文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「今までにない発想と、限りない技術の追求をもって、人々が躍動する世界を創造し続ける。」を企業理念として、人と世界を結び、瞬時に多くの情報を伝えるインターフェースであるディスプレイを世界中のお客様にお届けしています。現代社会の基盤技術であるこれらディスプレイの供給において、当社グループは、価値創造の源泉である「世界初、世界一」の独自技術とそれを支える人財力を有効に活用し、社会と人の課題解決に取り組んでまいります。そして、全てのステークホルダーの皆様のための未来価値創造実現に向け、全社一丸となって取り組む成長戦略として、2022年5月に「METAGROWTH 2026」を策定いたしました。
「META」は「広範囲で、高度な、普遍的な」を意味し、「METAGROWTH」は当社グループの今後の飛躍的な成長を表しております。
以下は、「METAGROWTH 2026」の2026年に向けた基本方針であります。
「世界初、世界一」の独自技術により、社会と人の課題を解決し、 PersonalTech For A Better World を実現 価値創造を METAGROWTH |
(2) 中長期的な会社の経営戦略
① 全体戦略
当社グループは、私たちの存在で、社会が、世界が、コミュニティが今より良くなる社会の実現に向けて、現代社会の基盤技術であるディスプレイの探索と深化を進め、他の追随を許さない競争優位性を確立し、社会の発展にとって不可欠な企業として顧客価値・社会価値を創造いたします。
以下は、「METAGROWTH 2026」における3つの重点施策です。
(ⅰ) 「世界初、世界一」テクノロジーリーダーシップ
・ eLEAP、HMO、メタバース向けの超高精細ディスプレイ、透明ディスプレイ等、既に「世界初、世界一」独自技術で実証しているように、当社は、グローバルディスプレイ業界においてテクノロジーリーダーシップを取り戻しました。この盤石な技術基盤をさらに強化し、飛躍的な顧客価値創出と株主価値向上を実現してまいります。
(ⅱ) 革新的な技術、飛躍的な成長
・ グローバルディスプレイ業界はテクノロジー産業であり、テクノロジーカンパニーである顧客のニーズは、高いコストパフォーマンスを持つ優れたテクノロジーです。当社は、圧倒的なコストパフォーマンスを有するeLEAP等、「世界初、世界一」独自技術を通じて顧客ニーズに対応し、顧客の価値創造と競争優位性をサポートいたします。
・ コモディティ競争に参加せず、唯一無二の革新的な技術で抜本的な収益力向上と飛躍的な成長を実現いたします。
(ⅲ) GreenTech・サステナビリティ経営
・ 環境性能に優れたeLEAP、HMO等のGreenTechにより環境問題に取組むとともに、ESG意識の高い顧客の付加価値創出に寄与します。
・ 企業の存在意義は社会貢献にあり、サステナブル社会に資する経営を堅持してまいります。
・ 「世界初、世界一」への挑戦ができる会社として、社員一人ひとりの成長を支え、風通しの良い企業文化を促進いたします。
② 6つの成長ドライバー
当社グループの「世界初、世界一」の独自技術を「6つの成長ドライバー」として位置付けました。技術基盤を価値創造の源泉とし、脱過当競争・脱コモディティ化により収益性の抜本的な改善を図ります。
| 成長ドライバー | 特徴 |
1 | eLEAP (次世代OLED) | ・高輝度、長寿命、高精細 ・幅広い画面サイズ・解像度に対応 ・環境に優しいGreenTech、高いコストパフォーマンス |
2 | HMO (High Mobility Oxide/ 高移動度酸化物半導体) | ・超低消費電力、高精細化、大画面化を実現するバックプレーン技術 ・基盤技術として第8世代、第10世代生産ラインへ適用可能 |
3 | メタバース (超高精細ディスプレイ) | ・圧倒的なリアリティと没入感 ・高い歩留りと安定した品質 |
4 | AutoTech | ・EVに対応した統合コックピットの実現 ・HUDの進化による安全性の向上 |
5 | Rælclear(レルクリア) (透明ディスプレイ) | ・世界最高の透過率 ・双方向コミュニケーションで社会貢献 |
6 | 新技術・新商品・新事業 | ・独自技術の用途拡大 ・課題解決型の新規事業 |
(3) 目標とする財務指標
当社グループは、成長戦略「METAGROWTH 2026」において、2027年3月期を最終年度とする5か年の財務目標(KPI)を設定いたしました。しかしながら、世界的インフレに伴う顧客需要の減退や部材・エネルギー費の高騰等により、「METAGROWTH 2026」略策定時から事業環境が大幅に変動したこと、また、外部企業との戦略提携に基づき、今後の事業展開が従来計画から変動する見込みであることから、これらの影響を精査の上、新たな財務指標を設定する予定です。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
当期の業績は、激しい競争環境の継続と世界的なインフレ進行の影響を受け、大変厳しい結果となりました。こうした状況にあって、当社グループは、成長戦略「METAGROWTH 2026」で目指すところの、「『世界初、世界一』の独自技術とそれを支える人財力を経営基盤に新たな顧客価値の創造を実現する」ことが、厳しい事業環境からの脱却とその後の成長に不可欠であることを改めて強く認識しております。当社グループは、盤石な技術基盤をさらに強化し、飛躍的な顧客価値創出と株主価値向上を実現するため、引き続きグループ一丸となって「METAGROWTH 2026」の遂行に取り組んでまいります。
以下は、「METAGROWTH 2026」に基づき「技術立社」としての当社グループが取り組む課題として特に重要なものです。
① 収益力の向上
足元の収益改善に向けては、引き続き固定費の削減に取り組むほか、高騰が続くエネルギー費や、上昇した部材費、輸送費の販売価格への転嫁を図ります。また、設備投資や研究開発は、将来の収益力向上に確実に寄与する案件を厳選し、キャッシュ・フローを重視した経営を行ってまいります。
中長期的な高収益体質の実現に向けては、「世界初、世界一」の独自技術とそれを支える人財力により顧客価値を創出し、脱過当競争・脱コモディティ化による収益力の抜本的な改善を図ります。競合状況の厳しいスマートフォン用ディスプレイから早期の撤退を図り、「6つの成長ドライバー」に経営リソースを集中して、事業ポートフォリオの変革を加速化いたします。成長ドライバーは、①圧倒的なコストパフォーマンスを有する次世代OLED eLEAP、②超低消費電力、高精細化、大画面化を実現するバックプレーン技術 HMO、③メタバース、④AutoTech、⑤Rælclear(レルクリア(透明インターフェイス))、⑥新技術・新製品・新事業の6分野です。これらの技術・製品の提供を通して顧客の価値創造と競争優位性を更に強化することで、収益力の向上を図ってまいります。
また、当社グループは、ロイヤリティ収入獲得のため、知的財産権をさらに積極的に活用してまいります。ディスプレイの基盤技術であるeLEAP及びHMO技術については、他企業にライセンス提供して普及促進を目指すオープン戦略をとっており、2023年中にパートナーとなるライセンス先との契約を締結し、協業の開始を目指します。加えて、当社グループが長年培ってきたIPS(In Plane Switching)技術に係る特許等についても、今まで以上にライセンシング活動を積極的に展開し、ロイヤリティ収入の拡大を目指します。
② 持続的成長と企業価値向上の実現
当社グループは、顧客や市場に求められる技術や製品を継続して開発、生産、供給するための前提となる健全な環境・社会の維持に配慮するサステナビリティ経営を推進します。これにより、持続的な成長を実現することで、企業価値の向上を目指してまいります。
技術・製品の開発においては、環境や社会への貢献を重要な基準とし、ESG意識の高い顧客の付加価値創出にも寄与します。例えば、eLEAPは、生産過程において有機材料の廃棄ロスやCO2排出量を大幅に低減し、HMOは、ディスプレイの消費電力を大幅に低減することを可能とするグリーンテクノロジーです。また、液晶技術を用いて照明の光の広がり方を自在に制御するLumiFreeも、利用シーンに応じた照明環境の最適化を通して使用エネルギーの削減に寄与します。このような環境や社会貢献に資する新たな価値創造に継続して取り組みます。
加えて、当社が2021年8月に署名した世界最大のサステナビリティ・イニシアティブである「国連グローバルコンパクト」の「人権、労働、環境、腐敗防止」の4分野10原則への取組みをグループ全体で推進するほか、数年内には、パリ協定が求める水準と整合した温室効果ガス排出削減中長期目標の「SBT」の認定、及び事業を再生可能エネルギー100%で賄うことを目標とする「RE100」への加盟を目指してまいります。
さらに、これらの当社グループの課題を解決し、飛躍的な成長を実現するために不可欠である人的資本の更なる強化に向け、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できるための環境づくりに取り組んでまいります。
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