ニップン
【東証プライム:2001】「食品業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは創業以来の製粉事業に食品事業を加えて基盤事業とし、冷凍食品や中食など事業の多角化を進めてまいりましたが、今後はヘルスケアや大豆・野菜事業などへも注力し、さらに新規事業も加えて事業領域を拡げ持続的成長を図っていくため、「人々のウェルビーイング(幸せ・健康・笑顔)を追求し、持続可能な社会の実現に貢献します」を経営理念としております。
当社を取り巻く環境は目まぐるしく変化しておりますが、創業以来の技術力と新しいデジタルトランスフォーメーション(DX)の融合を図り、イノベーションを起こすことで、変化を先取りした新しい時代の「食」を創造していきたいと考えております。
社内においては、社員一人ひとりが創業以来のパイオニア精神を忘れず、創造性・多様性を育み、何事にも積極的に取り組めるような職場環境を構築し、新たな事業領域にチャレンジしてまいります。
このような企業活動を通じて、気候変動等の環境問題、食資源の有効活用、生物多様性の保全、人口問題、健康寿命の延伸等の社会的課題に対して真摯に向き合い、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。ESG経営を実践するレジリエント企業として、日本と世界の現実に目を向け、国内外のパートナーとともに「より良い社会」「より良い地球」の実現に力を注ぎます。
当社グループは、経営理念を実現するためにお客様、社員、株主、社会をはじめとするステークホルダーとともに、未来につながる価値を創出してまいります。
様々な場面で当社製品が愛用され、世の中の全ての人々に幸せ、心身の健康、そして笑顔をお届けする企業を目指します。
(2) 会社を取り巻く経営環境
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善による内需の拡大やインバウンド需要の拡大により、緩やかに回復しました。一方で、円安基調で推移した為替相場の影響を受けた原材料価格及びエネルギー価格の高止まりや、物価上昇による消費者の節約志向の強まり、通商政策などアメリカの政策動向等、当社グループの経営環境に及ぼす影響について、注意を払う状況が続きました。
当社グループは持続的な成長を実現するため、ブランド力の強化や差別化した商品の展開に注力するほか、生産拠点の整備・拡充や事業の取得・提携を推進することにより、売上・収益の向上に努めておりますが、国内外での消費行動の変化等が当社グループの業績に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。
(3) 会社の対処すべき課題と中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
① 長期ビジョン2030について
当社グループは、経営理念の達成に向けて、2024年5月に長期ビジョン2030「ニップングループは、総合食品企業として、食による社会課題の解決に挑み続けます」を策定しました。売上高5,000億円・営業利益250億円規模までの成長を目指す経済的価値の追求に加え、社会的価値の創造にも注力するため、当社のありたい姿と取り組みの方向性を整理し、2030年度までに達成することとしました。
<長期ビジョン達成に向けた施策>
■人財ビジョンの策定
経営戦略と人財戦略の連動を図るため「人財ビジョン」を策定しました。人財ビジョンを主軸として、求める人財像につながる人財育成・人事制度改定・組織風土づくりなどに取り組むことで、従業員の創造性と多様性を育み、何事にも積極的に取り組める職場環境の構築を進めながら個人と組織双方の持続的な成長を目指します。
(人財ビジョンの概要)
<重点取り組みの設定>
■冷凍食品事業において、2030年までに売上高900億円/年を目指します。
家庭用冷凍食品において、市場の拡大が進む米飯・ワンプレート商品及び個食パスタの売上拡大を図ります。
業務用冷凍食品において、好調な外食需要やインバウンド需要に対応するため、冷凍パスタ・パスタソース等の売上拡大を図ります。
売上拡大を実現する手段として、自社設備への投資や製造委託先との取り組み強化等を検討し、供給能力の増強に取り組んでまいります。
■海外事業において、2030年までに売上高600億円/年を目指します。
既存進出国における事業拡大を図る他、新規需要地域への販売拡大に取り組んでまいります。
また、クロスボーダーM&Aを含む積極的な投資を検討する他、日本製品の輸出拡大を図ります。
②中期目標
当社は、長期ビジョン2030で設定した売上高5,000億円・営業利益250億円を達成するためのマイルストーンとして、2026年度までに売上高4,500億円・営業利益210億円、ROE8%以上、ROIC5%以上の達成を目指す中期目標を策定しております。
基盤領域の収益力強化、成長領域及び新規事業領域への戦略投資、M&Aや事業提携の機会追求、DX推進による企業競争力の強靭化、サステナビリティ経営の推進の5つを戦略の基本方針とし、基本方針に沿った戦略を着実に実行することによって、2026年度中期目標の達成に努めてまいります。
<各事業の戦略と施策>
製粉事業では、最新鋭の生産技術を導入した知多新工場の建設を着実に進めております。また、全粒粉や国産小麦など、当社ならではの付加価値商品の開発・拡売、DXを駆使した生産性の高い営業活動の実践と無駄の排除、物流改善、各工場における生産効率向上を図り、安定的なキャッシュの創出に努めてまいります。
食品事業では、プレミックスやシーズニングにおいて、当社ノウハウを活用した商品の差別化やDXを通じた採算管理の徹底により、更なる収益性の向上を図ってまいります。家庭用分野においては、マーケティング戦略に基づくブランドの育成やTVCMをはじめとする効果的な広告宣伝活動により、マスターブランドの構築を図ると同時に、成長領域である冷凍食品の供給体制増強を進めてまいります。
海外事業では、拠点内外における市場開拓と海外事業拡大へ向けた設備投資を加速させてまいります。各国拠点の近隣諸国の市場開拓に向けた活動を強化し、またユタ新工場稼働を踏まえた米国既存2拠点とのシナジー効果創出、ニップンベトナム新工場稼働に向けた体制整備に取り組んでまいります。
<中期目標達成へ向けた成長戦略>
当社は、中期目標達成をより確実なものとする具体的施策として、「マーケティング戦略の推進」及び「生産拠点の新設・再配置」に取り組んでおります。
■マーケティング戦略の推進
当社は、株式会社刀との協業を「人的投資」と位置づけ、組織改革を進めるとともに、2023年10月の施策開始以降、オーマイプレミアムブランドを継続して成長させてまいりました。
今後は、徹底した「消費者起点のマーケティング」の業務用領域への展開を図り、同社のマーケティングノウハウを当社組織全体に移植することで、組織力を高め、ブランド認知の更なる向上と収益拡大につなげてまいります。
■生産拠点の新設・再配置
国内では、2026年2月に知多新工場の稼働を予定しております。大型穀物船が接岸できる立地から原材料調達コストの削減が可能となることに加え、最新の自動化技術やDXの活用によるスマートファクトリー化の推進により、収益基盤を強化してまいります。
2026年度末には、2025年4月に連結子会社化した株式会社畑中食品の新工場が竣工予定となっております。当社グループの冷凍食品工場では最大規模となり、オーマイプレミアムをはじめとする個食パスタや1食完結型のワンプレート商品など、冷凍食品市場における今後の需要拡大を見据えた供給体制の増強を図ってまいります。
また、2026年10月には、「ニップンR&Dセンター」への研究開発拠点移転を予定しております。社内外の方々とのコミュニケーションを活性化し、オープンイノベーションを推進することで、新しい価値の創造を図ります。
海外では、2025年2月にUtah Flour Milling, LLCの新工場が稼働いたしました。当社グループにおける製粉事業の総合力を高め、当社の既存米国2拠点とのシナジー創出により、海外事業の更なる拡大を目指してまいります。
さらに、当社は、高いGDP成長率が続き、中長期的な経済成長・市場拡大が期待されるベトナムにおいて、2024 年7月に現地法人であるNIPPN Vietnam Company Limitedを設立し、2027年にプレミックス新工場の稼働を予定しております。ベトナム市場での拡売・事業拡大を推進し、ASEAN域内での供給体制の強化と、より一層の安定供給を実現してまいります。
<政策保有株式の縮減>
当社グループは、政策保有株式の保有にあたり、資本コストを意識したうえで銘柄ごとに保有意義を検証し、保有合理性が薄れたと判断した株式の縮減を進めることにより、資本効率の向上を目指しております。2024年度においては、保有先との対話を進め、49億円相当の政策保有株式を売却いたしました。引き続き2025年度以降も縮減に注力し、中期目標の最終年度(2026年度)までに、保有額を連結純資産比20%未満とすることを目指してまいります。
当社グループの経営理念である「人々のウェルビーイング(幸せ・健康・笑顔)を追求し、持続可能な社会の実現に貢献」するため、経済的価値を追求する事業成長戦略と社会価値創造戦略に経営資源を投入し、長期ビジョン及び中期目標の達成を目指してまいります。
③サステナビリティ経営の取り組み
当社グループは、穀物や野菜、魚介類等、多くの地球の恵みの恩恵を受け、事業を展開しています。これらの素材の調達から製造・物流・加工等のサプライチェーン全体の事業活動が環境に大きな影響を与えていることを認識しています。サステナブルな食料システムの維持のため、「気候変動対応」「生物多様性の保全」「循環型社会の実現」を通じ、食の持続可能性に対する負のインパクトを軽減することは、当社グループの事業継続において、喫緊の課題であることを認識しています。また、サステナビリティ経営を推進するうえにおいて、それらを支える人的資本への取り組みが不可欠です。人財ビジョンに掲げた人財創出に向け、重点テーマを設定し総合食品企業としての持続的成長を目指します。
<気候変動>
当社グループは、気候変動への対応を企業理念の実現における重要な課題と捉えています。GHG排出量削減の重要性を認識し、2030年度までにスコープ1+2のGHG排出量を2021年度比で42%削減する目標を設定しました。2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、具体的な取り組みを進めております。
今後は省エネ設備の導入、再生可能エネルギー設備の導入、再エネ電力の調達等に関するロードマップを策定し、的確なGHG排出削減に努めていきます。
<持続可能な調達>
当社グループは、小麦、米、大豆、そば、トウモロコシ、サトウキビ、野菜など、様々な素材を原材料として使用し、それらを高い加工技術によって商品化しています。
事業の拡大とともに、サプライチェーンは広がりを見せており、その過程で「人権」や「生物多様性」、「気候変動」といった社会・環境面への影響が大きくなることを認識しています。とりわけ、生物多様性の喪失は、私たちの事業を支える農水産物の安定供給を脅かすリスクとなることから、その保全は極めて重要なテーマです。
私たちは、事業活動による生物多様性への負の影響を最小限に抑え、持続可能なサプライチェーンを構築することが、企業としての責任であり、事業の持続的成長に不可欠であると考えています。
当社グループは「人権方針」「調達基本方針の改訂と「生物多様性方針」の制定を行い、その重要性を認識するとともに、今後は各方針に従い、人権デュー・ディリジェンスの実行、LEAPアプローチを通じた自然資本へのリスクと機会の特定を実施していきます。
<人的資本>
従業員とその家族が心身ともに健康であることが全ての基盤になるという考えのもと、職場の健康づくりを推進しています。その基盤に基づき、従業員一人ひとりが自身の能力を最大限に発揮し、社会や生活者のウェルビーイングを目指して総合食品企業としての持続的な成長を実現すべく、人財ビジョンに基づいた次の重点テーマに沿った施策を推進しております。
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