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企業概要

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)サステナビリティに関する考え方

 当社は、地球環境や社会システムが大きく様変わりする中、「いかなる時でも投資を継続する」という強い信念を持ち、創業以来変わらない「投資」という手段を通じて、「挑戦への投資で、成長への循環をつくりだす」というパーパスの実現、ならびに持続可能な社会の実現を目指しています。このようなサステナビリティに関する基本的な考え方や、環境・社会・ガバナンスというESG要素の課題及び対応方針について、ステークホルダーの皆様と共有し、持続可能な環境・社会の実現を目指すために、当社は2023年6月にサステナビリティに関する基本方針を策定しました。

(2)戦略

 当社のサステナビリティに対する取り組みは、①企業としてのESGの取り組みの強化と、②事業を通じたサステナビリティへの貢献の2種類に分けられます。当社のみならず、投資という事業を通じて投資先企業がもたらす影響についても積極的に関与していくことで、サステナブルな社会への貢献に努めていきます。

①企業としてのESGの取り組みの強化

 当社は、パーパス実現に向け、さまざまなサステナビリティに関する課題の中でも、特に環境、社会、ガバナンスについて以下の課題を認識し、取り組みを行ってまいります。

●E(Environment):当社では、環境を重要な社会課題と認識し、自社の環境負荷低減を推進します。効率的なオフィス運用、積極的なリモートワークの推進などを通じて、エネルギー使用量の削減及び温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。社内会議での紙資料の配付・保管を原則廃止し、ペーパーレス化を徹底するとともにクラウド化を進め、2018年2月の本社オフィス移転を機に、フリーアドレス制を導入しました。また、当社は2023年5月に、金融安定理事会(Financial Stability Board)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force оn Climate-related Financial Discrosures。以下、TCFD)が策定した気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(以下、TCFD提言)へ賛同することを決定しました。今後、必要なデータの収集と分析を行い、TCFD提言に沿ったリスクの評価・管理や情報開示の拡充に取り組んでまいります。

●S(Social):当社の事業の本質は、社会課題を解決する有望企業の発掘と投資、投資後の対話を通じた成長支援とEXITです。また、長年培った豊富なリソースと多くの企業との幅広いネットワークを活かし、起業家と大企業とのマッチングや新事業開発に関する企業との勉強会、スタートアップ向けの経営人材支援事業等の、様々な取り組みを行っています。このように投資事業を通じてスタートアップエコシステムの発展に貢献し、社会及び経済を循環させることで持続的な社会の実現を目指します。このため、投資事業を支えるための人材育成と組織基盤を重視する人材戦略を進めています。例えば、「強い個の育成」のために、当社独自のキャピタリスト育成ノウハウを活用し、パートナーを中心とした採用・育成体制の構築、インストラクター制度やメンター制度の充実を図っています。また、「組織基盤の発展」のために、中途採用の強化や人事制度の継続的な見直し、マネジメントの育成強化、当社のパーパスを軸とした社内カルチャー浸透プロジェクトを実施しています。また、フルフレックスタイム制やリモートワークによる柔軟な働き方を推進し、育児・介護等の支援制度と合わせて、両立しやすい環境を整えています。従業員の心身の健康にも配慮し、各種施策を実施するとともに社内交流を促進する制度等を通じて、より働きがいのある職場作りに努めています。

●G(Governance):ベンチャー投資・バイアウト投資というリスクの高い事業を営む当社にとって、経営のガバナンスを高め、公正で迅速な意思決定を行うことは非常に重要です。当社はこれまで、経営の独立性、株主の皆様との価値共有、資本効率の向上と成長戦略推進等のテーマで、毎年段階的にガバナンスの強化を進めてきました。具体的には、2015年6月に監査等委員会設置会社へ移行して以降、取締役会での社外取締役比率の向上、女性取締役の選任、指名・報酬委員会の設置などを実施してきました。また、2021年3月期には、資本効率の観点から、投資活動の継続に必要な資金を明示し、それを超える部分は株主還元を検討する方針を決め、自社株買いを実施しました。さらに、2022年11月には「企業価値向上の基本方針」を策定し、この実現に向けて組織基盤を強化するとともに、事業を通じたサステナビリティへの貢献の施策に取り組んでいます。

②事業を通じたサステナビリティへの貢献

 事業を通じたサステナビリティへの貢献に関しては、投資先企業のESGの取り組みの強化と、投資先企業の事業を通じたサステナビリティへの貢献の2種類があります。

●投資先企業のESGの取り組みの強化

 当社の投資先となる企業には、環境・社会・ガバナンスへの取り組みに関して様々なリスクが内在しています。特にシード・アーリーステージのスタートアップにおいては、経営リソースが限られているため、自社のみでESGリスクを改善することが困難なケースも少なくありません。そのため、当社では投資前・投資後のタイミングにおいて、投資先企業のESGリスクの見極めとESGの取り組みの強化に向けた活動を行っています。

 投資前においては、起業家・企業・事業の各要素において、ESGのリスクが対応可能な範囲であるかを見極めるため、デュー・デリジェンスに力を入れています。投資調査に関する専門チームを組成したうえで、投資委員会においても十分な議論を行い、ESGリスクの高い企業に対して投資を行わないように努めています。

 投資後においては、投資先の企業活動のモニタリングとESGリスクの対応支援に取り組んでいます。半期に1度、すべての投資先企業を対象としたサステナビリティチェックを行い、ESGに関するリスクを未然に洗い出します。潜在的なリスクが認められる投資先企業に対しては、個別に啓蒙活動や各種支援を行い、ESGリスクの最小化に努めています。

●投資先の事業を通じたサステナビリティへの貢献

 当社は「すべての投資先企業が、事業を通じてサステナビリティに貢献している」と考えています。投資対象となる有望企業の発掘の際には、これらの企業の「事業が社会的意義を有しているか」や「事業が社会課題の解決に貢献し得るか」も考慮し、この社会的意義の実現こそが、サステナブルな社会への貢献だと捉えています。

 近年は、サステナビリティに対して直接的に貢献する投資先企業も増えてきました。地球規模の課題である「脱炭素社会の実現」に寄与する事業や、ニューノーマルと呼ばれる新たな生活様式への対応を支えるデジタルを基盤とした事業などがその代表例です。

 当社は、投資対象を特定の業種・領域に限定しない方針であり、「ESGの観点で、脱炭素社会や社会課題の解決に直接的に貢献する企業」に投資対象を限らないことは今後も変わりません。社会に未だ見ぬ価値を見出し、社会的意義を実現する事業への投資を継続することで、投資先企業を通じた持続可能な社会の実現を目指していきます。

(3)ガバナンス

 当社は、ESG課題を含むサステナビリティに関する課題への対応を経営上の最重要課題の一つとして認識しています。サステナビリティに関しては全社的に取り組み、管理部がその推進状況を管理し、年に一回以上、取締役会において取り組みを報告します。取締役会は、具体的な活動方針や推進施策等に対し、進捗状況の検証や審議を実施することで取り組みの監督を行います。

 なお、当社のサステナビリティに関する取り組みは、前記のとおり企業としてのESGの取り組みの強化と、事業を通じたサステナビリティへの貢献の2種類に分かれ、事業を通じたサステナビリティへの貢献に関しては、投資委員会等において状況を確認し、改善策を検討します。

(4)リスク管理

 当社は、パーパスの実現のため、当社の事業におけるサステナビリティに関するリスクと機会を適切に把握、管理するように努めます。具体的には、取締役会から委託を受けて設置している投資委員会では、投資候補企業のESGリスクや、サステナビリティに関するリスクと機会を含む事業の成長性も踏まえて投資の可否を審議します。投資委員会は、取締役社長を含むパートナー等で構成され、原則として毎週開催しています。また、投資先企業のサステナビリティに重要な影響を及ぼす事案が発生した場合には、投資委員会の構成員に対してすみやかに報告する体制を整えています。さらに、投資先企業のサステナビリティチェックを定期的に実施するとともに、四半期に1回、ポートフォリオ全体のリスクを把握し、課題を検討します。

 ESGに関するリスク及び機会に関しては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。

 なお、人的資本(人材の多様性を含む)に関する指標及び目標については、「(5)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」をご参照ください。その他のサステナビリティに関する取り組みの指標及び目標に関しては、開示の重要性や事業への影響も含め、引き続き検討・議論を重ねてまいります。また、Scope1・Scope2のGHG排出量に関しては、統合報告書にて開示していますのでご参照ください。

(5)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

 当社の企業価値向上のためには、人材の強化が欠かせません。具体的には、「強い個の育成」と、「組織基盤の構築」の2点が必要になります。

 当社の成長は、その事業の特性上、ベンチャーキャピタリストをはじめとする「個」に大きく依存します。そのため、いかにして優秀な「個」を採用し、育てていくかが、事業上の大きな課題となります。特に投資部門においてはこれまでも継続している新卒採用に加え、様々な経験・スキル・ポテンシャルを有する人材を継続的に採用し、多様なバックグラウンドを持つキャピタリストを擁することが、人材戦略上の起点になります(下図①)。加えて、当社が培ってきた独自のキャピタリスト育成モデルにより、良質な投資を実現する強い「個」を育成していきます(下図②)。

 また、当社および、投資先を取り巻く環境も、大きく変化をしています。そのため、強い「個」の育成だけではなく、強い「個」を支えるプロフェッショナル人材の採用や、体制・仕組みの構築も重要です。投資先支援やファンド運用、コーポレート分野など、各領域においても専門性を有した人材の採用および育成にも力をいれていきます(下図③)。加えて、高いパフォーマンスの実現に向けて、社員のモチベーションを高め、心身ともに健康的に働き続けられる体制や仕組みの構築も、当社が取り組んでいる重点事項です(下図④)。

 このような、強い「個」と、それを支える組織基盤の実現に向けて欠かすことのできない要素が、当社の強みを継続させるカルチャーの醸成・浸透です。「CO-FOUNDER」というアイデンティティーは、当社が培ってきたカルチャーを表現しています。様々なバックグラウンドを有する多様な人材の集団が、一丸となって高いパフォーマンスを発揮するためには、共通するカルチャーを醸成し、浸透させていくことが必要になります(下図⑤)。

 このような取り組みを通じ、強い「個」と、強固な組織基盤の構築を実現することで、高いファンドパフォーマンスを継続し、企業価値の向上に努めてまいります。

①多様なキャピタリストの採用

 投資部においては、以前より行ってきた新卒採用を継続して行い、ポテンシャルの高い人材を確保しています。採用にあたっては当社の事業への適性はもとより、アイデンティティーやパーパスに共感し、強いコミットメントを持つ人材であることを重視しています。そのため採用プロセスも、作りこまれたプログラムのインターンシップを複数回実施するなど、より丁寧に行っています。並行して、キャピタリストのキャリア採用も積極的に進めています。多様なバックグラウンドをもつ人材が、その経験やスキルを活かし強い「個」の力を発揮してもらうことで、組織全体が環境や価値観の変化に対応し、パフォーマンス向上につながるものと考えています。

 また、即戦力人材を重視し、プロフェッショナル採用を行ってきた事業投資部(バイアウト投資部門)においても、若手人材の採用・育成方針を打ち出し、採用活動を行っていきます。新卒採用を中心とし、組織的なベンチャーキャピタルとしての歴史をもつ当社の強みや経験値を、ここでも活かしつつ取り組みを進めます。

 当社ではこうした多様性を確保していることを示す指標として、女性社員比率を3分の1以上にすること、全管理職数に占める女性管理職の割合(女性管理職比率)を2割以上にすること(いずれも2025年3月末まで)及び管理職全体における中途採用者の管理職の割合を3分の1以上確保していくことを目標としています。

②JAFCO独自のキャピタリスト育成

 長年にわたり新卒採用を継続してきたことから、様々な経験値が蓄積されており、若手社員の育成モデルもその一つと言えます。若手社員には、一人ひとりにインストラクターがつき、投資担当として独り立ちするまでをサポートする体制をとっています。新卒として入社後は実戦的なプログラムも組み合わせた形で基礎的な研修を実施します。その後はOJT中心で育成していきますが、要所では様々なテーマでのOff-JT研修も絡めながら早期の成長を促しています。インストラクターは週次でのミーティングでインストラクティの状況を共有し、随時、課題発見・解決、育成ノウハウの共通化を図るなど、育成システムの進化に取り組んでいます。加えて、中堅社員に対しても、経験豊富なキャピタリストがメンターとしてサポートを行い、より強い「個」への成長を促進し、パフォーマンス向上につなげています。

③各領域におけるプロフェッショナル人材の採用・育成

 投資先支援(ビジネスディベロップメント)部門、ファンド運用部門、コーポレート部門においても性別、年齢、国籍を問わず、プロフェッショナル人材の採用・育成を進めています。投資先支援においては、投資先企業の成長ステージによって必要とされる支援が異なり、Sales&Marketing、人材採用、バックオフィス構築等それぞれの領域において、スペシャリストが在籍し投資先企業の状況に適した支援を行う体制を構築しています。

 ファンド運用部門は環境変化に対応しつつ、継続的にリスクマネーを調達・運営する役割をもち、当社事業の根幹を支える部門であることから、既存メンバーが築いてきたステークホルダーとの関係性をはじめ様々な経験値を受け継ぐプロフェッショナル人材の採用・育成を行っています。コーポレート部門においても、常に進化しつつ、全社の高いパフォーマンスを支えるために、高い専門性や豊富な経験を持つプロフェッショナル人材の採用を行っています。

④高いパフォーマンスを支える体制・仕組みの構築

 フルフレックスタイム制、開放的なオフィスでのフリーアドレス、リモートワークの推進、副業の推奨など多様な人材が活き活きと働けるための取り組みを継続的に行っています。コロナ禍以前よりシステム環境の整備、ペーパーレス化が進んでおり、フレックスタイム制・リモートワークを併用することで、業務の継続性を保ち、パフォーマンスを支えることができる体制となっています。より働きやすい環境を整えていくことは、社員のエンゲージメントを高めると同時に、優秀人材の獲得・育成、強い「個」の集団形成に直結し、その結果として全体のパフォーマンス向上につながるものと考えています。

 また、社員一人ひとりが能力を発揮するためには、心身ともに健康であることが重要であり、健康面においても各種施策に取り組んでいます。産業医・保健師と連携し、個別面談や健康関連情報の発信、健康診断受診率100%の継続を目標に、早期受診の促進と受診後のフォローも積極的に行っています。2023年4月現在、健康優良企業として「銀の認定」を受けており、健康経営に資する各種取り組みを継続的に進めています。

 人事制度面では育児・介護休業制度等を整え、課題である男性社員の育児参加については育児休業や配偶者出産休暇の活用を促し、長期間の育児休業実績も出ています。

⑤強みを継続させるカルチャーの醸成・浸透

 当社は1973年の設立以来、常に業界をリードする気概を持ちながら事業を継続してきました。2023年2月に策定したパーパス「挑戦への投資で、成長への循環をつくりだす」を切り口に、当社の永続的な強みを浸透させる「カルチャー醸成」の取り組みを継続的に行っています。新卒採用とともに近年の積極的なキャリア採用により、多様なバックグラウンドを持つ社員が融合しつつ個々の力を発揮していますが、改めて当社の強みやカルチャーを認識し共有することで、より一層のシナジー効果を生みだそうとしています。各種ワークショップの実施や、OB・OGとのアルムナイ活動などを通じ、当社が50年にわたり培ってきた価値観や強みに触れると同時に、再認識することで、社員一人ひとりが高いパフォーマンスを出せるよう、各種取り組みを進めています。

●人的資本(人材の多様性を含む)に関する指標及び目標

・女性社員比率を2025年3月末までに3分の1以上にすること

2023年3月末実績:29.9%

・全管理職数に占める女性管理職の割合(女性管理職比率)を2025年3月末までに2割以上にすること

2023年3月末実績:16.9%

・管理職全体における中途採用者の管理職の割合を3分の1以上確保

2023年3月末実績:42.3%

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