セーラー広告
【東証スタンダード:2156】「サービス業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、企業と生活者を結ぶ情報の橋渡し役として、社会生活の向上と文化の発展に貢献することを経営の基本方針としております。そして、この基本方針のもと、お客さまの課題を提案活動によって解決し、地域の皆様とともに豊かな文化を育て、社会をより楽しく、より美しく、より豊かにすることを目指しております。
(2) 経営環境および中長期的な会社の経営戦略
2020年1月から2023年5月にかけてのコロナ禍を経て、社会のデジタル化は急速に加速し、メディアの多様化も相まって、社会全体の情報量が飛躍的に増加した結果、生活者が情報に接する機会の増加とともに情報選択の自由度も高まりました。企業はAIやクラウド技術を活用して業務効率を高め、医療分野では遠隔診療が普及し、政府は行政手続きをオンライン化することで国民の利便性を向上させています。日常生活でもスマートデバイスやキャッシュレス決済が普及し、生活がより便利になっています。特にスマートフォンの普及によって、オンラインの利用が常態化し、インターネットに接続されたデバイスの多様化とともに、さまざまなコンテンツの閲覧が可能になりました。
2024年の国内広告業界の売上高は、人流活発化や好調なインバウンドなどを背景に5兆7,584億円、前年比101.6%となりました(特定サービス産業動態統計調査、経済産業省)。また、前述した社会のデジタル化を背景に、インターネット広告費は1兆5,817億円、前年比106.4%となり、依然として広告費全体の伸びを牽引する状況となりました。
このような環境の中、各企業ともデジタル技術を活用したプロモーション活動への関心が高く、デジタルデータを積極的に活用したマーケティング手法やデジタル戦略へのシフトを進めております。また、同時に、企業のコミュニケーション領域につきましても、従来のメディア以外に、ECサイトやSNS、動画配信サイトのほかリクルートやサステナビリティなど多方面に拡大しており、こうした変化の中で、企業のコミュニケーション活動には従来とは異なる発想が必要とされております。
当社グループはこれまで、お客さまの経営課題の解決に繋がる戦略を設計し、共に実践するパートナーになることを今後の在り方と定義し、これを『マーケティングデザイン』と称して、デジタル領域の拡大と新しい事業領域の開発に取り組んでまいりました。次年度(2026年3月期)以降につきましても、この基本概念を踏襲し、地域に密着した広告会社としての強みを活かしながら、データやAIなどを活用したコンサルティング型ソリューションの拡充と、人材・組織の強化を進め、次世代デジタル技術を活用したマーケティングデザイン企業へと進化し、地域社会とともに未来を創造できる地元企業の成長を支えるパートナーを目指してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの外注費を除く諸費用は変動が少なく固定的であるため、当社グループにおきましては、売上総利益の確保が営業利益および経常利益の獲得に大きく影響するという事業特性があります。従いまして、営業の成果である売上高と連動した収益性の指標として、売上総利益および売上総利益率(=売上総利益/総売上高)を重要な経営指標とし、日々の行動管理・業績管理・人事評価等に連動させ、目標の達成に向けて取り組んでおります。
※総売上高は、当社グループの営業活動によって得た販売額の総額であります。『収益認識に関する会計基準』に準拠した指標ではありませんが、投資者が当社グループの事業規模を判断するうえで重要な指標であると認識し、従前の企業会計原則に基づき算出し、参考情報として開示しております。
(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
(1)および(2)に記載の、経営方針および経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の経営課題は以下のとおりであります。
〔広告事業〕
① 次世代デジタル技術を活用した付加価値提案力の向上
広告業界は、コロナ禍を経て急速に進むデジタル化の中で、新たな挑戦に直面しています。社会のデジタル化とメディアの多様化により情報量が増大し、生活者は自らの欲しい情報を選択するようになりました。また、広告を効果的に届けるためには、生活者の価値観を理解することも不可欠です。企業のコミュニケーション活動には新たな発想が求められ、広告の領域も多方面に拡大しています。今後、ますますスマートフォン利用の拡大とインターネット利用者数の増加に伴い、インターネット広告の需要が増加するとともに、動画ストリーミングサービスの需要や広告クリエイティブのAI化が進むとともに、SNSを起点としたコミュニケーション活動が重要性を増してくると予想されます。
当社グループは、このような社会全体、業界全体の変化に対応すべく、地域に密着した広告会社としての強みを活かしながら、データやAIなどを活用したコンサルティング型ソリューションの拡充を図り、お客さまにとって付加価値の高い提案活動を実践することによって、次世代デジタル技術を活用したマーケティングデザイン企業への進化を目指してまいります。
② 地域資源を活用したプロモーション活動の展開
当社グループは、地域に密着した営業活動で培ったきめ細かな対応と、四国中国エリアに福岡、東京を加えた拠点ネットワーク、75年の実績に基づくノウハウによってお客さまの様々なニーズに応え、時代に即した提案活動によって、より質の高いコミュニケーション効果の創造に努めてまいりました。しかしながら、前述したような社会全体でデジタル化が急速に進展し、あらゆる面において大きな変化が見られている状況にあっては、急速な変化に対応したマーケティング戦略の立案が求められております。
前述したように、社会のデジタル化を含めた変化の激しい経営環境を乗り越えていくためには、お客さまに提供できる価値(サービス)を拡充する必要があります。当社グループにおきましては、地域観光や食文化の振興を目指し、四国内の大型スポーツイベントのサポートを通じた自治体や企業との連携強化、地元企業や自治体との協力による地域の観光振興、文化振興、商業活性化を視野に入れた実践的なプロジェクトの構想を進めるなど、地域資源の活用を促進した取り組みをとおして地方創生に貢献しながら、収益の改善にも取り組んでまいります。
③ コミュニケーションビジネスと親和性の高い新規事業への取り組みの推進
当社グループの営むコミュニケーションビジネスの領域では、効果的なコミュニケーション活動は、ブランドの認知度を高め、信頼を築くのに役立ち、顧客との良好なコミュニケーションは、長期的な関係を築き、顧客満足度を向上させるものとなります。当社グループは、コミュニケーションビジネスをとおして、お客さまの製品やサービスのほかブランドイメージなどを生活者に効果的に伝えるための戦略を提供しており、お客さまのニーズや期待を的確に把握し、それに基づいたコミュニケーション戦略を構築してまいりました。また、当社グループの持つ創造的なアイデアを生み出す力は、様々なビジネスにおいて新しい価値を提供するための原動力となり、市場での競争力を高める他社との差別化を図るものとなります。
当社グループにおきましては、コミュニケーションビジネスの遂行により得られた強みを活かし、商業空間やオフィス空間における快適で魅力的な空間づくりによる生活者満足度の向上や生産性の向上に繋がる空間プロデュースに取り組むほか、地域商社機能と連携した製品開発から販売促進までの一貫したサポート体制の実現など、コミュニケーションビジネスと親和性の高い新規事業への取り組みを推進してまいります。
④ 事業エリアの拡大
当社グループは、今後の事業拡大および収益力強化のための施策として、既存事業の拡大や新規事業への参入を目的とした事業エリアの拡大を選択肢のひとつとして、当社グループの重要な成長戦略と位置付けております。そのためには、当社グループと高いシナジー効果を有する企業や、地域創生の推進に寄与する企業等を対象として積極的に成長投資を推進していく方針であります。具体的には、当社グループのコア事業であるコミュニケーションサービス業を中心に、デジタル領域において優れた技術力を有する企業、特定の市場において顧客基盤や優秀な人材を有する企業、異業種であっても新たな収益機会の創出に資する企業等をターゲットとして、幅広く投資機会を検討してまいります。
また、当社グループは、四国中国エリアに福岡・東京を加えた拠点ネットワークを有しておりますところ、さらなる事業エリアの拡大を図るため、2025年4月に設置したマーケティングデザイン推進局が中心となって、関東・関西圏を中心に、新規案件の開拓を推進するとともに、大手顧客との連携を強化してまいります。
⑤ 人材への投資
当社グループの競争力の源泉は人材であり、当社グループにとって最も重要な経営資源であります。お客様に満足いただけるコミュニケーションサービスを提供するためには、優秀な人材の確保と育成のほか、専門的な知識を持った人材の獲得も重要な経営課題であります。また、社員の「健康」や「働き方」も企業の業績や存続に関係する重要な経営課題であります。
当社グループにおきましては、優秀な人員の確保と育成はもちろんのこと、多様な働き方の尊重や心身の健康に配慮した安全衛生について、引き続き取り組んでまいります。
なお、詳細につきましては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)人的資本に関する戦略・指標目標」をご参照ください。
〔リテール事業〕
① 強みを活かした多面的な取り組みの強化
当社グループにおきましては、今後の事業拡大および収益力強化のための施策として、既存事業の拡大や新規事業への参入に取り組んでおり、四国の選りすぐりの逸品を販売するオンラインショップ『トモニ市場オンライン』の運営に努めるほか、徳島県および香川県の物産販売店舗『徳島・香川トモニ市場〜ふるさと物産館〜』の運営をとおして地域産品の販路拡大に取り組んでおります。こうした取り組みによって、地域産品メーカーの帳合をとれることが強みとなり、百貨店や大型量販店での展示販売に繋がっております。
当社グループにおきましては、県外の物産展や催事へ出展するほか、既存商品の見直しによる商品開発や地域産品のブランディングと販路拡大を実施し、強みを活かした多面的な取り組みと確実な収益化に取り組んでまいります。
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