タカミヤ
【東証プライム:2445】「サービス業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、仮設機材等の提供を通じて質の高い高付加価値サービスをお客様に広く提供し、事業を通じた社会貢献を果たすことを企業理念としております。建設業界を取り巻く環境が急速に変化するなか、当社グループは、常にお客様のニーズを的確に捉えた新商品開発とサービス向上に努め、新たな価値を提供し続けることで、企業としての持続的成長とステークホルダーへの貢献を目指してまいります。
(従来ビジネスモデルから仮設業界のプラットフォーマーへ)
仮設機材レンタル事業を基盤として発展してきた当社グループは、資産取得による収益拡大モデルから脱却し、バランスシートに依存しない収益基盤の確立に取り組んでおります。事業の拡大と資本効率の向上を両立するため、当社は新たな「ストックビジネス」へのトランスフォームを加速させています。
この転換は、単なる業態変化にとどまらず、建設・仮設業界の課題をプラットフォームの力で解決するという、社会的意義の高い挑戦でもあります。
(トランスフォームに至った背景と事業環境)
当社グループの主要顧客である建設業界は、建設投資の変動に加え、エネルギー・原材料価格の高騰、人件費の上昇、さらには「2024年問題」による時間外労働規制の影響を受け、工事の停滞が深刻化しています。とりわけ労働力不足が深刻で、2024年時点の就業人口は約477万人と10年で約6%減少し、高齢化も進行しています。これにより、着工・完成の遅延が常態化し、未着工工事は高水準で推移しています。
また、建設会社各社は利益率重視の選別受注を進め、単価が上昇する一方、中小企業を中心に廃業が増加しています。背景には、IT化・DXの遅れがあり、特に中小建設業者では生産性向上が進んでいない状況が顕著です。一方で、エネルギー政策の転換やGX推進、半導体・データセンター等の投資拡大により、建設需要は質・量ともに多様化が進んでいます。
こうした環境下において、当社グループは景気変動に左右されにくい収益基盤の構築を目指し、プラットフォーム型ストックビジネスへの移行を推進しています。当社のサービスは、人手不足や生産性低下といった構造課題に対し、機材の効率活用や業務の可視化、省力化を通じて具体的な解決策を提供するものであり、既に業界全体での導入が進みつつあります。今後も継続収益の拡大とともに、さらなる業界浸透を図ってまいります。
(仮設業界におけるプラットフォームビジネスの展開)
当社グループは、建設業界が直面する構造的な課題「慢性的な人手不足」、「生産性の低下」、「設備保有コストの負担」、そして「デジタル化の遅れ」に対し、プラットフォーム事業を中核とすることで、顧客目線に立った実効性のあるソリューションを提供しています。
中核サービスである「OPE-MANE(オペマネ)」は、顧客が保有する仮設機材を当社の管理インフラ上で一元的に可視化・運用できる仕組みであり、全国の拠点ネットワークを活用することで、設備の保有リスクや人件費を削減するとともに、機材の回転率向上と資産効率の最適化を可能にしています。
さらに当社は、OPE-MANEに加え、不足材のタイムリーなレンタル提供、BIM・CIMを活用した3D図面の支援、材工一体型での仮設工事受注など、現場の実務課題に即した幅広いサービスを展開しており、顧客にとって、必要な時に最適な形で仮設ソリューションを利用できる環境を構築しています。
こうした顧客課題に根差したサービス提供が評価され、プラットフォーム導入企業数は着実に増加し、定着率も向上しています。リカーリング型収益も堅調に成長しており、当社のプラットフォーム事業は収益の安定化と成長の両立を実現する基盤として機能しています。一方で、業界全体では、デジタル対応や業務効率化の遅れといった課題が依然として存在します。当社はこれらの実情を踏まえ、今後も現場起点でのニーズ把握を継続し、機能・サービスの改善・拡充に積極的に取り組んでまいります。
当社は、仮設業界のプラットフォーマーとして、顧客の課題解決に貢献し続けることで、建設業界の持続的発展に寄与するとともに、自社の企業価値向上にもつなげてまいります。
(サステナブルな成長に向けた経営姿勢)
当社は「2024–2026中期経営計画」に基づき、ROIC 3.0%以上の達成をKPIとし、すべての本部・グループ会社の現場業務に具体的アクションとして落とし込み、定量的にモニタリングする体制を構築しています。また、人的資本投資の観点からも、初任給改定、人事制度改革、DX・付加価値領域の人材採用強化を通じて、持続可能な企業体質への転換を進めております。
加えて、原発関連事業を含む新たな社会インフラ領域や、GX・DX領域でのビジネスチャンスに柔軟に対応できるプラットフォーム体制を整備し、業界全体の課題解決と企業価値の向上を両立してまいります。
(2)経営環境
(市場環境)
2024年度の日本経済は、企業収益の持ち直しや旺盛な海外投資家の買い意欲を背景に、日経平均株価が史上最高値を更新するなど、緩やかな回復基調がみられました。一方で、ウクライナ情勢の長期化や中東地域における地政学的リスクの高まり、円安進行に伴う輸入物価の上昇、日銀によるゼロ金利政策の解除といった金融政策の正常化など、依然として不確実性の高い外部環境が続いています。
建設業界においては、「2024年問題」による時間外労働規制の適用開始を契機に、施工体制・工程管理への影響が顕在化しました。加えて、技能労働者の不足や高齢化、人件費の上昇といった構造的課題も重なり、人手の確保が一段と難しくなっています。
建設コスト面では、原材料価格や燃料・エネルギーコストの高止まりが継続しており、資材価格の上昇と相まって、請負単価の上昇や工期の遅れなど、プロジェクト遂行に与える影響が拡大しています。また、円安進行による輸入資材のコスト上昇も、企業の調達コストに影を落としています。
一方で、国土強靭化計画や防災・減災の観点から、全国的な社会インフラの更新・補修需要は底堅く推移しており、地方自治体を含む公共投資は一定の水準で継続しています。加えて、eコマースの拡大を背景に物流施設の新設が継続するほか、整備新幹線・都市再開発事業、データセンターや半導体工場など、戦略的な民間設備投資が活発化しています。
また、電力安定供給に向けた原子力発電所の再稼働に伴う安全対策・老朽設備の改修工事など、新たなインフラ投資も動き出しており、分野ごとに建設需要が顕在化しています。
このように、建設業界はコスト・人材・工期といった供給制約への対応を迫られる一方で、中長期的には戦略的な再投資・再構築の動きが広がっており、二極化した市場構造が進行しています。
(リスクと機会)
■リスク
・建設業界の人手不足・高齢化の加速
建設業就業者数は長期的に減少傾向にあり、2025年には団塊世代の大量退職により労働力不足が一層深刻化する見通しです。施工体制の維持が困難となり、工事の遅延・中断リスクが高まっています。
・物流業界の「2024年問題」の継続的影響
トラックドライバーの労働時間規制強化により輸送能力が低下し、建設資材や仮設機材の安定供給に支障をきたす懸念があります。
・建設コストの上昇
円安や原材料高、人件費上昇などを背景に建設原価が高騰しており、発注者側の採算悪化や投資判断の先送りにより、建設需要の下押し要因となっています。
・金利上昇に伴う資金調達負担の増加
日銀の金融政策の正常化に伴う金利上昇により、プラットフォーム事業を含む新規投資に係る資金調達コストが増加し、経営資源の最適配分に影響を及ぼす可能性があります。
・プレキャスト化の進展による現場施工需要の変化
橋梁など大型構造物におけるプレキャスト工法の普及により、現場施工型の支保工や仮設機材の需要が一部縮小しています。
・整備人材・現場支援人員の確保難
整備・点検・現場支援を担う専門人材の確保が年々困難化しており、サービスレベルや提供能力の低下がリスクとなります。
■機会
・建設業界の構造課題に対応するプラットフォームニーズの拡大
深刻な人手不足、省力化要求の高まり、IT・DX対応の遅れといった建設業界の課題に対し、当社のプラットフォームは業務効率化・機材管理の最適化・業務可視化を支援する手段として注目されており、導入の裾野が拡大しています。
・仮設足場の高度化と需要の質的変化
労働安全衛生規則の改正により、安全性・作業性を高めた次世代足場の需要が増加しており、当社が提供する高機能機材の採用が進んでいます。
・再開発・インフラ更新需要の顕在化
リニア中央新幹線や北海道新幹線関連工事、老朽インフラの更新、地震・風水害後の復旧など、国家規模の再開発案件が当社の施工支援領域と高い親和性を有しています。
・成長分野への建設投資拡大
AI・半導体需要の急拡大を背景に、データセンターや製造拠点等への建設投資が進展。再生可能エネルギー、次世代電源施設、原子力発電所の再稼働など、エネルギー分野のインフラ整備において仮設施工支援の需要が高まっています。
・都市部での建替え需要の創出
改正区分所有法などにより老朽マンションの建替えが進むことで、新築工事に伴う仮設機材・施工支援ニーズの発生が期待されます。
・資本効率経営の浸透に伴うアウトソーシング活用
ROICなど資本コストを意識した経営が上場企業を中心に広がり、設備の自社保有を避ける傾向が進行し、外部サービスやプラットフォームの活用が拡大する可能性があります。
・AI・DXによる業務の高度化・新市場創出
現場管理、設計支援、機材運用等におけるAI・DXの導入が進展しており、当社のサービスが新たな業務領域に拡張される余地があります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と中長期的な会社の経営戦略
[中期経営計画 2024-2026ビジョン]
タカミヤプラットフォームとDXで新たな価値を創造し、業界初の足場プラットフォーム企業へ
当社グループが提供するタカミヤプラットフォームは、「儲かる」「助かる」そして「喜ばれる」魅力的なサービスへと磨き上げられ、多くの方から選ばれ、相互に収益を拡大、発展成長をもたらします。タカミヤプラットフォームは、当社グループの働き方が根本的に変わる、DXを取り込んだ新しい業務スタイルによって従業員や関係取引先、さらには株主・投資家からも選ばれ、共に発展していける業界に欠かすことができない「エコシステム」となることを目指しております。
[中期経営計画基本方針]
(プラットフォームビジネスの確立・定着による収益基盤の確立)
プラットフォームビジネスは、利用者の囲い込みとリカーリングによって収益が成り立ちます。利用者のインサイトを分析し、魅力的なサービスへと磨き上げることで累積顧客を増加定着させ、リカーリングによる安定収益の確保を目指します。
(DXと人的資本投資による成長基盤の確立)
積極的なDX投資によって、プラットフォームの顧客利便性と当社グループの生産性の双方を向上させます。当社グループの成長基盤を支える人財に対する人的資本投資に力を注ぐことで、プラットフォームの付加価値向上と盤石な成長基盤の構築を目指します。
(海外事業における収益向上)
海外事業子会社は、経営基盤が整備され、収益回収と事業拡大フェーズに移行します。海外子会社があるフィリピン、ベトナム、韓国の他、グローバルな需要に対応できる体制を整え収益の向上を目指します。
(資本コストと株価を意識した経営の浸透)
事業の成長投資が先行するため、有利子負債の増加が見込まれます。有利子負債に限らず資本の効率運用を当社グループに浸透させることで、投下資本利益率の水準を高め、企業価値向上、株主・投資家にとって魅力的な企業を目指します。
[課題・重点施策]
このような環境下において当社グループがビジョン実現のために掲げた基本方針をもって事業を推進してまいります。当社グループが認識した課題に対して、以下の重点施策をもって中期経営計画の実現、事業成長を目指します。
(OPE-MANE利用者の拡大)
プラットフォームの主力サービスである「OPE-MANE」は、プラットフォームの基礎となる顧客基盤を確保する重要な役割を担っています。この利用者を中心に、その他のサービス利用が促進されるため、土台となるOPE-MANE利用者の獲得は重要な課題として認識し、利用者拡大を推進いたします。
(顧客サービスの基幹となる管理物流機能の整備・拡充)
OPE-MANE利用者の利便性を担保するうえで、預り資産の管理運用はサービスの中核を担っています。時間経過と共に増加する預り資産、不足機材を補う賃貸資産の保有増に対応するため、資産を効率よく稼働させる整備体制、利便性を高める好立地へのBase(機材管理物流拠点)の開設は、プラットフォームの魅力を高めるうえで重要であると認識しております。
(顧客の信頼獲得のための安全・安心の可視化)
プラットフォームで預かる資産(仮設機材)は、利用者の所有物であり、それらの減価減耗は、顧客の損失になると同時に当社グループへの信頼の失墜につながります。ゆえに預り資産の管理を透明化し、所有者が常に状態を把握できるよう可視化に努めることは、プラットフォームでの顧客資産の保全並びに信頼獲得に寄与いたします。また、ここでの取り組みが当社グループの生産性向上につながります。
(適正価格による付加価値サービスの提供)
従来仮設機材業界において、安全性や品質について多くを求めず、兎角、サービスの無償提供や価格競争に陥りがちでした。当社グループは、足場の階高を高めることで安全、効率的に作業できる作業用足場を提供し、また、仮設工業会認定以上の品質基準をもって機材の提供を行っています。また、一部義務化されている3D図面の自動生成など高付加価値サービスを提供することで、顧客が納得のいくサービスを提供し、その対価を適正価格にて供給することが業界の質的発展に寄与するものと認識しております。適正価格での提供は、顧客満足度をさらに高めるサービス開発に寄与するものとして、顧客の理解を得ながら継続して取り組んでまいります。
(海外拠点(フィリピン、韓国、ベトナム)の収益向上と、その他需要国への対応)
国内建設市場は、労働者不足などの影響で建設会社が選別受注し、工事量が平準化されつつあります。当社グループは、この状況下でプラットフォームにより安定収益を得るとの方針のもと事業を進めております。一方、海外において収益拡大を計ることも進めております。諸外国では、不安定な社会情勢や大規模災害、新興国での開発など当社グループとしては手つかずの市場があり、それら需要を収益化するための体制の整備が必要と認識しております。
(アグリ事業の抜本的な変革による収益基盤の構築)
仮設以外の事業部門の育成として、農業分野へ進出いたしました。新型コロナウイルス拡大の影響等で就労者不足となった農業は、厳しい環境に置かれています。一方で、食糧自給率を高めようとの政府の政策やアグリビジネスベンチャーの台頭により、生産性の高い高付加価値農業が広がっています。当社グループは、これらベンチャー企業等との連携によって、事業拡大を目指し、埼玉県羽生市にTAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK(以下、「TAP」という。)を開設いたしました。多くの企業を招き、TAPにて先端農業の取り組みを発信することで、当社ブランド製品や参画企業の製品の周知拡販を目指します。
(付加価値向上のための人的資本、DXへの積極投資)
当社グループでは、DXによりプラットフォームの高付加価値化に努めています。この高付加価値を生み出すDX・IT人材に対しての投資を積極的に行います。初任給の改定、フレックスタイム制の導入やみなし残業時間の段階的な見直し、教育研修への積極的な投資を実施することで、従業員とのエンゲージメントを高めます。加えて、DX投資により業務改革や顧客サービスの付加価値向上を目指してまいります。
(WACCを上回るROICを実現するためのKPI導入)
当社グループの過年度におけるROICは、WACCを下回っております。資本効率の改善、株主・投資家からの期待に応えるため、ROIC改善は重要課題であると認識しております。ROIC改善のため、当社グループ各社、各部門において、営業利益率と投下資本回転率を向上させる施策を検討し、各施策にKPIを設定してROIC経営の浸透と数値改善を目指します。
(4)目標とする経営指標
当社は、毎期の業績目標を着実に達成することが企業価値の増大に繋がると考えております。そのため、2025年3月期の連結業績目標の達成に注力してまいります。
中長期的な事業成長を目指す当社といたしましては、安定的な株主還元と成長投資をバランスよく安定的させるため、事業成長と併せて、生産性向上、資本コストと株価を意識した経営を浸透させてまいります。そのため、売上高営業利益率及び投下資本回転率について、それぞれの数値目標を分解し、業務ごとにKPIを設定、実施することで投下資本利益率(ROIC)の向上、グループ内への浸透を目指してまいります。
(中期経営計画数値目標)
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| 2024年3月期 | 中期経営計画 2024-2026 |
業績指標 | 連結営業利益 | 3,404百万円 | 3,000百万円 |
財務指標 | 売上高営業利益率 | 7.7% | 5.7%以上 |
| ROE | 9.1% | 6.0%以上 |
| ROIC | 4.3% | 3.0%以上 |
プラットフォーム指標 | OPE-MANE利用者数 | 61社 | 累計284社以上 |
(投資計画)
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| 中期経営計画 3ヵ年累計 (百万円) |
投資計画 | 賃貸資産投資 | 16,879 |
| Lab・Base投資 | 10,282 |
| DX・人的資本投資 | 3,645 |
| 合計 | 30,807 |
(セグメント売上高)
| 2024年3月期 (百万円) | 中期経営計画 2027年3月期 (百万円) |
プラットフォーム事業 | - | 9,800 |
販売事業 | 12,597 | 11,170 |
レンタル事業 | 28,214 | 28,380 |
海外事業 | 7,897 | 8,050 |
注)プラットフォーム事業は、販売事業とレンタル事業の両事業から、プラットフォームサービスによる収益を抽出し、プラットフォーム事業として開示いたします。なお当社グループは当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しておりますが、2024年3月期セグメントごとの売上高については、報告セグメント区分変更前の数値で開示しております。
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