企業兼大株主デジタルハーツホールディングス東証プライム:3676】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 なお前連結会計年度まで使用していた「エンターテインメント事業」及び「エンタープライズ事業」は、当連結会計年度より「DHグループ事業」及び「AGESTグループ事業」に、それぞれセグメントの区分並びに名称を変更しております。

(1) 経営の基本方針

 当社グループでは、「SAVE the DIGITAL WORLD」を企業理念として掲げております。この企業理念のもと、主力のデバッグ及びソフトウェアテストサービスを中心に、受託開発や保守・運用、セキュリティ等、様々なサービスの提供を行うことで、増加するデジタルサービスの品質・安全性向上への貢献を目指しております。

(2) 経営戦略

 当社グループでは、DHグループ事業及びAGESTグループ事業それぞれの成長ポテンシャルを最大化させることを目的に、2023年5月よりスピンオフ上場の準備を進めております。これらの準備の一環として、2024年4月より完全に独立した2グループ経営体制を開始し、各事業領域に特化した成長戦略を推進しております。

 まず、DHグループ事業においては、“エンターテインメント業界のグローバル・クオリティ・パートナー”となることを目標に、ビジネスのグローバル化を推進しております。具体的には、海外ゲームメーカーに多言語デバッグを“日本品質”で提供する体制構築や、ゲームの世界観やキャラクター性を活かした翻訳に強みを有する独自のゲーム特化型AI翻訳エンジン“ella”の対応言語拡充等、当社ならではの強み・ノウハウを活かしたソリューションを強化することで、グローバル市場でのシェア拡大を目指しています。また、祖業である国内デバッグにおいては、「Nintendo Switch 2」の発売を機に、国内ゲーム市場において新規タイトルの開発活発化が見込まれております。そのため当事業では、テスター人材の採用・育成や新型ハード専用テスト機材の調達等により受注体制を強化するとともに、独自の品質メソッドである“DHQ(Digital Hearts Quality)”を推進することで、引き続き高いシェアの維持・拡大に努めてまいります。

 一方、AGESTグループ事業においては、“エンタープライズシステムの「品質」を先端技術で支えるAIテスト企業”となることを目標に、技術力を活かしたQAソリューションの提供に注力しております。具体的には、高度な品質保証及び最新のテクノロジーへの知見を有する“次世代QAエンジニア”の採用・育成を強化するとともに、従来型と異なり開発の最終工程でテストを行う“シフトレフト”に対応したテストサービスの拡充やテスト自動化を推進することで、テスト専門企業ならではの付加価値を追求してまいります。また、2025年1月より提供を開始したAI機能を標準搭載した独自のテストツール「TFACT」β版を活用することで、テスト工数の削減や精度の高いテストの効率的な実行の実現を目指してまいります。さらに、「TFACT」というプロダクト提供による従量課金といった、従来のエンジニアによるサービス提供とは異なる新しい収益モデルの確立に努めるなど、安定的に収益を創出する体質の強化を図ってまいります。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが属するデジタル関連市場は、環境変化のスピードが著しく速く、その変化に即した迅速かつ柔軟な経営判断を行う必要があることから、当社では、単年度毎の売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益を経営指標としております。

(4) 当社グループを取り巻く経営環境

① 市場環境

 当社グループのDHグループ事業を取り巻くエンターテインメントコンテンツ関連市場では、ゲームの海外同時展開の加速を背景に翻訳やマーケティングに関する需要が増加するとともに、動画・漫画アプリといったコンテンツの多様化に伴う新たなビジネスチャンスが拡大しています。一方、当社のAGESTグループ事業を取り巻くデジタル関連市場では、慢性的なIT人材不足により引き続きテスト工程のアウトソース需要が拡大するとともに、アジャイル開発の普及拡大等を背景に、開発の上流工程における品質向上やAIをはじめとする先端技術活用による効率化・精度向上への対応が求められています。

② 主要サービス

 当社グループでは、ソフトウェアの開発、テストから、保守・運用、プロモーション支援まで幅広いサービスを提供しておりますが、そのなかでも、以下2つを事業の柱となる主要サービスとして位置付けております。

サービス名

概要

国内デバッグ

コンソールゲーム、モバイルゲーム、オンラインゲーム等の不具合検出

QAソリューション

業務システムやWebシステム、IoT機器等エンタープライズシステムの不具合検出や脆弱性診断といったセキュリティテスト、システムの受託開発、ERP導入支援

③ 顧客動向

 ゲームメーカーにおいては、デバッグ工程のアウトソースが既に進んでいることから、今後も安定的な受注が見込めます。一方、エンタープライズシステムの開発や保守・運営を行う企業においては、昨今深刻化しているIT人材不足に加え、ソフトウェアの複雑化を背景にテストの専門性が高まっていることから、今後テスト工程のアウトソースが急激に加速していくことが見込まれております。

④ 競合他社の状況

 国内デバッグにおいては、創業以来顧客企業と強固なリレーションを構築しており、また豊富なデバッグ専用機材を有していること等から参入障壁は高く、寡占市場のなかで当社は圧倒的なシェアを有しております。一方、QAソリューションにおいては、SIerやシステムの受託開発会社等、市場には多数の競合が存在しています。しかし、当社のようなテスト専門企業は少なく、市場が黎明期であり、今後爆発的な成長が見込まれていることから、当社ではブルーオーシャンと認識しております。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、収益基盤の強化を図るとともにさらなる成長を実現するため、下記5点を主要な課題として認識し、その対応に取り組んでまいります。

① 人材の確保及び育成

 当社グループが継続的に企業価値を向上させていくためには、優秀な人材の確保及び将来を担う人材の育成が経営上の重要な課題であると認識しております。

DHグループ事業の主力の国内デバッグにおいては、顧客企業の流動的な開発スケジュールに合わせて、高品質なサービスをスピーディかつ継続的に提供するため、多数の臨時従業員であるテスターを常時確保することが不可欠となっております。このため、株式会社デジタルハーツを中心に、テストセンターであるLab.(ラボ)を戦略的に展開することで、豊富なテスターの確保に努めております。

 また、AGESTグループ事業の注力分野であるQAソリューションにおいては、マニュアルテストのほか、脆弱性診断やテスト自動化等、品質向上に関する専門的な技術の蓄積・向上が必要であり、エンジニア人材の確保や育成が不可欠となっております。このため株式会社AGESTを中心に、グローバルで活躍するソフトウェアテスト・エキスパートのノウハウ等を凝縮した独自の教育機関であるAGEST Academyを展開し、エンジニアにとって魅力的な環境の整備、及び新卒・中途採用の強化による人材基盤の構築に努めております。さらに、ビジネスパートナー等社外リソースも積極的に活用することで、急増する需要に対応できる体制を構築しております。

 今後も、当社グループでは、多様な人材に合わせた働き方や教育体制等を整備することで、人材プールの拡大に継続的に取り組んでまいります。

② サービスの付加価値向上について

 当社グループを取り巻くデジタル関連市場においては、DXの加速やAIの普及を背景に、新たなコンテンツ及びサービスの開発が活発化しているため、それらの市場環境の変化及び顧客ニーズの多様化に柔軟に対応することが経営上の重要な課題であると認識しております。

 当社グループでは、祖業であるDHグループ事業で培ってきた競争優位性及び豊富な人的リソースや、AGESTグループ事業が保持する幅広いソフトウェア等のテストノウハウについて、各事業がそれぞれの専門性や強みを高めることで、顧客ニーズに応えてまいります。また、新サービスの開発やAI等の技術活用にも積極的に取り組むことで、付加価値の高いサービスの提供に取り組んでまいります。

③ サービスの海外展開について

 当社グループは、海外へのサービス展開も持続的な成長を遂げていくためには取り組まねばならない経営上の重要な課題であると認識しております。

 そのため、当社グループでは、米国、英国、中国、韓国、台湾及びベトナム等の海外子会社等を通じて、エンタープライズシステムのテストサービスやゲームのデバッグ及びローカライズサービス等の事業を展開しており、持続的な成長に向けた海外事業基盤の構築に努めております。

 今後も、高い収益性と成長性が期待される市場に対してサービスを提供することを基本方針とし、事業運営をグローバルに展開してまいります。

④ 事業領域の拡大及び新規事業の推進について

 当社グループでは、DHグループ事業を収益の軸としつつも、多様な収益源による安定的な成長を遂げていくためには、既存の事業領域を拡大するとともに新規事業を開拓することが経営上の重要な課題であると認識しております。

 そのため、M&A等を活用した多角的な事業規模の拡大や独自性を追求した新サービスの開発に積極的に取り組んでまいりました。今後も、新たな事業領域の開拓や新規事業の創出・拡張に注力するとともに、多様な収益源による安定的な事業ポートフォリオの形成を目指してまいります。

⑤ 安定的な財務基盤の維持について

 当社グループでは、強いキャッシュ創出力を有するDHグループ事業を中心に高い収益性を維持しており、安定的な配当等の株主還元を実施しつつ健全な財務体質を維持してまいりました。

 しかしながら、世界経済が変化するなか、財務基盤の強化は従来以上に経営上の重要な課題になっていると認識しております。引き続きキャッシュ・マネジメントを強化するとともに、必要に応じて金融機関からの資金調達を含めた機動的な対応を実施するなど、今後とも安定的な財務基盤の確保に努めてまいります。

PR
検索