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【東証スタンダード:4198】「情報・通信業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「人と会社が相互に育てあい、社会と顧客に喜ばれ、豊かな人生を作り上げる企業文化を育む」を経営理念として掲げ、「人」・「会社」・「社会」それぞれの成長が更に相互の成長を促す、そんな成長循環をスムースに回すことを目指す「SHINKA」経営を実践しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、顧客の満足をいただける付加価値の高いプロダクトを創造し、長期にわたって顧客から信頼されるサービスを提供することを基本方針とし、事業規模の拡大と収益性の向上を重要な課題と認識しております。特に売上高と親会社株主に帰属する当期純利益が重要であると認識し、最も重要な指標と位置付けております。
今後もソフトウエア投資は拡大傾向にあるといわれており、こうした経営環境をビジネスチャンスととらえ、2026年5月期の目標値は、売上高6,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益266百万円となっております。
なお、当該指標の各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(3) 経営環境
デジタル化の進展とグローバルな技術革新の波を受け、全体として緩やかな回復基調を示しました。一方で、エネルギー価格の変動や地政学的リスクの影響、労働人口の減少や人材不足が依然として課題となっており、企業の先行きに対する慎重な姿勢も見られました。
当社グループのDXソリューション事業及びTechwiseコンサルティング事業が属するITサービス市場においては、企業のDX推進が引き続き市場を牽引しました。特に中小企業におけるクラウドサービスやSaaSの導入が加速し、業務効率化やコスト削減を目的としたIT投資が活発化しました。さらにAIの活用が製造業や医療分野でも顕著となり、業務効率化や新たなサービス創出に貢献しております。ゲームコンテンツ事業が属するゲーム市場は、引き続き堅調に推移し、国内ゲーム市場は、家庭用・モバイル・アーケードを含め約5兆円規模とされており、高水準を維持しながら堅調に推移しています。また、モバイルゲームとコンソールゲームの両分野で新作タイトルが市場を活性化させており、さらにeスポーツやストリーミング配信の拡大も、ユーザー層の拡大に寄与しました。
(4) 経営戦略
当社グループは、従業員の70%強が技術者であり、その技術者が持つ経験やナレッジを活かし、総合的な視点に立った上で顧客の価値を創出するITサービス企業グループです。常にチャレンジし続けることで卓越した製品やサービスを生み出し提供することが顧客・社会への貢献と考えております。
当社は2024年6月1日より、エンタープライズ事業傘下のテクノロジーコンサルティング統括部をプロダクトソリューション統括部傘下とした組織体制へ変更し、「Techwiseコンサルティング事業」を新設いたしました。これに伴い、以下事業別戦略につきましては、新区分にて記載しております。
① DXソリューション事業
DXソリューション事業では、非プログラマでも価値創出が可能な次世代アプリ開発モデルの確立を目指し、オープンソース型ECプラットフォームである「EC-CUBE」と、ノーコードで業務アプリケーションを構築できるデータベースプラットフォームである「JUST.DB」の連携を軸に、ノーコード・ローコードによる業務変革支援を推進するため、下記に取り組んでまいります。
・業界別テンプレートの提供やCI(Continuous Integration)/CD(Continuous Delivery/Deployment)環境の整備による開発効率の向上
・セキュリティ強化やAPI標準化を通じた安定性と拡張性の両立
・顧客の自走支援を重視し、導入後の活用促進やLTV向上に向けたカスタマーサクセス体制の強化
・内製設計と外部連携を組み合わせたハイブリッド開発体制を構築し、技術的先行取得を目的としたR&D投資の実行
・地域企業や教育機関との共創にも注力し、社会実装型DXの展開を加速
加えて、AI技術の活用を通じて、業務効率化と顧客体験の高度化を両立させる取り組みを進めております。特に、ノーコード環境におけるUI生成やフォーム自動作成など、AIによる設計支援機能の開発を強化し、直感的な操作性を実現いたします。さらに、顧客行動データの分析を通じたLTV向上施策や、FAQ自動応答・ナレッジ活用支援など、カスタマーサクセス領域でのAI導入も推進し、AIを活用したPoC(概念実証)を積極的に展開し、継続的なR&D投資を通じて競争優位性の確立を図ります。
② Techwiseコンサルティング事業
Techwiseコンサルティング事業は、「テクノロジーコンサルティング事業」と「ビジネスプロダクト事業」の両事業連携を強化し、ナレッジ活用型のコンサルティングとプロダクト提供を統合的に展開することで、顧客の業務変革を支援する体制を構築してまいります。AI・BIツールの活用を軸に、業務効率化と付加価値創出を両立させるソリューション群を提供し、Techwiseブランドの再定義と持続的成長を目指します。
Microsoft製品関連サービスを提供するテクノロジーコンサルティング事業では、Notes移行支援を中心とした従来型SIから脱却し、AI・BIツールを活用した高付加価値領域へのシフトを加速します。大手クライアントとのアライアンスによる大規模案件の獲得、公共・自治体向けの移行ニーズへの対応、Microsoft365やSharePoint関連のインフラ構築領域への進出など、事業領域の拡張を通じて安定的な収益基盤を構築します。CopilotやAzureOpenAIを活用したナレッジ検索・業務自動化の提案も進め、コンサルティングの質と効率を両立いたします。
マニュアル作成ツール「Dojoシリーズ」を展開するビジネスプロダクト事業では、OneDojo構想のもと、動画・音声・テキストなど多様な情報からマニュアルを自動生成する「マニュアル・インテグレーション」戦略を推進いたします。自治体向け三層分離モデルやB2B2Xモデルなど、業界特化型の展開を強化し、顧客LTVの向上と解約防止に取り組みます。AIを活用した自律型マニュアル生成やナレッジ検索プラットフォームの開発を通じて、製品力と営業力の両面で競争優位性を確立し、Dojoシリーズの市場再ターゲティングを進めてまいります。
③ ゲームコンテンツ事業
ゲームコンテンツ事業は、2025年5月期に進めた構造改革と戦略転換を踏まえ、成長軌道への回帰を目指してまいります。
コンシューマーゲーム事業では、フルフィルメント型の受託案件獲得を最重要施策と位置づけ、株式会社テンダゲームスのコンシューマーゲーム事業及び株式会社Skyartsを中心とした体制強化を進めております。市場に対しては、ゲームコンテンツ事業の強みである「映像・エフェクト制作力」を活かし、積極的な営業活動を展開しております。特に3D市場においては、需要に対して供給が追いつかない状況が続いており、開発体制の強化が急務となっております。この課題に対し、専門チームの組成や3D経験者の採用を通じて対応を進めており、下期以降の案件獲得数の増加が期待されます。また、低コストでのリード獲得施策やAI活用による営業効率の向上にも取り組んでおり、従来よりも安定的に案件化が進む体制が整いつつあります。これらの施策を通じて、コンシューマー事業における受託事業の拡大と収益性の改善を目指してまいります。
オンラインゲーム事業では、2025年6月18日に配信開始となった「信長の野望 天下への道」を起点としたライセンス管理事業(IPを用いたゲーム及びデジタルコンテンツ等のプロデュースを行う事業)における収益基盤の確立を図ってまいります。加えて、ヤマダゲームの新規開発に注力することで、収益の継続確保を目指しております。既存タイトルにおいても、コスト最適化を通じた収益改善が進められており、オンラインゲーム事業全体として安定的な収益構造の構築が進行しております。これらの取り組みにより、新規タイトルによる収益創出と既存事業の効率化を両立させ、事業の持続性を高めてまいります。
ゲームコンテンツ事業全体としては、両領域の施策を着実に遂行することで、短期的な実績構築と中長期的な成長の両立を図り、2026年5月期における業績回復と企業価値の向上を目指してまいります。
<参考>事業区分の変更の内容
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、強固な経営基盤の確立や中長期的な経営目標達成のために、以下の事項を対処すべき課題として認識し、重点的に取り組んでまいります。
① 中堅・大企業向けDX支援サービスの高度化と差別化
当社グループは、有力外部プラットフォーム×RPA×AIエージェントを中核とした統合DX基盤を積極的に訴求し、従来のSI/受託開発モデルを超えた「伴走型DX戦略パートナー」への進化を加速してまいります。
顧客ニーズは現在ではシステム開発に留まらず、業務構造の再設計や内製化、継続的改善(CI/CD)といった「変革の実装」にシフトしています。これに応えるため、当社は業種別・業務別のテンプレート型DX支援を進化させ、顧客価値を可視化・自動化・最適化する総合的なエクスペリエンス提供企業として差別化を図ってまいります。
② 生成AI、クラウド技術、ローコード開発等への技術対応力の強化
生成AIの普及やローコード開発の加速は、業務効率化と競争力の源泉を根本的に変革し始めています。当社は、生成AI人材20名程度の専門チーム編成を目標に、データガバナンスを踏まえたAI実装フレームワークや、セキュアAI利用ガイドラインの標準化を進めます。
特に、「業務固有文脈を理解するプロンプト・エンジニアリング技術」を差別化要素とし、AI・クラウドネイティブ技術を駆使した業務自動化ソリューションを顧客に提案できる体制を強化してまいります。
③ 人材確保・育成とエンゲージメントの向上
高度技術人材の確保競争は激化しており、採用・育成・定着の三位一体戦略が不可欠です。当社は、ジョブ型人材配置等の導入を検討するとともに、スキルマトリクスに基づく育成体系の整備を進めてまいります。さらに、クラウドネイティブリスキリングや生成AI活用研修を通じて「挑戦と学習の文化」を醸成し、成長を実感できるキャリアパスを提供することで、社員エンゲージメントを高めてまいります。
④ 自社プロダクト事業の再定義と収益性の改善
当社は、「Dojoシリーズ」をはじめとする自社プロダクトについて、2028年度末までにSaaS型売上比率50%以上に引き上げることをKPIとして明確化してまいります。
競合との差別化ポイントを「UI/UX・機能進化・顧客体験」に絞り、NPS(ネットプロモータースコア)を定期指標として顧客満足度の最大化を図ります。これにより、プロダクト価値の進化と収益性改善を同時に実現してまいります。
⑤ サイバーセキュリティとガバナンス体制の強化
顧客データと社会インフラを担う責任を踏まえ、ISMS・Pマークに加えCSASTAR(クラウドセキュリティ認証)等の外部認証取得を検討するなど、グローバル基準でのセキュリティレベル向上を目指してまいります。
内部統制や品質保証体制をさらに高度化し、海外子会社を含めたグループ横断的リスク管理を進化させ、社内外から信頼されるガバナンス体制の構築に努めてまいります。
⑥ 中期経営計画の実行と経営基盤の持続的強化
持続的な成長基盤の確立と資本市場からの信頼獲得を両立するため、収益力の強化と資本構造の最適化に取り組んでまいります。具体的には、2028年度末までにROEを20%以上に改善を図ります。株主還元方針としては、安定的かつ累進的な配当政策の一貫性を重視し、利益成長に応じて配当を引き上げてまいります。
また、M&A後のPMI(統合作業)100日プランの標準化を推進し、グループ全体のシナジー最大化を目指します。これにより、収益の質向上・原価管理精度の強化・ステークホルダーとの透明な対話を経営の根幹に据え、持続的成長エンジンを確立してまいります。
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