企業スローガン東証グロース:9253】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、「人の可能性を引き出し 才能を最適に配置することで 新産業を創出し続ける。」というミッションのもと、新産業領域における人的資本投資を起点に、構造変化する社会における価値創造に挑戦し続けております。

 日本社会は、人口構造及び働き方の両面において、大きな転換点を迎えております。国立社会保障・人口問題研究所が2023年12月に公表した「日本の将来推計人口(令和5年推計)」によりますと、生産年齢人口(15~64歳)は、2020年の約7,400万人から2040年には約6,000万人へと、1,400万人以上減少する見通しであります。また、経済産業省が2022年9月に公表した「人材版伊藤レポート2.0」においては、日本企業の人材育成費の売上高比率は0.1%未満にとどまり、米国の0.6%と比較して6分の1以下にとどまっていることが指摘されております。さらに、若年層のキャリア観においても大きな変化が見られております。リクルートワークス研究所が2023年3月に発行した「就職白書2023」では、大学生の多くが「安定志向」から「挑戦志向」「自己成長志向」へと価値観を転換し、6割以上が大企業よりも裁量や成長機会を重視している実態が明らかにされております。

 このような環境変化を背景として、当社グループでは単なるマッチングサービスの提供にとどまらず、キャリア観・組織観・働き方そのものを見直し、再構築していくための仕組みの提供に取り組んでおります。キャリア支援、情報発信、SaaS型HRサービスなどを通じ、「就業機会の偏在」「情報の非対称性」「人的資本投資の格差」といった労働市場における構造的な歪みの解消を目指しております。

 また、当社グループ自体も、社会と共創しながら、人の可能性を引き出す組織づくりを自ら実践する存在でありたいと考えております。フルリモート勤務を基本とした柔軟な働き方の整備、DE&Iの視点を取り入れた人事制度運用、当社で働くすべての人の日々の行動や判断の拠り所とする具体的な心構えとしての「スローガンウェイ」の策定など、自社内での制度構築と組織運営の実践を通じて得られた知見を、顧客企業や社会に対して積極的に共有・還元していくことを重視しております。

 現在、当社グループはミッション及び長期ビジョンの実現に向け、「大改革期」と位置づけたフェーズにあります。営業利益が持続成長する付加価値の高い事業の構築を主軸に、経営者自らがその変革を体現し、組織全体への再現可能な仕組みとして展開していくことを進めております。

(2)経営戦略等

① 基本戦略

 当社グループは、「人の可能性を引き出し 才能を最適に配置することで 新産業を創出し続ける。」とのミッションのもと、新産業領域における労働市場の構造的課題としての歪み、例えば、年功序列・終身雇用を前提とした硬直的な雇用慣行、情報の非対称性、人的資本投資の格差等に対し、「新産業領域の労働市場における社会の歪みを起点としたアプローチ」を基本戦略として位置付けております。

 当社グループは、キャリア支援、情報発信、SaaS型HRサービスなどを通じて、挑戦意欲・成長志向を有する人材と、新産業領域における企業との豊かな関係性を構築し、労働市場の流動性及び人的資本活用の最適化に資する事業活動を展開してまいりました。今後も、人の可能性が組織や社会の中で引き出される環境の構築を目指し、人材の獲得・育成・配置・活躍等を一体で捉えた持続可能な人的資本投資の在り方を追求してまいります。

 なお、この基本戦略の実行を加速させるべく、当社グループは現在を「大改革期」と位置付けており、具体的な重点施策については、次項「中期成長戦略」において記載しております。

② 中期成長戦略

 当社グループは、2023年3月の経営体制の移行以降、営業利益が持続成長する付加価値の高い事業への転換を中期的な重点方針として掲げ、現在を「大改革期」と位置付けております。2025年2月期においても、引き続きこの方針のもと、ミッション及び長期ビジョンの実現に向けた施策を推進しております。

 当該大改革期においては、以下の3つの取り組みを中期的な成長戦略の中核と捉え、組織及び事業の変革を進めております。

ⅰ.Goodfind会員の利用及びマッチング改善による収益基盤の強化

 当社グループの主要事業である「Goodfind」においては、学生会員の利用向上及び顧客企業とのマッチング精度の向上を通じ、収益性が高い事業構造の確立を図っております。具体的には、KGI・KPIの設計見直しやモニタリング体制の強化等を進めております。

ⅱ.組織・人材・カルチャー及び事業マネジメントシステムの強化

 当社で働くすべての人の日々の行動や判断の拠り所とする具体的な心構えとしての「スローガンウェイ」の策定・浸透を通じ、再現性のあるリーダー輩出や組織文化の明確化に取り組んでおります。併せて、業績指標及びKPIのマネジメント体制、会議体・運営体制の見直し等を通じて、事業と組織が好循環を生み出す体制構築を推進しております。

ⅲ.営業利益が持続成長する付加価値の高い事業の探索と作り込みを、経営者が自己体現し、組織へ展開

 経営陣自らが、収益性と再現性のある事業モデルの探索・実行を担い、その知見及びシステムを全社に展開可能な仕組みとして整備することに注力しております。これにより、長期的な超過利益の創出と再投資による好循環型の成長モデルの構築を目指しております。

 上記の取り組みを通じ、当社グループは、持続的な収益の確保と、労働市場における構造的課題の解決という、人の可能性を起点とした経済的価値と社会的価値の両立を実現することを、基本的な戦略方針としております。

(3)経営環境

① 企業構造

 本書提出日現在、当社グループは当社及び連結子会社1社(チームアップ株式会社)並びに持分法適用関連会社2社によって構成されております。また、「Goodfind」、「FactLogic」、「Intern Street」、「Goodfind Career」、「G3」、「FastGrow」及び「メタノビ」は当社が、「TeamUp」はチームアップ株式会社が運営しております。なお、報告セグメントは新産業領域における人材創出事業の単一の報告セグメントであります。

② 対象市場の状況

 当社グループは、新産業領域に関連する市場及び人材トランスフォーメーション(注)1に関連する市場において事業を行っております。当社グループは、日本の労働市場において、伝統的な雇用慣行や就職観念、人事・組織制度等により、40代以降に差が生まれるキャリアトラックとなる傾向に着目し、経営人材としての可能性を早期に発掘及び開発し、20代・30代で経営人材になれるキャリア機会を創出することで、人材トランスフォーメーションを推進しております。人材トランスフォーメーションに関連する市場としては、人材関連ビジネス市場、教育産業全体市場及びHRTech市場が含まれますが、主にキャリアサービス分野における各事業が属する人材関連ビジネス市場が対象市場であり、そのうち、人材紹介業、求人広告業及び人材コンサルティング業を中心とした採用関連市場が主な対象市場であります。さらに、当社グループの主要サービスである新卒学生向け厳選就活プラットフォーム「Goodfind」は、新卒採用関連市場を対象市場としております。また、新産業領域に関連する市場としては、当社グループがターゲットとしている新産業領域の企業について、主要顧客はスタートアップ・ベンチャー企業となっており、スタートアップ・ベンチャー企業を取り巻く環境についても、当社グループが影響を受ける市場であります。

 新産業領域における採用関連市場においては、少子高齢化・人口減少が進み、マクロトレンドとしての経済成長に課題を抱える日本社会において、未来社会の発展・成長のためにはスタートアップ・ベンチャー企業をはじめとした新産業領域の企業におけるイノベーションが必要であり、その担い手となる若く挑戦意欲・成長志向を持つ人的資本の価値は今後高まると考えております。そのような市場環境においては、産業の転換とともに、中長期的には次のような変化が起こると予想しております。

 まず、挑戦意欲・成長志向を持つ人材の志向性について、これまでは資本集約型の伝統的大企業で長期安定的なキャリアを志向する傾向にありましたが、今後は、知的集約型の産業で20代・30代から経営人材を志向する傾向に変わっていくことが予測されます。次に、当該変化に伴い、新卒及び中途採用市場における考え方についても、「新卒学生の就職は伝統的大企業、スタートアップ・ベンチャー企業は中途採用」という考え方から、「新卒からスタートアップ・ベンチャー企業へ就職し、スタートアップ・ベンチャー企業も新卒採用」という考え方に変わっていくことが予測されます。さらに、そのような環境においては、伝統的大企業の採用活動についても、ブランド力や知名度による新卒一括採用では若い挑戦意欲・成長志向を持つ人材を採用することが困難となり、従来型の採用手法に変革ニーズが生まれると考えております。

 以上のような変化の中で、新産業領域に関連する市場及び人材トランスフォーメーションに関連する市場は中長期的に成長拡大を続けていくものと予測しております。

(注)1.「人材トランスフォーメーション」とは、組織における人材の持つ価値を最大限引き出すために行う採用、配置、育成、文化浸透等の組織施策における変革と当社で定義しております。

ⅰ.人材関連ビジネス市場及び新卒採用関連市場の状況

 2019年12月に確認された新型コロナウイルス感染症の感染拡大により経済活動が著しく制限されたものの、ワクチン接種の開始や緊急事態宣言の解除後は段階的な経済活動の再開により景気回復の兆しが見られ、2020年度に一時的に減退した人材関連ビジネス市場全体は、2021年度以降は採用意欲の回復により徐々にプラスに転じてきており、今後より拡大していくものと見込まれております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、オンライン化の進展により働く場所を問わない就業スタイルの浸透が進み、これまで地理的制約から就業機会がなかった求職者にとっては新たな就業機会を獲得する契機となり、新しい就業スタイルへの変化の適応力が高いベンチャー・スタートアップ企業を中心とした新産業領域の企業にとっては、人材獲得機会を増加させる環境変化となっていると考えております。また、人材関連サービスを提供する事業者においては各種サービスやコンテンツのオンライン化、求人企業においては採用活動における企業説明会や面接等のオンライン化が進んだことで、求職者にとってもオンラインでの採用活動がメインとなりました。これは、特に地方に居住する新卒学生にとっては就職活動における機会の格差を解消することとなり、従来に比べて就業機会を多く得られる環境となりました。また、求人企業にとっても、地方に居住する人材へのアプローチが可能となり、より多くの候補者と接点を持つことが可能となりました。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により急速に進んだデジタル化は、デジタル領域でサービスを提供するDX・SaaS関連企業(注)2にとって大きな事業機会となり、事業成長を後押しする環境となりました。その結果、DX・SaaS関連企業における求人ニーズは、人材関連ビジネス市場全体が先行き不透明な状況においても、高まっているものと考えております。

(注)2.「DX・SaaS関連企業」とは、テクノロジーや情報システム、AIやロボティクスの活用、メディア運営等のITを活用した課題解決を事業とする会社及びこれらの会社に対するサービス提供を行う会社と当社で定義しております。

ⅱ.スタートアップ・ベンチャー企業を取り巻く環境

 2022年1月4日の岸田前内閣総理大臣年頭記者会見において、市場原理に全てを任せるのではなく、成長領域に投資しながら分配していくことで成長と分配の両立を目指す「新しい資本主義」が掲げられ、これを実現するための決意の一つとして、「戦後の創業期に次ぐ日本の第2創業期を実現するため、本年をスタートアップ創出元年として、『スタートアップ5か年計画』を設定して、スタートアップ創出に強力に取り組みます。」との発言があり、2022年11月には「スタートアップ育成5か年計画」が策定されました。さらに、2022年3月に日本経済団体連合会が提言した「スタートアップ躍進ビジョン」においては、日本経済全体を浮揚させ、再度競争力を取り戻すための最も重要な課題として、スタートアップエコシステムの抜本的強化が提言されており、5年後(2027年)までにスタートアップの裾野、起業の数を10倍にすることなどが目標として定められております。

 新規IPO件数(東京証券取引所マザーズ、グロース、JASDAQ及びスタンダードの合計件数)については、株式会社日本取引所グループがHPで公表する「新規上場基本情報」によると、2017年67社、2018年77社、2019年69社、2020年77社、2021年109社、2022年81社、2023年86社、2024年76社と推移しております。2021年をピークにIPO件数は減少しておりますが、これは、ロシアのウクライナ侵攻や原油高騰、原料高によるインフレ傾向が発生し、各国で政策金利引き上げが行われた影響などによるものであると考えられます。また、株式会社ユーザーベースが運営するスタートアップ情報プラットフォーム「スピーダ」が公表した「2024 Japan Startup Finance」によると、2024年の国内スタートアップ資金調達額は7,793億になったとされております。このように、日本市場の潜在的成長性は十二分にあり、今後もスタートアップ・ベンチャー企業が誕生しやすくかつ成長を促進する環境を整備することができれば、日本のスタートアップ・ベンチャー企業を取り巻く環境が益々活性化する可能性を秘めております。

 以上のように、新産業領域の企業に関連する市場が年々拡大する一方で、人口減少・少子高齢化による労働力不足の流れ、デジタル化及びテクノロジー(AI・Robotics等)による産業革新の流れ、機械による失業への対応(再教育・再配置、独立支援)が求められております。また、2020年9月に経済産業省より発表された「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~人材版伊藤レポート~」にもあるように、持続的な企業価値向上に向けて人的資本及び人材戦略の重要性は高まる一方であり、多くの日本企業にとって人的資本の最適化及び新しい事業・産業の創造は重要性の高いテーマとなります。

③ 競合他社に対する競争優位性

 新卒学生向け厳選就活プラットフォーム「Goodfind」が当社グループの主要サービスであり、「Goodfind」のビジネスモデルが競争優位性の源泉となります。「Goodfind」ではこれまで、挑戦意欲・成長志向の高い新卒学生とベンチャー企業のマッチングを行ってきましたが、これを行うためには学生に対してベンチャー企業への興味喚起を行うこと及び成長可能性の高いベンチャー企業を厳選することが必要となります。しかしながら、社会人経験がなく就職活動により得られる様々な情報により志向性が日々変化する学生に行動変容を生み出し、ベンチャー企業へ興味喚起することは困難であり、かつ数ある企業の中から成長可能性の高いベンチャー企業を厳選してマッチングすることはさらに困難となります。「Goodfind」では、3つのケイパビリティ(顧客の目利き力/行動変容を生み出す力/マッチング力)へ注力することにより、競合他社に対する競争優位性を高めております。

ⅰ.顧客の目利き力

 ベンチャー企業を中心とした過去の取引実績から、新産業領域において構築された情報取得のネットワークにより、成長性の高い新産業領域の企業を厳選して開拓しております。

ⅱ.行動変容を生み出す力

 社会人経験がなく就職活動により得られる様々な情報により志向性が日々変化する学生に対して、ブランドイメージ等により企業を選好する等のバイアスを取り除くコンテクスト及びコンテンツを、メディアによる情報提供に加えて、インキュベーションパートナーによる個別面談やセミナー・イベント等を通じて伝えることで、行動変容を生み出しております。

ⅲ.マッチング力

 顧客の目利き力によって厳選された新産業領域の企業と、行動変容を生み出す力により形成された挑戦意欲・成長志向の高い学生とを、「プロダクト(Goodfind)」と「人材」による複合的な価値提供を行うことで適切なマッチングを生み出すことが可能となります。

④ 顧客基盤

 当社グループの顧客基盤は、主にベンチャー企業で構成されております。さらに、今後の市場規模の拡大が見込まれ、成長性の高いDX・SaaS関連市場において事業を展開するDX・SaaS関連企業が主要顧客となります。

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、ミッション及び長期ビジョンの実現に向けて、「営業利益が持続成長する付加価値の高い事業」を目指しており、その達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益及び営業利益率としております。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、2005年の創業期から、スタートアップ・ベンチャー企業を中心とした新産業領域における人的資本投資という領域で事業を展開し、当該事業領域の新規性とスタートアップ・ベンチャー企業の急成長により、新しい市場の開拓とともに成長してまいりました。しかしながら、このような経営環境における成長の一方で、当社グループが持つ価値源泉及び競争優位性の構築と磨き込みが後手になったことで、新産業領域における人的資本市場の拡大やコロナ禍に伴う経営環境の変化に適応することができず、前連結会計年度及び当連結会計年度における成長率の減退を招いたと認識しております。このような状況において、2023年3月に創業経営者から経営を引き継ぎ、新たな経営体制となりましたが、ミッション及び長期ビジョンの実現に向けて、「営業利益が持続成長する付加価値の高い事業」の構築が不可欠であると考えており、その探索と作り込みを経営者が自己体現し、組織へ展開することを通じて大改革を推進することで、企業価値向上に努めてまいります。なお、事業上の優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。

① 主要サービス「Goodfind」における学生会員の利用率改善と求人企業とのマッチング創出

 当社グループの主要サービスである「Goodfind」においては、顧客企業とのマッチングを生み出すために不可欠である学生会員の利用率改善と、当該学生会員と求人企業のマッチング創出が重要な課題であると認識しております。

 当該課題に対しては、コロナ禍において一時オンラインのみとしていたコンテンツにオフラインを取り入れて実施することや、日々変化する学生会員の行動・思考にフィットする様々なコンテンツを提供することで、学生会員の利用率向上に努め、求人企業とのマッチングを創出してまいります。

② 組織・人材・カルチャー

 ミッション及び長期ビジョンの実現においては、組織・人材・カルチャーの構築及び強化は重要な課題として認識しております。当社グループ自体が「新産業領域の人と組織に関する専門性とテクノロジーを有したプロフェッショナルカンパニー」となることを目指し、事業及び組織の好循環の起点となる良質なリーダーを再現性高く輩出するためのスローガン流リーダーシップの開発や、それらを通じたカルチャーの醸成と浸透等を実行してまいります。

③ 事業マネジメントシステム

 業績及びKPIマネジメントの見直しや改善による深度向上と施策創出、相対優位性の高いオペレーションの構築による価値源泉の継続的な強化は重要な課題であると認識しており、その強化を実行してまいります。

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