デルソーレ
【東証スタンダード:2876】「食品業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、日本におけるピザのパイオニアとして1964年に創業しました。以来、ナン・ピタ・トルティーヤなど世界のおいしいパンの製造、チーズ加工などに業務を拡大、さらにお客様に直接お届けできる外食・中食事業を展開し、「トータルフードサービス」へと成長してまいりました。
2023年度(2024年3月期)から2026年度(2027年3月期)までの事業運営に関する「中期経営計画2026」を策定し、経営理念である「食と食の文化を通じてお客様に満足と幸せを提供する」ことを一貫して追い求め、「食の安全・安心」を第一に掲げて、「“おいしい”で世界をつなぐ」をミッションに、業績の向上と財務体質の改善を図り、経営基盤の強化に取り組んでおります。
(2) 経営環境および優先的に対処すべき課題
生活に直結する食品を中心に物価の上昇が続いており、消費動向に不透明感が増しています。また米国の政策をはじめとした不安定な国際情勢等による、為替相場や原材料・資源価格等への影響に加え、慢性的な人手不足、人件費・物流費の上昇も懸念されます。先行きの不確実性が高まる中で消費者の生活防衛意識はさらに強まると想定され、食品・外食業界を取り巻く環境は、より厳しさを増すものと思われます。
2024年10月に千葉工場で発生した火災による一部製造ラインの操業停止が続いており、他工場も含めた製造可能数量に限界があるため、一部製品の出荷量削減および休売といった措置を続けております。当社としては、引き続き早期復旧、販売再開に全力を挙げるとともに、収益追求に向けた食品事業・外食事業の抜本的強化と、BCPと原価構造を踏まえた生産体制の再構築に取り組んでまいります。
① 「食の安全・安心」を最優先にした品質管理体制機能の充実
当社はISO22000の認証を全工場で取得し、HACCPシステムを取り入れた食品安全マネジメントシステムに従って、製品の安全管理に努めております。さらに、多摩工場および千葉工場では2023年4月24日にFSSC22000認証を取得し、国際基準に従った食品安全管理に努めております。
引き続き製品に使用する原材料の安全性確認、衛生的な製造環境の維持管理、製造工程の管理・検証を通じて、安心して召し上がって頂ける製品をお届けしてまいります。
② 食品事業において、
a. 国内営業:収益重視型への販路・商品見直し、基礎開発強化とブランド力向上
b. 生産・物流:BCPと原価構造を踏まえた生産・物流体制の再構築
食品事業におきましては、外食業界等を主要取引先とする業務用分野では堅調に推移しているものの、食品スーパー・生協等の一般家庭用分野では、価格改定が続く中で買い控えや低価格指向が強まる等、厳しさが増して来ております。
こうした状況を踏まえ、取引先・品目毎の方針に基づく、チーム営業の強化と複層階コミュニケーションを徹底するとともに、基礎開発力の向上と多彩な生産ラインを活かし、販路・ビジネス領域の拡充と高付加価値製品の提案強化を図ります。また「デルソーレ」ブランド浸透のため、アンテナショップである「デルソーレSHOP」の戦略的活用、ECサイト・SNSによる情報発信等、様々な施策を展開してまいります。
今後の生産・物流体制については、BCPと原価構造を踏まえ、自前/外部委託等のベストミックスによる再構築を進めていきます。
③ 外食事業において、テイクアウトブランド「おめで鯛焼き本舗」、「京鳥」(焼き鳥・鶏惣菜)を中心とした事業ポートフォリオの確立
外食事業におきましては、訪日外国人の増加等により堅調な需要が続いている一方、コスト上昇圧力は収まらず、慢性的な人手不足もあって、依然として厳しい経営環境が続いております。
このような状況の中、コロナ禍における変化対応で培った筋肉質なコスト構造を定着させつつ、既存店の更なる質の向上に引き続き取り組んでおります。新規出店はテイクアウト業態に集中、特に「おめで鯛焼き本舗」を当社における成長ドライバーとして位置づけ、新商品開発、百貨店・商業施設への催事出店やフランチャイズ加盟活動を中心とした「守り」から「攻め」への転換を図るべく取り組んでまいります。
④ 海外事業を確かな成長軌道に乗せ、今後の食品事業の柱に
輸入については、海外パートナー企業との取り組みにより着実に成果が上がってきましたが、収益性向上と成長市場の開拓による一層の拡大を図るべく、さらなる輸入商材の発掘と販売先の多様化を進めます。輸出については海外からの引き合いも増加しており、問屋主体の間接取引に加え大手取引先との直取引拡大をはじめ、東南アジアを中心とした国別・企業別の販売ルート開拓に努めます。
こうした取り組みを通じ、海外事業を確かな成長軌道に乗せ、今後の食品事業の柱へと拡大を図ります。
⑤ 「ONE DELSOLE」を行動軸とした、経営資源の最適配分と人的資本活性化
「“おいしい”で世界をつなぐ」というミッション実現のためには、事業・セグメント単位ではなく、「デルソーレというひとつの組織=ONE DELSOLE」という行動指針のもと、お客様をよりどころに、収益を軸とした全体最適を図っていく必要があると認識しています。このため、2023年4月より、旧「食品事業ユニット」及び旧「外食事業ユニット」の営業組織を一元管理するため、「営業ユニット」を新設のうえ、管下組織を統合・再編しました。ヒト・モノ・カネの経営資源の最適配分の実現と、よりスピード感をもった実行力ある組織体制を目指します。
また、事業環境の変化に対応し続けることが当社の持続的成長を支えるとの認識のもと、従業員各自の特性やスキルを最大限に活かせるよう、ダイバーシティの確保や柔軟なキャリア形成に向けた環境整備、業態を超えた人材育成、活用に努めます。
⑥ システム化、データ活用等による強固な管理体制構築と経営の効率化
先行きの不透明な事業環境が続く中、消費者ニーズや価値観の多様化への対応が求められております。引き続きシステム化、データ活用等による業務の標準化、可視化を進めることで、営業活動・業務の効率化、生産・販売の連携強化、工場生産性の向上を図っていきます。あわせて、情報セキュリティ・BCP対応、拡張性等も意識した経営管理システムの高度化に努めてまいります。
⑦ ガバナンス体制及び内部統制の充実による経営の健全性の確保
経営の健全性、透明性がより一層求められる経営環境の中、当社は法令遵守を基本として、事業目的や経営の意思決定が迅速かつ確実に伝達され、業務執行が効率的に行われるためのガバナンス・組織管理体制を充実していきます。また取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保する体制の整備にも取り組んでまいります。
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