企業兼大株主テレビ東京ホールディングス東証プライム:9413】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、㈱テレビ東京による地上波放送事業を中核として、BS放送(㈱BSテレビ東京)、CS放送(AT-X)、そしてインターネットによる配信事業を総合的に運用してコンテンツの制作とメディアビジネス展開の戦略機能を担う認定放送持株会社です。

番組やコンテンツの視聴方法は、テレビだけではなくパソコン、スマートフォンなど多くのデバイス(端末)へと急速に広がっています。こうした中、テレビ東京グループでは、放送・配信・アニメの3つの事業・コンテンツを柱にして、相乗効果を発揮させてコンテンツの価値を最大化する「トライブリッド」と名付けた戦略を中心に据えました。「トライ」には放送・配信・アニメの3つを意味する「TRI」に加え、挑戦する「TRY」の意味も込めました。激変期に勝ち残るためにも、「テレビ東京グループにしか作れない」ものを追求し、テレビ東京グループの存在感を一段と高めていきます。

(2) 経営環境

2022年の日本の広告費(電通調べ)は4.4%増の7兆1,021億円と過去最高となりました。テレビ広告(地上波・衛星メディア関連の合計)は東京2020オリンピック・パラリンピックの反動減などにより、1兆8,019億円と前年より2.0%減少しました。一方、ネット広告は2019年にテレビ広告を抜き、2022年も前年比14.3%増の3兆912億円となりました。

(3) 目標とする経営指標

 当社は各ステークホルダー(視聴者、社会全般、株主、取引先、社員)への責任をバランスよく果たし、企業価値の向上を通じて満足の総和を高めていくことを基本方針としております。20年代後半にROE(自己資本利益率)8%の達成を目指すとともに、中長期的には配当性向35%を目途とすることにします。当社は資本コストを含む様々な経営指標を適切に認識しつつ、コーポレートガバナンス・コードを着実に実行してまいります。

(4) 中長期的な会社の経営戦略

地上波放送事業を中核として、BS放送、CS放送、配信事業を一体的に運用し、さらに、放送・配信・アニメを三本柱として、相乗効果を発揮させて、コンテンツの価値を最大化する「トライブリッド」戦略を実施していきます。様々なデバイスでコンテンツを提供し、下記の経営戦略を着実に実施することで、放送と配信との相乗効果によりコンテンツの価値を高めていきます。

① 配信事業の拡大

当社は「全コンテンツ・全配信」方針のもと、配信分野での収益を最大化するために、SVOD(定額制動画配信)とAVOD(広告付動画配信)の事業について、一体的に戦略を立案しています。配信のために必要な権利処理や収益管理などの実務を一括して効率化しているほか、放送からのデータ、AVOD、SVODなど配信からのデータをできる限り活用して、番組・コンテンツ制作に生かし、放送と配信双方の営業強化につなげています。

配信ビジネスでは、弊社が㈱TBSホールディングスや㈱日本経済新聞社、㈱WOWOWなどと手掛ける動画配信サービス「Paravi(パラビ)」と動画配信大手「U-NEXT(ユーネクスト)」の合併により、国内勢首位の有料動画配信サービスが誕生しました。また「U-NEXT」を運営する㈱U-NEXTと包括的な戦略的業務提携を結び、マーケティングからクリエイティブまで幅広い分野で協力を進めることで、売上・利益の最大化を目指します。

 さらに東南アジアで、映像配信事業を手掛けるPOPS Worldwide(以下、POPS社)に300万米ドルを出資し、資本業務提携しました。経済成長が著しい東南アジア市場において、東南アジア各国のそれぞれ異なる状況に合わせた現地語吹き替え版による映像展開の拡大を目指します。

引き続きTVerなどのAVOD事業も拡大します。

② アニメビジネス販路拡大と多角化

アニメ事業はテレビ東京グループの強みであり、「配信」と並ぶ「成長エンジン」と位置づけています。グローバルなコンテンツとして主に海外で大きな収益をあげてきました。今後は欧米市場を重点的に開拓し中国市場を超える収益の柱となることを目指します。欧米市場へのアニメ作品の販売強化のほか、高級ブランドとの提携やライセンス先拡大によるアニメの商品化ビジネスも伸ばします。有力ゲーム会社向けのゲーム供給にも力を入れていきます。一方、中国以外のアジア、中東地域でもアニメ作品の吹き替え版を製作してセールスを強化します。さらに、ゲーム製作にも参画して事業領域を広げていきます。

データに基づくコンテンツ戦略の強化

広告主やユーザーのニーズを汲み取り、その戦略に沿った新指標を作成し、社内外に効果的に発信することを目指します。同時にAVOD市場や放送事業への利活用に加え、ECやイベント等の個社事業に活用できるデータ基盤を構築し、全体(ポートフォリオ)最適化に向けデータに基づくコンテンツ戦略策定を実現します。ECについては、グループのテレビ東京ダイレクトがゴルフ用品ECサイト「アトミックゴルフ」を運営する㈱リアルマックスを子会社化し、事業拡大の体制を整えました。

④ 放送事業の収益力強化について

放送広告収入はテレビ東京グループの最大の収益の柱です。放送を取り巻く環境は厳しくなると予想されますが、2023年4月に立ち上げた「制作力強化プロジェクト」や、「トライブリッド」戦略による配信やアニメとの相乗効果により収益の確保を目指します。さらに、収益バランス重視の編成方針と新番組の開発、グループ会社も含めた組織再編による新規スポンサーの獲得、営業力強化により、地上波、BSともに放送収入を伸ばしていきます。

⑤ 成長のための投資戦略

テレビ東京グループが新たな分野の収益を強固なものとしていくため、成長への投資として200億円の「成長投資枠」を設定しました。向こう3年間を目途にアニメ・配信をはじめ、「WEB3」など新技術を活用したビジネスや通販・ECなどの事業領域への資金投入により企業価値の向上につなげます。アニメや通信販売、コンテンツ制作をはじめ、グループの成長力強化に資するような企業との資本提携やM&Aも検討していきます。また、デジタル投資も不可欠と考えており、基幹システムの刷新などDXを積極的に進めます。

2022年度からは、テレビ東京グループの基幹システムの全面刷新に本格的に着手しています。約30年ぶりの基幹システムの変更であり、新システムへの移行に伴う人員再配置と業務改革により、投資効果は2027年度以降、60億円を超えると見込んでいます。新システムへの移行により、編成、営業、コンテンツ制作を支援する新たなソフトの導入や開発も柔軟で迅速な対応が可能になり、配信の収支、配信を含むコンテンツ別の総合収支など経営指標を機動的に算出できることになります。

さらに、テック戦略局に設置している「テックラボ」を中心に、新時代のコンテンツ制作を技術面からけん引する体制を整えます。AI、メタバースなどのXR(クロスリアリティ=新技術を活用した映像やイベント)、コンピュータグラフィックスを生かしてコンテンツDXを推進していきます。

(5) 会社が対処すべき課題

① コーポレート・ガバナンス強化

コーポレートガバナンス(企業統治)の強化は社会の要請であり、テレビ東京グループにとっても重要な課題です。

当社は取締役の3分の1を独立社外取締役にしており、取締役会の諮問機関として独立社外取締役と代表取締役社長により構成する「人事諮問委員会」「報酬諮問委員会」を設置しております。両委員会とも独立社外取締役が委員の過半数を占め、独立社外取締役を委員長に選任しています。委員会はテレビ東京ホールディングスの取締役の人事案や報酬の方針などについて議論し、取締役会に答申しています。

また、代表取締役社長の助言機関として、社外取締役と代表取締役が出席する「経営懇談会」を設けております。「人事諮問委員会」「報酬諮問委員会」「経営懇談会」があわせて機能することでコーポレート・ガバナンスを強化し、経営の透明度を高めてまいります。

② 気候変動リスクへの対応

気候変動の影響は年々深刻さを増しており、経済・社会・環境に大きな影響を及ぼしています。国際社会は低炭素・脱炭素社会の構築に向けた動きを加速しており、企業が果たすべき役割はますます重くなっています。

当社グループは、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置して、地球環境問題をはじめ、人権の尊重、従業員の健康、労働環境への配慮や公正・適切な処遇を実現するための啓蒙活動などサステナビリティを巡るあらゆる課題に対してグループ全体で取り組んでいます。2024年度末までに、消費電力の削減と再生可能エネルギー等の導入を組み合わせてグループ全体のCO2排出量の実質ゼロ達成を目指しています。

「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」へ賛同し、TCFDが提言するフレームワークを活用して定期的に情報開示をしています。複数の将来シナリオを用いて気候変動が事業に与えるリスクと機会を評価し、気温上昇に伴う事業活動への恒常的な悪化と、緊急的かつ頻発の恐れのある自然災害の影響を分析してBCP(事業継続計画)体制をグループ全体で構築しています。

世界的な課題となっている気候変動リスクへの対応はメディアグループとしても、企業としても重要な課題の1つと認識しています。当社グループではSDGs(持続可能な開発目標)に本格的に取り組むため、国連が報道機関に協力を呼び掛ける「SDGメディア・コンパクト」に署名・加盟しております。報道機関だからこそ出来る取り組みとして、放送や配信、イベントなどを通じてサステナビリティを巡る課題などについて伝えています

③ アフターコロナと効率的な働き方の追求

 新型コロナウイルス感染拡大時に積極的に活用した在宅勤務制度をアフターコロナの働き方「新リモート50」でも継続活用し、出社率50%を目標とします。在宅勤務は育児や介護の時間、またリスキリングなど自己啓発に充てる社員の時間を増加させる効果が期待されています。働き方に柔軟性を持たせることでワークライフバランスを尊重し、かつ生産性向上に資する職場環境を整えていきます。

④ 人材の多様化への対応

㈱テレビ東京の女性社員比率は2022年度末時点で27.7%ですが、最近の新卒採用における男女比はおおむね同数となっており、今後も女性社員の採用に積極的に取り組んでまいります。女性管理職の比率は2022年度末時点で21.5%となっており、2017年度末の11.2%から2025年度末には20%台半ばにすることを目指します。

外国籍をもつ社員は2023年4月現在で9名ですが、今後も事業展開に合わせて採用増に取り組みます。さらにコンテンツ制作力を一層強化するため、マーケティング、デジタルなど新規領域の即戦力となる社員を中途採用して外部の知見と経験を取り込み、組織の活性化を促すとともに高齢化を含めた年齢構成のゆがみも是正していきます。

⑤ 人権尊重への対応

国内外でのサービス調達・提供をめぐって人権に対する意識を高めるよう社会的要請があり、テレビ東京グループとしても要請に沿うよう努力を続けていきます。

⑥ 激動する国際情勢への対応

 金利上昇や原材料高による世界景気の減速懸念は強まっています。ロシアによるウクライナ侵攻は長期化し、世界経済に暗い影を落としています。米中間の緊張が高まり、中国や台湾のビジネス環境の変化を注視する必要もあります。テレビ東京グループは基本的人権を尊重しつつ、公平・公正な報道姿勢を貫くことにより、自由で豊かな社会の実現を目指します。

⑦ 景気の下振れリスク

新型コロナウイルスの蔓延やロシアによるウクライナへの侵攻などにより、世界では景気の減速やインフレ長期化、サプライチェーン(供給網)混乱への懸念が強まっています。国内では、物価高による消費マインドの低迷、資源高による企業業績への圧迫などにより、景気の下振れリスクが指摘されています。経済の不透明感が増すなかでも、テレビ東京グループは着実な利益の計上に努めます。

PR
検索