ジーテクト
【東証プライム:5970】「金属製品」
へ投稿
企業概要
以下に記載している将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、次の経営理念とそれらを実現するための経営ビジョン(当社の進むべき方向性)を策定し、これらの経営方針とビジョンの下、グローバル競争に打ち勝つ企業規模と展開力を実現し、安全・環境に即した先進技術の追求を通じ、車体部品とトランスミッション部品の専門メーカーとして世界TOPを目指し、企業価値・株主価値の向上に努めてまいります。
<経営理念>
社是
・人間性尊重
・技術革新
・堅実経営
行動指針
・愛情と相互信頼をモットーに自己啓発に努めよう
・先進技術を追求し良質廉価な製品を提供しよう
・自主性をもち英知と機敏さで社会に貢献しよう
<経営ビジョン>
情熱と革新を融合させ人とクルマと地球のより良い未来をかたちづくる
(2)経営指標
当社グループは、健全な財務体質を維持しつつ、自己資本に対する収益性を高めること、そのために、売上・利益の持続的な拡大を図ること、そして株主還元による株主価値の向上を目指しています。
健全な財務体質を維持向上するため、自己資本比率は50%以上を維持すること、同時に、資本効率の面では自己資本利益率(ROE)10%以上を目指します。そのためには、安定した利益成長が求められます。当社は売上・利益の拡大を図るため、売上高成長率及び売上高営業利益率の向上を目指します。目標として、2030年度に売上高4,000億円、営業利益280億円、営業利益率7.0%を目指します。また、設備産業の特性から、売上拡大のための設備投資と資産は効率性を重視し、総資産利益率(ROA)、投下資本利益率(ROIC)の向上を目指します。
また、当社グループは、株主の利益向上を経営の重要課題のひとつとしています。持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的として、安定的・継続的な株主還元を実施し、目標値として2031年3月期に株主資本配当率(DOE)を3.0%とするとともに、配当性向を2025年3月期から30%以上とすることを基本方針としています。
(3)会社の対処すべき課題
大変革期のただ中にある自動車業界にあって、事業会社としての生き残りを賭けて、当社グループでは以下の課題に重きを置いた取り組みを推進してまいります。
① 車体領域のシステムサプライヤー(Tier 0.5)への進化
自動車の電動化は、当初の想定よりも速度が鈍化しているものの、長期的には引き続き進展が見込まれており、自動車業界各社は、EVとして競争力ある車両開発や電池、モーターといった新たな領域の開発に工数を割くと同時に、世界各地で新たな調達網(サプライチェーン)の構築を進めています。これらの多大な工数を賄うために、完成車メーカーは外部リソースとしてのサプライヤーの活用を拡大することが想定されています。当社はこれを商機と捉え、これまで培った車体一台分解析技術と生産技術を駆使すると共に、外部とのアライアンスを積極的に検討、活用することで、一次メーカーと称される現在の「Tier 1」サプライヤーから一つ上のステージである「Tier 0.5」に進化し、開発から量産までを完成車メーカーから一括受注する「車体領域のシステムサプライヤー」としての事業モデルを確立することを目指しています。
現在、開発連携、材料・設備調達、生産能力補完の観点から、企業間のアライアンス、すなわちジーテクトネットワークを構築し、必要な体制を確立する取り組みを推進しています。その例として、技術力・開発力のさらなる強化を目的に、外部の各専門メーカーやエンジニアリングサービスプロバイダーと協力しています。これにより増強されたリソースをもとに、東京都に所在する自社拠点の実証ラインにて複数のEV関連技術を実証しています。また、材料メーカーやアルミダイキャストメーカーとの協業では、当社の戦略製品である「大型一体化製品」の開発効率を飛躍的に向上させています。
今後も外部アライアンスの強化を継続するとともに、早期の事業化に向けて引き続き取り組んでまいります。
② スマートファクトリーの具現化
自動車の電動化は、当社の商品である車体部品の造りを大きく変え、生産方式、ひいては工場の在り方の変革を伴う可能性を秘めています。次世代の工場では、これまで以上の生産性と信頼性を備えた高度かつ緻密な管理が求められており、これを実現するためのデジタル技術の活用が必須となっています。また、昨今の製造業における若者離れや少子化等を背景とする労働人口の減少への対策として、生産工場の無人化も急務となっています。当社では、生産ラインの自動化、自動検査システムの導入、現場から収集したビッグデータの活用等により、工場の無人化を図るとともに、ものづくりの根幹である品質と生産性を飛躍的に高めるための取り組みを進めています。
先行する事例として、新工場として新たに稼働を開始した中部工場(岐阜県)及び南沙工場(中国・広東省)では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を前提とした最先端のテクノロジーを導入し、生産ラインの無人化に加え、AGV(無人搬送車)・AGF(無人搬送フォークリフト)の導入と自動倉庫システムとの連動による構内物流の無人化に取り組んでいます。
当社におけるスマートファクトリー化への取り組みは、まだ道半ばですが、今後は、生産・検査の自動化によって得られた膨大なデータをクラウド上で一元管理し、生産を最適化することで、さらなる体質変革に繋げてまいります。例えば、生産状況をリアルタイムで把握し、在庫数を適切な水準に保ち、顧客からの納入変更指示にも即座に対応して生産計画を柔軟に組み替えたりするなど、無駄のない最適な生産状態を維持できる体制の構築を目指します。
さらに将来的には、工場内でボトルネックとなっている工程を特定し、生産効率の改善につなげるなど、ビッグデータをAIが分析・最適化することで、工場自体が知能を持った「究極のスマートファクトリー」を具現化し、世界のグループ各社に水平展開することで、グループ全体での品質向上・収益向上を図ってまいります。
③ 人的資本への投資
「人間性尊重」の社是に基づき、人財こそ最も重要な経営資源と位置づけ、人財育成方針に「すべての社員に成長の機会を提供し、自主的なスキルアップを支援すること」と「次の時代に向け新たな価値を生み出す人財を創出すること」を掲げ、社員とともに当社が成長するための取り組みを推進しています。
車体領域のシステムサプライヤー(Tier 0.5)への進化やスマートファクトリーの具現化といった喫緊の課題に対処するためには、既存技術を継承しながらもデジタル化技術を積極的に取り入れ発展させることと、その技術を活かしグローバルに変革することができる多様な人財が不可欠です。
当社では、人財の多様性向上に関する各種指標を設定し、目標達成に向けて予実管理に努めています。
そして、多様な人財の能力拡大・伸長のために、社員の成長と新たな挑戦への支援として、「管理職育成プログラム」、「業務遂行スキル向上」、「自主的で継続的な学びの支援」の3つのテーマを掲げ、それぞれの従業員に適した各種の教育研修・学習支援プログラムを提供しています。また、次世代経営陣の育成のため、サクセッションプランを企図した育成計画を基に、対象者に対し、育成時点での業務アサインに加え、役員に必要な知識に関する教育プログラムの提供を予定しています。
また、昨今の人財の流動化への対応として、従業員の定着化を目的とした人事制度の整備、福利厚生の充実、「健康経営」の推進・拡充等の「働きやすさ」の向上のみならず、従業員一人ひとりが「働きがい」や「ジーテクトで働く意義・メリット」を実感できることが重要であるという認識の下、経営層とのコミュニケーション強化、管理職層の研修拡充や若手層へのヒアリングによるマッチングの実施等のエンゲージメント向上施策を強化・推進しています。
- 検索
- 業種別業績ランキング