デリバリーコンサルティング
【東証グロース:9240】「サービス業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループでは、以下のとおり経営理念を掲げ、全役職員が共有しております。
日本のITサービスを変えるテクノロジーコンサルティング
● 企業を変革するビジネスパートナー 我々はレガシーと最先端の双方を熟知したITプロフェッショナル集団。システム構築から内製化まで高付加価値サービスを提供し、クライアントのビジネスモデル変革や新規サービス開発を実現します。
● 時代が求める、時代に先駆けるIT人材を育成 デジタル技術が企業変革を加速する時代。1)世界レベルのテックナレッジによりシステムを最適構築するアーキテクト、2)デジタル変革を成功に導くプロジェクトマネジメント、3)システム内製化を具現するイネーブルメントの3つをコア・コンピタンスとしたITプロフェッショナルを育成します。
● 健全な企業文化と健全な経営 挑戦・互助・公正を尊重する企業文化を育み、楽しく豊かに働く環境を提供。日本を支えるITサービス産業の一員として正々堂々と経営を行い、社会の発展に貢献します。
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当社グループは2003年4月の設立当初から、ITコンサルティング力とアウトソーシングを融合し、お客様にとってより付加価値の高いサービスの提供を目指して事業を行ってまいりました。
これまで培ってきた確実なサービスデリバリーの能力は、プロジェクトマネジメント力や技術力の向上により一層安定したものとなっております。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2025年6月に公表した「DX動向2025」によれば、日本企業のDX取組率は米国と同水準に達しており、生産性向上や業務効率化といった“効率化DX”については一定の成果が得られております。一方で、新規サービスの創出、ビジネスモデルの変革、市場シェア拡大など“成長DX”に関しては依然として成果が限定的であり、競争力強化に向けた取り組みが大きな課題となっております。
AI、IoT、ビッグデータなどのテクノロジーが成熟する中で、多くの企業は「テクノロジーを活用した新たな価値創出」へ視点を移しつつあります。今後は効率化にとどまらず、顧客体験や新規事業領域を含めた持続的成長を実現するために、いかにテクノロジーを戦略的に活用するかがより重要になってまいります。
IPA「DX動向2025」から明らかになった日本企業の課題は以下のとおりです。
・成果の可視化不足:成果が「わからない」と回答した企業が約26%に上り、投資効果の評価が不十分である
・成長DXの弱さ:新サービス創出やビジネスモデル変革など成長志向のDX取組みが限定的である
・専門人材の不足:DX推進人材が不足している企業は8割を超え、人材確保が深刻な制約となっている
当社グループは、以下の強みによって上記の日本企業の課題を克服し、競争優位を確立できると考えております。
・一気通貫の支援体制:課題発見から戦略立案、実装・運用までをトータルに支援できる体制
・高いデリバリー力:確実なプロジェクト遂行と安定した品質を担保するプロジェクトマネジメント力
・人材とナレッジの蓄積:多様な業界経験を有するITコンサルタントとエンジニアによる総合力
・顧客基盤の厚み:設立から20年を超えるサービス提供で培った長期的な顧客接点を活用した成長DXへの展開余地
当社グループは、上記の競争優位を保ちつつ、持続的な成長に資する経営環境を整備するために以下を推進してまいります。
・成果の可視化支援:DX効果を測定可能にするKPI設定・データ分析基盤の提供
・成長DXの加速:新規事業創出や顧客体験向上に直結するコンサルティングサービスの拡充
・人材強化:リスキリング支援や社内外の人材交流を通じたDX人材の確保と育成
当社グループは、上述した領域を主とした「テクノロジーコンサルティング」の強化と、当社発の革新的な製品・サービスの創出を通じて、クライアント企業の効率化と成長の両立を支援し、お客様の持続的な競争力向上に貢献することを経営方針として事業を展開しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは持続的な成長を通じた企業価値の向上を目指しており、事業拡大の観点から売上高を重要な経営指標と位置づけ、収益力の強化に邁進してまいります。また、強固な経営基盤及び高利益体質を構築すべく、営業利益及び営業利益率を重要な経営指標と位置づけ、経営の効率化を図ってまいります。
(3)経営環境及び経営戦略
当社がターゲットとするDX市場は、株式会社富士キメラ総研が2024年3月に発表した「2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編」によると、国内市場規模は2022年度の3兆4,838億円から、2030年には8兆350億円へと拡大する見通しであり、年平均成長率(CAGR)は11.0%と予測されています。さらに、グローバル市場については、GII(Global Information, Inc.)が提供する「Digital Transformation (DX) Market Share Analysis」によれば、2025年に1.67兆米ドル、2030年には4.4兆米ドルへと拡大し、CAGRは21.3%に達するとされています。
こうした背景には、AI・IoT・ロボティクスといった既に実用段階にある基盤技術の浸透に加え、生成AIやAIエージェント、デジタルツインなどの新たな先端技術への投資が世界的に加速していることがあります。特に、製造業のスマートファクトリー、金融業のデジタルバンキング、小売・外食業の現場DX、物流業のデジタル倉庫など、主要産業でのDX投資が重点領域となっています。また、DX人材アセスメントサービスなどの新興分野も急速に立ち上がりを見せています。
このような市場環境のもと、当社グループはこれまで培ってきた技術力と確実なデリバリー実績を基盤に、業界横断的な知見を活かした一気通貫のDX支援を強化してまいります。特に、顧客企業の「効率化DX」を超えた「成長DX」を支援し、投資効果の可視化(KPI設定・ROI評価)や新規サービス創出を後押しすることで、クライアントの持続的な競争力向上に寄与してまいります。
How志向からWhat志向のDXへ
作業の生産性向上からデジタル技術による顧客への新たな価値提供という本来の目的に向けたデータ活用や、顧客接点のデジタル化といった当社グループの得意領域へ、DXのフォーカスが移行するものと考えております。
個別適用アプローチの限界から全体最適へ
DXの本来の目的に沿った新旧技術の融合・最適運用が求められるようになり、当社グループが創業以来培ってきた、事業の全体像を見通して最適なシステムやビジネスモデルを設計する「アーキテクチャ思考」アプローチが重要になると考えております。
変革を共に推進するパートナーが必要に
AI、生成AIの利活用や、ビジネス判断、経営判断のためのデータ利活用は、高付加価値化、新たな価値創出を実現するための手段としてなくてはならないものです。そのためには、ビジネスに対する理解、変革の推進を補佐するスキル、テクノロジーに対する知見が必要であり、当社が提供するコンサルティングサービスの需要は今後も継続するものと考えております。
このような経営環境の下、当社グループはこれまで培ってきた最新ITソリューション及びクラウドサービスの活用力等を活かして、DXによる新たな価値創出を念頭に、各種テックを統合的な視点から最適運用し、プロジェクトの規模を問わず将来的な拡張性を維持し、活用する中で発生する新たな課題に対して素早く対応することのできるシステムやサービスを提供してまいります。
当社グループは今後の経営戦略において、まずテックパートナーとの協業推進により、様々なテクノロジーの活用機会を広げ、顧客への提供価値を高めてまいります。さらに、マーケティングへの投資を通じて、書籍出版やセミナー開催などにより接点を拡充し、継続的に新規顧客を獲得するための仕組みの構築・強化を進めてまいります。
これらの施策を通じて顧客基盤の拡大を図るとともに、並行して既存サービスの高収益化を推進し、アカウントマネジメントの強化や生産性向上を実現してまいります。加えて、新たな収益機会の創出として、データリテラシーエンジニアリングやAIを活用した新サービスの開発・提供を進め、サービス領域の拡張と顧客一社あたりの収益最大化を目指します。
また、中長期成長の実現に向けては、人材を競争優位の源泉と位置づけ、採用・育成・調達を通じて高付加価値人材を継続的に確保し、成長を支える基盤を強化してまいります。さらに、戦略的なM&Aについても継続的に検討することで、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
■テックパートナーとの協業推進
DX推進に必要なソフトウエアやクラウドサービスを提供するテックパートナーとは、その顧客に対してソフトウエアやクラウドサービスの活用支援を当社が行うことで協力関係を強固なものにし、継続的な新規顧客開拓を実現します。
ソリューションごとの主要テックパートナー
・ビジュアルによる分析ソリューション:Tableau、PowerBI
・CRMプラットフォーム:Salesforce
・大規模言語モデル:AI inside
・ビッグデータ分析プラットフォーム:ThoughtSpot
・データマネジメント:Snowflake、Vertica
・クラウドインフラ:Microsoft Azure、Amazon Web Services、Google Cloud Platform
また、当社は2025年6月にアクセンチュア株式会社が保有するソフトウエアの一部について、日本国内における販売代理店パートナーシップ契約を締結しました。アクセンチュアの先進的なソフトウエアと、当社が強みとする導入・運用ノウハウや現場密着型のサポート力を組み合わせることで、より多彩かつ実効性の高いソリューションをお客様に提供することが可能になります。
当契約に基づく取り組みを通じて得られる効果をもとに、より多様な業界・業種におけるお客様のDX推進に一層貢献します。
販売代理店パートナーシップ契約を通じて得られる効果
・サービスラインアップの拡充を通じて新たな顧客層との接点を創出
・既存顧客に対する提案機会の幅を広げさらなる提供価値を向上
・競争力ある製品を迅速かつ効率的に市場へ展開
■マーケティングへの投資
各種マーケティング施策を企画・実行し、当社のブランド認知を高め、新規顧客との接触機会を増加させることで顧客獲得能力の増強を図ります。
マーケティング施策 | 期待される効果 | 概 要 |
書籍出版 | ・ブランド認知向上 ・興味喚起 | 当社のブランド認知向上や営業ツールとして活用する目的で書籍の出版を行っております。以降も継続して書籍の出版を行い、当社が掲げるサービスのコアコンセプトやエッセンスを体系的に整理し、市場への訴求を行ってまいります。 |
ウェビナー | ・ブランド認知向上 ・リード獲得 | 個別テックやその導入・活用Tipsに関するウェビナーを定期開催しております。ブランド認知向上とともに、新規顧客の獲得を目指します。 また、当社の事業と親和性の高いビジネスパートナー、テクノロジーパートナーとのセミナーの実施や、よりインタラクティブなコミュニケーションを目的とした小規模勉強会の実施を通して、ターゲット企業との接点の増加、リードの獲得を目指します。 |
オウンドメディア制作 | ・ブランド認知向上 ・技術力アピール | 当社の事業や組織運営、人材開発などに関する認知を向上させることを目的とし、定期的なPR発行を中心とした発信を実施します。 ・コーポレートサイト IR情報、事業やサービス、採用情報など、経営情報全般を随時更新しています。 ・サービスサイト 当社サービスに関する情報発信に特化したサービスサイトを開設し、クライアント企業のインタビュー記事や事例紹介などを通して、当社の得意領域の周知、優位性の訴求を行います。 |
■M&A
持続的な成長と企業価値の向上を実現するために、戦略的なM&Aについて検討を行っています。M&Aを通じて、新たな業界・地域における顧客接点を獲得し、より幅広い市場へのアクセスを実現します。また、専門性の高い人材や独自技術を有する企業をグループに迎え入れることで、当社単独では保有していなかったケイパビリティを迅速に獲得し、当社が顧客に提供するバリューに幅と深みを付加することが可能となります。
M&Aを成長戦略の重要な選択肢の一つと位置付け、既存事業とのシナジーを最大限に発揮させながら、お客様に対する提供価値の向上と当社事業の持続的拡大を目指します。
■既存サービスの高収益化
当社は、高度な専門性を有するコンサルタントを中心に構成するアカウントマネジメント専任部署を新設し、取引先との緊密な関係構築を通じて顧客課題の解決を図っております。これにより、取引先あたりの売上高の向上を目指してまいります。さらに、コンサルタントの稼働率を高めることにより、案件ごとの収益性向上を実現し、当社全体の収益基盤の強化につなげてまいります。
■新たな収益機会の創出
当社は、既存事業に加え、新たな収益機会の創出にも注力しております。具体的には、データリテラシーエンジニアリング事業の立ち上げを通じて、顧客企業のデータ活用力を高める取り組みを推進しております。また、AIエージェント関連サービスの提供により、業務効率化や意思決定の高度化を支援し、顧客のDX推進に資する新たな価値を提供してまいります。これらの取り組みにより、当社のサービス領域を拡張し、持続的な成長基盤の確立を目指してまいります。
■中長期成長に向けた人材戦略
当社は、中長期的な成長の実現に向けて、人材こそが競争優位の源泉であると考えております。そのため、マーケットの需要に応える高付加価値な人材の育成・調達を戦略的に進めております。具体的には、人材戦略に基づきスキルターゲットを定めた研修の実施や、コンサルタントのスキルを「見える化」するタレントマネジメントシステムを導入し、継続的な人材力の強化に取り組んでおります。
人材戦略においては、「人材・タレント要件」「人材ポートフォリオ」「行動規範」を設定し、採用・育成・評価を一体的に推進いたします。育成・調達の面では、社員や採用人材、ビジネスパートナーを対象に、コアスキルトレーニングやコンサルタント育成研修を実施し、現場で即戦力となる人材を計画的に育成してまいります。
さらに、組織改革にも取り組み、社員の意識改革や組織の風土改革を進め、エンゲージメント向上を図っております。これらを支えるオペレーション基盤として、評価制度の整備やタレントマネジメント、サーベイ・モニタリングの仕組みを導入し、データに基づいた人材マネジメントを実現しております。
このように、当社は「育成・調達」「組織改革」「オペレーション基盤」を三位一体で推進することにより、多様な人材が成長し続けられる環境を整備し、ひいては中長期的な企業価値向上に寄与してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①最先端IT技術への対応
これまでIT業界は生成AI、クラウド、データ分析、セキュリティなどの様々な技術により発展を遂げてきました。IT技術の進化は現在も急速に進んでおり、IT技術をどのように活用してクライアント企業のビジネスを高度化していくかということがこれまで以上に重要になってきています。当社グループでは、最先端IT技術の発掘に取り組むとともに、それらに対する理解を深め、活用方法を日々研究しております。また、最先端技術と既存技術との融合も視野に入れることで、より付加価値の高いサービスの提供を目指しております。
②新規顧客の開拓と営業体制の強化
当社グループは、事業拡大に向けて、既存顧客への支援継続、及びアップセル、クロスセルの積極的な提案とともに新規顧客の獲得にも積極的に取り組んでまいります。また、顧客ニーズの多様化に対応し、ターゲット市場における認知度の向上及び新規顧客を獲得するため、書籍の出版やセミナーの実施などのマーケティング活動を行い、潜在顧客との接点を増やし効率的な営業活動を展開します。また、営業人員の育成・体制強化や外部パートナーの連携を強化することで、既存顧客との関係強化と新規顧客開拓を同時に進めるための営業体制の強化を図ります。
③当社グループ及び当社グループのサービスの認知度向上
当社グループは、最新のIT技術を活用したサービス及び製品を提供しており、事業の拡大に向けて、より多くの方に安心してサービス・製品を利用していただけるよう、当社グループ及び当社グループのサービス・製品の知名度や信頼を向上させることが重要であると認識しております。当社グループは引き続き高品質のサービス・製品の提供を通じて、信頼の獲得に努めるほか、プロモーション活動の強化にも努め、認知度向上を図ってまいります。
④優秀な人材確保と組織体制の強化
当社グループは、継続的に事業拡大を行うために、優秀な人材を十分に確保することが課題と考えております。今後は、高い専門性を有した人材を育成することで、市場の変化に耐えうる組織基盤を構築する考えであります。
そのため、新卒採用の強化と経験者の中途採用、及び社内外の研修など教育制度を整備、人事評価制度の改善など、イノベーションを奨励する労働環境の継続的な創出、改善を通して従業員のモチベーションを高め、優秀な人材の確保と定着を促進していく方針であります。
⑤内部管理体制の強化
当社グループでは、企業価値最大化のため、業務の拡大に合わせて内部管理体制を強化することが必要であると認識しております。今後も、財務分析の強化、リスク管理の徹底等、健全な企業経営に必要な体制を強化するよう取り組んでまいります。
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