企業兼大株主ソニーグループ東証プライム:6758】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 ソニーの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

 2024年度の世界経済は、地政学リスクが高止まりする一方で、インフレ率の低下及びそれにともなう金融緩和により、底堅い成長を維持しました。特に米国経済は、金利が上昇した状況下においても、安定した雇用・所得環境を背景とした個人消費の回復に下支えされ、堅調に推移しました。一方で、米国と日本の金利差を背景に、円相場は2023年度に引き続き大きく変動しました。中国では政府の景気支援策により個人消費や不動産販売の改善が見られたものの、不動産投資の落ち込みを中心とする不動産市場の長期的な低迷が成長を下押ししました。今後の世界経済の見通しは、ウクライナ・ロシア情勢や中東情勢等の不透明さが増していることに加え、米国の一連の関税政策及びそれにともなうグローバルでの景気減速懸念等により、不確実性が急速に高まっています。

 ソニーは、グローバルに多様な事業を展開しており、これらの世界経済の状況の変化に加えて、米中関係等の地政学リスクの高まりや人工知能(以下「AI」)のような技術の急速な進化、地球環境問題や社会の分断への対応等、ソニーの事業を取り巻く環境は大きく変化しています。

 ソニーは、これらの事業環境の変化に迅速に対応し、各事業の収益構造の強化に取り組むとともに、長期視点の経営を重視し、グループ全体の企業価値向上のための取り組みを続けてきました。

 2025年5月14日に開催した経営方針および業績に関する説明会では、社長 CEO(最高経営責任者)の十時裕樹が長期戦略、経営の方向性と重点領域を紹介しました。

 十時は、長年にわたり経営の軸足をエンタテインメントに移してきたことがソニーグループの変革と好調な業績に寄与しており、今後もこれら注力領域の成長をめざすと強調しました。足元の好調な勢いとこれまでの実績を糧に、長期ビジョンである「Creative Entertainment Vision」の実現に注力することが、今後のグループ経営方針の中核であると述べ、このビジョン実現のカギとなる主要事業の進捗と重点施策を語りました。

 2024年5月23日に開催した経営方針説明会で発表したソニーの「Creative Entertainment Vision」は、クリエイティビティとテクノロジーを通じて感動を届け、IPの価値を最大化し、クリエイター、パートナー、社員とともに、また、ソニーの様々な事業間のシナジーを通じて、「Create Infinite Realities」すなわち、無限の感動を届ける未来の実現をめざしています。十時は、ソニーの事業間コラボレーションを基盤とし、エンタテインメント領域全体で多様なファンコミュニティをつなぐエンゲージメントプラットフォームの活用や、アニメ等の成長領域におけるソニーの強みを活かすことが、このビジョンの実現において重要であると強調しました。

 2025年5月14日の経営方針および業績に関する説明会において発表した経営方針の詳細は、以下のとおりです。

1.「Creative Entertainment Vision」の実現を支えるエンタテインメント事業

 クリエイティビティとテクノロジーによる感動を届けることをめざす長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」を、クリエイター、パートナー、社員とともに、またソニーグループの多様な事業間のシナジーを通じて実現していく。

(1)G&NS分野

・プレイステーション®5(以下「PS5®」)が今後も安定した利益をもたらす見込みであり、「FUTURE OF PLAY(遊びの未来)」の創造に向けて、思慮深く戦略的な投資を実行。

・インストールベース拡大にともなう月間アクティブユーザー数の増加や、プレイステーション®プラスの収益拡大等による、ネットワークビジネスの売上・利益の安定的な成長を見込む。

・『Ghost of Yōtei』やライブサービスゲームの『Marathon』等の新作を通じたユーザー層の拡大と、『HELLDIVERS 2』や『Destiny 2』等の既存のライブサービスゲームの継続的な成功による、スタジオビジネスのさらなる成長に期待。

・ベータ版クラウドストリーミング機能に対応したPlayStation Portal™ リモートプレーヤー等、強力かつ収益性の高い周辺機器への注力。

(2)音楽分野

・グローバル音楽事業では、グローバル市場でのポジション強化に向けて、主要市場における楽曲レパートリー、強力なレーベル及びアーティストサービス、インディーアーティスト向けに最適化されたサービス及びDIY(自作型)配信、音楽出版等、主要な事業価値を強化し、継続的に収益性を向上させる。

・国内音楽事業では、2024年度はYOASOBI等のJ-POPアーティストの海外展開で大きな成功を収め、今後もさらなる拡大を進める。

・オーガニック成長と戦略的買収の二軸での事業全体及び拡大市場での成長、注力領域や音楽カタログへの戦略的投資機会の探索、プレゼンスの向上、ファンへのサービス提供、ソニー・ミュージック所属アーティストのIPの拡大に注力。

・AI等の最先端技術の活用を探求し、価値を創造するとともに、アーティストの権利保護にも取り組む。

(3)映画分野

・SPEでは、『Spider-Man: Brand New Day』、Jumanjiシリーズの最新作、『Spider-Man: Beyond the Spider-Verse』、劇場限定公開予定のビートルズの伝記映画4作品等、大型作品の公開を予定している。

・アニメ専門配信サービスCrunchyrollは会員数やサービスを順調に拡大し、アニメが映画分野の成長を牽引する見込み。

・SPEが引き続き事業間シナジーや、コラボレーションを生み出すハブの役割を担うことを期待。

2.事業間連携とシナジー

 「Creative Entertainment Vision」のもと、ここ数年で事業間連携がもたらす価値や可能性が顕在化。

(1)アニメ

① グループの複数の事業において、成長を牽引する重要な領域であり、㈱アニプレックス(以下「Aniplex」)やCrunchyrollの事業を基盤に、アニメにおけるリーチの拡大と、コンテンツ開発の強化を進めている。

・ゲーム「Ghost of Tsushima: Legends/冥人奇譚」のアニメシリーズ化

・アニメをプロデュースする㈱HAYATE(以下「HAYATE」)の設立

・㈱KADOKAWA(以下「KADOKAWA」)との戦略的資本業務提携

② 今後もアニメ市場の成長が見込まれる中、Crunchyrollの成長をさらに加速させるための施策を強化。

・アニメグッズ等のeコマース、モバイルゲームライブラリサービス、マンガアプリ等、アニメファンに対するサービスを拡充。

・2025年3月31日時点で有料会員が1,700万人超に拡大しているが、さらなる会員獲得に向け、プレイステーションネットワーク(以下「PSN」)との連携を推進。PS5上からのCrunchyrollの有料サービスへの登録を円滑化しており、今後はPSNの収益化機能の活用を通じてCrunchyrollのサービスを強化。

(2)エンゲージメントプラットフォーム

・PSNのネットワーク基盤をベースに、決済・データ基盤・セキュリティ等のバックエンドのコア機能を活用し、ユーザーとクリエイターをつなぐ新たなエンゲージメントプラットフォーム構築に取り組んでいる。このプラットフォームはより質の高い収益化にむけたソニーグループ共通基盤として活用されることで、グループ各社が事業の競争力強化や差異化に経営資源を集中し、顧客エンゲージメントの拡大と深化に注力できることをめざす。

(3)ロケーションベースエンタテインメント(以下「LBE」)

・LBEは、長期目線で様々なエンタテインメント領域のIP価値を最大化できる領域と位置づけ、初期的な探索を実施。

3.エンタテインメント事業のイネーブラーとなるテクノロジー

(1)ET&S分野:商品やサービスの軸足をコンテンツクリエイションにシフト。

・α™(Alpha™)の成功をもとに、成長の原動力としてイメージング領域のエコシステム拡大を推進。

・スポーツデータの利活用能力の強化のため、昨年KinaTraxを買収。リアルタイムコンテンツクリエイション技術も活用し、新たな視聴層を獲得するオルタナティブ放送の拡大を図る。

・空間コンテンツの制作を支援するXYN™、リアルタイムVFX、360 Virtual Mixing Environment等により技術革新を追求。

(2)I&SS分野

・モバイル向けイメージセンサー事業ではセンサーサイズの大判化トレンドの継続が見込まれる中、次世代製造プロセスと2層トランジスタ画素積層型のTRISTA等を組み合わせ、センサーの高付加価値化・差異化で顧客の期待に応えさらなる成長をめざす。

・投資を適切なレベルに抑制し、投資効率を引き上げるための施策を検討する。

・モバイル向けイメージセンサー以外の事業領域では、カメラ向けや産業機器・社会インフラ向けセンサー等で安定した収益を確保しつつ、車載向けセンサー等の将来の成長が期待される事業では、市場成長のスピードや事業性を見極めながら、最適な開発費や体制のもとでの中長期的な成長をめざす。

4.多様な事業と人材による成長の実現

 ソニーの事業と人の多様性は、「Creative Entertainment Vision」の実現において最も重要であり、約11万人の社員が多様な視点やアイデアを生み出す環境から生まれるシナジーが、ソニー独自の競争力の源泉。

 ソニーはクリエイターの創造性を解放し、無限のリアリティ、エンタテインメント、感動が生まれる世界の実現に努めていく。

第五次中期経営計画 経営数値目標及びキャピタルアロケーションとその進捗

<経営数値目標とキャピタルアロケーション>

・当社は、2024年5月14日に2024年度から2026年度の3年間の中期経営計画(以下「第五次中期経営計画」)の数値目標を発表しました。

・第五次中期経営計画においては、利益ベースの成長をより重視することとし、金融分野を除く連結ベース*1の営業利益の成長率及び営業利益率をグループ全体の経営数値目標としました。具体的には、3年間の連結営業利益の年平均成長率を10%以上とすること、及び3年間累計の連結営業利益率を10%以上とすることを目標としています。

・第五次中期経営計画におけるキャピタルアロケーションについては、設備投資に1.7兆円、戦略投資については、各事業における成長投資と機動的な自己株式の取得に1.8兆円を割り当てる計画としました。また、キャピタルアロケーションの主な原資である3年間累計の金融分野を除く連結ベースの営業キャッシュ・フローは、第五次中期経営計画期間における利益成長に加え、2021年度から2023年度の3年間の第四次中期経営計画期間で増加した運転資金の回収により、第四次中期経営計画の実績を上回る、4.5兆円の見通しとしました。

・株主還元については、総還元性向を重視し、これを第五次中期経営計画期間を通して段階的に増加させ、最終年度の2026年度には、40%程度とすることを目標としました。

*1 金融事業のパーシャル・スピンオフの実行方針に係る2025年5月14日の取締役会決議にともない、2025年度第1四半期より、金融事業を非継続事業に分類し、金融事業を除く継続事業とは区分して表示するため、2025年5月14日以降、第五次中期経営計画の経営数値目標は継続事業ベースの営業利益の成長率及び営業利益率としています。

<進捗>

・2024年度については、主にG&NS分野及びI&SS分野が利益成長を牽引し、金融分野を除く連結ベース*2の営業利益額の2023年度からの成長率は23%、営業利益率は10.6%となりました。

・キャピタルアロケーションについては、主たる原資である3年間累計の継続事業ベースの営業キャッシュ・フローの見通しを、2024年度の実績も踏まえ、当初計画の4.5兆円から4.8兆円に見直しました。第五次中期経営計画では、株主還元強化を重要施策の一つと位置付けており、かかる原資の増加は、株主還元の増額に割り当てる計画です。戦略投資は1.8兆円、設備投資は1.7兆円と、当初計画からの変更はありません。

・戦略投資の進捗は、2025年5月14日時点までの実行済及び意思決定済案件の合計が約5,140億円となっています。株主還元については、2024年4月1日から2025年4月11日までの期間で総額3,075億円の自己株式取得を実施するとともに、2024年度には、株式分割考慮後*3で2023年度から1株につき3円増配となる年間20円(総額1,206億円)の配当を実施しました。2025年度については、2025年5月15日から2026年5月14日までの1年間で、2,500億円を上限とした自己株式取得枠を設定しており、配当は増配のペースを引き上げ、株式分割考慮後*3で、2024年度から1株につき5円増配となる年間25円*4を予定しています。

*2 金融分野を除く連結ベースの数値はIFRSに則った開示ではありませんが、ソニーは、この開示が投資家の皆様に有益な情報を提供すると考えています。

*3 当社は、2024年9月30日を基準日、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行いました。

*4 上記の1株当たり配当金の予定額には、金融事業のパーシャル・スピンオフによるSFGI株式の現物配当は含めていません。

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