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【東証プライム:6619】「電気機器」
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企業概要
リチウムイオン二次電池産業は、従来の民生機器に加え電気自動車や蓄電システムに用途が広がり、各国のエネルギー政策や自動車産業に大きな影響を及ぼす産業にまで成長してきました。当社ではこのような環境のなか、特に先進国向けの電気自動車(以下、EV)用途に参入するため、製品開発及び設備投資に取り組んでまいりましたが、欧米のEVに対する政策等の変化によるEV需要の低迷により業績の悪化が顕著となっています。そのため、当社では電池メーカーとともに電池の新規用途への展開やメンブレン技術を応用して新規分野への参入に取り組んでいます。そして、この取り組みによる成果を確実なものとして、来期以降の事業の成長と財務基盤の安定性を確保していくことが、投資家の皆様のご期待に沿えることにつながるものと考えており、当社価値の指標をROIC(投下資本利益率)で示し、当社の付加価値について投資家とのエンゲージメントに活用していくこととしています。
この目標を達成するために、当社グループでは以下の点を優先的に対処すべき事業上及び財務上の重要課題として取り組んでまいります。
① 新規顧客の拡大
当社グループは、大手顧客を中心に販売活動を行ってまいりました。これまで、限られた大手顧客からの受注が大きかったため、設備投資を積極的に行い、生産能力を振り向けざるを得ない状況が続いてきました。しかし、これまでの事業環境が大きく変化しています。そのため、この環境変化に対応すべく、顧客やアプリケーションの多様化に向けて営業活動を強化してまいります。
② ビジネスリスクの分散
当社グループは、リチウムイオン二次電池用セパレータを主要事業として取り組んでまいりました。現在生じている電池業界の環境変化に直面し、新たな分野に進出し複数の事業に取り組むことで、ビジネスリスクの分散を進めております。そのため、これまで培ったメンブレン技術を利用して、イオン交換膜事業等の新たな事業分野に積極的な事業展開を行ってまいります。
③ 資金調達
当社グループが取り組んでいる事業分野は設備産業であり、多額の資金が必要なビジネスです。そのため積極的に設備投資を行ってまいりました。また、今後もメンブレン技術を利用して新たな事業分野で積極的に事業を進めてまいります。そのために、製造設備投資、研究開発投資び運転資金の増大に対応した資金調達は、事業を成長、継続していく上で重要な課題であると認識しており、今後も財務基盤の充実強化に取り組んでまいります。
④ 生産体制の向上
リチウムイオン二次電池用セパレータ事業は、電池需要の低迷により販売価格が低下傾向にあります。そのため、当社グループでは生産性向上に向けた既存の生産設備の改良に取り組んでまいりました。今後、この改良設備をすべての設備に導入し、販売価格の低下に対応してまいります。また、イオン交換膜事業においても生産設備を導入し、イオン交換膜設備の製造原価の低減を進めて競争力を確保してまいります。
⑤ 持続可能な成長に向けた取り組み
世界各国のSDGsへの取り組みは、環境保全と社会貢献を経営理念としている当社にとって重要な課題です。そのため、様々な事業分野で当社のメンブレン技術が環境にやさしく、社会に貢献していく製品を追及していくことと合わせて、ESG経営への取り組みを促進していくことが、持続可能な成長に必要不可欠なことであると認識しています。今後、ESG委員会を通じて、グループ内でESGに関する啓蒙活動、グループ間での情報共有及び情報発信などを進めていくこととしています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
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