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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営理念

 当社グループを取り巻く競争環境が大きく変わりつつある中、この変化をチャンスととらえ、加速するデジタル社会の進展とあらゆる空間におけるビジネスフィールドの拡張を見据え、当社グループの果たすべき役割を定めたグループミッションを掲げています。

Space for your Smile
不安が「安心」にかわる社会へ
不便が「快適」にかわる生活へ
 好きが「大好き」にかわる人生へ

Space for your Smileには、私たちの目指す世界が描かれています。宇宙も、空も、海も、陸も、家族が集うリビングも、ひとりの自由な場所も、これらすべてのSpaceが笑顔で満たされるように。日常のちょっとした幸せから、まだ見ぬ未来の幸せまで、ひとりひとりの明日がよりよい日になっていく、そんな世界を創りつづけます。

 このグループミッションを、持続可能な社会に向けた活動を進めるための「サステナビリティ方針」としても掲げ、社会的課題を解決するとともに企業価値の向上に努めてまいります。

(2) 経営環境

 宇宙関連市場においては、航空機向けの移動体衛星通信や、安全保障領域、防災・減災等での衛星データ利活用の需要が拡大しております。一方、大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格的に開始され、価格及びサービスの競争が激化する等ビジネスの環境が大きく変化しております。

 メディア関連市場においては、動画配信サービスとのコンテンツ及び顧客の獲得競争が激しくなる等厳しい市場環境が続いております。一方、新たな視聴デバイスの普及や、リアルイベントに加えオンラインでのライブイベント等のメディア消費の多様化により、市場機会が広がっております。

(3) 経営方針・経営戦略

 中長期的な価値創造に向け、当社グループは「既存事業の収益性強化」「新領域事業の展開」「人的資本強化」「経営基盤拡充」という4つの大きな柱から構成される経営戦略を掲げております。

2030年度に向けて、宇宙事業はスペースインテリジェンス事業を成長ドライバーとし、メディア事業は放送・配信事業、光アライアンス事業で利益水準を維持・拡大することにより、目指す姿を、当期純利益280億円以上へと引き上げました。

<既存事業の収益性強化・新領域事業の展開>

2025年度においては、「収益基盤強化」「事業の進化」「新規領域の開拓」の3つの軸で事業に取り組んでまいります。両事業のビジョン、取り組みは以下になります。

(宇宙事業)

40年にわたり培ってきた宇宙・衛星サービス分野での経験を活かし、全ての空間を対象とした革新的な通信ネットワーク及び地球規模のデータ収集ネットワークを構築し、超スマート社会の実現に貢献してまいります。

 収益基盤強化:通信関連事業では、衛星フリートの最適化等を実行し、収益力を一層高めてまいります。また、2027年以降の次世代衛星投入を見据えた移動体向け・グローバル向け販売を拡充してまいります。

 事業の進化:2025年2月に発表した、自社保有低軌道衛星コンステレーションの構築をはじめとして、静止軌道中心であったビジネスをMulti-Orbitへ拡大し、衛星オペレーターから宇宙ソリューションプロバイダーへの転換を進めてまいります。

 新規領域の開拓:宇宙状況把握、光データリレー、スペースデブリ除去等、新たな技術を活用したサービスの実現を目指してまいります。

(メディア事業)

 衛星放送・動画配信ネットワークを持つプレイヤーとしての確固たるポジションを維持しながら、人と人、企業、社会をつなぐエンタメプラットフォームとして多様で創造性豊かな社会の実現に貢献してまいります。

 収益基盤強化:放送・配信事業では、多くの加入者の皆様に選ばれている主力商品と、優良顧客基盤の維持に注力し、収益力を一層高めてまいります。

 事業の進化:光アライアンス事業の再送信サービスでは、アライアンス先との連携強化を通じて、接続世帯数を拡大してまいります。また、CATVパススルーサービスでは、CATV事業者の抱える課題へのソリューション対応力を高め、利用拡大を図ってまいります。

 新規領域の開拓:アニメコンテンツIPビジネスのさらなる成長と周辺事業の戦略的拡大、コネクテッドTVサービスに挑戦してまいります。

<人的資本強化>

 求める人財の採用・育成と各事業の注力分野への積極的な人的資本投下を図る「人財戦略」と人財が力を発揮するための「エンゲージメント強化」の2つを柱としております。 当社グループの人的資本の考え方や取り組みにつきましては、「第2 事業の状況」の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本・多様性」に記載しております。

<経営基盤拡充>

 企業価値の向上に向けて、下図に示す取り組み等を継続的に実行し、連動させていくことで、資本コストと株価を意識した経営の実現を目指します。

(成長投資)更なる成長に向けた積極的な投資により、余剰資金を収益性の高い資産へ転換。

(資金調達)投資の実行等による資金需要に対して、外部借入等による調達を実行。

(株主還元)株主還元を拡充すべく、配当方針を、配当性向50%以上、1株当たり年間配当金の下限38円以

 上に変更。詳細は、「第4 提出会社の状況」の「3 配当政策」に記載しております。

(役員報酬)株主と同じ目線での経営を一層促進すべく、役員報酬における株式報酬比率を引き上げ。

(投資管理)ハードルレート(7%)を意識した質の高い投資の実行と収支管理の徹底。


 加えて、社会と会社の持続的な成長を目指し、サステナビリティ経営の深化を図ります。詳細につきましては、「第2 事業の状況」の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。その他、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメント、個人情報保護、情報セキュリティマネジメントの詳細につきましては、「第2 事業の状況」の「3 事業等のリスク」、「第4 提出会社の状況」の「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2025年度の連結業績目標は以下のとおりです。
 営業収益             1,276億円
 営業利益               308億円
 経常利益              315億円
 親会社株主に帰属する当期純利益   210億円
 EBITDA                       480億円

(注)EBITDAは、親会社株主に帰属する当期純利益、法人税等合計、支払利息、減価償却費、のれん償却額の合計として算定しております。

(5) 対処すべき課題

 宇宙事業及びメディア事業において、近年のデジタル技術の急激な進化に伴い事業環境が変化していく中で、既存サービスの顧客維持や成長市場の需要の取り込みのための各種施策のほか、M&Aや事業提携にも積極的に取り組み、経営戦略に掲げる「既存事業の収益性強化」「新領域事業の展開」を図ってまいります。

(宇宙事業)

 宇宙事業においては世界規模で宇宙産業市場が拡大する一方、新たな事業者が宇宙ビジネスに参入し、大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格開始される等、競争が激化しております。また、昨今の国際情勢を踏まえ、宇宙空間の重要性が高まっております。

 このような競争環境下において、以下に示す取り組みを推進することにより事業領域を拡大し、宇宙事業の持続的な成長を目指してまいります。

   ① 通信関連事業

 国内衛星通信分野においては、既存顧客に対する通信回線サービスの長期契約更新の提案に加え、衛星機器や当社グループの地上局設備を活用したサービス等を合わせて提供していくことで、事業基盤を強化してまいります。後継衛星についても、ビームや帯域に可変性を持たせたデジタルペイロードを採用する等、新しい技術を積極的に活用し、お客様の多様なニーズに柔軟に対応してまいります。

 また、「宇宙基本計画」等に基づき、安全保障領域を含む政府主導のプロジェクトへの参画、政府系衛星の運用、観測・監視サービス等、40年にわたる衛星通信事業を通じて培ってきた知見を活かした新たなサービスの提供を進め、積極的に活動領域を拡げてまいります。

 グローバル・モバイル分野においては、運用中のハイスループット衛星及び今後投入予定のフルデジタル衛星を活用し、航空機でのインターネット利用等の成長市場に向けた高速かつ大容量の通信サービスの提供を拡大することにより、競争力の強化と収益の拡大を目指してまいります。また、衛星カバレッジの拡大や、通信容量の増強に向けた海外事業者との連携やM&Aについても検討を進め、アジア・オセアニア地域を中心に海外における営業展開を強化してまいります。

 更に、未来社会が求める様々な通信要件に応えるため、パートナー企業と連携しながら、静止衛星に非静止衛星等を加えた多層的な通信ネットワークの構築を目指してまいります。

   ② スペースインテリジェンス事業

 低軌道衛星コンステレーションの構築及び保有を行い、また、地球観測衛星事業者等との業務提携を推進し、衛星画像販売サービスを強化することにより、収益の拡大を目指してまいります。また、パートナー企業とも連携しながら、地球観測衛星から得られる画像や位置情報等の様々なデータを活用したサービスの開発と販売活動を推進し、安全保障や防災・減災に加え、金融、保険、農林水産、物流等、新たな市場の開拓に取り組んでまいります。

   ③ 開拓領域

㈱Space Compassのほか、パートナー企業と連携しながら、HAPS(高高度プラットフォーム)を用いた通信ネットワーク及び光通信技術や宇宙コンピューティング技術を取り入れた宇宙空間でのICTインフラ基盤の構築を目指してまいります。衛星量子鍵配送、宇宙状況把握等、新たな技術を用いたサービスの事業化に取り組み、事業領域の更なる拡大を目指してまいります。

(メディア事業)

 メディア事業においては、メディア消費の多様化や国内外の動画配信サービスとのコンテンツ獲得及び顧客獲得の競争激化等、市場環境が激しく変化しており、従来の延長線上にある各種施策だけでは放送サービスの加入者数の減少を免れない状況にあります。このような競争環境下において、以下の展開を着実に推進することにより、収益性の改善及び新たな収益の獲得を図ってまいります。

④ 放送・配信事業

 加入基盤の維持・拡大には、魅力的かつ差別化されたコンテンツが揃っていることに加え、様々なコンテンツジャンル毎にファンの嗜好に合わせたファン・マーケティングを実践し、「スカパー!」ならではの顧客体験を継続して提供することが重要となってまいります。「スカパー!番組配信」や、グッズ販売やイベント等のリアルサービスを充実し、「スカパー!」に触れていただく機会を増やし、長期間にわたりサービスを楽しんでいただけるよう取り組んでまいります。

 テレビ1台分の料金で3台まで追加料金なしで50チャンネルが見放題となる「スカパー!基本プラン」の契約件数は順調に増加し、2025年3月末時点で741,839件に達しました。家庭内の複数の部屋で視聴人数・視聴時間が増加することで、解約率の抑制や他商品の追加契約の促進につながっております。ファン・マーケティングによって興味を持たれた顧客にも「スカパー!基本プラン」をお勧めして、当社グループのサービスを長く楽しんでいただけるよう各種施策を検討・実行してまいります。

 プロ野球においては、2025年シーズンもセ・パ全12球団公式戦を放送・配信いたします。「スカパー!プロ野球セットアプリ」の機能を更に充実させ、“プロ野球見るならスカパー!”として、プロ野球ファンからの期待に応えられるよう取り組んでまいります。その他のスポーツジャンルにおいても、引き続きファンの皆様の期待に応えられるよう、サービスの拡充に取り組んでまいります。

 また、採算性や将来性の観点からこれまで実施していた施策を見直していくことで、コスト削減及び生産性の向上を図ってまいります。

 更に、CTV領域の事業参入に向けた、放送サービス契約者及びパートナー企業の顧客向けの「スカパー!+ネットスティック」の先行提供に続き、CTVプラットフォームを活用した他社との連携の検証を進めてまいります。

 また、放送・配信事業での収益拡大に向け、国内外の配信サービスを展開する事業者を支援する「メディアHUBクラウド」等、既存アセットを活用したメディアソリューションサービスの受注拡大に取り組んでまいります。

⑤ 光アライアンス事業

 ご家庭内のインターネットブロードバンドサービスの中心となっている光回線において提供している地上デジタル・BSデジタル等の再送信サービスは、様々なケーブルテレビ事業者との協業も含め、引き続き提供エリアを拡大しながら拡販を図ってまいります。光アライアンス事業販路における顧客接点も強化し、新規の多チャンネル契約獲得やアップセル等、放送サービスの基盤維持に向けても取り組んでまいります。また、有料放送市場の維持・発展に向けて、ケーブルテレビ事業者向けパススルー方式による視聴鍵管理機能の提供に取り組んでまいります。

⑥ 開拓領域

 アニメを中心とした映像コンテンツの企画、製作投資、販売、及び周辺事業の推進を通じて、グローバルにビジネスを展開する「グローバルIP事業」の更なる成長と周辺事業の戦略的拡大を進めてまいります。

 また、新たな収益源の確立のため、メディア・エンターテインメント業界でのweb3関連事業やリアルイベント等を通じて、ファンの体験を拡張するべく様々な取り組みを推進してまいります。

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