企業兼大株主スズキ東証プライム:7269】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社グループの研究開発活動は主に当社が行っています。

モノづくりの根幹である「小・少・軽・短・美」、お客様の立場になった「価値ある製品」づくりをモットーとし、世界中のお客様の日々の移動を支え、環境にも優しく、いつも身近にあって頼れる生活のパートナーとなる製品・サービスの提供に挑戦しながら、下記のように取り組んでいます。

 生産、技術、調達、IT一体の「中期経営計画(2021年4月~2026年3月)~「小・少・軽・短・美」~」の基本理念「世界の生活の足を守り抜く」を主眼にお客様に価値ある製品・サービスを提供するため、AIを活用した品質向上・保証とデータ活用基盤の強化などに挑戦しています。これらは製品の電動化、製造領域のカーボンニュートラル対応と結びつきスズキスマートファクトリーの体系となり取り組んでいます。電動化の製造技術は、量産が視野におさまり、製造領域のCO2排出削減は、排出量の多い塗装設備の刷新計画の開始や水素活用で燃料電池を動力とする荷役運搬車の実証実験など技術活用を進めています。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は2,056億円であり、セグメントごとの活動状況は以下のとおりです。

 (1)四輪事業

① 新商品の開発状況

[国内市場]

 2022年4月に「エスクード」にハイブリッドシステムを搭載し発売しました。高い走破性と低燃費を両立しました。

 2022年6月に「アルト ラパン」を一部仕様変更し、安全装備や快適装備の充実を図りました。また、新たに「アルト ラパン LC」を設定し発売しました。「アルト ラパン LC」は、エクステリアはどこか懐かしさを感じるデザインとし、インテリアは落ち着きのある空間としました。

 2022年8月に、「ワゴンR」、「ワゴンR スティングレー」を一部仕様変更し、安全機能の充実を図りました。また、新たに「ワゴンR カスタムZ」を設定し発売しました。「ワゴンR カスタムZ」は専用のヘッドランプ、フロントグリル、フロントバンパーを採用し、精悍なデザインに仕上げました。

 2022年8月に新型軽商用車「スペーシア ベース」を発売しました。「遊びに仕事に空間自由自在。新しい使い方を実現する軽商用バン」をコンセプトに、商用車の積載性や広い荷室空間、使い勝手のよさと、乗用車のデザインや快適性、運転のしやすさを融合しました。

 2022年12月にハイブリッドを搭載した小型乗用車「ソリオ HYBRID S」、「ソリオ バンディット HYBRID SV」を発売しました。WLTCモード走行での燃費値22.3km/Lを実現しています。

[海外市場]

 2022年6月に、インド子会社Maruti Suzuki India Ltd.(以下、マルチ・スズキ)は、新型「ブレッツァ」をインド国内で発売しました。フードやベルトラインを強調することで、SUVらしい大胆でスポーティーな力強いエクステリアを進化させました。全方位モニターやヘッドアップディスプレイなどの先進装備を採用するとともに、コネクテッドサービス「スズキコネクト」に対応しました。

 2022年7月に、マルチ・スズキは、グローバルにおけるSUVのフラッグシップモデルである新型「グランドビターラ」を発表しました。トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ自動車(株))と当社の業務提携に基づく協業のひとつであるグローバルでの車両のOEM相互供給契約のもと、当社が開発し、トヨタ・キルロスカ・モーターにて8月より生産を開始しました。インド国内での販売をはじめ、アフリカなど海外への輸出も開始しました。

 2022年8月に、マルチ・スズキはインドで新型「アルト」を発売しました。軽量・高剛性のプラットフォームに1.0Lガソリンエンジンを搭載することで、優れた低燃費と高い走行性能を実現しました。

② カーボンニュートラルへの対応

 当社は、お客様の選択肢を広げ、地域のニーズに合った製品・サービスをお届けするとの考え方を軸に、事業・地域毎のカーボンニュートラル目標の達成に取り組んでいます。ハイブリッドシステムの性能向上はもちろんEVの開発・製品化に向けた電動化技術開発や、内燃機関の更なる改善にも力を入れています。

 ハイブリッド車としては、小型乗用車「ソリオ HYBRID S」及び「ソリオ バンディット HYBRID SV」に一定速走行時などでEV走行可能な当社独自のハイブリッドシステムを搭載し、2022年12月より販売を開始しました。コンパクトながら瞬間的に大きな力を発揮する駆動用モーターとコンパクトで伝達効率に優れたオートギヤシフト(5速AGS)を組み合わせた当社独自のハイブリッドシステムを採用した他、6Ahのリチウムイオンバッテリーとの組み合わせを採用しました。

 コンパクトSUV「エスクード」に搭載したハイブリッドシステムは、ハイブリッドシステムの電圧、リチウムイオンバッテリーの容量、モーターの最大出力、トルクの変更により、EV走行が可能な時間や速度の範囲を拡大※1し、WLTCモード走行での燃費値19.6km/Lを実現しています。また、ブレーキをかけた際に効率よくバッテリーが充電できる回生協調ブレーキ、後退時のEV走行※2を採用しました。

 新型「グランドビターラ」のパワートレインにはマイルドハイブリッドのほか、ハイブリッドシステム「インテリジェントエレクトリックハイブリッド」を設定しました。トヨタ自動車(株)との協業を通じて、両社それぞれの強みを持ち寄ることで、お客様に幅広い電動化技術を提供することが可能となり、インドにおける電動化の加速と、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。

 電気自動車の取組みについては、当社はお客様のニーズと利用スタイルに対応した適所適材のEVを開発し、適切な時期に市場に投入していく方針です。

 日本では、2023年度の軽商用バッテリーEVの投入を皮切りに、小型SUV・軽乗用などの投入を予定しており、2030年度までに6モデルを展開します。また、軽自動車や小型車向けに新型ハイブリッドを開発し、バッテリーEVと併せることでお客様に多くの選択肢を提供していきます。

 また、電気自動車の開発では、2022年3月より開始した、プロトタイプ車を用いた一般のドライバーに通勤や休日に使用していただく中でデータを収集するテストを継続しています。インド・グジャラート州への投資など、インドでのEV生産の準備を進めており、これらのテスト結果を、現在トヨタ自動車(株)と共同で開発しているEVにもフィードバックしていきます。

 2022年7月に、当社、ダイハツ工業株式会社、トヨタ自動車(株)、Commercial Japan Partnership Technologies株式会社の4社は、カーボンニュートラルの実現に貢献するために、2023年度に商用軽バン電気自動車(以下、BEV商用軽バン)の導入を目指しています。現場での使い方、走り方等を調査し、「Commercial Japan Partnership」プロジェクトで足並みを揃えながら開発を進めています。

 欧州では、2024年度よりバッテリーEVを投入し、SUV・Bセグメントなどに広げていき、2030年度までに5モデルを展開します。欧州各国の環境規制やお客様ニーズに合わせて柔軟に対応していきます。

 インドでは、2023年1月に開催された「Auto Expo 2023」のマルチ・スズキのブースにおいて、EVコンセプトモデル「eVX」を世界初公開しました。2025年までに市販化を計画している当社のEV世界戦略車第一弾のコンセプトモデルです。このコンセプトモデルをベースとした商品を2024年度に市場投入し、2030年度までに6モデルを展開します。バッテリーEVだけではなく、当社はあらゆる製品・サービスを提供すべく、ハイブリッド車・CNG・バイオガス・エタノール配合の燃料などを使用したカーボンニュートラルな内燃機関車も継続的に投入する計画です。

 さらに、インドでは多様なニーズに応える環境性能に優れた技術を搭載する自動車をラインナップするための技術として、CNG燃料に対応した自動車をマルチ・スズキと共同で開発、既に100万台以上をインド市場にて販売しました。加えて、当社が支援しマルチ・スズキが開発した高エタノール混合ガソリン対応エンジン(E20-E85に対応)を搭載したプロトタイプ車の開発も進めていきます。

 また、燃料を「つくる」プロセスの効率化を研究することを目的とした「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」に参画し、カーボンニュートラル社会実現のため、バイオマスの利用、生産時の水素・酸素・CO2を最適に循環させて効率的に自動車用バイオエタノール燃料を製造する技術研究を進めています。

③ 新興国への取組み

 マルチ・スズキは、2023年1月9日にインド国内累計販売2,500万台を達成しました。

 現在、インドでは17モデル※3が生産・販売されており、近年では成長著しいSUVモデルの投入に加え、ハイブリッドやCNG仕様車の普及にも取り組んでいます。また、インド国内市場のみならず、アフリカをはじめとする新興国市場への輸出にも積極的に取り組んでいます。

 マルチ・スズキは、これからも安全で信頼性が高く、環境に配慮した商品を提供し、自動車市場の持続可能な発展に貢献していきます。

④ 安全・安心技術の開発

 当社は、小さなクルマで大きな安心をお届けするため、誰もが安心して乗れる運転のしやすさを考えた基本安全技術、事故そのものを未然に防ぐ予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」、万一の衝突被害を軽減する衝突安全技術を培い続けています。安心して楽しく車に乗っていただくために、事故の無い未来に向けてさらなる技術の進化と普及に努めていきます。

 新型「スペーシアベース」では、夜間の歩行者も検知する「デュアルカメラブレーキサポート」を搭載した「スズキ セーフティ サポート」を全車に標準装備したほか、XFには全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール(以下、ACC)を採用しました。また、すれ違い支援機能を搭載した全方位モニター用カメラをメーカーオプションとして設定しました。また「ワゴンR」、「ソリオ」において、ACCや車線逸脱抑制機能の装備を拡充しました。

⑤ 情報通信技術の開発

 2021年12月より国内向け新型「スペーシア」、2022年2月よりインド向け新型「バレーノ」、2022年8月より欧州向け新型「Sクロス」へコネクテッド技術を搭載し、「スズキコネクト」※4サービスの提供を開始しました。コネクテッド技術を活用して、緊急時の迅速かつきめ細やかなお客様サポートや、離れた場所で車両の状態確認や操作を可能とするリモート機能など、より安心・快適・便利なカーライフをお客様へ提供しています。今後は、他地域への展開や他モデルへの搭載を順次進めるとともに、コネクテッドデータを活用した品質向上や設計支援の促進、次世代の通信技術を採用した新たなコネクテッド機能の開発を進めていきます。

 また、2023年3月より法人向け車両管理サービス「スズキフリート」を開始しました。コネクテッド技術を活用し、車両を日々活用されている法人企業の車両運行管理や社員の安全運転啓発などの業務を支援します。簡易装着可能な通信機を活用することで、法人企業が既に所有されている車両にも装着することが可能です。今後は、走行データを分析することで、各業種・企業に適したカスタマイズサービスを提供することや、カーボンニュートラル対応のEV導入を支援するサービスへ展開することを進めていきます。

 2016年より進めている「浜松自動運転やらまいかプロジェクト」では、浜松市内で第3回目の実証実験を行いました。自動運転システムの技術レベルが向上し自動走行可能な領域を広げることができました。また、自動運転を活用したサービスとして労働力不足が深刻になっている農業分野において、作物の圃場から集荷場の自動搬送を目的とした自動運転軽トラックの開発に取り組んでいます。内閣府のSIP施策に参加し埼玉県鴻巣市で行われたフォーラムで農道での自動搬送デモを実施しました。今後も地域や様々な業種のニーズを捉え、人や社会に役立つ自動運転の開発に取り組んでいきます。

 当連結会計年度における四輪事業の研究開発費は1,862億円です。

※1 スイフト HYBRID SZに搭載されているハイブリッドシステムと比較。

※2 後退前にエンジンがかかっている場合やアクセルの踏み込み具合、バッテリーの残量等により、EV走行しない場合があります。

※3 2023年1月30日時点

※4 メーカーオプションとして設定しています。(別途ご契約が必要な有料サービス)

 (2)二輪事業

 二輪事業では、カーボンニュートラル達成に向けた技術、お客様の立場になった「価値ある製品」を提供する技術の開発を行っています。カーボンニュートラル達成に向けた、より環境にやさしい電動二輪車の開発では、電動二輪車の共通仕様バッテリーシェアリングサービス「Gachaco(ガチャコ)」を利用した電動スクーター「e-BURGMAN」での実証実験を開始しました。実証実験において種々のデータを収集し、今後の電動二輪車の開発を行います。

 また、新型大型二輪車「V-STROM800DE」及び「GSX-8S」向けに、新たに775cm3の2気筒エンジンを開発しました。新開発の「スズキクロスバランサー」を採用し、エンジンの振動を抑えながら、軽量・コンパクト化を実現しました。

 当連結会計年度における二輪事業の研究開発費は145億円です。

 (3)マリン事業 

 マリン事業では、マリン製品における環境や利便性向上に関わる技術開発を行っています。

主な成果として、「マイクロプラスチック回収装置」を標準装備した船外機「DF140BG」、「DF115BG」、「DF140B」、「DF115B」、「DF100C」を開発しました。

 「マイクロプラスチック回収装置」は、水面付近のマイクロプラスチックを回収することを可能とした装置です。近年、正しくリサイクルや回収されずに海に流れ込む大量の海洋プラスチックごみは環境問題となっており、それらが自然環境下で微細に破砕されたマイクロプラスチックは生態系への影響が懸念されています。この問題への対応として、船外機がエンジン冷却用に大量の水を汲み上げ、冷却後にその水を戻す構造であることに着目し、戻り水ホースに取り付け可能なフィルター式の「マイクロプラスチック回収装置」を開発しました。この装置は冷却後の戻り水を活用するため船外機の走行性能に影響しません。お客様はフィルターを確認することが可能で、回収できるマイクロプラスチック量は多くはありませんが、その存在を身近に感じ、SDGsの14「海の豊かさを守ろう」の意識をさらに高めていただけるものと考えます。

 その他環境面として、この装置が標準装備された船外機は、定評のある「スズキリーンバーン(希薄燃焼)システム」の採用、高圧縮比化による熱効率向上、吸入空気温度上昇を抑制したエアインテークによる燃焼室内流入空気温度の低減の効果により優れた燃費性能を有しています。また、利便性の向上として、スムーズで確実なシフト操作、素早く正確なスロットルコントロールを実現する電子式シフトと電子式スロットルを備えた「スズキプレシジョンコントロール」を採用したモデルも設定しました。

 当連結会計年度におけるマリン事業の研究開発費は45億円です。

 (4)その他の事業

 その他代表的なものとして、小型低速電動モビリティ事業において高齢者の生活を支援する新たな商品と、電動車いすの技術を応用した電動台車の技術開発に取り組んでいます。

 具体的には、2021年11月に実施したはままつフラワーパークでの電動アシストカート「KUPO(クーポ)」の試験運用に続き、2022年11月に屋内商業施設での有用性を検証する試験運用を実施しました。「KUPO」は、歩行を補助する電動アシストカートから、乗って移動できる電動車いすにもなり、生活を支援し歩く嬉しさを提案する「歩く・広がるモビリティ」として開発を進めてきた活動支援モビリティです。

 また、2023年3月に自動配送ロボットの開発・提供・サービス運用を手掛けるスタートアップ企業であるLOMBY株式会社と自動配送ロボットの共同開発契約を締結しました。当社は電動台車の設計・開発を担当し、当社が長年築き上げてきた電動車いす技術の流用と部品の共通化を図ることにより、自動配送ロボットの量産化における品質確保と製造コスト低減に取り組んでいます。

当連結会計年度におけるその他事業の研究開発費は4億円です。

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