セブン銀行
【東証プライム:8410】「銀行業」
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企業概要
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末において判断したものであります。
(1)経営方針
○セブン銀行グループの存在意義(パーパス)
お客さまの「あったらいいな」を超えて、日常の未来を生みだし続ける。
○経営理念
1.お客さまのニーズに的確に応え、信頼される銀行を目指します。
2.社員一人一人が、技術革新の成果をスピーディーに取り入れ、自己変革に取り組んでいきます。
3.安全かつ効率的な決済インフラの提供を通じて、我が国の金融システムの安定と発展に貢献します。
○経営の基本方針
当社は、セブン&アイグループの2万店以上の店舗インフラを活用し、原則24時間365日利用できるATMネットワークを構築することで、お客さまの暮らしに密着した「おサイフ」代わりの銀行サービスを「安全、確実、迅速」に提供することに努めます。
また、利便性の高い当社ATMネットワークを他の金融機関等に活用いただくことでお客さまサービスの向上や事業効率化に繋げていただく等、共存共栄の理念に基づいたサービスの実現を図ります。
さらに、お客さまの「ふだんの暮らし」に密着した金融サービスを広く提供することにより、幅広いお客さまにより多くご来店いただくように努力することで、セブン&アイグループとの相乗効果を追求してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社は、取巻く事業環境の大きな変化に対応し持続的に企業価値を向上させるため、収益構造に厚みを持たすべく事業の多角化を推進しております。当社グループの長期的な持続可能性・成長性を最大化すべく2021年5月に策定した中期経営計画では、連結経常収益拡大を最重視した施策を推進しております。なお、中期経営計画の実行度合いを評価する指標として、計画最終年度の連結KPIを以下のとおり設定しております。
| 2024年度実績 | 2025年度目標 |
連結経常収益 | 2,144億円 | 2,500億円 |
連結経常利益 | 302億円 | 450億円 |
自己資本当期純利益率 | 6.6% | 8.0%以上 |
(3)経営環境
当社グループを取巻く事業環境は国内外における物価や金利の上昇、デジタル技術進展に伴う決済手段の多様化や異業種の金融事業への新規参入、環境・社会課題への意識の高まり等、急速に変化しております。これまで以上に社会の変化、お客さまのニーズの多様化を敏感に捉え、技術革新の成果をスピーディーに取り入れた柔軟な経営が求められていると認識しております。
加えて格差拡大、気候変動等の社会課題が顕在化・深刻化しており、企業も社会を構成する一員として、その解決に対し、これまで以上に真摯に向き合う時代を迎えております。
(4)中長期的な経営戦略
当社グループは、「お客さまの『あったらいいな』を超えて、日常の未来を生みだし続ける。」ために存在します。この存在意義に基づきセブン銀行はお客さまの生活に寄り添い「近くて便利」、「信頼と安心」を実現するユニークな銀行として、持続的な成長を目指してまいります。
2025年までの5ヵ年を当社が持続的に成長し、「第二の成長を具体化していく」期間と位置づけ、中期経営計画(2021年度~2025年度)を策定しております。本中期経営計画では、以下の3つの基本施策を推進してまいります。
<基本施策>
①基幹事業であるATMプラットフォーム事業の変革と積極的な投資を通じた戦略事業分野での事業多角化
②サステナビリティを長期的な経営戦略の根幹と位置づけ、深刻化・顕在化する社会課題に対し事業活動を通じて貢献し、社会・企業双方における新たな価値創造を持続的に推進
③持続的成長の原動力となる事業・運営の両面における企業変革(コーポレート・トランスフォーメーション)の推進
(5)対処すべき課題
当社グループは、環境変化を更なる変革と飛躍のチャンスと捉えており、以下の課題に対処することにより、当社グループの持続的成長を実現し、お客さまや社会に必要とされる企業であり続けたいと考えております。
<国内事業(銀行業その他)セグメント>
■ATMプラットフォーム戦略
これまで当社が中核事業としてきたATMの現金プラットフォーム事業は、キャッシュレス化の進展などにより、大きな転換点を迎えておりますが、従来から取り扱ってきた金融機関の現金入出金取引に加え、コード決済等への現金チャージ取引が大きく増加したことなどにより、当社のATM年間総利用件数は今なお増加を続けております。当社は、決済環境の変化は新しいATMサービスが生まれるチャンスであるとの認識のもと、デジタル化、キャッシュレス化の流れの中でも、リアルとバーチャルの貴重な接点として、引続きATMを通じて、お客さまに安心で便利なサービスを提供する取組みを続けてまいります。
なお、2019年9月より当社が入替を進めてきた第4世代ATMは、2025年3月末を以て、全台の入替が完了いたしました。これにより、第4世代ATMで新たに実装した機能(本人認証機能、スキャニング機能等)を活用して金融機関などの手続きを行える新サービス「+Connect(プラスコネクト)」を日本全国のセブン銀行ATMで提供することが可能となりました。また、2025年2月には、「+Connect」のさらなる展開として、顔認証機能を活用して現金入出金取引ができる新サービス「FACE CASH(フェイスキャッシュ)」を開始し、新しい金融体験をお客さまにお届けしております。今後も、「+Connect」の提携先拡大及び提供サービスの拡充を図り、セブン銀行ATMがサービスプラットフォームとして、あらゆる手続き・認証の窓口となる世界の実現を目指してまいります。
■リテール戦略
金融リテール分野では、キャッシュレス化の進展による、生活様式・決済体験の変化や、非金融系企業の金融事業への新規参入などによる競争環境の激化が進んでいます。このような中、当社は、セブン&アイグループとの連携強化を図りながら、流通グループ発祥の銀行ならではの親しみやすくユニークな金融サービスを開発・提供する取組みを拡大してまいります。
日本国内における外国人居住者の増加を背景に、当社グループは、セブン銀行海外送金サービスやセブン銀行ATMを介した海外送金事業者との協業、海外グループ会社との連携といった強みを活かしながら、外国人居住者に使っていただきやすい金融サービスを提供することで、誰もが暮らしやすい社会を目指し、多文化共生の実現に貢献してまいります。
■法人戦略
当社が創業来蓄積し、強みとしている銀行品質の事務処理能力や安心・安全な資金管理・資金移動の仕組み、認証などのセキュリティの高いテクノロジーについて、金融機関や一般事業者に提供するサービスの拡大を図ってまいりました。昨今、進化するDXの技術をいち早く取り入れ、外部事業者とも協力しながら事業規模の拡大に努めてまいります。
<クレジットカード・電子マネー事業セグメント>
当社連結子会社である株式会社セブン・カードサービスは、セブン&アイグループの決済サービス事業会社として、クレジットカード「セブンカード・プラス/セブンカード」と電子マネー「nanaco」を発行・運営し、お客さまの毎日の便利を支えています。今後は、セブン銀行の金融リテール事業と一体運営することで、両社が培ってきたノウハウ・専門性を統合・拡充しつつ、セブン&アイグループとの連携を深化させていくことで、「ふだんの暮らし」に密着した金融サービスの提供に挑み続けてまいります。
<海外事業セグメント>
米国では、高水準の政策金利やインフレの進行により資金調達コストや運営コストが増加しておりますが、ATMオペレーションの最適化に取組むことで、様々なコスト削減策を講じております。また、現在米国セブン‐イレブン店舗に設置している約8,300台のATMに加えて、新たにSpeedway約3,000店舗へのATM設置を開始し、全米でのATMネットワークをさらに強固なものとしてまいります。さらに、この強固なATMネットワークを基盤としながら米国セブン‐イレブンとの協業を拡大し、小売と金融を組み合わせた独自の金融サービスを提供することで、米国市場での顧客基盤の強化と事業の多角化を目指してまいります。
アジアでは、インドネシア・フィリピンの2カ国で、積極的なATM設置を継続しており、両国ともに国内最大規模のATM事業者にまで成長しております。
また、2025年1月からは、マレーシアにおいてもATM運営事業を開始いたしました。
今後は各国におけるATMネットワーク網を引続き強化するとともに、ATMを入口とした多層的な金融サービスの実現にも取組んでまいります。
当社グループは、創業以来、事業活動を通じて社会課題・環境問題の解決に取組んでまいりました。常にお客さまの想いに寄り添い、真摯に対応する姿勢はこれからも変わりません。「お客さまの『あったらいいな』を超えて、日常の未来を生みだし続ける。」というパーパスの実現に向けて、多様なステークホルダーの皆さまとともに、豊かな社会と地球の未来に貢献してまいります。
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