企業兼大株主ジャノメ東証プライム:6445】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、常に高品質で価値ある商品とサービスの提供を通じて社会・文化の向上に貢献するべく、法令等遵守のもと、各ステークホルダーの皆様と健全で良好な関係を維持しつつ、適正で効率的な経営に努めております。

 また、当社グループは外部環境の変化に対応した強固な収益体質の構築を目指し、効率的な経営、生産効率の向上、研究・開発体制及び販売・サービス体制の強化等を行ってまいります。

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループは、「企業価値の向上」を経営方針の一つに揚げており、株主・従業員を含む全てのステークホルダーとのより一層良好な関係を構築し、企業価値を高める為、収益構造の改善と企業体質の強化に努めてまいります。

 なお、2022年5月13日に公表した2023年3月期から2025年3月期までの中期経営計画「Reborn 2024」において営業利益率10.4%、自己資本純利益率(ROE)10%以上を中期目標としております。

(3)経営環境

①全般

 長引いた新型コロナウイルスによるパンデミックの収束と平行して、コロナ禍からの脱却を目指し、正常化に向けた経済活動の再開が進んだ一年となりました。しかし、世界的な物価高と金融引き締め政策による内需の下振れ、さらに長期化しているロシアのウクライナ侵攻や中国の成長減速など多くの懸念材料がいまだ経済に重くのしかかっております。

 国別に見ますと、米国では、物価高・金融引き締めから景気の成長ペースが鈍くなっている中、良好な雇用環境を背景として個人消費や輸出が底堅く推移しました。欧州においては、雇用の改善がみられる一方で、歯止めのかからない物価高騰により個人消費の景気は下押しとなり、また、エネルギーの供給制約が生産活動の失速につながっています。日本国内においては、オミクロン株の新型コロナウイルス感染が収束に向かい、5月8日から新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」へと移行されました。ウィズコロナの下で、政府の支援策もあり個人消費や設備投資は緩やかに持ち直しを見せましたが、物価高は家計に大きなダメージを与えています。ラテンアメリカやカリブ海地域では、世界経済の減速と各国の抱える政情不安が大きく影響し、経済に不透明感が漂っています。中国ではゼロコロナ政策の解除による経済活動の正常化並びに成長重視の政策運営方針により内需の持ち直しと今後の伸びが見込まれます。

 今後の先行きについては、行動制限の解除から個人消費やサービス消費の持ち直しが見込まれますが、その一方で、継続する物価高と、インフレ抑制の金融引締めや不安定なウクライナ情勢や世界各地域・国における地政学リスクへの警戒感から、経済の成長は依然として予断を許さない状況です。

②家庭用機器事業

 近年の家庭用ミシンの市場環境は、ミシンユーザーの減少やネット通販の伸長による低価格化の進行など、厳しい状態にありました。新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、一時的に手作りマスクへの関心が高まったことなどを契機にミシンの需要が急増いたしましたが、その後、販売に関しては落ち着きを取り戻しました。しかし、家での過ごし方としてミシンを楽しむ方が増加し、創ることへの楽しさを知るきっかけとなり、ハンドメイド文化の裾野は拡大していると確信しております。

 感染症防止の行動制限の緩和に伴い、展示会や各種イベントなど、対面での活動が再開され、お客様との交流を持つ機会を増やすことができました。長年ハンドメイドに親しむミシン上級者から、ミシンを始めたばかりの初心者まで幅広く交流を深める貴重な機会となりました。また、ウェブサイトやSNSを通じた情報発信等も引き続き継続して、お客様とのコミュニケーションの多様化に一層取り組んでいくことで、国内外におけるソーイング文化の深化・浸透、潜在需要のさらなる掘り起こしに繋がるものと考えております。

 国内においては、全国各地の直営支店での「訪問販売」の形態からシフトを行い、ミシン専門店以外のネット通販、量販店での販売等、時代に応じた販売チャネルを活用した積極的な販売活動を行うとともに、全国の学校に向けた販売や充実したアフターサービスなど当社の強みを最大限に活かすことで、国内シェアNo.1の堅持に寄与するものと考えております。

 海外向けには、2022年4月に当社9年ぶりの新フラッグシップモデル「Continental M17」が北米・大洋州などの市場を中心として高評価を受け、同モデルを含めた高付加価値製品を中心に販売を伸ばし利益に寄与いたしました。その一方で、各国の金融引き締め政策などを背景とした世界経済の減速傾向は、欧州やそのほかの新興国を含む幅広い地域に深刻な影響を与え、これにより低・中価格帯機種の販売は停滞いたしました。また、ロシア向けには2022年3月よりミシンの出荷・販売を停止しており、生産・販売数に影響を及ぼす結果となりました。

 重点市場のインドを含むアジア地域では同地域の経済状況に比例して、普及モデルのミシン販売が好調に推移いたしました。地域毎に需要やニーズを的確につかみ、さらなる市場拡大が見込める市場では、新たなミシンユーザーの獲得に向けて積極的な取り組みを推進していきます。また、ミシンの価値発展を伝えるパイロットショップ「Bobinage(ボビナージュ)」の国内外における多店舗化展開など、積極的な需要喚起を行っていきます。

 ミシンは家庭にある唯一の生産財とも呼ばれ、手づくりによるリメイクやリユースなどエシカル消費にも繋がり、製品そのものがサステナブルでエコに貢献できるものと認識しております。こうした環境への貢献度が消費行動に直結する時代において、ミシンの持つサステナビリティを訴求していくことで、特にこれまでミシンに馴染みのなかった若い世代を中心に裾野の拡大が期待できます。モノづくりを通じて人々の生活を豊かにすることができ、また、ミシンの価値を再評価いただけているものと考えております。

③産業機器事業

 日本産業機械工業会の発表によれば、2022年度の産業機械受注額は、前年度比106.4%の5兆2,652億円となり、2年ぶりに前年度を上回りました。

 当社産業機器事業におきましては、景気回復とともに生産現場等における設備投資環境も好転し、引き合いは増加しつつあります。他方で、半導体をはじめとした電子部品の品不足による長納期化や原材料の高騰により、生産面で制約を受けており、情勢の回復には時間がかかるものと見込まれます。

 足元では昨年から引き続き不透明感も残るものの、中長期的に見れば市場は拡大していくと考えております。特に国内を含めた先進国を中心に「脱炭素社会」を目指す動きが加速している中、主力市場である自動車業界は、電気自動車や自動運転の開発が進むなど大きな変革期を迎えており、今後、様々なビジネスチャンスの機会が増えてくるものと思われます。また、製造業におけるグローバル競争の激化や慢性的な人手不足から工場の自動化ニーズが高まっており、今後中小企業にも波及していくと見られ、これらに積極的なアプローチをかけることで、新規顧客の開拓にも繋がると考えております。

 当社産業機器事業におきましては、これまで当社の第2の柱として着実に成果を上げてまいりましたが、外部環境の変化による煽りを受け、営業損失が続いております。これは、足元の市場環境が改善しつつある中、部品調達難による生産体制への影響が要因の一つではありますが、中国市場や自動車関連など特定の市場・業界への依存度が高いことも影響していると考えております。中期経営計画に基づき、これまでの重要市場への販売拡大にも注力しながら、新規顧客開拓を一層推し進め、新エネルギー、環境・エコ、医療関係など幅広い業種にアプローチを行っていくことで、外部環境に左右されない盤石な販売網が構築できるものと考えております。また、部品不足に対しては部品の社内加工化を推進するとともに、強固なサプライチェーンを構築していくことで、生産の安定化に繋がるものと考えております。

④IT関連事業

 情報サービス産業におきましては、IoT、AIなどの「デジタルトランスフォーメーション(DX)」による「第4次産業革命」が徐々に社会に浸透してきております。これにより、企業などの生産者側からは、これまでの財やサービスの生産・提供の在り方が大きく変化し、生産の効率性が飛躍的に向上する可能性が指摘されており、かつその対象領域も広がりを見せることが期待されています。企業における競争力強化や生産性の向上のためのIT投資は引き続き堅調に推移している一方で、人材不足が顕在化しており、技術者の増強と育成が重要な社会的課題となっております。

 その中で当社グループは、「課題解決型パートナー」としての対応を強化しております。システムインテグレーションでは、様々な業務のシステム構築を行ってきた経験をもとに、システム・ソフトウェア構築を支援しており、アウトソーシングでは、システム運用・監視・機器管理や情報処理業務に付帯するデータエントリー業務、オフライン業務全般をトータルでサポートしています。これら経営戦略・方策の下、新規顧客獲得、品質管理の徹底、人財育成などを実施し、収益基盤の安定・強化を進めるとともに、これまで培った知見を活かし、グループ全体のDXも推進してまいります。

(4)当社グループの中長期的な経営戦略及び対処すべき課題

 当社グループは、持続的に成長する企業集団を目指しております。短期的に会社の規模や売上高の増大を求めるのではなく、商品とサービスのご提供を通じて社会・文化の向上への貢献に堅実に取り組みながら、そこで得られた利益が次の成長に繋がるような持続的成長企業となることが目指すべき目標であり、また課題であると考えております。企業が成長するための要素は様々ですが、当社の強みは創業以来培ってきた「信用」であり、またこれを支えているのは当社製品の品質への評価であると考えています。引き続き、これに満足することなく、品質の維持・向上に努めてまいります。

①サステナビリティ・ガバナンス経営の推進

 当社グループは、持続的企業価値の向上を目指しており、この「持続的(=サステナブル)」は、当社の事業経営・ビジネスモデルが持続可能とすることを指すのは勿論ですが、同時に当社が存在し活動する基盤となる社会・環境・経済が持続可能であることは、その前提であると考えております。

 当社グループはこれまでも、ESGの重要性を鑑み持続可能な社会の実現に貢献することが、企業の社会的責任であるとの認識の下、ESGのそれぞれの視点に立った事業活動を通じ、SDGsの各目標のうち持続的成長に向けた重要課題(マテリアリティ)を選定しその達成に取り組んでまいりました。引き続きこの姿勢は堅持しつつ、単に社会や環境に対し負荷を与えないような事業活動を目指すことに止まらず、広く持続可能な社会や環境に貢献するためにできることは何か、という課題に使命感を持って向き合い、自社の持続的企業価値の向上と一体的に取り組んでまいります。

・サステナビリティ推進委員会

 当社は、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値向上の両立に向けて、グループ全体でサステナブル経営を一層推進し、企業の社会的責任である社会・環境問題をはじめとしたサステナビリティを巡る様々な課題への取り組みを加速させるため、「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。

 同委員会は、代表取締役社長を委員長に社内横断的メンバーで構成され、当社サステナビリティに関する重要事項を審議し、課題に対する取り組みとその進捗状況を管理・評価しております。また、議長には社外取締役を置き、客観的視点から活発な議論を促しております。

②中期経営計画

2022年5月に策定した中期経営計画「Reborn 2024」では、「持続可能な成長に向けてサステナブル経営を推進する」の基本方針の下に、当社の3つの事業領域で「サステナブルな製品供給の推進」、「サプライチェーンの強化」、「重要市場への積極的な進出」を掲げ、各事業での施策を着実に遂行しています。技術やデザイン、使いやすさなど魅力ある製品や、環境に配慮した製品の開発・供給に力を入れ、家庭用ミシン、産業機器製品の両市場においてブランド力や企業価値の向上に寄与しています。しかしながら、部品調達難の状態はいまだ改善しきれておらず、外部環境の変化により一層柔軟に対応できるような強固な生産体制の確立を目指し、素早い市場ニーズへの対応と積極的な営業活動に努めます。「Reborn 2024」で掲げた目標を達成すべく、より一層の事業拡大への取り組みと事業横断型のプロジェクトの遂行により、社会的課題の解決と自らの持続的成長の実現を目指してまいります。

③家庭用機器事業

 家庭用ミシンの市場としては、北米、欧州、大洋州を重要市場と位置付けて、特に高付加価値製品を当社の強みとし、売上拡大を図っております。その他の市場におきましても、市場ごとのニーズを的確につかみ、サービス・サポート体制の強化とブランドの浸透により普及に努めております。国内市場におきましても、多様なチャネルを通じてお客様のご要望に応え、トップシェアの確立を図ります。

 コロナ禍においてミシン市場は裾野を広げたものの、旅行やサービス産業の回復とともにマスクづくり等に伴うミシン需要はコロナ前の落ち着きを取り戻しました。今後は手づくりの楽しさ、ミシンの魅力の訴求に力を入れて長期的な活動として取り組んでまいります。その反面、ウクライナ情勢の長期化やその他地政学リスクにより足元の経営環境は不透明感が高まっております。当社グループは、北米や欧州、大洋州などの重要地域をはじめ、中南米、アジア・中東など世界各国で販売しておりますが、今後の外的環境から受ける影響も踏まえ、未開拓市場や有望市場の開拓を進め、リスク分散を図ってまいります。

④産業機器事業

 産業機器事業は、ロボット、エレクトロプレス(サーボプレス)及びダイカスト製品を主たる事業商品として、ミシン事業に次ぐ第二の事業分野と位置付けております。ロボットは、基板分割やねじ締めや塗布をはじめとする多様な用途に対応し、工場の様々な工程で活用されており、サーボプレスは、その動力がサーボモーターであることから、他のプレス機にはない高機能・高精度や環境優位性を実現し、これも様々な場面でご使用いただいております。

 市場規模は、用途の広がりにつれて拡大が期待できますが、これを具現化するために、技術力、開発力の強化を行い、特に有望市場や未開拓市場でのサービス・販売拠点の拡充を図りつつ、新しい用途の可能性に繋がる提案型営業を進めてまいります。

 コロナ禍を発端とした経済活動の混乱により、半導体をはじめ、部品調達が困難な状況が続いております。サプライチェーンの分散化・多様化を図り柔軟に対応しておりますが、一部で生産に影響が出ております。今後は一部構成部品の社内加工化を推進するなど、更なるリスク低減に努めてまいります。また、ロシア・ウクライナ情勢の影響で一段と高騰する原材料の価格上昇分につきましては、機能・品質の向上を図りながら、製品の付加価値を高め、適正価格の見直しを行うなどして対応してまいります。

 眼前には様々な懸念が飛び交うものの、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展や、主力市場である自動車産業はEV化が進むなど過渡期を迎えており、中長期視点では市場の拡大が見込まれます。既存分野に捉われず、医療やインフラなどの新規開拓に向けて積極的にアプローチをかけながら、産業機器事業の早期回復を図ってまいります。

 最大1250tのダイカストマシンを有すダイカスト事業におきましては、短納期の石膏鋳造による試作・小ロット生産から、精密機械加工が必要な小ロットから大ロットまでのアルミダイカスト並びにマグネシウムダイカスト製品を製造しており、主に精密機器、車載部品、産業用ロボット等で採用されております。高騰した原材料の価格上昇分を売値に転嫁する交渉を続け、採算向上を図ってまいります。

⑤IT関連事業

 当社は、社内のコンピュータシステム導入による電算処理のノウハウを活かし外部に提供できるよう、1970年にグループ会社である㈱蛇の目電算センター(現㈱ジャノメクレディア)を設立いたしました。それから50年以上、目まぐるしく変化し続けるIT業界において自らも進化しながら時代に対応し、お客様に確かな技術とサポートをお届けしてまいりました。その結果、当社の主要事業セグメントとなる程の成長を遂げました。

 現在のジャノメクレディアの強みは自社運用型サーバを基幹とするシステム構築・管理です。一方で企業ではクラウド型サーバの導入が進む中、DX化の急激な波が押し寄せるなど、IT企業に求められるスキルも変化及び多様化してきております。IT企業として更なる成長を目指すためには、時代に必要とされる技術を先読みし、これらの分野の経験を積む必要があります。現状を好機と捉え、まずは当社グループ内でDX化のためのシステム構築経験を蓄え、そのノウハウを強みとして外部へ向けて提供し、更なる収益増、及び事業安定化を図ります。

⑥研究開発・生産体制

 当社は、国産初のミシンメーカーとして創業して以来、技術の改良を重ね、革新的機能の開発には常に先進的役割を果たしてまいりました。また、産業機器分野には、ミシンメーカーとして培った技術を応用・発展するなどして、高機能・高性能の商品開発を実現し、市場に送り出してまいりました。

「品質のジャノメ」として、世界のお客様に高い評価をいただいておりますが、今後はより高品質で耐久性に優れた商品を開発・生産し「品質のジャノメ」としての評価を確立し、信頼あるものづくりを行ってまいります。また、市場のニーズを的確に捉えた魅力ある商品をスピーディーにご提供してまいります。さらには、適地適産化や部品の社内加工化を念頭に、原価低減・生産性向上を推し進め、機動的な生産体制を構築するとともに、社会的要請が高まる環境に配慮した製品の開発や製造工程における環境負荷低減にも一層取り組んでまいります。

⑦働き方改革・ダイバーシティ&インクルージョン

 当社では、働く全ての社員が社業の発展に向けて主体的・意欲的に取り組むことで、企業競争力や労働生産性を向上させ、それと同時に私生活も充実して過ごせるようにすることが目指すべき働き方であると考えております。当社は、業務での取り組み方や勤務態勢の見直し、時間外労働の縮小、年次有給休暇の積極的取得を一層進め、これらにより労働生産性を向上させ、ワーク・ライフ・バランスの充実を図ってまいります。

 ダイバーシティ&インクルージョンでは、女性・外国人・中途採用者・障害者などの多様なバックグラウンドを持つ人財の積極的な登用を進めてまいります。そしてそれらの人財が働きがいを持って能力を発揮し、自らのアイデンティティが組織の成果達成に効果的に機能しているという実感を伴うよう、一体感を醸成してまいります。従来にない文化や価値観、考え方、新しい発想を尊重し、時に健全なコンフリクトも厭わずに取り入れていくことで、革新的なイノベーションの創出に繋げてまいります。

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