企業ジャパンディスプレイ東証プライム:6740】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、「今までにない発想と、限りない技術の追求をもって、人々が躍動する世界を創造し続ける。」を企業理念に掲げています。この理念のもと、「世界初、世界一」の独自技術を経営基盤とし、よりよい社会の実現に貢献する製品・サービスを世界のお客様に提供しています。

 ディスプレイ事業で培った有形・無形のアセットを最大限に活用し、社会が求める新たな事業領域への参入や事業モデルの見直しを積極的に行い、競争力強化に取り組んでいます。これにより、持続的な成長を実現し、製品・サービスを通じて社会と人の課題解決に貢献することで、企業価値を高めるとともに、全てのステークホルダーの皆様に対して持続的な価値を提供し続けることを目指してまいります。

(2) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、2024年11月、早急な黒字転換と持続的な成長に向けたBEYOND DISPLAY戦略を立上げ、高成長が見込まれる先端半導体パッケージング事業への参入とセンサー事業への経営資源のさらなる投入を決定いたしました。ディスプレイ事業は、アセットライト化と高付加価値製品への集中により収益改善を図り、センサー及び先端半導体パッケージング事業は、ディスプレイ事業で培った技術を最大限に活用して事業拡大を図ります。

 さらに、この戦略を加速させるため、2025年2月には、固定費負担が大きい茂原工場でのパネル生産を2026年3月までに終了することを決定しました。国内の生産を固定費がより低い石川工場に集約し、高付加価値ディスプレイ、センサー、先端半導体パッケージの生産を行う「MULTI-FAB」工場として活用します。これにより、多様な製品の同時生産が可能となり、柔軟性・生産性・コスト競争力に優れた、幅広い顧客ニーズに対応できる生産体制を構築してまいります。

 以下は、BEYOND DISPLAY戦略において、当社が今後の事業の柱と位置付ける3つの事業分野の概要です。

① ディスプレイ事業

 ディスプレイは、現代社会の基盤技術である一方、過当競争とコモディティ化が進む厳しい市場環境にあります。当社は、茂原工場での生産停止によるディスプレイ生産における固定費の大幅な削減と、引き続きの徹底したコスト削減を実施するとともに、「世界初、世界一」の独自技術に基づく高付加価値製品を提供することにより、収益性の向上を図ります。また、ファウンドリーパートナーとの協業により、アセットライトな生産体制を構築し、売上規模の早期拡大と生産性向上を目指します。

② センサー事業

 センシング技術は、多様な分野で安全性と利便性の向上に寄与し、持続可能な社会の実現に不可欠な技術として注目されています。当社のセンサー技術は、医療、産業、ヘルスケア等多岐にわたる分野で使用されています。例えば、X線センサーは医療現場での正確な診断を支え、産業用途では精密な検査を可能にします。また、当社独自のセンサー技術を応用した革新的なインターフェイス「ZINNSIA(ジンシア)」は、様々な素材表面をタッチパネル化することを可能にします。さらに、指紋センサーは高精度指紋認証を必要とする機器等に搭載され、セキュリティや個人認証といった用途で重要な役割を果たしています。

③ 先端半導体パッケージング

 先端半導体パッケージング技術は、社会の利便性向上やエネルギー効率の改善に寄与します。高密度化・高集積化が進む半導体パッケージにより、IoT、5G、ADAS、AI等の情報技術の進化が予想されます。当社は、ディスプレイ事業で培った高密度配線技術や薄膜・ガラス加工技術を活用し、パートナー企業との連携を通じて、より高性能な半導体パッケージの開発を推進いたします。

 これらの戦略的な取組みにより、当社グループは収益改善と持続的な成長を実現し、企業価値の向上を目指します。

(3) 目標とする財務指標

 当社グループは、2022年5月の成長戦略「METAGROWTH 2026」策定時に、2027年3月期を最終年度とする5か年の財務目標(KPI)を設定しました。しかしながら、その後の事業環境の大きな変化を受け、これらの目標については現在の経営戦略との整合性を踏まえた見直しが必要と判断し、慎重に検討を進めております。特に、世界的なインフレに伴うエネルギー費・部材費・加工費の高騰や、ディスプレイ産業の構造的な不況の深刻化、地政学的リスクの増大等、外部環境の変化が続いています。

 こうした状況を踏まえ、当社は「(2) 中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、2024年11月にBEYOND DISPLAY戦略を新たに策定し、事業モデルの抜本的な改革に取り組んでいます。また、2026年3月までに茂原工場での生産を終了し、国内生産を石川工場へ集約するほか、車載事業を子会社化するなど、様々な経営施策を展開・検討しており、これらの実現時期や具体的内容、及びその成果により業績が大きく変動する可能性があります。当社グループは、これら要素を総合的に精査した上で、新たな財務目標を適切なタイミングで設定する予定です。

(4) 経営環境及び対処すべき課題

 ディスプレイ産業においては、激しい競争環境やエネルギー費の高止まり、部材費・加工費の上昇によるコスト高が続いており、事業環境はますます厳しさを増しています。さらに、米国の関税政策等により世界経済の不確実性も高まっています。

 当社グループは、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる状況にあり、こうした状況に対して、事業の継続に向けたさらなる対策が必要となっております。また、上場維持に関しては、流通株式比率及び財務基盤に関する課題への対応が求められており、これらも重要な経営課題と認識しております。

 これらの状況を踏まえ、当社グループは以下の施策に取り組んでまいります。

① 財務状況の健全化と収益力の抜本的改善

 当社グループでは、長期にわたる赤字の継続と純資産額の減少が発生しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。この状況を解消するため、本有価証券報告書提出日現在、収益力の抜本的改善と財務状況の健全化に向けて以下の施策に取り組んでおります。

・ディスプレイ事業に依存する事業モデルからの脱却、高成長分野であるセンサー事業の拡大、及び先端半導体パッケージング事業への参入(BEYOND DISPLAY戦略)

・2026年3月までの茂原工場の生産終了及び石川MULTI-FABへの生産集約による固定費削減及び生産性向上

・資産売却による借入金返済及び運転資金の確保

・車載ディスプレイ事業の子会社化による競争力維持と事業拡大

・Innolux(台湾)及びCarUX(シンガポール)とのeLEAP戦略提携に基づく協業

・OLEDWorks(米国)との米国における協業

・ファウンドリーパートナーによる次世代OLED「eLEAP」の生産に向けた協議の継続

・人員削減並びに役員報酬・賞与及び従業員賞与の減額を含む人件費削減

② 上場維持基準への適合

2025年3月末現在、当社の流通株式比率は東京証券取引所プライム市場の上場維持基準(35%以上)に適合しておりません。ただし、当社は、事業再生支援目的でいちごトラストとの資本提携契約を締結し出資を受けているため、2028年3月末まで特例適用が認められており、当社はその実現に向けた取組みを継続しております。適合に向けては、2025年3月末時点で78.2%の当社普通株式を保有するいちごトラストの持株比率を低下させる必要があります。さらに、いちごトラストが保有する当社の優先株式の普通株式への転換や新株予約権の行使がなされた場合、流通株式比率がさらに低下する可能性があります。

 このため、当社は、いちごトラストとの間で保有比率の低下に向けて協議を継続するとともに、当社株式の新たな保有先となり得る候補投資家との接触、交渉も継続的に進めてまいります。併せて、候補投資家獲得のためにも業績改善と財務健全化を図ってまいります。

 また、当社は2026年3月期末までに債務超過となる可能性があり、上場維持基準に適合しない状態となるおそれがあります。この場合、上場維持のためには、2027年3月期末までに債務超過を解消する必要があります。

 この状況に対して当社は、資産売却による譲渡益の計上を主な回避策として取り組んでおります。併せて、茂原工場の生産停止や人員削減、役員報酬・賞与及び従業員賞与の減額等、固定費の大幅な削減を実施しているほか、BEYOND DISPLAY戦略のもとでの収益力強化を通じて、財務体質の改善を進めております。さらに、いちごトラストに対する新株予約権の行使要請についても、上場維持に向けた資本政策の一環として検討してまいります。

③ サステナビリティに関連する課題への対応

 近年、気候変動に対する取組みや人権問題に対する顧客からの問い合わせや要望が増加しており、これらサステナビリティに関連する取組みは、事業運営における重要な課題となっております。当社グループは、持続可能な社会の実現と自社グループの持続的な成長を両立させることを目指してサステナビリティ経営の推進に取り組んでおり、この取組みを通じて、顧客の要望にもお応えしてまいります。

 具体的には、環境マネジメントシステム「ISO14001」の認証取得、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づくシナリオ分析、温室効果ガス排出量の第三者保証、紛争鉱物調査の実施、取引先によるサステナビリティ自己監査の実施、「JDIサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドブック」の制定等により、サステナビリティに関連する課題への対応を推進しております。また、技術や製品の開発においては、環境や社会への貢献を重要な判断基準とし、ESG意識の高い顧客への価値創造に貢献しています。

 また、当社グループは、気候変動対策の国際的な目標(パリ協定等)と整合した温室効果ガス排出削減の長期的な目標設定を目指しております。今後は多くの企業が参加・取得している「科学的根拠に基づく目標(SBT)」の認定取得に向け、より具体的かつ効果的な環境負荷低減策を開発・導入する等、持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。

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