企業兼大株主タダノ東証プライム:6395】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、「創造・奉仕・協力」の経営理念のもと、企業価値の最大化と持続可能な事業活動を行うことで、地球環境の保全と持続可能な社会の実現に貢献し、世界にそして未来に誇れる企業を目指します。

(「タダノグループサステナビリティ憲章」より)

(2) 経営環境

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中、各種政策効果もあり、緩やかに回復しました。海外においても、一部地域に足踏みがみられるものの、景気は緩やかに回復しました。

 一方で、世界的な金融引き締めや米国の政策動向による影響、中国経済の先行き不透明感に加え、地政学的リスクの高まり、物価・人件費をはじめとしたコスト増加等もあり、世界経済の下振れが懸念されます。

 私どもの業界は、日本では、大規模工事が実施・計画されているものの、慢性的なオペレーター不足や2024年4月1日から適用された労働時間上限規制の影響見極めの動きもあり、需要は減少しました。海外においては、需要は北米・アジアは横ばいで推移、オセアニア・アフリカは減少したものの、中東・中南米等が増加し、全体としては増加しました。

 次期の見通しについては、米国の政策動向による世界の政治・経済への影響や中国・欧州経済の先行き不透明感に加え、地政学的リスクの高まり等もあり、より一層先行き不透明感が増しています。

 当社グループを取り巻く市場環境につきましては、日本では、公共投資は堅調に推移し、需要を下支えするものの、住宅関連などの民間工事に弱さが見え始めております。海外では、資源関連やインフラ関連プロジェクトが堅調な中東や中南米が底堅く推移するとみられるものの、先行き不透明感が増す欧州や北米では需要減少が見込まれ、全体として弱含みで推移する見込みです。

 原材料価格の上昇は落ち着きつつあるものの、人件費をはじめとしたコストは増加傾向にあり、製品価格の見直し等による利益確保を継続します。また、将来の持続的成長に向け、引き続き電動化などの環境対応をはじめとした新製品開発や、買収企業の統合・生産体制の再構築に向けた投資を計画しております。

 なお、2024年(暦年)での建設用クレーンの地域別需要台数について、過去5年間の推移を示すと、以下のような状況になっております。

 日本においては需要が減少しましたが、海外では地域差があるものの増加基調が継続しております。下記の表には示しておりませんが、引き続き中国国内の需要が減少傾向にあり、中国域外への輸出ドライブが続いている状況にあります。このため、中南米や中東を始めとする地域において、その影響が大きく出ているものと認識しております。

(建設用クレーン地域別需要台数推移)

 

2020年

2021年

2022年

2023年

2024年

対2023年比

欧州

1,390

1,360

1,470

1,470

1,540

105%

北米

980

1,090

1,150

1,480

1,500

101%

中南米

200

370

590

880

1,500

170%

アジア

1,020

1,360

2,020

2,720

2,650

97%

中東

480

520

910

1,840

2,580

140%

オセアニア

160

300

440

470

190

40%

その他

1,010

1,780

3,320

4,270

4,560

107%

海外計

5,240

6,780

9,900

13,130

14,520

111%

日本

1,520

1,420

1,380

1,450

1,380

95%

合計

6,760

8,200

11,280

14,580

15,900

109%

※上の表に中国国産の中国市場向け、ロシア国産のクレーンは含んでおりません。

※その他は、アフリカ、CISを含んでおります。

(3) 中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標と対処すべき課題

当社グループは、2008年度以降、事業領域を「抗重力・空間作業機械=Lifting Equipment(LE)」と定めております。企業価値の最大化と持続可能な事業活動を行い、長期目標である「LE世界No.1」の実現に向けて、3年毎に中期経営計画を策定しております。

2024年初めに「中期経営計画(24-26)」を策定し、新たな3か年の中期経営計画をスタートしました。

「Reaching new heights ~新たなステージへ~」をスローガンに、業界のリーディングカンパニーとして、お客様の安全と地球環境に配慮した新たな価値を提供するための戦略を推進します。

成長戦略の骨子として、(1)脱炭素化を加速、(2)新たな領域への挑戦、(3)強みを活かしたものづくり改革、(4)変革を支える足場固め、を掲げると同時に、持続的な成長に向けた「資本コストや株価を意識した経営」と「サステナビリティ課題への対応」を重視し、「世界にそして未来に誇れる企業」を目指します。

中期経営計画(24-26) 基本方針:


(1)脱炭素化を加速

当社グループは2023年に世界初のフル電動ラフテレーンクレーン「EVOLT eGR-250N」の販売を日本市場で開始しました。これまで走行、クレーン作業で発生していたCO2排出をゼロにし、当社が掲げる製品における長期環境目標の実現へ近づけます。2024年11月には、フル電動ラフテレーンクレーンの第2弾として、北米向けの「EVOLT eGR-1000XLL」を発売、2025年4月にドイツにて開催される建機展(Bauma展)への出展を予定しております。

また、2024年12月には、有線式電動CC.88.1600-1(超大型クローラクレーン)の開発を発表いたしました。最大 1,600 トンの吊り上げ性能を誇る超大型製品を電気で動かすことで、クレーン作業中の CO2排出をゼロにすることができる世界最大級(当社調べ)の画期的な装置となります

これら環境負荷の無い製品は「Tadano Green Solutions」として位置づけ、積極的に社会へ届けることで、環境対応をリードしてまいります。

(2)新たな領域への挑戦

これまで日本での販売が中心であった高所作業車の海外展開を加速させてまいります。2024年2月に長野工業株式会社(現:㈱タダノユーティリティ)が当社グループに加わりました。製品ラインナップの拡充と、開発・生産面でのシナジー発揮による新たな製品づくりを進め、当社グループが築いてきた世界中の販売網を活用して拡販に努めてまいります。

2024年9月には、米国Manitex International, Inc.の株式取得等に関する契約を締結いたしました。同社の買収は、当社グループの主要3品目である「建設用クレーン・車両搭載型クレーン・高所作業車」のうち、車両搭載型クレーン・高所作業車のグローバルビジネス拡大につながり、将来的には、よりバランスの取れたポートフォリオ構成となることを期待しております。2025年1月2日に買収が完了し、今後は当社グループが有していなかった新たな製品ラインナップの拡充を図るとともに、既存製品と類似のコンポーネントについては、最適調達によるコストダウンを、販売やカスタマーサポートにおいては効率的な事業運営を目指してまいります。

また、2024年11月には、株式会社IHI(以下、「IHI」)の連結子会社であるIHI運搬機械株式会社の運搬システム事業を当社グループ会社化することを決定いたしました。今後IHIが、新たに設立する会社(以下、「新設会社」)に対して、対象事業を継承させた上で、当社が新設会社の全株式を取得する契約を締結しております。当社グループは「移動式クレーン」の分野では長い歴史とグローバルでの販売実績を有していますが、同事業が有する「固定式クレーン(港湾クレーン・タワークレーン)」は新たな製品群となります。また、当社グループがドイツで生産する「ラチスブーム式クローラクレーン」とも親和性があり、世界中でニーズが高まっている洋上風力分野においても今後の活躍が期待される「リングリフトクレーン」も有しております。当社グループの事業領域(LE:Lifting Equipment)における新事業分野への挑戦として本事業の買収を決定いたしました。なお、買収完了は、2025年7月を予定しております

新たな事業展開を進める一方で、安全で効率的な建設現場の実現に向け、自動操縦や遠隔操作など新技術への取り組みも進めております。

(3)強みを活かしたものづくり改革

当社グループ事業は多品種少量生産であり、ボリュームに頼らない生産効率の改善やコスト低減は、当社だけでなくサプライヤーにおいても大きな課題です。開発生産拠点がある日・独・米それぞれの強みを活かした最適なものづくり体制を構築し、収益力の最大化と安定供給に努めます。

当社の設計思想である「TKN: T=作りやすい K=壊れにくい N=直しやすい」をグローバルに展開し、設計段階から当社だけでなくサプライヤーの作りやすさ・コスト低減を意識したものづくりを推し進めます。

欧州で生産しているオールテレーンクレーンについては、ドイツの工場集約を進め生産効率を改善してまいります。2024年2月に公表した工場再編計画については、関係者との協議を終了し、2025年6月末をもってバラシャイド工場の閉鎖ならびに譲渡を決定しております。ドイツでは中型から大型に至るモデルの生産に特化し、小型モデルについては、日本への生産移管を進めております。日本及びドイツ双方の強みを活かすことで、コスト競争力と品質・納期の安定性を改善してまいります。

(4)変革を支える足場固め

各種戦略を強く推し進めるための足場固めも重要な取り組みとなります。

サービス力の強化では、資源循環型ビジネスの実現に向けて再生事業の拡充に取り組みます。また、既納製品の価値を維持・向上させるレトロフィット(後付け改造・強化部品)についても強化してまいります。加えて、部品供給体制の見直しも進めております。アジアでの部品供給体制の再構築、欧州における部品倉庫の新設など、引き続き顧客満足度向上を図ってまいります。

また、当社グループにとって人財は競争力の源泉であり、「持続可能な経営」を実現する重要な要素のひとつと捉えております。2024年には、当社の「ジョブチャレンジ制度」を通じ、性別を問わず活躍できる環境があることについて、高い評価をいただき、WOMAN's VALUE AWARD~リケジョ応援~2024「優秀賞」を受賞いたしました。採用面においては、新たに海外大学在籍の外国籍学生の採用も開始しております。今後も、中期経営計画に連動した人財基盤の強化を進めてまいります。

PR
検索