テクノフレックス
【東証スタンダード:3449】「金属製品」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社及びその企業グループとしての経営の基本方針は次のとおりであります。
a.経営理念
『従業員の幸せを追求すると共に、価値ある製品づくりに真心で挑み、世界の発展に貢献します。』
企業活動の主体である社員の質の向上こそが、当社の基盤です。社員の真の満足は、仕事のやりがいと達成感にあると思われます。
会社は社員の期待に応えるため、皆がスキルアップできる環境をつくり、意欲を持って仕事に取り組むことができるようサポートしていきます。
また、新たな課題に対しても果敢にチャレンジする社風を築き、いつも精一杯、真心込めて製品の価値の向上に努め、お客様の満足を第一に、ひいては世界中の人々へ喜びと幸せをもたらす事業を追求してまいります。
b.行動指針
「常にスピードを重視します。」
IT技術の進歩により、あらゆるものの価値が急速に変化していく現代。新しい情報をいち早くキャッチし、迅速な意思決定力と実行力で躍動感ある対応を心がけます。
「常にスキルアップに努めます。」
社員一人ひとりが、一日の中で少しでも進歩できるように考えること。そして、会社はそのための環境づくりを心がけます。
「常に先を読んで行動します。」
公共事業費の削減等により、当社グループも既存事業にばかり頼ることはできません。企業として安定した成長を維持するためにも、短期的な視野ではなく、常に5年先、10年先を見据えて行動します。
「常にチャレンジ精神を大切にします。」
批判されることを気にしていては、結局何もできません。常に新しいことを考える意識、失敗を恐れず積極的にチャレンジする精神を大切にし、社員一人ひとりのやる気に応えます。
「常に技術革新を目指します。」
事業の持続的成長の鍵は、技術革新にあります。既存の製品に満足することなく、常にお客様のニーズをくみ、新しい技術の開発に取り組みます。
「常に地球環境を大切にします。」
地球の温暖化は、この星に生きるすべての生命にとって切実な問題です。当社グループも地球の一市民として、環境保全活動を重要課題として取り組みます。
(2)中長期的な会社の経営戦略
a.常に「新しいビジネスに挑戦しているか」「常識の打破に挑戦しているか」「高い理想の追求を行ったか」を念頭に置いて、次の4つのキーワードをベースに更なる成長を目指してまいります。
Global :フレキシブル継手の世界展開を視野にいれた戦略への転換
Technology:「安心安全をつなぐ」をコンセプトに新たな付加価値を提供
Synergy :製造業を中心としたビジネスの多層化による付加価値の追求
System :営業・製造業務の全体像からのシステム構築
b.度重なる災害による防災意識の高まり、老朽化した社会インフラを長寿化するニーズの増加、脱炭素、クリーンエネルギーへの移行、ロボティクス等新テクノロジー分野の台頭、高齢化社会における地域包括ケアシステムの構築の動き等の中、「国内外の勝てる市場」を発掘し、その市場への集中投資により成長を実現することを当社グループの経営戦略としております。また、省エネや革新的な環境対策を進めることは重要な企業の役割と考え、SDGsへも積極的に取り組んでまいります。
c.その目標を達成するため、①収益力、グループ力の強化、②人材育成を通じての組織の活性化、③中期経営計画を策定し、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
具体的には、継手事業の国内での圧倒的なシェアの確立と世界展開を視野に入れた戦略を検討してまいります。海外生産拠点機能の一部を天津工場からベトナム工場へ移管し、最新鋭の機械装置による生産効率の追求をいたします。また、防災・工事事業では、首都圏における安定した経営基盤をもとに、継手事業との協業、加工管設備による差別化等によりシェアを拡大してまいります。自動車・ロボット事業では、自動車マーケット依存構造を改善し、ロボットマーケットの拡大を図り、自動車マーケットの中ではEV化対応を進めてまいります。介護事業では、差別化製品の取扱い、海外調達による価格競争力等により、介護ビジネスでの収益力向上を計画しております。
(3)資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
当社グループは、3ヶ年の中期経営計画を策定し、毎年見直しを行っております。その中で、企業価値向上のために、財務基盤を強化し事業投資に対する適正な評価と最適な資本構成を実現し、徹底した経営効率の改善により、資本効率を更に高め、経営の安定性及び株主還元を重視することで、ROE及び連結配当性向の向上に努めてまいります。
現状分析は、ROEと共にPER及びPBRを指標として用い、結果を取締役会で報告しております。これら指標の最近5連結会計年度の推移及び目標は、下記表の通りです。
指標 | 2020年12月期 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 目標 |
株価収益率 (PER) | 15.30倍 | 11.56倍 | 7.64倍 | 20.64倍 | 15.24倍 | 18.00倍 |
株価純資産倍率 (PBR) | 0.99倍 | 0.98倍 | 0.82倍 | 0.89倍 | 0.86倍 | 1.20倍 |
自己資本利益率 (ROE) | 6.5% | 8.8% | 11.4% | 4.3% | 5.7% | 8.0% |
また、現状分析の結果及び目標達成のための取り組みは、下記の通りです。
現状分析の結果 | 目標達成のための取り組み |
・ 景気変動や設備投資の動向により、業績に影響が生じやすい。 ・ 為替影響(金属材料の価格変動等)による利益率の増減が大きい。 | ・ グローバル展開と成長分野への投資を促進し、リスク分散を図る。 ・ 製造の効率化により利益率を改善し、為替影響による利益の増減率を小さくする。 |
(4)経営環境及び対処すべき課題
当社グループの各事業を取り巻く経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。
a.継手事業
(a)継手事業は、景気変動や国内外の設備投資の動向、特に建設投資の動向に影響を受けることから、事業のグローバル展開と開発、製造、営業の一貫性による既存事業の強化を課題として認識し、以下の対応を行ってまいります。
・フレキシブル継手については、グローバルな生産拠点(ベトナム工場)への投資やグローバルシステムへの投資を通じて原価低減を図り、高付加価値製品のシェアアップを目指します。
・真空機器については、半導体業界を中心に短期的な調整局面はあるものの、中長期的には5G等の本格的な普及の中で拡大するものと想定しており、当社グループもグローバルな製造拠点をベースに今後の市場拡大に沿って成長を図ります。
・製造部門に対する積極的な設備投資の実行及びIT化の推進により生産性を向上させ、納期の短縮化及び品質管理の徹底を図ります。
・2019年8月 主力製品であるスプリンクラーフレキシブル継手の安全性と施工性を高めた製品を市場に投入しました。安全性を重視した製品はこの製品だけで、消防推奨製品の指定を頂いています。安全性を全面に出し他社との差別化を図ると共にシェア拡大に努めます。
・2020年7月にベトナム第3工場が完成しました。グローバルな生産拠点としての役割を担い、2024年から米国顧客への直接販売を開始しました。
・2020年10月に、国内の製造・営業の基幹システムの入れ替えを行い、管理会計の高度化と海外工場とのシステム連携による生産性の向上を進めております。
・2021年6月に、新潟第4工場が完成しました。引き続きマーケットニーズに対する対応力を強化してまいります。
・2024年4月に、千葉工場の拡張工事が完了し、稼働に向けた設備の設置や試験運転を進めております。今後は、生産力の増強した千葉工場へ、海外製造拠点での部品・半製品の製造を移管し、輸送距離の短縮による環境影響の縮小、コスト削減及び為替リスクの回避を図ってまいります。
・水道管老朽化対策において施工上のメリットがあるSDF工法(注)をテーマに、フレキシブル継手の販売を促進します。
(注)SDF工法
老朽化した水道本管を交換せず、補修、再生する工法の一つで、従来の既設管内挿入工法では施工できない曲がり管を含む本管にステンレス製のフレキシブル継手を引き込み、管路更新工事を行う工法。軌道下や河川下の伏せ越し配管、交通量が多い道路の横断など開削が困難な場所に敷設されている。
・営業体制全体としては、コールセンター、ネットのシェアアップにより効率化を図り、商品・製品構成を基にした価格戦略でフレキシブル継手市場でのシェア向上を目指します。また、フレキシブル継手、伸縮管継手市場でのトップシェア(2018年度。出所:矢野経済研究所による当社宛の「2019年度管継手市場動向調査」)の維持に努めます。
(b)無駄の見える化・排除、組織の活性化を課題として認識し、以下の対応を行ってまいります。
・徹底したコストダウンを推進するため、組織風土を改革し、組織の活性化に取組んでまいります。
・内外の工場において、ロボット、自動溶接機等への積極的投資により生産性向上を図ってまいります。
・顧客ニーズを吸収し、製造本部は技術本部と連携し、他社比優位性・付加価値のある製品を生み出してまいります。
b.防災・工事事業
防災・工事事業は、継手事業と同様の経営環境にあることから、事業ポートフォリオを拡大してまいりました。主な事業は、消防設備分野と真空配管分野の配管工事及び配管加工であり、共に売上拡大とa.継手事業とのグループのシナジー活性化を課題として認識し、以下の対応を行ってまいります。
・消防設備分野は、首都圏の建設工事を中心に実績を積み上げ、首都圏の大型再開発工事を受注できるまで成長してまいりました。特に消火用スプリンクラーの設置工事を得意としており、スプリンクラーフレキシブル継手(継手事業)とのシナジーを発揮しています。今後の成長に関しては、首都圏に留まらず、地方の大型工事案件を受注し、シェアを拡大することが必要と考え、現在は、北海道や九州の半導体工場や、国内各地のデータセンター等、地方の大型工事を積極的に受注しております。特に北海道に関しては、道内に進出する半導体関連企業の施設やデータセンター等の建設需要拡大が見込まれており、半導体工場向けの配管加工工場として建設した北海道工場を活用して、受注拡大に努めてまいります。
・真空配管分野では、半導体産業の成長によるマーケットの拡大が期待されており、参入企業との競合が予想されます。そのため、真空配管分野の成長には、厳しい競合下での確実な受注が欠かせないものと認識しております。当社グループは、国内の半導体工場向け真空配管の基礎を築いた企業の1社であることから、国内の多くの半導体工場で、真空配管工事に携わり、また、真空機器(継手事業)を販売してまいりました。その経験から得たノウハウや実績を活用し、確実に受注してまいります。
c.自動車・ロボット事業
自動車・ロボット事業は、主な販売先が自動車業界と産業用ロボット業界であり、これら特定の業界の景気動向の影響を受けやすい経営環境にあることから、事業ポートフォリオの多様化と収益性の向上を課題として認識し、以下の対応を行ってまいります。
・自動車業界向けの金属部品は、国産乗用車向けを中心に販売してまいりましたが、国内の乗用車需要の変動影響を大きく受けるため、乗用車とはマーケットの異なる貨物自動車向けや、海外の自動車メーカー向けの販売を強化し、特定車種の販売動向による業績影響の緩和を図ってまいります。
・ロボット業界向けの金属シャフトは、特定メーカーの大型機種への依存度が高く、顧客の販売動向が当事業セグメントの業績に大きく影響しているため、金属シャフトに限らない多種多様な産業用ロボット向け金属部品のバリエーションを整え、参入マーケットを増やしてまいります。
・自動車業界と産業用ロボット業界に続く、第3の市場開拓にも注力しております。金属塑性加工を施し軽量化した金属部品は、自動車・ロボット以外の市場でも需要があり、半導体工場の製造ラインで、部材を供給する装置に採用されております。この様な新しい市場を開拓し、業績の安定と成長を促進してまいります。
d.介護事業
介護福祉用具レンタル市場規模は年々拡大傾向にあるものの、レンタル・販売価格については法令等により制約され、横ばいから下降傾向にあります。介護保険制度の改正による、利用者の自己負担の増加を起因として、福祉用具の利用を控えることによるレンタル・販売減少で事業環境の悪化に対応した事業展開をすることを課題として認識しております。在宅の利用者(要介護者)が希望する生活を営むための支援機器・用品へ、どのように対応していくかがポイントと考え、以下の対応を行ってまいります。
・取引先や出店エリアの選択と集中及びコストダウンによる事業効率化の推進により、収益を拡大してまいります。
・地域一番店に向けて法令遵守と定期点検で信用を構築してまいります。
・居宅介護支援事業の拡大による利用者数の増加を背景にしたヘルパー事業への展開、福祉用具のメンテナンスや洗浄/保管といった受託事業への展開及び障碍者就労支援事業への展開等を視野に入れ、福祉用具の製造小売から地域レンタルまで行う、一気通貫の新ビジネスモデルの構築に注力してまいります。
なお、当社連結子会社において、複数年にわたり外注先との間で架空の取引等が発生している可能性が判明しました。これを受け、当社は2024年2月5日付で特別調査委員会(外部の独立した第三者である弁護士及び公認会計士を含む)を設置して調査を開始し、2024年3月26日に同委員会より調査報告書を受領しました。その結果、当社連結子会社において、得意先及び外注先との間で架空の取引に係る代金の受領及び支払がなされていた事実が判明しました。本件事案につきましては、2024年3月26日付「特別調査委員会の調査報告書受領及び当社の対応に関するお知らせ」にて公表いたしました特別調査委員会の調査報告書による指摘・提言を真摯に受け止め、2024年4月15日付「再発防止策の策定に関するお知らせ」にて公表いたしました再発防止策を実施し、内部統制の強化に努めております。
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