ジャパンエンジンコーポレーション
【東証スタンダード:6016】「輸送用機器」
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企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
<経営理念>
○伝統と革新スピリットを融合
「永くに亘る歴史と伝統を基盤にし、革新的スピリットの融合で、機動的かつ柔軟な経営を推進する」
○社会と業界の発展に貢献
「環境対応と経済性を両立した技術と品質向上への飽くなき挑戦で、社会、海運・造船業界の発展に
貢献する」
○総合力を発揮し、世界へ飛躍
「社員の力を結集し、開発・設計・製造・販売・サービスの一貫体制で、世界に伍していける企業を
目指す」
○無災害職場の確立
「危険予知の徹底と闊達なコミュニケーションで、災害ゼロを目指す」
<経営ビジョン>
「世界的視野に立ち、伝統と革新を融合させ、日の丸舶用エンジンをお客様とともに育て、次代を拓く」
(2)経営戦略等
当社は、2022~2024年度の「第1次中期事業計画」期間中に、外部環境の変化に柔軟に対応しながら、攻めの経営を推進し、将来の飛躍に向けた成長戦略を適時・適切に遂行したことで、「新たな成長ステージ」へと突入し、全ての事業領域において、想定を大きく上回る活動成果を得ました。これらを踏まえて、2025年度からの3ヶ年を対象に、「第2次中期事業計画」を策定しており、主に以下の3点の取り組みを進めることで、持続的な事業成長と企業価値の向上に努めてまいります。
①環境対応への取り組み深化
国際海運における脱炭素・環境保全の取り組みは前進を続けており、当社は、環境規制の進展や環境意識の高まりにあわせ、社会・業界の需要に応える新製品を開発し、市場へ投入しております。当社は、GHG(温室効果ガス)排出量削減に向け、ファーストムーバーとして世界に先駆けて、次世代脱炭素(アンモニア・水素)燃料エンジンの開発、製造、社会実装を押し進めることで、将来の成長ドライバーの育成と新たな市場創造を目指してまいります。また、足元では引き続き、堅調な需要が見込まれる重油燃料エンジンについても、全方位で製品競争力強化を図り、高品質製品の安定供給を実現してまいります。
②UEエンジン世界シェアの更なる拡大
ライセンスビジネスは、造船市場の発展が著しい中国を主軸に、グローバル展開を強化することで、UEエンジン世界シェアの更なる拡大を具体化してまいります。これにより、ライセンス関連事業(ロイヤリティー収入および部品供給ビジネス)を伸長させるとともに、急増する海外ライセンシー製エンジンのアフターサービスについても、新たな市場として取り込みを進めることで、アフターサービス事業も伸長させてまいります。
③企業価値の持続的な向上
当社は、「新しい成長ステージ」に突入することで「収益力」も向上しております。厚みを増してきた経営資源をもとに、中長期での事業伸長を見据えた成長投資を間断なく実行するとともに、資本コストや株価を意識した経営の実現、サステナビリティ経営の深化、人的資本への投資の拡充なども推進し、当社企業価値を持続的に向上させてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営指標としては、「経常利益」を重視し、安定した収益体質の確立を目指してまいります。
(4)経営環境
当事業年度における我が国経済は、企業収益や雇用・所得環境が改善するなか、緩やかな回復基調で推移しました。世界経済については、インフレの緩やかな低下を背景に底堅い成長を維持したものの、ウクライナ、中東情勢等の地政学リスクに加え、米国の通商・経済政策の不確実性や中国の景気後退懸念等、先行きは依然として、不透明な状況が続いております。
当社と関連性が高い我が国海運・造船業界は、海運業界では、限定的な新造船の供給圧力と中東情勢に起因する紅海から喜望峰周りへの迂回運航等も相まって船腹需給は引き締まり傾向が継続しました。また、造船業界では、将来的な海上荷動きの伸長に備えた新造船建造需要の好況が継続し、造船所は超先物商談も受注することで、豊富な先行き工事量を確保するに至りました。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2026年3月期の通期業績につきましては、売上高の続伸により、前年同期比で増収、そして営業利益については、研究開発費の増加により前年同期比で減益となりますが、経常利益段階以降では、交付金の受領で増益を見込むことで、売上高29,120百万円(257百万円、0.9%増)、営業利益4,760百万円(△330百万円、△6.5%減)、経常利益5,850百万円(428百万円、7.9%増)、当期純利益4,340百万円(13百万円、0.3%増)を予想しております。売上高・利益(経常、当期純利益)は、3期連続での過去最高更新を見込んでおります。
売上高および損益の詳細は以下の通りです。
<売上高>
舶用内燃機関では、新造船市場での好況が継続しており、既受注案件の生産で、工場操業は引き続き高位で推移する見通しです。こうした状況下で、ファーストムーバーとして先行者利益を獲得するべく、次期主力製品となる次世代脱炭素燃料エンジンの開発・製造も進捗させております。2026年3月期は、戦略的な先行投資として、世界に先駆けて、工場生産ラインの一部を、アンモニア・水素燃料エンジン初号機の実証運転に割り当てる予定です。このため、エンジンの生産・販売台数は、前年度との対比では、一時的に減少する見通しです。初号機の完成は、アンモニアは2026年3月期を、水素は2027年3月期を、各々予定しておりますが、主機関は、既に超先物案件まで生産枠取りおよび受注を終えており、実証運転終了後には、生産・販売台数は増加する見通しです。また、更に2029年3月期には、当社新工場の完成・稼働開始を予定しており、主機関の生産・販売台数は続伸していく見通しです。
修理・部品等では、アフターサービスでは、船舶の高稼働運航が一定水準で継続することで、売上高も堅調に推移する見通しです。また、更なる事業拡大に向け、海外ライセンシー製エンジンのアフターサービス支援を新たな市場として開拓を進めていきます。ライセンスでは、海外ライセンシーで建設中の新工場が稼働を開始することで、UEエンジンの生産台数も順次、拡大する見通しであることから、ロイヤリティー収入および部品供給ビジネスともに、前期からの更なる伸長を見込みます。
これらの結果、舶用内燃機関で一時的に減収となるものの、修理・部品等の事業拡大による増収が継続することで、売上高全体としては前年同期比で増収になる見通しです。
<損益>
舶用内燃機関では、一時的な減収による減益を見込む一方、修理・部品等では、アフターサービスおよびライセンス事業ともに堅調に推移することで、増収による増益を見込んでおります。この結果、全体としては、前年同期比で増益を見込んでおります。研究開発費につきましては、グリーンイノベーション基金事業のご支援のもとで、水素燃料エンジン初号機の製造を進捗させることから、前年同期比で計上額が大きく増加する見通しです。この結果、営業利益を押し下げますが、一方で、開発進捗見合いで受け取る交付金も、前年同期比で大きく増加する見通しであることから、営業外収益を押し上げ、経常利益段階では前年同期比で増益となる見通しです。なお、利益段階につきましては、研究開発費の計上と交付金の受け取りの影響を大きく受けることから、当社の現状を把握するための経営指標としては、これらの増減を織り込んだ後の「経常利益」を重視しております。
また、2029年3月期にかけて進捗させる新工場建設工事につきましては、今後、工事を進捗させる過程で、既存建屋・設備を再配置することで一時的な費用の発生も見込んでおりますが、2026年3月期については、建設仮勘定への計上が主となる見通しであることから、利益への影響は軽微と見込んでおります。
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