ナルミヤ・インターナショナル
【東証スタンダード:9275】「小売業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、経営理念でもある「世代を超えて愛される企業へ」を掲げ、継続的な成長を果たし、社会に貢献する企業を形成してまいります。この経営理念の下、事業を成長し継続させていくために以下の方針に基づき経営を行っております。
① 収益力の向上
収益力向上のために、「マルチブランドの進化」としてブランドポートフォリオ経営、「マルチチャネルの深化」としてチャネル間の融合・新ロケーションの開拓、「CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)の強化」として単一ブランドから複数ブランドへのファン拡大・LTV(ライフタイムバリュー)の最大化を目指します。
a 事業ポートフォリオの更なる変革
ベビー・子供服業界は少子化に伴い、マーケットが縮小傾向ですが、6ポケット・10ポケットと言われているように、1人1人の子供に対する消費支出額は増加傾向にあります。加えて、消費者の嗜好も多様化し、価格だけでなくそれぞれのライフスタイルに合った商品・サービスを購入する傾向も高まっております。また、インバウンドがコロナ終息後に回復し、外国人観光客の子供服へのニーズも高まっております。
しかし、ベビー・子供服というカテゴリー内の競争から、子供向けサービスなど幅広いカテゴリー間での競争へと競争環境は厳しさを増しております。
当社グループとしては、サステナブル経営への対応、デジタル化への対応など、お客様が求められているものを把握しながら、事業運営を行ってまいります。
また、人的資本経営が求められている昨今、当社グループにおいて働きやすく、やりがいのある職場環境の整備も進めてまいります。
b 生産活動におけるカントリーリスク低減
当社グループの生産活動は、国内商社及びOEM会社経由で行っております。従いまして、取引先と連携することで中国一国集中のリスクを可能な限り回避いたします。
② 人材育成
a お客様である子供・家族のライフスタイルの変化を鑑み、具体的な商品として提案できるよう、企画開発スタッフの人材育成を行います。
b 当社グループはSPAの業態であるため、顧客との接点である販売員の強化、店舗における業務の効率化も競争優位の源泉のひとつであると考えております。そのため、店舗における業務の効率化に努めてまいりました。今後も効率化に向けてIT投資を継続してまいります。また販売員研修を強化することで、接客能力の向上にも取り組んでまいります。
c 事業規模の拡大に伴い、管理部門の人材を補充・強化し、企業規模に応じた人材の登用を図ると同時に最適な体制を構築してまいります。
③ 企業体質の強化
新規事業、新カテゴリー開発、海外市場を視野に入れ、変化の激しい子供服市場において、競争力を強化し、オンリーワン・ナンバーワンを目指します。
(2)今後の経営戦略等
当社グループは、子供服業界において、マルチチャネル・マルチブランド展開を推進しており、販売チャネルや多様なブランドの事業ポートフォリオの最適化に留意しながら経営戦略を進めてまいりました。
当社グループは、お客様が買い物すること自体に楽しみを求められていると考え、店頭の接客やVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)を強化し、オケージョンなどの商品企画を促進することで、販売機会の提案を行ってきました。為替変動のリスクや物流費の高騰、店頭人材の確保の厳しさなどに対して、顧客視点での商品企画、タイムリーな納品、上代設定などを行い、販売研修を充実させてきました。
今後におきましては、少子化の加速や、消費者の嗜好の多様化、実店舗の寡占化がリスクとして挙げられます。また販売員などの人手不足も顕著となってきております。
しかしながら、6ポケットから10ポケットと言われるように客単価は上昇傾向にあり、またインバウンドが拡大したことにより、海外のお客様による売上が増加してきております。これらの市場変化を見据え、当社グループは、2025年2月期から2027年2月期までの中期経営計画(連結)を策定し、「マルチ・ブランドの進化」としてブランドポートフォリオ経営、「マルチ・チャネルの深化」としてチャネル間の融合・新ロケーションの開拓、「CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)の強化」として単一ブランドから複数ブランドへのファン拡大・LTV(ライフタイムバリュー)の最大化を目指し、当連結会計年度より実行に移してまいりました。中期計画2年目となる、翌連結会計年度も上記施策に加え、フォトスタジオ事業、IPビジネス、ママの困りごとを解決する課題解決型ビジネスといった新規ビジネスにもさらに注力してまいります。
サステナブル経営への対応としては、2024年5月に策定した「ナルミヤ・サステナビリティプラン」に基づき、環境・人・社会にやさしい取組みを推進していくとともに、新しい領域への挑戦も行いながら、当社グループの成長と創造を目指していきます。
(3)経営指標
当社グループは、収益性の指標として、売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益及び1株当たり当期純利益(経営の効率性)及びROE(収益力)を意識し、それらの向上を図ることが、企業価値の最大化につながるものと考え、マルチチャネル・マルチブランド展開を推進するうえで、ポートフォリオの最適化に留意しながら、経営資源の選択を行っております。なお、2025年2月期の実績は以下のとおりであり、参考として来期以降における売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益及び1株当たり当期純利益の推移は以下に記載します。また、ROEにつきましては、2027年2月期には20%前後を目安に計画しております。
(単位:百万円)
回 次 | 2025年2月期 実 績 | 2026年2月期 目 標 | 2027年2月期 目 標 |
売上高 | 39,152 | 44,000 | 47,400 |
営業利益 | 1,860 | 2,600 | 3,000 |
経常利益 | 1,819 | 2,584 | 2,990 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 1,403 | 1,653 | 1,924 |
1株当たり当期純利益(円) | 142.99 | 167.96 | 195.43 |
(4)経営環境の認識
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得の改善が進む中、景気は緩やかな回復基調にありますが、海外経済の減速への懸念や資源価格の高止まりなどもあり、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属するアパレル業界においては、インバウンド需要の拡大等による個人消費の回復基調が一部に見られるものの、原材料及びエネルギー価格の高騰や度重なる物価上昇もあり、衣料品に対する消費者の節約志向や低価格志向が想定されるなど、今後の事業環境への影響が依然として懸念されます。
(5)優先的に対処すべき事業上の課題及び財務上の課題と具体的な取り組み状況
①チャネル別の対処すべき課題は、次のとおりです。
a 百貨店
当連結会計年度は、インバウンド対策の効果もあり、訪日外国人観光客の多いエリアの店舗では売上高が増収となりましたが、地方店舗では集客に苦戦し、主要百貨店における子ども服フロアの閉鎖や大幅縮小などの店舗休止による売上減少の影響を、他の百貨店へ出店することで挽回を図りましたが、そこまでには至りませんでした。従いまして全体として減収となりました。翌連結会計年度は、引き続きインバウンド対策を拡充しつつ、当連結会計年度より着手しましたギフト商材の価格見直しや国内生産の拡大など新生児向け施策をさらに強化いたします。また、当連結会計年度中に完了しましたPOSの導入により、業務の効率化による接客の強化やOMO施策を実施し、売上の回復を目指してまいります。
b ショッピングセンター
ショッピングセンターチャネルの当連結会計年度の売上高は、主力の「petit main」の積極的な出店により増収となりました。また、「petit main」の顧客リレーションを強化すべく、ファンコミュニティを立ち上げました。今後より一層お客様とのつながりを強化してまいります。当連結会計年度にスタートしました「and D. petit main」と「Minimal」につきましては、お客様のニーズをつかみつつあり、翌連結会計年度において成長を加速させてまいります。また、ジュニアブランドである「Lovetoxic」につきましては、ジュニア市場の活性化を図るべく、ワールドグループの「ピンクラテ」との連携を強化し、プロモーションの共同開催などを通じてシナジー効果を発揮してまいります。
c eコマース
eコマースチャネルの当連結会計年度の売上高は、広告効果と店舗におけるアプリ会員獲得増及び国内外への出店サイト増により、増収となりましたが、自社サイトのコンバージョン率に課題が残りました。翌連結会計年度においては、UI/UXの改善によりコンバージョン率を向上させつつ、店舗とeコマースの相互送客などOMO施策の強化およびeコマースの強みを活かしたパーソナライズされた体験の提供、さらにはEC限定ブランドの強化を図ることにより売上増加を目指してまいります。また、当連結会計年度から着手しました越境EC・海外ECは順調に推移しておりますので、取り扱いブランドの増加によりeコマースチャネルの一層の拡大を目指してまいります。
d 新規ビジネス
当連結会計年度における新規事業は、ナルミヤ内のブランドとのコラボ七五三企画やオーディションなどの企画が好評につきフォトスタジオのLOVSTが黒字化となりました。IPビジネスの売上高は、ニュートロブームにより当社ブランドキャラクターの人気が再燃し、ライセンスロイヤリティ収入とキャラクター商品の販売が大変好調に推移しました。翌連結会計年度は、POPUPショップの開催増、スタイルガイド充実、他キャラクターとのコラボなどにより、キャラクターの更なる認知拡大を図り、一層の売上増加を目指してまいります。また、子どもの再定義により取り組んだ、ペットロボット「LOVOT」のウエアが大好評につき、業績予想を上回りました。
② ESG経営への取組
当社グループは、SDGsの一環として、一人でも多くの子どもたちに夢と幸せを届けられるように、引き続きサポート活動を続けてまいります。当連結会計年度においても、子どもたちと当社グループ社員が直接ふれあうことで、子どもたちに「ワクワク・ドキドキ」を届ける「夏休みキッズワークショップ」を四年連続で実施し、当社が子どもたちの笑顔で溢れました。
環境にやさしい取り組みとしましては、2024年5月に策定した「ナルミヤ・サステナビリティプラン」の下、株式会社ワールドのノウハウやシステムを活用しながら、CO2削減に向けた取り組みや廃棄ロス削減、リユース・リサイクルの取り組み等をより一層強化してまいります。
人的資本経営の強化の取り組みとしましては、研修などリスキリングの機会と福利厚生の充実をさらに進め、従業員がより働きやすい職場環境を構築していくとともに、CGコード遵守にも引き続き取り組んでまいります。
③ ワールドグループシナジー
株式会社ワールドが取り組んでいるリユース・リサイクル活動への参加や人材交流が継続的な取り組みとして定着しつつあります。また、当連結会計年度には決算の早期化及び同日化が実現しました。ビジネス面では、両社ブランド、「Lovetoxic」と「ピンクラテ」の共同プロモーションや「petit main」の海外一号店である台湾出店など、両社の協業がビジネス面でも増えてきました。今後もワールドグループとしてのシナジーをより一層拡大すべく取り組んでまいります。
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