企業兼大株主テレビ東京ホールディングス東証プライム:9413】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は、㈱テレビ東京による地上波放送事業を中核として、BS放送(㈱BSテレビ東京)、CS放送(㈱エー・ティー・エックス)、そしてインターネットによる配信事業を総合的に運用してコンテンツの制作とメディアビジネス展開の戦略機能を担う認定放送持株会社です。

2024年4月のテレビ東京開局60周年を契機に、グループは新しい企業理念「心を温かく、時に熱く。一人ひとりに深く届け、 ちょっといい明日へ。」(パーパス=存在理由)、「『あたりまえ』に挑み、 まだ見ぬ『おもしろい』を共に創る。」(ミッション=果たすべき使命)などを制定しました。

 そして2025年度に、これらのパーパス・ミッションに基づき2035年にテレビ東京グループが目指すべき姿として、「テレ東VISION2035」を策定しました。

「テレ東VISION2035」

 まだ見ぬ「おもしろい」を世界に発信し

 一人ひとりの「ちょっといい明日」に寄り添う

2035年、グローバルIPメディア「テレ東」として第4の創業ヘ

 1.「まだ見ぬおもしろい」コンテンツやサービスを創り、挑戦し続ける

 「まだ見ぬおもしろい」とは…

 ・他がやらないことをやる、見る人ひとりひとりの心に深く刺さる

 ・AIをはじめ最先端のテクノロジーで時代の先を行く

 2.乳幼児からシニアまで、ユーザー本位で貢献する 

  「ちょっといい明日」のために…

 ・正確で客観的な報道・情報で、信頼されるメディアであり続ける

 ・社会課題解決につながる新規事業を創出する

 ・つながるすべての人の人権を尊重する

 3.グローバルIPメディア「テレ東」として第4の創業を果たす

  「グローバルIPメディア」とは…

 ・既存のマス・メディアの枠を超え、コンテンツIPを起点として放送、配信などに広角展開する

 ・専門人材を採用、育成し、多様なコンテンツを国内だけでなく世界に届ける

 これらを体現するため、報道、アニメ、バラエティ、ドラマ、音楽、スポーツ、イベントなど各分野で競争力のあるコンテンツやIPを制作・発信するとともに、社会課題解決にも貢献し、テレビ東京グループの存在感を一段と高めていきます。

 グループの成長戦略としては、アニメ・経済報道・独自IP(知的財産)事業を一段と強化し、IPを国際的に展開する「グローバルIPメディア」を目指します。同時に、新規事業の開発などでフロンティアを開拓し、収益源をさらに多様化させてまいります。

(2) 経営環境

2024年の日本の広告費(電通調べ)は前年比4.9%増の7兆6,730億円と過去最高となりました。テレビ広告(地上波・衛星メディア関連の合計)は、1兆7,605億円と前年より1.5%増加しました。一方、ネット広告は前年比9.6%増の3兆6,517億円となりました。

(3) 目標とする経営指標

 当社は各ステークホルダー(視聴者、社会全般、株主、取引先、社員)への責任をバランスよく果たし、企業価値の向上を通じて満足の総和を高めていくことを基本方針としております。2020年代後半にROE(自己資本利益率)8%の達成を目指すとともに、配当性向は連結ベースで30%を目途としておりますが、中長期的には安定して35%を実現することを目指します。当社は資本コストを含む様々な経営指標を適切に認識しつつ、コーポレートガバナンス・コードを着実に実行してまいります。

(4) 中長期的な会社の経営戦略

 地上波放送事業を中核として、BS放送、CS放送、配信事業を一体的に運用し、放送・配信に加え、アニメ・経済報道・独自IP開発を一段と強化してさらなる成長を目指します。様々なルートでコンテンツを提供し、下記の経営戦略を着実に実施することで、放送と配信との相乗効果によりコンテンツの価値を高めていきます。

① コンテンツ力を強化、あらゆるルートで発信

 グループの収益の源泉はコンテンツです。「まだ見ぬおもしろい」コンテンツを追求すると同時に、放送・配信・商品化・イベント・海外販売など、コンテンツをマルチユースし収益源を多様化します。また、クリエイティブ体制を強化し、ゴールデン・プライム帯で新たなテレ東の顔となるヒットコンテンツを創出するほか、レギュラーコンテンツ以外にも「世界卓球」で放送・配信・セールス・プロモーションを横断的に展開するなど、スポーツコンテンツの発信力も高めます。イベントでは「行方不明展」に代表されるような新たな人気の催しを開拓するほか、市場が成長するeスポーツへの取り組みも強化します。コンテンツのラインナップ編成にあたっては視聴データを駆使し、収益の最大化を目指します。

② アニメを中心としたコンテンツのグローバル展開を加速

 人口減少による国内市場の縮小を見据え、コンテンツのグローバル展開を加速します。テレビ東京の強みであるアニメを主軸に、実写コンテンツ(ドラマ、バラエティ)や、2024年度から配信を開始したグローバル向け広告付きストリーミングサービスのFAST事業も合わせて、海外売上比率を高めます。

 アニメは北米・欧州・中国の収益を拡大すると同時に、インドや南米市場を開拓します。新たな有力作品を積極的に発掘して海外窓口を獲得するほか、商品化やゲーム化を推し進めます。アニメ以外にも、海外展開できるコンテンツの開発を進めます。バラエティは海外の放送局や配信事業者等にフォーマット販売が可能な作品を増やします。ドラマは有力な海外プラットフォームとの取引拡大や、外国人俳優を起用した作品を制作することで、海外で稼ぐ力を高めます。

③ AVOD(広告付き動画配信)・SVOD(定額制動画配信)を底上げ、収益多角化を推進

「孤独のグルメ」や「夫の家庭を壊すまで」に代表される独自性の強いドラマはテレビ東京の得意分野となりました。今後も個性的なドラマを作り続けるとともに、バラエティコンテンツを強化して再生数を底上げし、AVODの売り上げを増加させます。また、市場が拡大しているショートドラマの配信では、新しいヒットジャンルの開拓と有力な制作事業者との提携を推し進め、国内外で「テレ東のショートドラマ」ブランド確立を目指します。SVODは海外有力プラットフォームとの提携を強化し、海外販売を拡大します。グローバル広告付き無料動画配信サービスのFASTは世界に通用するコンテンツやIPを制作し、広告、Eコマース、サブスクリプションなどグローバルメディアビジネスの起点となるチャンネルを開発していきます。

④ 信頼される経済報道を貫き、次なる成長の核に

SNSの情報が影響力を拡大するなか、「信頼できる報道メディア」として強みである経済報道にさらに磨きをかけてまいります。経済動画配信サービス「テレ東BIZ」をニュース発信のハブとし、放送と配信の双方で情報を届けます。マーケット情報や企業取材を強化するとともに、「学べる」「見つかる」「つながる」コンテンツを拡充し、経済に関心が高いビジネスパーソンの視聴を取り込みます。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」「WBS」やBSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」などのニュース番組は、日本経済新聞社との連携や独自取材を強化し、より新しくより深い情報を届けます。

⑤ 新規事業開拓をスピードアップ、最先端テクノロジー利用促進

 新規事業の創出に向けて、200億円の成長投資枠を活用します。新規事業開発と投資・M&A、事業提携や協業など案件に応じて多角的なアプローチを取り、新たな収益の柱を構築します。社内公募で選定された事業企画は実証実験のフェーズに入り、事業化を模索しています。

2022年度から着手しているテレビ東京グループの基幹システムの全面刷新については、2024年度に経理などの業務系が稼働を始めました。2025年度には編成、営業等を支援する仕組みも本格稼働し、コンテンツ展開や業務の効率化が加速することで成長への寄与が見込まれます。仮想デジタル映像とリアル映像を組み合わせて多彩な映像表現を可能にするVP(バーチャルプロダクション)は、グループ会社や資本業務提携する㈱D・A・Gの技術を駆使し、利用を促進します。VPを利用した自社制作番組の割合は2025年3月時点で約55%となっていますが、さらに高め、スタジオ運用を合理化します。並行して映像や音声表現、コンテンツ制作の効率化などにAIを積極活用してまいります。

(5) 会社が対処すべき課題

① コーポレート・ガバナンス強化

 コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化は社会の要請であり、テレビ東京グループにとっても重要な課題です。

 当社は取締役の3分の1を独立社外取締役にしており、取締役会の諮問機関として独立社外取締役と代表取締役社長により構成する「人事諮問委員会」「報酬諮問委員会」を設置しております。両委員会とも独立社外取締役が委員の過半数を占め、独立社外取締役を委員長に選任しています。委員会は㈱テレビ東京ホールディングスの取締役の人事案や報酬の方針などについて議論し、取締役会に答申しています。

 また、代表取締役社長の助言機関として、社外取締役と代表取締役などが出席する「経営懇談会」を設けております。「人事諮問委員会」「報酬諮問委員会」「経営懇談会」があわせて機能することでコーポレート・ガバナンスを強化し、経営の透明度を高めてまいります。

② 気候変動リスクへの対応

 当社グループは、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置して、地球環境問題をはじめ、人権の尊重、従業員の健康、労働環境への配慮や公正・適切な処遇を実現するための啓蒙活動などサステナビリティを巡るあらゆる課題に対してグループ全体で取り組んでいます。気候変動への対応については、消費電力の削減や再生可能エネルギーの導入、自社のCO排出を相殺できる「J-クレジット」等の活用を組み合わせて2023年度からグループ全体のCO排出量の実質ゼロを継続しています(対象はScope1とScope2)。

 また、当社は「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」へ賛同し、TCFDが提言するフレームワークを活用して定期的に情報開示をしています。複数の将来シナリオを用いて気候変動が事業に与えるリスクと機会を評価し、気温上昇に伴う事業活動への恒常的な悪化と、緊急的かつ頻発の恐れのある自然災害の影響を分析してBCP(事業継続計画)体制をグループ全体で構築しています。

 世界的な課題となっている気候変動リスクへの対応はメディアグループとしても、企業としても重要な課題の1つと認識しています。当社グループではSDGs(持続可能な開発目標)に本格的に取り組むため、国連が報道機関に協力を呼び掛ける「SDGメディア・コンパクト」に署名・加盟しております。報道機関だからこそ出来る取り組みとして、放送や配信、イベントなどを通じてSDGsを伝えてサステナビリティの浸透に取り組んでいます。

③ 人材の多様性に向けた取り組み

 テレビ東京グループは、「挑戦・成長を続ける社員が安心して長く活躍できる会社」の実現を人事戦略に掲げ、人材の多様性と専門性を両立する組織づくりを進めております。

 中核会社である㈱テレビ東京において、2023年度からいち早くパートナーシップ制度を導入しています。外国籍社員は13名在籍しており、グローバル展開やIPビジネスの拡大において中核的な役割を担っています。2024年度の採用実績は新卒25名、キャリア採用21名でキャリア採用比率は45.7%。2025年度はAI・グローバル・IPビジネス領域の即戦力人材を強化配置するため、キャリア採用数は過去最多の40名を目指します。

 働き方の面では、在宅勤務(サテライトオフィスの利用含む)、フレックスタイム、育児介護時短制度等の活用を拡充し、誰もが能力を発揮しやすい制度環境を整備しています。また、2024年度から28社の企業が参加する実験的な取り組み「相互副業プロジェクト」に参画し、他社からの受け入れ9名、自社から11名の社員が他社の募集業務に参加しました。これらの就業経験を通じて視野を拡げ、本業に活かせるスキルアップに繋げています。

 加えて、2025年度からシニア再雇用制度を改定し、報酬水準の見直しや成果評価の導入を行うことで、今後増加するシニアが意欲的に活躍できる環境を整備。若手からベテランまで、多様な層が活躍する企業風土を醸成しています。

④ 人権尊重の取り組み

 テレビ東京グループは人権尊重の重要性を改めて認識するとともに、社会から信頼される企業集団として認められるよう、「国際人権章典」や「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」といった国際規範に加え、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」「OECD多国籍企業行動指針」および政府による「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」に基づき、2023年11月に「テレビ東京グループ人権方針」を定めました。テレビ東京グループはメディア企業としての責任を果たすための「テレビ東京グループ行動規範」における「行動基準」や「報道倫理ガイドライン」で、既に人権尊重の考え方を盛り込んでおりましたが、新たに人権方針を設けることで人権に対する考え方をより明確にしました。同時に人権方針の推進のため「人権委員会」を設置し、取引先を含めた人権侵害の予防や改善に取り組む「人権デューデリジェンス」を実行しております。

⑤ コンプライアンスを重視したコンテンツ制作

 テレビ東京グループは放送の公共的使命を自覚するとともに、法令を遵守し社会規範に基づいてコンテンツを制作することが求められています。しかしながら、テレビ東京が2023年3月28日に放送した「激録・警察密着24時!!」において不適切な内容があったとして、BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会が「放送倫理違反があった」との意見を、また放送人権委員会が「放送倫理上問題がある」との見解を公表しました。当社は本件を深く反省し、放送やホームページでのお詫び、社長以下担当した役員・社員の処分、社内外制作スタッフへの研修などを実施してまいりました。また、2024年8月にはテレビ東京内に「コンテンツ審査室」を設置し、制作するコンテンツの事前チェック・審査体制を強化しました。また、放送番組の適正を図り、外部有識者の声を聞く場として「放送番組審議会」をおよそ1ヵ月に1回開催しております。こうした取り組みを通じ、テレビ東京グループはコンプライアンスを重視し、信頼されるコンテンツ制作に努めてまいります。

⑥ 激動する国際情勢への対応

 国際通貨基金(IMF)によると世界景気の成長は続く見通しですが、一方で、米国の関税政策で不透明感が漂っています。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化は、世界経済に暗い影を落としています。米中間の緊張が高まり、中国や台湾のビジネス環境の変化を注視する必要もあります。テレビ東京グループは基本的人権を尊重しつつ、公平・公正な報道姿勢を貫くことにより、自由で豊かな社会の実現に貢献することを目指します。

⑦ 景気の下振れリスク

 米国の関税政策、インフレ長期化、金利上昇、中国経済の減速、サプライチェーン(供給網)混乱などにより、世界経済の下押し懸念があります。国内では、物価高による消費マインドの低迷、急激な為替の変動、資源高による企業業績への圧迫などにより、景気の下振れリスクが指摘されています。経済の不透明感が増すなかでも、テレビ東京グループは着実な利益の計上に努めます。

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