企業兼大株主ストレージ王東証グロース:2997】「不動産業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、下記のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 トランクルームは、海外では「セルフストレージ」と呼ばれ、最も普及が進んでいるアメリカでは1970年代にその数が一気に増え、トランクルームを利用する世帯普及率が現在では、10%超となっています。

 また、トランクルームの世界市場規模は、約380億ドル(約5兆円)となっています。

(出典: Self-storage:How warehouses for personal junk become a $38billion industry-Curbed)

 一方、日本は年々認知度が向上、収納サービス利用者が増加傾向ではありますが、全国で1世帯あたりのレンタル収納スペース数は0.0044室(2022年1月1日時点での「住民基本台帳に基づく人口」の総世帯数で換算)、コンテナ収納スペースは0.0060室となっており、両者を合わせて1.04%の世帯普及率となります。日本の世帯普及率はアメリカの約10分の1程度であり、生活様式の違いなどはありますが、まだ日本における普及率には伸長の余地があるものと推測されます。世帯数の伸び率は鈍化する中、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の人口は3,670万6,866人(前年比7万3,650人減)で、全国人口に占める割合は29.15%(前年比0.11ポイント増)となり、依然として東京圏集中の構図となっています。また、東京圏の部屋数は増加が続いており、1世帯当たりのレンタル収納スペース数は今後も拡大傾向を見込むことができます。

 2021年度の収納ビジネスの市場規模(レンタル収納+コンテナ収納)は、805.1億円、2022年度の同市場規模は836.5億円、2023年度は867.7億円(前期比3.6%増)、2024年度は918.7億円(前期比5.8%増)と予想されています。2023年度以降は、大手事業者を中心に新規出店のペースが加速していくとみられ、これまで以上の供給状況になるとみられます。(出典:矢野経済研究所「2025年版拡大する収納ビジネス市場の徹底調査」)

 日本におけるサービスの認知度・世帯普及率はまだ高いとは言えず、今後のさらなる市場拡大を見込むことができると考えています。また近年においては不動産価格が右肩上がりで上昇してきたため、ライフステージの変化に伴う住居(特にマンション)の買い替えを行うことができましたが、今後の不動産価格の大幅な上昇が期待できなくなったため、住居の買い替えが進まず一つの物件に長く住むケースが増えてきています。このため、それぞれのライフステージにおいて必要な荷物・家財等を外部のトランクルームを利用することにより、住まいの限られたスペースを調整することが増えてきています。新型コロナウイルス感染症による在宅勤務の増加に対応して室内を広くすることや、いわゆる巣ごもり消費の増加により家庭内に食品などの在庫が増えたことなどもトランクルーム業界にとっては追い風となってきていると考えています。

 またトランクルームを不動産投資物件として考えた場合、トランクルームは水回り等がないため、建築費を通常の建物と比べて低く抑えることができるとともに、大規模修繕の頻度も低くなります。さらにアパート・マンションと比較しても経年による賃料の減少幅が小さいため投資物件としては優位性を持っています。これらのトランクルームの特性を活かして事業を発展、強化させるため、当社では以下の事項を重要な課題と認識し、その対応に引き続き取り組んでまいります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「顧客資産の持続的な価値向上を通じて、人々の暮らしや社会の未来を共創する」を経営理念に掲げ、「不動産所有者の資産価値の向上と、トランクルーム利用者の利便性の向上と満足感を通じて、人々の暮らしや社会の未来を豊かにする」を経営理念に基づくミッションとして、セルフストレージ方式のトランクルームの企画、開発、運営及び管理を行う事業を展開しております。

 上記の経営理念・ミッションを達成するために下記の戦略を推し進めてまいります。

① 旺盛な需要があるエリアへ、不動産物件開発力、建築企画力を通じて優良な収益不動産を建設する。また並行して対象地域でのトランクルーム利用者の利便性を高めるサービスを提供する。

② オペレーション能力の向上を通じて、管理受託物件の拡大を図る。

③ セルフストレージ専用ポータルサイト・Web決済システム等の開発・連携を図り、業務効率向上と販売機会の拡大により、当社の認知度を向上させる。

④ 複数の大型案件の投資家に加え、小規模案件の投資家開拓も行い、多様な売却先を確保することにより安定的に投資資金が回収できるようにする。

(2)目標とする経営指標

 当社は、下記の指標を重要な経営指標と考えております。

① 各物件開業後の稼働率

 トランクルームは一般的に、開設当初は稼働率が高くはありませんが、そのマーケットでの認知度の向上等により時間を経るごとに徐々に稼働率が高まっていく特性があります。当社では、稼働率と経過年数に注目して物件ごとの管理を行っています。経過年数のわりに稼働率が上がっていない物件に対しては、稼働率を向上させる対策をとっています。

② 管理する物件の物件数と部屋数

 当社は、当社が管理する物件数とその部屋数を特に意識しております。物件数と部屋数が増加することにより、ユーザー顧客に対する信頼感が獲得できると同時に、トランクルーム業界内での当社の地位向上に役立つものと考えております。

③ 物件への問合せ数と契約の成約率

 物件に対する問合せがなければトランクルームの新規契約は進まないことから、問合せ数とその推移に注目しておりますが、それと同時にこれらの問合せが実際の契約に至る成約率も重要な指標と考えております。

(注) 稼働率は、稼働室数÷総室数で算出しております。経過年数は建築2年以上経過物件を既存稼働率、2年未満を新規稼働率として区別しております。

(今後の戦略)

 収益力強化、事業拡大のためには、トランクルーム利用者獲得、不動産物件開発力強化、運営力の強化と効率化が必要となります。

 トランクルーム利用者獲得のためには、店舗内覧会の開催やチラシ、看板などにより店舗そのものの認知度を上げることに加え、新規にトランクルームを利用するお客様にトランクルームの利便性についてご理解頂くことが重要となります。そのため、ホームページを活用したトランクルームの利便性、利用方法の説明や問い合わせを頂いた際に、実際に施設を見学頂くご案内などにより新たなお客様の獲得に努めてまいります。

 また、トランクルーム利用者の利便性を高めるため、清潔な環境の維持、温度・湿度管理などの通常の家財保管のための設備管理に加え、宅配ボックスの設置や荷物運搬サービスの提供などお客様がトランクルームをより利用しやすいサービスに努めてまいります。

 不動産物件開発力強化のためには、不動産会社、金融機関などからの情報収集力を強化していくとともに、マンション用地を購入後、開発を見合わせている住宅系開発会社からの情報取得にも努めてまいります。また、2023年1月に提携したクリアル株式会社との協業により、新規物件開発の強化に加え、既存の事務所ビルなどの改装案件開拓にも努めてまいります。同時に物件開発に伴う資金調達力強化のため、金融機関との関係を強化してまいります。

 また、安定的に物件開発を進めるため、従来の建築工事の実績を踏まえ設計・施工を工夫することによりコスト抑制を図るとともに、ゼネコン、設計事務所との協力関係構築により工事体制を強化してまいります。

 運営力の強化、効率化については、2022年11月に提携した株式会社パルマとの協業により、お客様との契約手続きの効率化、内覧会開催の充実などを図り、店舗数、部屋数の増加に対し、運営コストが比例して増加しないように工夫し、安定的、効率的な運営体制を整備してまいります。

(3)中期的な経営戦略と会社の対処すべき課題

 当社が対処すべき課題と致しましては以下の課題であると認識しております。

① 物件開発力の強化

 既存事業拡大のためには、出店用地の確保及び建設コストの抑制が必要となります。出店用地の確保については、不動産業界における住宅系の新規開発が一部消極的になる中、既存の住宅系開発会社や仲介会社との連携などを密にしてまいります。建設仕入れ価格の高騰により、コストの抑制は容易ではありませんが、設計・施工を工夫することで検討・推進してまいります。また、新規物件獲得、開発力強化に向けて開発部の人員強化を進めております。

② 既存物件、新規物件の稼働率向上策

 新規物件の集客力の強化については、建設時の現地看板、チラシ、トランクルームまとめサイトへの掲載及び内覧会の開催等により、物件周辺での認知度を高める策を講じております。また開店後期間が経過した既存物件で稼働率が不十分な場合は、利用料や手数料を一定期間に限り割り引くキャンペーンの実施や部屋サイズの変更を行うことで集客の強化を推進し、稼働率向上に努めております。また、物件全般について、ホームページの活用やWEB広告の実施、トランクルームまとめサイトへの掲載及びGBP(Google Business Profile)を活用して認知度を向上させてまいります。

③ 財務体質の改善と資金調達力の強化

 新規物件の開発にあたっては、必要な資金を安定的に調達することが重要となります。そのため複数の金融機関と親密な取引関係を維持し、資金調達の安定性と財務基盤の安全性を高めるように努めております。

 なお、今後は、資金調達の多様化を図り、収益不動産であるトランクルーム開発に長期的に対応できる資金調達を行うことで企業としての財務体質強化を目指してまいります。

④ 新規事業(サービス)の拡大

 新規事業としては、2025年1月より一部の対象店舗において、株式会社トーハン様との共同キャンペーンを実施いたしました。これは、本を購入したいが収納スペースに限りがあり、新しい本を購入できないという書店のお客様の収納課題への対応としてトランクルームの活用を提案するサービスとなります。

 梶が谷、東浅草、ときわ台、新大塚、中板橋の各トランクルームにおいては、2023年6月から開始しました家財等を分類整理するためのスチールラック付部屋の提供を継続しております。

 また、2024年9月に大型オフィスビル(新宿フロントタワー)の2階フロアを改装し、屋内型のトランクルームとしてオープンいたしました。これに伴い、2024年10月には、株式会社サマリー様との営業連携により、都心でいつでもすぐに取り出せる当社のトランクルームと配送サービスを組み合わせて、より良いサービスの提供に努めております。

 このほか、バイク収納が人気であることを受けて、屋外型だけでなく屋内型にもバイク専用の駐車場を併設したトランクルームを増やしております。このように、既存建物の有効活用や様々な形態で出店することにより、利用者に身近で利便性の高いトランクルームの提供に努めてまいります。

⑤ 新規参入者・同業他社に対する施策

 当社ビジネスモデルは特許権等により法的に他社を排除できる参入障壁を持っておらず、ビジネスモデル自体もシンプルなものであるため、新規参入者・同業他社による競争激化が起こる可能性があります。これに対し、当社としては、これまで作り上げた不動産仲介業者や各種金融機関との情報連携や物件情報に対する迅速な投資判断などで開発力を強化してまいります。

 不動産投資家のニーズへの対応としては、トランクルーム以外の不動産を投資対象とする不動産投資家も当社の取引先に多くみられることから、投資家のニーズに合わせて、トランクルーム以外の不動産の販売、仲介を行っていくことを目指しております。また、若者の車離れや高齢者の利用に備え、運送業者との連携による荷物の集配サービスの強化などお客様の利便性を高める取組みを強化してまいります。

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