企業テスホールディングス東証プライム:5074】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは第一次、第二次オイルショックの時代背景のもと、省エネルギー系設備のエンジニアリング企業として1979年に創業いたしました。「省エネルギー事業で世の中の役に立ちたい」という創業のポリシーを引き継ぎ、以下の企業理念等を掲げております。

企業理念

顧客重視・顧客満足

 

・すべてのお客さま・ビジネスパートナー・株主・投資家・地域社会・グループの全役職員やその家族等、

あらゆるステークホルダーを顧客とします。

・トップマネジメントが主導して、顧客に正面から向きあい、甘えず、着実に、誠実な経営をお約束します。

・ESG(注1)とコンプライアンスを経営の根幹に置くことで、SDGs(注2)の実現に貢献し、持続可能な成長による企業価値向上を目指します。

 

経営理念

Total Energy Saving & Solution

 

複雑化する顧客のエネルギーに対する課題やニーズに対して、画一的な製品サービスでは、

企業理念である「顧客重視・顧客満足」を達成することはできません。

社名の由来であるTotal Energy Saving & Solutionの実現に向け、総合的なエネルギーソリューション(注3)の提供をグループ全体で推進いたします。

 

経営ビジョン

+E Performer

 

当社グループのあるべき姿を定めたものが経営ビジョンの「+E Performer(プラスイー パフォーマー)」です。

「+E」には当社グループの事業活動に関わる「Energy、Economy、Environment、Engineering、Ecology、

Engagement…」等について「一歩先を行く、他には無いものを新しく提供する」という意味を込めております。

また、「Performer」には「実行者」という意味があり、顧客のニーズに正面から向き合い、成果を出していく

企業姿勢を表しております。

当社グループの強みを最大限に発揮することで、次世代に向けてエネルギーを育み、守り、つなぐ

「+E Performer」を目指してまいります。

 

ESG方針

TESSグループは、ESGとコンプライアンスを経営の根幹に位置付け、

世界的なエネルギー脱炭素化に貢献し、SDGsの実現を目指します。

 

・環境(E):顧客と地域社会に向けたTotal Energy Saving & Solutionの実現を目指します。

・社会(S):事業の成長を支える人材の育成と社会基盤の形成を行います。

・ガバナンス(G):公正かつ透明性の高い経営を実施します。

 

パーパス(存在意義)

Total Energy Saving & Solutionの実現により、

世界的なエネルギーの脱炭素化に貢献する

 

(2)経営環境

(全般)

 当社グループが事業を行うエネルギー業界では、国連による持続可能な開発目標(SDGs)の提唱やパリ協定(注4)の締結を契機に世界的な潮流としてエネルギーの脱炭素化に向けた取り組みが活発になっております。日本においても、2021年10月には第6次エネルギー基本計画(注5)が閣議決定され、2050年カーボンニュートラルの実現と、2030年度の新たな温室効果ガス排出削減目標(2013年度比46%削減)の達成に向けたエネルギー政策の道筋が示されました。徹底した省エネルギーの更なる追求が求められると共に、2030年には国内電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を36~38%程度(2021年度は20%)にする目標が掲げられております。

 更に、2023年2月にはGX実現に向けた基本方針(注6)が閣議決定され、エネルギー安定供給の確保を大前提とした脱炭素への取組方針が示されました。

 このような状況を踏まえ、当社グループでは、脱炭素社会の実現に向け、当社グループの事業領域において需要家の省エネルギー設備への積極的な投資や再生可能エネルギーの利用の増加及びエネルギー・環境関連分野へのスマート化の推進等の取り組みの機会が増加していくと考えております。

(再生可能エネルギー)

 国際エネルギー機関(注7)が2022年10月に公表した「World Energy Outlook 2022」では、世界の電源構成に占める再生可能エネルギーの割合が2050年に65.2%(2020年は28.3%)に増加することが予測されております。

 また、環境省が設置・運営する環境産業市場規模検討会が2023年3月に公表した「令和4年度環境産業の市場規模推計等委託業務 環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」では、国内クリーンエネルギー利用分野(再生可能エネルギー発電システム、再生可能エネルギー売電、再生可能エネルギー設備管理、エネルギー貯蔵設備)の市場規模見通しは、2022年から2050年にかけて1.3倍の9.7兆円(2022年は7.3兆円)に拡大することが予測されています。

 日本政府は、第6次エネルギー基本計画において、国内電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を2030年までに36~38%程度(2021年度は20%)にする目標を立てていることから、当社グループでは再生可能エネルギー発電所の設置が今後も増加していくと考えております。一方、国内において再生可能エネルギー発電の普及に寄与したFIT制度は、再生可能エネルギー発電促進賦課金に対する電気使用者の費用負担軽減の観点から、新たに取得するFIT認定(注8)において固定買取価格が制度開始時と比べて低下、又は買取価格の決定方法が入札となることやFIP制度(注9)への移行等、見直しが行われております。そのため、当社グループでは、FIT制度から自立可能な電源の構築が求められ、更なる自家消費用途への利用が進むものと考えております。2021年10月に経済産業省資源エネルギー庁が公表した「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」の中では、2030年度の野心的水準として、今後、官民が一体となり民間企業による自家消費促進を進めていくことによって、自家消費太陽光の導入見込み容量は10.0GWとなることが示されております。

 また、株式会社矢野経済研究所が2021年10月に発表した「バイオマスエネルギー市場に関する調査(2021年)」では、バイオマス発電市場、バイオマス熱(蒸気)供給市場、バイオ燃料供給市場それぞれのエネルギー供給量を金額ベースで換算し、合算した国内バイオマスエネルギー市場規模見通しは、2022年度から2035年度に向けて約2.2倍の約1.7兆円(2022年度は約0.8兆円)に拡大することが予測されています。そのため、当社グループでは、バイオマスエネルギー市場の成長に向けて、燃料の長期安定調達が課題となると考えております。

(省エネルギー)

1979年に制定された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」では、エネルギーの使用が多い事業者に対し、毎年度、省エネルギー対策の取組状況やエネルギー消費効率の改善状況を政府に報告することを義務付ける等、省エネルギーの取り組みを促す枠組みが構築されております。2023年4月からは省エネ法において、非化石エネルギーも含めた全てのエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換を求めると共に、電気の需要の最適化が求められるようになりました。また、第6次エネルギー基本計画では、産業分野においては、新たな省エネルギー技術の開発や導入、工場排熱等の未利用エネルギーの活用に向けた取組強化等が必要であるとされています。年1.4%の経済成長等を前提とすると、2030年度の最終エネルギー需要を原油換算28,000万kL程度とするためには、徹底した省エネ対策により6,200万kL程度の削減が必要とされております。そのため、我が国においては、個社単位の省エネルギー強化の取り組みに加えて、複数事業者が連携することで更なる省エネルギーの取り組みやユーティリティ設備(注10)と需要設備を最適制御するエネルギーマネジメントシステムの導入が進むものと当社グループでは考えております。

(エネルギーの分散化)

 近年、大規模な自然災害発生による大規模・集中型エネルギー供給の脆弱性が顕在化し、コージェネレーションシステム(注11)、自家発電設備や蓄電池が、企業の工場や事業所のレジリエンス対策(注12)を目的に導入されています。また、日本国内においては、地域に再生可能エネルギー発電設備が増加することによって、エネルギーリソース(注13)の分散化がより進む傾向にあります。そのため、当社グループでは、各企業や地域に分散設置されたエネルギーリソースからエネルギー供給を行うことで、非常時の電源確保及びエネルギー供給リスクの分散化、需要地での地産地消によって送電ロスの削減等の課題解決につながるものと考えております。

(電力取引市場)

 我が国の電力取引市場では、電力量(kWh)を取引する「卸電力市場」(2005年4月取引開始)、環境価値を取引する「非化石価値取引市場」(2018年5月取引開始)、将来の供給力(容量)を取引する「容量市場」(2020年7月取引開始)、調整力(周波数調整や予備力)を取引する「需給調整市場」(2021年4月取引開始)の4つが開設されております。当社グループでは、これらの4つの市場のうち、2020年以降新たに開設された容量市場及び需給調整市場を活用することで顧客への総合的なエネルギーソリューションの提供機会が拡大していくと考えております。

 容量市場においては、分散型エネルギーリソース(コージェネレーションシステム、自家発電設備、燃料電池、蓄電池及び再生可能エネルギー発電システム等)が供給力として利用可能となることや、2024年1月には容量市場の一部として脱炭素電源による供給力確保を目的に、長期的な投資回収の予見可能性を付与する制度として「長期脱炭素電源オークション」が新たに開始される予定です。当社グループでは、将来の供給力確保を見据えて、分散型エネルギーリソースの新規設置需要やリプレイス需要が見込まれるものと考えております。

 また、需給調整市場においては、分散型エネルギーリソースが調整力として利用可能となるため、当社グループでは、分散型エネルギーリソースの付加価値が高まると共に、これらの分散型エネルギーリソースを調整力として取りまとめるERAB(注14)サービスが活発化してくるものと考えております。

(アウトソーシング需要への対応)

 当社グループでは、近年、労働力不足や人材不足、働き方改革推進による生産性向上や業務効率化、業務の高度化を背景に、非中核事業を外部に委託するアウトソーシング需要が高まるものと考えております。そのため、当社グループの事業領域においてもインフラの供給、ユーティリティ設備の第三者所有、O&Mの外部委託等について同様の顧客ニーズがあると考えております。

(3)経営戦略

 当社グループは、2022年8月15日に「TESSグループ 中期経営方針」を発表いたしました。

<中期経営方針>

1.再生可能エネルギーの主力電源化、省エネルギーの徹底、エネルギーのスマート化の3つの事業領域に注力する

 当社グループでは、Total Energy Saving & Solutionの経営理念に基づきエネルギー業界に特化したビジネスを展開しておりますが、社会的なニーズが強く、より成長が見込まれる「再生可能エネルギーの主力電源化」「省エネルギーの徹底」及び「エネルギーのスマート化」の3つの事業領域に注力することで、世界的なエネルギー脱炭素化の取り組みに貢献してまいります。

2.総合的なエネルギーソリューションの提供により顧客との長期取引関係の構築と収益機会の多様化を目指す

 当社グループでは、顧客の抱える環境対策、省エネ対策、エネルギーコスト対策等の複雑化するエネルギー課題に対して、総合的なエネルギーソリューションを提供いたします。エンジニアリング事業とエネルギーサプライ事業の両面からソリューションの提供範囲を拡大させ、顧客との長期取引関係を構築すると同時に収益機会の多様化を進めてまいります。

3.ストックビジネスを充実させることで安定した経営基盤を構築する

 ストックビジネスであるエネルギーサプライ事業を継続的に成長させることで、景気の影響を受けにくい、安定した経営基盤を構築してまいります。具体的には、連結売上高に占めるエネルギーサプライ事業の比率を主に再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電を拡大させることによって高め、長期的にエネルギーサプライ事業が安定的に過半を占める状況を目指してまいります。

<2030年に目指す姿>

 省エネ、再エネを含むエネルギーの総合ソリューション(Total Energy Saving & Solution)の提供を通じ、B2B、B2R(region:地域)領域における「脱炭素のリーディングカンパニー」を目指し、社会課題の解決に貢献いたします。

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、「TESSグループ 中期経営方針」にて、売上高成長率、エネルギーサプライ事業売上高構成比(ストック型比率)、ROE(自己資本利益率)、連結配当性向、再生可能エネルギー発電容量(内、オンサイトPPA発電容量)、バイオマス燃料出荷高(EFBペレット)(※FIT燃料認証取得が前提)の経営指標又は株主還元指標について中期目標(2030年6月期に向けた目標水準)を定めております。また、これらの経営指標に加えて、当社グループは、事業の収益性を評価するために売上総利益を、グループ全体の経営状況を評価するために経常利益を重視しております。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 国内外でエネルギーの脱炭素化に向けた取り組みが加速する中、当社グループとしては、顧客企業の高まる脱炭素ニーズやエネルギー分野の多様化するニーズに対応するため、総合的なエネルギーソリューションの更なる強化・拡大が重要であると認識しております。

 また、当社グループの安定した経営基盤の構築に向けては、再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電を中心としたストックビジネスの更なる充実が重要であると認識しております。

 このような認識のもと、対処すべき課題に対して、当社グループでは以下の項目に取り組んでまいります。

a.再生可能エネルギー分野への取り組み

(太陽光発電への取り組み)

①オンサイトPPAモデルによる太陽光発電システム

 当社グループでは、更なる導入拡大が求められている自家消費用途の太陽光発電システムへの取り組みを進めております。当連結会計年度末現在においては、停電時にも必要な電力を供給できる機能を有した自家消費型太陽光発電システムによるオンサイトPPAモデル(注15)を活用した電力供給サービスを16件(発電容量合計約18.5MW)の需要家に対して提供しております。自家消費型オンサイトPPAモデルは、需要家の再生可能エネルギー電気の利用に際して、太陽光発電システム導入に関わる初期投資が不要であるほか、停電時にも太陽光発電システムから必要な電力を供給することができるため、需要家の脱炭素ニーズとBCP対策の両方に貢献することができるサービスとなっております。

 当社グループでは、このように初期投資が不要で顧客企業にとって導入しやすいオンサイトPPAモデルを入り口として、顧客企業に対して次の本格的な省エネ提案に繋げていくことを方針としております。また、今後は当社グループが電気の小売供給を通して培った需給管理に関するノウハウを活用しながら、余剰電力の有効活用にも取り組んでまいります。

②稼働済み発電所(セカンダリ案件)の取得

 当社グループでは、これまでのEPCやO&Mの実績やノウハウを活かし、自社による再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電に取り組んでおります。当連結会計年度末現在においては、当社グループが所有・運営・売電を行う事業の大半は太陽光発電であります。しかしながら、FIT制度においては太陽光発電の固定買取価格が低下していることから、FIT認定の太陽光発電所に係る新規開発には注力せず、開発プロセスが進行している案件の確実な事業化と稼働済み太陽光発電所の取得を進めてまいります。当連結会計年度末現在において、当社グループは14件(発電容量合計約15.2MW)の稼働済み太陽光発電所を取得しております。

 なお、昨今、競争環境が厳しさを増していることから、収益性の高い稼働済み太陽光発電所の取得が難しくなることが課題として挙げられますが、当社グループでは、金融機関をはじめとするパートナー企業との関係強化を進め、優良案件の引合入手に努めるほか、社内において徹底した収益性の検討及び各種デューデリジェンスを実施した上で取得を進めてまいります。

(バイオマス発電への取り組み)

 当社グループは、ストックビジネスを充実させることで安定した経営基盤を構築することを目的として、太陽光発電所以外の再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電に向けた取り組みにも注力しております。2014年11月から持分法適用関連会社である三重エネウッド株式会社にて近隣地域で流通する木質チップを燃料とするバイオマス発電を行っております。当連結会計年度末現在、熊本県球磨郡錦町において連結子会社の合同会社熊本錦グリーンパワーにて地域の木質資源を活用する木質バイオマス発電所及び佐賀県伊万里市において連結子会社の株式会社伊万里グリーンパワーにて大型バイオマス発電所の開発に取り組んでおります。

(バイオマス資源の有効利用への取り組み)

 当社グループは、バイオマス資源の有効利用及びバイオマス燃料の安定供給を目的として、2018年10月にインドネシアに設立した連結子会社のPT PTEC RESEARCH AND DEVELOPMENTにおいて、木質バイオマス燃料の低コストかつ安定的な大量生産に向けた製造に関する研究開発を行っております。また、同じくインドネシアにて2020年3月に連結子会社化したPT INTERNATIONAL GREEN ENERGYでは、日本国内のバイオマス発電所に向けたPKS(注16)燃料販売事業を開始しております。今後もインドネシアにおけるバイオマス資源の安定調達先の確保と日本国内における販売チャンネル拡大を進めてまいります。

b.省エネルギー分野への取り組み

(省エネルギー分野における事業領域の拡大)

 当社グループは、エネルギー消費量の削減やエネルギーコストの削減を求める顧客に対して、工場や事業所の省エネルギー診断を行い、コージェネレーションシステムや燃料転換設備(注17)、各種ユーティリティ設備等の省エネルギー設備を導入し、当社グループがO&M、監視及び制御を行うことによって、顧客にとって最適な設備利用及びエネルギー利用を可能とするワンストップ・ソリューションを提供しております。

2020年8月17日には、ヴェオリア・ジャパン株式会社との合弁会社「VTユーティリティーズサービス株式会社」を設立いたしました。ヴェオリア・ジャパン株式会社が得意とする「水」「廃棄物」分野も当社グループの省エネルギー分野におけるサービス範囲に包含することで、事業の強化を図っております。

 顧客企業に対して更なる省エネルギーの提案を行っていくと共に、事業領域の拡大や高まるアウトソーシング需要にも応えてまいります。

c.エネルギーのスマート化に対する取り組み

(分散型エネルギーリソースの有効活用)

 当社グループが取り組むエネルギーのスマート化とは、ICTやIoT技術を活用し、多種多様なエネルギーリソースと需要設備をコントロールし、効率的なエネルギー利用により省エネルギーを促進することをいいます。その一環として、当社グループは、自社開発のエネルギーマネジメントシステムである「TESS WebView」を顧客に導入し、エネルギー最適制御を行うためのプラットフォームを構築しております。また、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」及び「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」に係るエネマネ事業者(注18)として顧客に向けたエネルギー管理支援サービスを提供しております。

 また、当社グループでは、コージェネレーションシステムや自家発電設備、太陽光発電システム等のEPCを通して獲得した顧客基盤を活用しながら、需要家が所有する分散型エネルギーリソースを有効活用し、更に価値を向上させていくことを目的に、当社グループがアグリゲーションコーディネーター(注19)として供給力を取りまとめ、需給調整市場や容量市場での活用を行ってまいります。分散型エネルギーに関する当社グループのノウハウを活用し、地域社会におけるスマートグリッド(注20)構築に向けた取り組みも進めてまいります。

(電力品質確保への対応)

 再生可能エネルギー発電設備の普及と共に、一般送配電事業者から電力の需給量を調整するために要求される発電出力制御に対し、オンライン化を進め、自動で制御量を最適化することによって、効率的で最適なエネルギー利用を目指しております。

d.事業拡大のための取り組み

(技術基盤の拡大)

 当社グループは、電気、冷熱、温熱、IT・通信、総合技術が求められるコージェネレーションシステムのEPCを通して技術基盤を確立し、太陽光発電、バイオマス発電、風力発電、燃料転換、省エネルギー等のエネルギーソリューションを展開してまいりました。

 今後は、高まる顧客企業の脱炭素ニーズに対応するため、バイオマス燃料、水素、蓄電池、ERAB、地熱発電等の新しいエネルギー分野に既存の技術基盤を応用し展開していくことで、顧客に最適なエネルギーソリューションを提供いたします。

(優良事業に対する投資)

 当社グループは、これまで実施してきた再生可能エネルギー発電所の所有に関する投資を継続していくことに加え、エネルギー分野におけるアウトソーシング需要に資する事業、電力系統の安定化に寄与する系統蓄電事業や、木質バイオマス燃料の低コストかつ安定的な大量生産に向けた製造設備等への投資も検討してまいります。

 当社グループにおける投資判断では、自社戦略との整合性、既存事業とのシナジー及び事業の内部収益率(IRR)を重視しており、投資実行にあたっては、資本効率向上を目指し収益性・事業リスクを考慮した上で借入等の外部資金も活用していく方針であります。

(パートナーシップの強化)

 当社グループは、顧客の抱えるエネルギー課題に対して当社グループ内のリソースを中心としてソリューションを提供するための事業基盤を構築してまいりました。エネルギー分野やIT分野において技術革新が加速度的に進む中で、当社グループは持続的な成長を図るために、有力なパートナー企業開拓及び連携強化を検討してまいります。

(人材・組織強化)

 エネルギー業界は規制緩和等によりビジネスチャンスが広がる一方で水素技術、蓄電池技術等の新たな技術を用いた製品、AI技術やIoT技術を利用したエネルギーマネジメントサービスが台頭し、新規企業の参入、大手電力会社やガス会社による新製品サービスの開発が進められております。当社グループにおいてもこれらの技術革新に対応し、新規製品サービスを展開していく方針でありますが、そのためには各分野で優位性を継続できる戦略立案と実行できる人材育成(新規事業の立ち上げ、社内でイノベーションを起こす人材育成等)、変化する市場に適切に対応できる柔軟性を持った組織力の強化、多角化による分断が生じない統率力の強化が必要となります。

 当社グループは成長分野への人材の積極的な再配置や教育機会の拡充、スピード感を意識した役割と権限委譲及び能力を重視した人事評価制度の構築を進めており、今後においては、これらの取り組みを加速させると共に人材育成、組織力強化、統率力強化のための投資を推進し、企業グループとしての経営基盤をより強固なものにしてまいります。

(ESG推進活動への取り組み)

 当社グループは、長期的かつ持続的に成長可能なグループ経営のため、気候変動リスク対応や人材の多様化をはじめとするESG推進活動に取り組んでおります。2022年7月1日にESG推進委員会を新たに設置し、ESG推進の年間計画、ロードマップ、ESG方針の策定やマテリアリティ(重要課題)の特定に加え、ESG推進に向けた取り組みを更に加速していくため、国際的なイニシアチブやESGに関する国内プログラムへの参加を進めております。

 今後は、進捗状況等を積極的に開示していくと共に、ステークホルダーとの対話も進めていくことで、当社グループ全体の企業価値向上を目指してまいります。

(気候変動リスクと機会に対する取り組み)

 当社グループは、気候変動リスクと機会に対する取り組みとして、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、2022年9月にTCFD提言に基づく気候変動に関する情報の開示を行いました。TCFD提言に基づき、気候変動に関するガバナンス体制及びリスクマネジメント体制を強化すると共に、当社グループの事業におけるリスクと機会の分析や、その財務的な影響、気候変動に関連した経営指標についての情報開示に努めております。当社グループのTCFD提言に基づく気候変動対応の詳細の開示内容は、次のURLからご覧いただくことができます。

(当社ホームページ)https://www.tess-hd.co.jp/company/tcfd.html

(注1)ESG:

Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの頭文字からなる企業活動の社会持続性に関する指標のことであります。

(注2)SDGs:

2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で発展途上国のみならず先進国自身が取り組むべき事項として掲げられた国際社会共通の目標であり、エネルギー、経済成長と雇用、気候変動等に対する取り組みをはじめとして計17の目標にて構成されております。

(注3)エネルギーソリューション:

 当社グループが事業活動を通して顧客に提供するエネルギーに関するサービス全般を指します。

(注4)パリ協定:

 第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)にてCO₂排出量に削減目標を定める温暖化対策の世界的枠組みとして日本を含め196の国々による合意に基づき2015年12月に採択された国際協定であります。日本は本協定に対して2030年までに2013年比で温室効果ガス排出量を46%削減することを目標として掲げております。

(注5)エネルギー基本計画:

 エネルギー政策基本法第12条に基づき制定される、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るためのエネルギーの需給に関する基本的な計画のことであります。

(注6)GX実現に向けた基本方針:

GX(グリーントランスフォーメーション)を通じて脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現するべく、2023年2月に閣議決定された取組方針であります。

(注7)国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency ):

1974年に設立されたエネルギーセキュリティやエネルギーに関する政策協力を行うためのOECDの枠内における自律的な機関であります。

(注8)FIT認定:

「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」に規定される、経済産業大臣による再生可能エネルギー発電事業計画の認定のことであります。

(注9)FIP制度:

 再生可能エネルギー発電事業者が発電した電気を卸電力取引市場や相対取引で売電をした場合に、基準価格(FIP価格)と市場価格の差額をプレミアム額として交付する制度のことであります。

(注10)ユーティリティ設備:

 工場の生産設備の稼働に必要な電気、蒸気、水、圧縮空気、燃料等を供給する設備のことであります。

(注11)コージェネレーションシステム(CGS:Co-Generation System):

 分散型エネルギーリソースの一つで、発電と同時に発生する熱を冷暖房や生産プロセスに利用する熱電併給システムのことであります。CHP:Combined Heat & Powerと呼称される場合もあります。

(注12)レジリエンス対策:

 企業活動が停止してしまうような事態に直面した際にも、受ける影響の範囲を小さく抑え、通常と同様のレベルで事業を継続できるような対策を講じておくことであります。

(注13)エネルギーリソース:

 電気や熱等のエネルギーを供給又は貯蔵することができる設備(発電システム、蓄電池システム、ボイラ)等のことであります。

(注14)ERAB(Energy Resource Aggregation Businesses):

DR(注21)やVPP(注22)を用いて、一般送配電事業者、小売電気事業者、需要家、再生可能エネルギー発電事業者といった取引先に対し、調整力、インバランス(注23)回避、電力料金削減、出力抑制回避等の各種サービスを提供することであります。

(注15)オンサイトPPAモデル:

 当社グループが発電事業者として、需要家の構内において自家消費型太陽光発電所等の所有・維持管理等を行い、当該発電所等から発電された電力を需要家に供給する契約方式のことであります。

(注16)PKS:

Palm Kernel Shellの略称で、パーム椰子の種からパーム油を搾油した後に残った椰子殻のことであります。

(注17)燃料転換設備:

 工場の熱源として利用する燃料を石油から天然ガスへ転換するための設備のことであります。

(注18)エネマネ事業者:

「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業)」及び「省エネルギー投資促進支援事業費補助金(省エネルギー投資促進支援事業)」において、一般社団法人環境共創イニシアチブが指定する計測・見える化等の機能を備えたエネルギーマネジメントシステムを用いて、エネルギー管理支援サービスを提供する事業者のことであります。

(注19)アグリゲーションコーディネーター:

 需要家側エネルギーリソース(注24)や分散型エネルギーリソースを束ね、調整力として一般送配電事業者や小売電気事業者との電力取引や市場取引を行う事業者のことであります。

(注20)スマートグリッド:

IT技術を活用することで、電力の流れを供給側・需要側の両方からコントロールし、最適化する送電網のことであります。「次世代送電網」とも呼ばれます。

(注21)DR(デマンドレスポンス):

 需要家側エネルギーリソースの保有者若しくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御することで、電力需要パターンを変化させることであります。

(注22)VPP(バーチャルパワープラント):

IoT技術を活用して分散型エネルギーリソースを遠隔から統合制御し、1つの発電所のように機能させることによって、電力の需給バランスを調整することであります。

(注23)インバランス:

 電気の小売供給において小売電気事業者が事前に策定した需要調達計画と実績の差分のことであります。

(注24)需要家側エネルギーリソース:

 需要家の受電点以下(behind the meter)に接続されているエネルギーリソース(発電設備、蓄電設備、需要設備)を総称するものであります。

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