ナルミヤ・インターナショナル 【東証スタンダード:9275】「小売業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループの経営理念は、「時代が変わっても、トレンドが変わっても、想い出と共に受け継がれるブランドを、商品を私たちは昔も今も、これからも、世代を越えて愛される企業であり続けます。」であります。この経営理念の下、事業を成長し継続させていくために以下の方針に基づき経営を行っております。
① 収益力の向上
収益力向上のために、我々の特徴である「マルチブランド・マルチチャネル」をより一層強化させてまいります。
a 事業ポートフォリオの更なる変革
子供服の分野において、多様なライフスタイル・購買行動へ対応し、収益が最大となるべくマルチな販売チャネルを育成させていきます。そのために、より多くのお客様が集まりご購入いただくことのできる販売チャネルへその都度、積極的に投資を行い、お客様が減少傾向にある販売チャネルに関しましては構造改革を促進します。また、お客様の嗜好にフィットする多様なブランドを開発、育成してマルチブランドを強化してまいります。そのためには、不採算ブランドの撤退、新規ブランドの投入を適宜行い、ブランドの活性化を進めていきます。さらに、新規事業の開発をよりスピーディに進めることで、事業ポートフォリオに厚みを持たせてまいります。
b 生産活動におけるカントリーリスク低減
当社グループの生産活動は、国内商社及びOEM会社経由で行っております。従いまして、取引先と連携することで中国一国集中のリスクを可能な限り回避いたします。
② 人材育成
a お客様である子供・家族のライフスタイルの変化を鑑み、具体的な商品として提案できるよう、企画開発スタッフの人材育成を行います。
b 当社グループはSPAの業態であるため、顧客との接点である販売員の強化、店舗における業務の効率化も競争優位の源泉のひとつであると考えております。そのため、店舗における業務の効率化に努めてまいりました。今後も効率化に向けてIT投資を継続してまいります。また販売員研修を強化することで、接客能力の向上にも取り組んでまいります。
c 事業規模の拡大に伴い、管理部門の人材を補充・強化し、企業規模に応じた人材の登用を図ると同時に最適な体制を構築してまいります。
③ 企業体質の強化
新規事業、新カテゴリー開発、海外市場を視野に入れ、変化の激しい子供服市場において、競争力を強化し、オンリーワン・ナンバーワンを目指します。
(2)今後の経営戦略等
当社グループは、子供服業界において、マルチチャネル・マルチブランド展開を推進しており、販売チャネルや多様なブランドの事業ポートフォリオの最適化に留意しながら経営戦略を進めてまいりました。
当社グループの強みであるマルチチャネルとマルチブランドは、しっかりと基盤が固まりつつあり、2024年2月期は、再成長への基盤固めを行い、マルチブランド戦略の強化を進めて参ります。
百貨店及びショッピングセンターの2024年2月期の出店は保守的に計画しております。また、eコマースの売上高は2023年2月期では大変苦戦しましたが、これはお客様がリアル店舗に戻られたという理由以外に、eコマースに対しての魅力が薄まっているのではないかという仮説を掲げて対策を打って参ります。eコマース再成長の礎を積み上げるために、eコマース限定ブランドを強化しかつeコマース限定のカテゴリー開発に取り組んで参ります。
当社グループは、以前より素材などに対する配慮を行っておりますが、「抗菌・制菌・消臭」の素材活用など子供たちに優しい取組みを引き続き積極的に進めてまいります。また、環境に配慮した経営の一環として、適切な森林管理の普及を目的とした世界的な制度であるFSCの認証を受けた工場で生産されるリサイクル・MIX紙を当社グループの全ブランドの下げ札への使用を継続致します。2023年2月期からリユース・リサイクル活動を展開しており、2024年2月期も引き続き積極的に行ってまいります。
2023年2月期は子供たちとの接点を増やし、子供たちが笑顔になるようなイベントを開催しました。夏休み期間中に当社本社において当社デザイナーのサポートによるオリジナルTシャツ作りというイベントを行いました。数多くの応募があり、参加いただいたお子様と保護者の皆様には大変喜んで頂きました。2024年2月期もこのようなイベントを計画しております。
(3)経営指標
当社グループは、収益性の指標として、売上高営業利益率(経営の効率性)及びEBITDA(収益力)を意識し、それらの向上を図ることが、企業価値の最大化につながるものと考え、マルチチャネル・マルチブランド展開を推進するうえで、ポートフォリオの最適化に留意しながら、経営資源の選択を行っております。なお、2019年2月期から2023年2月期における売上高営業利益率及びEBITDAの推移は以下のとおりであります。
(単位:千円)
回 次 | 第3期(非連結) | 第4期(連結) | 第5期(連結) | 第6期(連結) | 第7期(連結) |
決 算 年 月 | 2019年2月期 | 2020年2月期 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 |
売上高 | 29,700,888 | 32,962,986 | 29,511,752 | 30,985,787 | 34,997,783 |
営 業 利 益 (売上高営業利益率%) | 1,625,018 (5.5) | 1,664,879 (5.1) | 1,037,212 (3.5) | 1,401,840 (4.5) | 1,705,086 (4.9) |
E B I T D A | 2,398,079 | 2,527,511 | 1,876,012 | 2,264,338 | 2,550,649 |
(注)1.第3期については、2018年3月1日に当社が株式会社ナルミヤ・インターナショナル(旧エヌジェイホールディングス2株式会社)を吸収合併したことにより、連結子会社がなくなったため、連結財務諸表は作成しておりません。
2.当社は2019年3月29日、株式会社ハートフィールの全株式を取得し子会社化したため、第4期より連結財務諸表を作成しております。
3.EBITDA:営業利益+減価償却費+のれん償却額+設備負担金償却+差入保証金償却額
(4)経営環境の認識
当社グループが属しているアパレル業界、ベビー・子供服業界においては、当連結会計年度では、行動制限の緩和、学校行事の再開などにより、需要は回復しました。
今後におきましては、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に指定されたことで、さらに通常の行動様式となることが想定され、子供たちの日常もコロナ前に戻ると予想されます。しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴う原料高の継続、それに伴う仕入額の上昇、さらなる物価高など景気動向は不安定さが増すものと考えられます。このような環境下において当社グループとしては、強みであるマルチチャネルを生かし、より一層お客様の購買行動にタイムリーに対応することによって、顧客満足度を高め、事業成長につなげたいと考えております。具体的には、eコマースと実店舗間において在庫情報の共有化を行い、お客様が欲しいタイミングで購入したい場所で商品を迅速に提供できる仕組み構築へ取り組んで参ります。
また、マルチブランドの強みをさらに強化することで、お客様の細分化されたニーズに対応すべく、新ブランド・新カテゴリーの投入を進めてまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上の課題及び財務上の課題と具体的な取り組み状況
チャネル別の対処すべき課題は、次のとおりです。
① 百貨店
当連結会計年度は、行動制限の緩和によって実店舗へお客様が戻られ売上高は増加となりました。引き続き、翌連結会計年度も売上高の増加を見込んでおります。当連結会計年度の売上高が好調であった「kate spade NEW YORK」は3店舗、「Paul Smith JUNIOR」は4店舗を翌連結会計年度に出店する予定としております。また、新たにゴルフブランドである「JACK BUNNY」を6店舗出店します。
翌連結会計年度は、各ブランドの役割を改めて明確にすることで、お客様へわかりやすいブランドポートフォリオを表現し、LTV(顧客生涯価値)が長期化するような売場・ブランド構成をめざします。
② ショッピングセンター
ショッピングセンターチャネルの当連結会計年度の売上高は増加となりました。ベビー・トドラーブランド「petit main」は、当連結会計年度においては既存店の売上高が好調に推移しました。さらに新規に4店舗を出店したことにより、売上高及び営業利益ともに大きく貢献いたしました。翌連結会計年度は2店舗の出店を計画しておりますが、今後の市況環境を判断し、さらなる出店も検討してまいります。
コロナ禍において苦戦しておりましたジュニアブランドの「Lovetoxic」は、回復の兆しが表れており、翌連結会計年度は、学校で必須科目となっている「ダンス」をコンセプトとしたMD展開を強化することで、スポーツカジュアルなブランドとしての認知度を高め、再成長の道筋を立てていきたいと考えております。
③ アウトレット
アウトレットチャネルの当連結会計年度の売上高は増加となりました。商品の廃棄率軽減に貢献しているチャネルであり、重要な位置づけにあると考えております。
翌連結会計年度も引き続き廃棄商材の削減を進めていくとともに、お客様から回収させていただくリユース商品の販売先としても新たな役割を担うこととなります。
④ eコマース
eコマースチャネルの当連結会計年度の売上高は、行動制限が緩和されたことで実店舗へお客様が戻られた結果、減少となりました。前連結会計年度に実施強化を図ってまいりましたクーポン施策を販売チャネル間の商品の供給状況等を踏まえて、当連結会計年度では抑制したことも要因の一つであると考えております。また、前連結会計年度に実施した物流倉庫の移転及びシステムの刷新は、物流コストの削減と商品の早期発送に貢献しました。
当連結会計年度にeコマース限定ブランドとして立ち上げました「リセマイン」は、順調に成長しております。翌連結会計年度は、eコマース限定の品ぞろえを拡大し、限定ブランドをより強化すること、また、リアル店舗との在庫情報の共有化の仕組みの導入を目指してより一層のお客様の満足度を高めることで、再成長を目指します。
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