機能は当社管理本部が一元で担っております。
今後、企業買収などを行う際にも、原則として子会社の管理部門を独立させず、当社管理本部が管理機能を担う体制を取ることといたします。
今回策定した他の再発防止策を適切に実行すること、これにより当社の体制整備や役職員の意識改革などが進むこと、そのうえで当社管理本部が子会社を直接管理することにより、子会社管理体制の強化を図ります。
(11)全従業員への教育の実施と社内規定の定期的な見直し
当社は、当社取締役・監査役のコンプライアンス・ガバナンス意識が希薄であったことに起因し、当社グループの従業員全体においてもコンプライアンス・ガバナンス意識が希薄となっていました。このため、当社グループ全従業員のコンプライナンス意識等の向上を図るべく、当社管理本部が主導し、当社グループ全従業員を対象としたコンプライアンス研修(対面もしくはオンラインにて)を年2回実施することといたしました。また、研修内容の定着と理解度の確認を目的にeラーニングを活用することとしました。
2023年12月期においては以下のスケジュールによる実施を予定しております。また、その具体的な研修内容やeラーニングの内容や頻度につきましては現在検討を継続しております。
なお、2022年10月31日には全従業員向けのコンプライアンス研修を実施(他企業の事例を基に、コンプライアンスの概要、重要性及び違反の種類や予防に関する研修を実施)しております。
開催(予定)日 | 研修内容 |
2022年10月31日 | コンプライアンスとは/リスク/予防について |
2023年6月1日 | コンプライアンス/内部統制について |
2023年11月1日 12月以降も半年毎に継続的に研修を実施いたします。 |
また、社内規定については、関連する法令諸規則に即しているか、運用実態との齟齬や形骸化が生じていないか年1回確認し、必要に応じて見直しを図ることといたします。当該見直しは全ての規定とその運用状況を確認することとし、管理本部管掌取締役が主導のもと、毎年5月~8月(定時株主総会を終了後の新体制・繁忙期を除く時期に設定)に管理本部及び内部監査室において実施いたします。
この結果、法令等に適切に対応した規定により運用がなされ、また定期的に見直しを実施することを通じて全社的にコンプライアンス・ガバナンス意識が醸成されることにつながります。
これらにより、全社的なコンプライアンス・ガバナンス意識が高まり、不正の未然防止を図ります。
(12)企業買収時におけるリスク把握のための調査の見直し
これまでの企業買収時において、当社は法律事務所や監査法人等の外部アドバイザーに法務・財務に関する調査を依頼することで調査を実施していましたが、当社はその調査結果に十分な問題意識を持つことはなく、財務資料の表面的な検証をするに留まっておりました。また、コンプライアンスやガバナンスに関する調査、買収候補先の実態把握やリスク評価は行っていませんでした。今後は、同様の事象の発生を防ぐためこれまでの調査態勢を見直し、当社役職員及び外部の専門家で構成するM&A専門チームを組織し、買収候補先の法務・財務に関するデューデリジェンスに加え、これまでは実施していなかったコンプライアンスやガバナンスに関連した実態把握や調査も実施いたします。
これらデューデリジェンス等で検出された問題点や改善を要する事項及び買収後の改善可能性やその方法等についてはM&A専門チームで十分な検討や審議を行ったうえでリスク評価を行い、そのうえで企業買収の可否を判断することといたします。
当該調査を踏まえて買収を決定した場合には、事前に洗い出した課題にかかる改善策に直ちに着手することとします。当該改善対応については、当社管理本部により当該子会社事業部へ指導を行い、当社内部監査室において当該子会社事業部の内部監査を行い、上述(8) 内部監査体制等の強化 ⅳ記載の内部監査報告を毎月定期的に行い、問題点の是正を当社管理本部と当該子会社事業部で進め、合わせてコンプライアンス意識を醸成する研修を行うこととします。
これにより、今後企業買収を検討する際に、買収後の管理体制構築まで見据えた検討ができ、買収後も計画的に子会社管理を行ってまいります。
就職・転職をするときに最低限チェックしておきたい項目をまとめました。
ユーレットは就職活動・転職活動中の皆さまを応援しています。