ジーニー
【東証グロース:6562】「サービス業」
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企業概要
(1) 経営方針
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業のあらゆるマーケティング活動をテクノロジーで支援し、日本とアジアに貢献するため、Purposeを設定し、その実現に向けて事業を展開しております。Business Purpose(ジーニーのプロダクトやサービスが実現する世界観)として、「誰もがマーケティングで成功できる世界を創る」、Corporate Purpose(組織の長期目標・存在意義)として、「日本発の世界的なテクノロジー企業となり、日本とアジアに貢献する」としております。
今後も日本発のテクノロジーカンパニーとして、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループでは、創業来の主力サービスであるインターネットメディアの広告収益最大化プラットフォーム「GENIEE SSP」が持つ大量の広告配信データと顧客基盤を活かし、広告主向けの「GENIEE DSP」「GENIEE DMP」といったアド・プラットフォーム事業を展開しています。また、CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「GENIEE SFA/CRM」、マーケティングオートメーション「GENIEE MA」、チャット型Web接客プラットフォーム「GENIEE CHAT」、サイト内検索ASP・ECサイト向け商品検索サービス「GENIEE SEARCH」、広告効果測定ツール「GENIEE ANALYTICS」などBtoB向けSaaSプロダクトの提供も開始し、事業領域を拡大しております。さらに、2012年(創業3年目)からは海外事業展開に着手し、サービス提供地域の拡大も図っております。加えて、2024年7月に連結子会社化したソーシャルワイヤー株式会社(以下、ソーシャルワイヤー)を中心に「デジタルPR事業」を新設し、こちらも積極的に拡大を図っています。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、収益の源泉となる「売上収益」と収益力の基礎指標である「売上総利益」に加えて、本業での収益力の基礎数値である「営業利益」の3指標を重視しております。
(4) 中期経営計画(2023~2025年度)
2023年度から始まる中期経営計画 ~First Magic 2025 Towards 2030 Vision~ を策定しました。
本中期計画では、2030年までに「誰もがマーケティングで成功する世界を国内で限定的に実現する」という新たな成長軌道を創るための「Phase1(アドテク事業再強化)」として、ユニークで圧倒的な顧客価値を創造するために、組織文化の向上、ケイパビリティの強化、生産性の維持・向上、プラットフォームの拡充、技術革新、競争優位性の獲得を実施するとともに、継続的成長投資を図り、更なる企業価値向上を図って参ります。
① 2024年度の振り返りと課題認識
a.2024年度の振り返り
<定量面>
・売上収益・売上総利益は前期比40%を超える成長となったものの計画は若干未達。
・他方、「営業利益」「当期利益」及び「親会社株主に帰属する当期純利益」は計画を達成。
<定性面>
・サービスの拡充
ソーシャルワイヤーの子会社化により、ニュースリリース配信やSNS運用などデジタルPR領域を強化し、ジーニーグループのバリューチェーンを拡充。
デジタルセールスルーム「Arch by HiCustomer」の事業承継とAI搭載の「GENIEE CDP」開発により、当社マーケティングクラウド製品との連携を強化。
JAPAN AIは、書き起こし精度やRAG技術の向上に加え、AI AGENTの新機能を続々とリリース。
・成長スピード
広告プラットフォーム事業および海外事業は、下期のグローバルサプライ統合により国内外でクロスセルが活発化。
マーケティングSaaS事業についてはSFA/CRM、CHAT、及びANALYTICSを中心に高成長を継続。
・経営管理
ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)から自己株式を全量取得し、当社の単独経営体制へ移行。
中計3年目のFY2025は、米国景気動向を踏まえ、計画を修正。
b.課題認識
M&Aや開発、生成AIの実装によるサービス拡充が進展する一方で、ソフトバンクからの株式全量取得およびSSPのグローバル統合といった大規模な変革により、組織の経営スピードは加速。他方、バックオフィス業務の負担増加に伴い、業務効率の面で課題が残る。加えて、経営環境の変化に対する想定と現状との乖離が顕在化したため、中期経営計画3年目にあたるFY2025の計画を下方修正。
② 中期計画全体方針
2030年のありたい姿、ビジョンの達成に向けて、2023年~2025年までの3ヵ年を「Phase1(アドテク事業再強化)」として位置付けております。基本方針は事業戦略、経営基盤強化を国内外の軸で策定しております。
主な方針としては、短期的なリセッションが見込まれるものの、次の好況に向けて、国内外のアドテクノロジー事業を再グロースさせるとともに、マーケティングSaaS領域では、強力な販売パートナーの開拓とエンタープライズ領域での更なるシェア拡大を見込みます。高い費用対効果を実現し、好況でない時期でも顧客に高いメリットを実現していきます。また、グローバル水準のコーポレート体制構築、AIの活用とビジネス推進を優先度高く推進し、革新的なビジネスを提供していきます。
③ 継続的成長投資
本中期経営計画の中で、継続的成長投資を実現させるための財務方針を策定しました。
a.Cash In
資金調達コストを抑制しつつ、主に営業キャッシュ・フローを確保し、安定的なキャッシュポジションを確保。
b.Cash Out
投資においては、オーガニック成長を重視しつつ、事業投資・M&Aを推進。
(5) 対処すべき課題
当社グループが対処すべき主な課題は、以下のとおりです。
① 技術革新及びインターネット業界の変化への対応
当社グループが事業を展開するインターネット業界は、生成AIなどの先端技術の進展により、かつてないスピードで変革が進んでいます。主力事業が属するインターネット広告市場では、生成AIや大規模言語モデル(LLM)の活用による広告クリエイティブの自動生成やパーソナライズ化、データプライバシー規制(クッキーレス化等)への対応、さらにはIoTやデジタルサイネージなど新たな広告チャネルの拡大が進んでいます。また、マーケティングSaaS事業が属する情報通信サービス市場では、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が一層加速しており、AIを活用した業務効率化やデータドリブン経営支援、セキュリティ対策の強化など、より高度なサービス提供が求められています。
こうした環境下、当社グループは、インターネット業界の技術革新をリードし、市場や顧客ニーズの変化を的確に捉えたプロダクト・サービスを迅速に開発・提供することが、今後の持続的な成長と事業規模拡大に不可欠であると考えております。
② 新規事業の創出及びM&A等による事業領域の拡大
当社グループは、創業以来の主力サービスであるインターネットメディア向け広告収益最大化プラットフォーム「GENIEE SSP」を中核に、アドテクノロジー領域での事業を展開しております。加えて、2016年7月よりマーケティングオートメーションツール「GENIEE MA」の提供を開始し、マーケティングテクノロジー領域へも事業領域を拡大しています。
さらに、SaaSビジネスの拡大を目指し、2021年8月には顧客獲得・管理チャットボットを開発・提供する株式会社REACTを、2022年2月には重点領域であるEC顧客(D2C)向けサービスの強化と収益機会拡大を目的にCATS株式会社を、同年7月にはランディングページの高速化とコンバージョン率向上を支援するHypersonic株式会社をそれぞれ完全子会社化しました。
加えて、2023年2月には、当社サービスとの連携強化および機能拡充を図るとともに、世界各地のインターネットメディアに価値を提供するため、Zelto, Inc.を完全子会社化しました。さらに、2023年4月には、AI技術の導入コンサルティング、プロダクト提供、研究開発推進を担うJAPAN AI株式会社を設立し、先端技術領域への取り組みを強化しています。
また、2024年7月にはソーシャルワイヤー株式会社を買収し、PR領域における事業拡大も積極的に進めております。
今後も、国内外の企業が抱える多様なマーケティング課題の解決に向け、新規事業の創出や事業シナジーを発揮できる分野でのM&Aを通じて、事業領域のさらなる拡大に取り組んでまいります。
③ 海外市場におけるシェア拡大及び新市場の開拓
当社グループは、2012年から海外事業展開に着手し、現在、シンガポール・ベトナム・インドネシア・インド・北米に現地拠点を置き、現地の大手通信キャリアやアドネットワーク等、現地企業様向けに「GENIEE SSP」等のサービスを提供しております。2023年2月には、インターネットメディアのディスプレイ広告収益の向上サービスを提供する Zelto,Inc. を完全子会社化いたしました。また、2024年9月より、当社は国内サプライサイド事業と海外サプライサイド事業(Zelto, Inc.を含む)の組織体制及びオペレーションを統合し、グローバル一体型の運営体制へ移行いたしました。この統合を財務報告にも反映するため、2026年3月期第1四半期より、現行の「広告プラットフォーム事業」と「海外事業」を統合し、新たに「広告プラットフォーム事業」として報告する予定です。
今後につきましては、東南アジア、インドや北米のみならず、中東や欧州等まで地域を拡大し、既存拠点における顧客開拓や、事業規模及び各国市場のシェア拡大、未展開の市場開拓等に取り組み、グループ全体の事業規模拡大を図ってまいります。
④ 開発体制の強化
当社グループでは、提供しているプロダクトの企画や開発・運用等を内製化しております。このため、技術革新や市場の変化を捉えた最先端のプロダクトを開発・提供することが、事業規模拡大に必要不可欠であると認識しております。今後も、最先端の技術動向のキャッチアップと技術力の向上を図り、顧客ニーズを捉えた開発をスピーディーに行うべく、開発体制の強化に取り組んでまいります。
⑤ 優秀な人材の確保及びグローバル組織体制の強化
当社グループは、更なる事業拡大と業界革新を実現していく上で、優秀な人材の確保やグローバル組織体制の強化が必要不可欠であると認識しております。このため、各事業フェーズに合わせ即戦力となる人材確保を目的とした中途採用と、組織の活性化を目的とした新卒採用を積極的に行っています。また、グローバルで業界を牽引する人材の育成を重点課題と位置づけ、職種別・階層別研修の実施や、専門資格の取得支援、英語学習支援等、幅広い成長機会の創出・支援を行っています。さらに、年齢や国籍等に制限なく、高いスキルや潜在的な能力、情熱を持つ人材を積極的に登用し、適材適所を見極めながら事業状況に合わせた臨機応変な組織改編をスピーディーに行うことで、グローバルで強い組織体制を作ってまいります。
⑥ ブランディングの強化
当社グループは、アドテクノロジー業界において一定の認知を得ているものの、中長期で更なる事業拡大を図り成長を加速していく上で、会社及びプロダクトのブランディングを強化していく必要があると考えております。2022年1月にお客様にサービスをより分かりやすく、使いやすく提供できるよう、新ブランド「GENIEE Marketing Cloud」「GENIEE Ads Platform」を立ち上げ、プロダクト名とロゴを刷新しました。国内はもちろんのこと、グローバルでのPR活動を含めて、費用対効果を見極めた広告宣伝活動及び広報活動等を行ってまいります。
⑦ 内部管理体制の強化
当社グループは、急速な事業環境の変化に適応し、継続的な成長を維持していくために、内部管理体制の強化が重要であると認識しております。このため、事業規模や成長ステージに合わせバックオフィス機能を拡充していくとともに、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。具体的には、事業運営上のリスク管理や定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、社外役員の登用、J-SOXに対応した内部統制システムを活用した監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実等を行ってまいります。
⑧ システムの安定性の確保
当社グループは、インターネット上で顧客にサービスを提供しており、安定した事業運営を行うにあたり、国内外での市場シェア拡大や新規プロダクトの提供、海外拠点の効率的運用等を念頭に置いた、サーバー設備の増強や負荷分散システムの導入等が必要不可欠であると認識しております。今後も、中長期的な視点から設備投資を行い、システムの安定稼働及びセキュリティ管理体制の維持構築に取り組んでまいります。
⑨ 不適切な広告配信に対する監視体制の強化について
当社グループは、顧客に提供する価値を担保するために、当社が配信する広告に係る品質管理の徹底が重要な課題であると認識しております。具体的には、不正な広告表示、錯誤を誘発する広告表示及び違法コンテンツを掲載するインターネットメディアへの広告配信の監視、また、成人向け広告の取り扱いに関する社内方針を定め、該当する広告取引の減少に努めてまいります。
⑩ 財務上の課題
当社グループは、金融機関から多額の借入れを行っており、一部の金銭消費貸借契約に財務制限条項が付されていることから、業績低迷等により当該財務制限条項に抵触した場合には、借入金利の上昇もしくは期限の利益喪失に伴う借入金一括返済等、当社グループの資金繰りに重大な影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対応すべく、当社グループの財政状態及び経営成績の向上に取り込んでまいります。
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