企業ジェイ・イー・ティ東証スタンダード:6228】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループ(当社及び当社の連結子会社)が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループ(当社及び当社の連結子会社)は以下のとおり、企業理念を掲げ、従業員が心がけるべき企業の信条として、クレド(未来をつくる6つの約束)を定めています。

 目まぐるしいスピードで進化する技術分野。その真っただ中に身を置く企業として「さらなる新技術への挑戦」、「より役立つ製品づくり」を軸に、これからも私たちは進化し続けてまいります。

(企業理念)

 お客様第一主義に徹し、強い会社・良い社会づくりに邁進し、人を大切にし、社会貢献に努めてまいります。

(クレド-未来をつくる6つの約束)

 ① 精神 私たちはまず一歩踏み出すことからはじめます。

 夢と情熱とあきらめない姿勢を活力にします。

 ② 人  私たちは人の力を何よりも大切にします。

 お互いを思いやり、信頼し合い、きずなを深めながら、仕事に取り組みます。

 ③ 顧客 顧客第一主義に徹し、

 私たちは常にお客様の立場で考え、感動を与えられるよう、全力を尽くします。

 ④ 挑戦 私たちは挑戦する姿勢を大切にします。

 そして挑戦する力を全員で応援します。

 ⑤ 迅速 私たちは常にスピードと効率を意識し、その準備を怠りません。

 臨機応変な対応と一歩先を読む意識を持って取り組みます。

 ⑥ 技術 未来は、私たちの技術から生まれます。

 常に最新の情報を共有し、技術の継承と育成をしていきます。

(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的指標

 当社グループは、安定・継続した成長を目指し、2023年12月15日に中期経営計画「Challenge 2026」を策定し、経営上の指標として、売上高、原価率、営業利益、営業利益率の目標値を定めております。

財務目標(~2026年12月期)

売上高

288億円

原価率

75.3%

営業利益

35.3億円

営業利益率

12.3%

(3)経営環境及び経営戦略

 当社グループが属する半導体業界におきましては、2019年の一時的な投資停滞以降、次世代通信規格5G及びAI、自動運転、IoTへの対応から通信量及びデータ処理量の増加によるデータセンター需要の拡大に加え、スマートフォンの高性能化などによる半導体需要の増加を背景に、大手半導体メーカー及び中国等の新規参入の半導体メーカーが積極的な設備投資を行い、市場規模は大きく拡大しております。また、当社グループは、半導体業界のうち、半導体製造の前工程で使用される半導体洗浄装置の製造・販売を行っており、半導体洗浄装置は、半導体製造過程において複数回の処理を必要とするプロセスに使用されており、半導体製造においては必要不可欠、かつ他の装置では置換不能であるため、半導体の市場規模の拡大と比例して、半導体洗浄装置の市場も増大しており、一時的な減速は想定されますが、今後も継続して増大していくものと考えております。

 こうした状況の下、2022年後半からメモリー価格は下落しておりましたが、DRAMでは生成AI向けサーバーやGPUには多くのHBM(High Bandwidth Memory)が使用され、DRAMの価格は上昇に転じ、NANDフラッシュにおいても最悪期は脱しております。また、ファウンドリにおいても、成熟世代半導体向けの設備投資は、中国を中心に継続されております。

 当社グループは、競合他社とは差別化された特長・技術を有する洗浄装置と過去からの大手半導体メーカーへの納入実績にて積み上げた信頼により、順調に事業を拡大しております。加えて、新たな市場として、米国においては新たな顧客への洗浄装置納入を目指し、米国現地法人「JET AMERICA INC.」(連結子会社)(当社100%出資)を2023年10月に設立し、活動を開始しております。また、日本においても2024年1月より新たに洗浄装置の営業部隊を立ち上げ、最先端プロセスへの対応に加え、車載向け及びパワー半導体向け等、新たな顧客の開拓に取り組みを開始しております。

 当社グループは、その強みを背景に以下の経営戦略を定め、今後もお客様の更なる成長を支えてまいります。

(当社グループの強み)

① 大手半導体メーカーへの納入実績

 当社の前身であるエス・イー・エス株式会社の納入実績を含めますと、これまでに1,000台以上の半導体洗浄装置を、韓国、台湾、中国、日本、シンガポール、米国等の国々の半導体メーカーへ納入してきており、当社設立以降も約500台の装置を納入しております。特にメモリーにて世界市場シェア1、2位を争うSamsung Electronicsにおいては、次に詳しく述べますとおり当社の競合他社と差別化された技術優位性を評価頂き、半導体製造工程の特異な工程においては、当社洗浄装置を指名採用頂き、エス・イー・エス株式会社の納入実績を含め400台を超える台数を納入しております。

 これらの実績は、新規参入の半導体メーカーに対しても、十分に魅力的なPRポイントになると考えております。

② 競合他社と差別化できる技術優位性

 当社のバッチ式洗浄装置(BW3700、BW3000、BW2000)は、顧客の要求に合わせて洗浄槽の構成の変更や洗浄槽の数の変更といったカスタマイズ可能な装置が中心であり、また、競合他社の装置ではウエハの搬入搬出は1カ所で行われますが、ウエハの搬入・搬出装置を装置前後に別々に配置し、ウエハの流れを1方向にすることが可能なフロントタイプ(F-Type)にも対応できます。また、顧客が要求する半導体洗浄装置は微細化、多層化に対応可能な装置であり、より高粘度、高比重の薬液に対応する必要があります。こうした場合、各槽における処理時間も長くなることから、洗浄槽の構造や設置数を柔軟に変更できることは、処理時間の長い洗浄槽を複数配置するなど、単位時間あたりのウエハ処理枚数を増加させる上でも、顧客にとって機種選定における重要な要件となります。当社の推計では2022年度の全世界の半導体バッチ式洗浄装置市場において、当社のバッチ式洗浄装置は約11%の市場シェアを占めております。

 枚葉式洗浄装置(HTS-300)は、ヒーターにてウエハ上の薬液を高温にするといった特殊な機能を有し、処理性能及び処理能力の向上、使用薬液の削減といった顧客のメリットに繋がり、他社製品では対応していない薬液温度を長時間にわたり高温に維持する必要のある工程に採用されております。

③ ターゲット地域を特化した充実したサービス体制

 現在の半導体製造の主力地域である韓国、台湾、中国(Semiconductor Equipment and Materials International,(以下「SEMI」)発表の半導体製造装置販売額の上位3カ国)にターゲットを絞り、韓国には親会社であるZEUS Co., Ltd.、中国には子会社であるOribright Shanghai Co., Ltd.、台湾には子会社であるJ.E.T. Semi-Con. International Taiwan, Inc.を配置しており、納入した装置に対するアフターサービスを充実させるとともに、各顧客との関係構築を図る中で、新規に投資される装置需要についても確実に受注、売上に繋げられるよう体制を整えており、米国、日本においても同様の体制を構築するよう準備を進めております。

 さらに、韓国においては子会社であるJ.E.T. Korea Co., Ltd.による現地製造を開始しております。詳細は、「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ①顧客基盤の拡大」にて、その目的、対応について説明しております。

(経営戦略)

  売上成長戦略

 市況の変化による売上、利益への影響を少なくし、安定かつ継続した成長を目指すべく、特定の国や特定の顧客に偏った売上依存を避けるため、重点ターゲットとしている韓国、中国、台湾や今後新規投資が見込まれる米国や日本への販売施策を進めております。2018年実績にて当社売上高の80%以上を占めた韓国市場においては、メモリーにて世界市場シェア1、2位を争うSamsung Electronicsに対し、当社が得意とするプロセスにターゲットを絞り対応してまいりましたが、2019年7月に発表された日本政府による韓国向け輸出管理強化の影響から、主要顧客の中で韓国国内での装置製造ニーズが高まり、韓国国内での装置製造を進めるべく子会社J.E.T. Korea Co., Ltd.を設立し、メモリー製造における新たなプロセス装置の他、システムLSI向けなど、これまで当社としては対応していなかったプロセスの製品についても、装置参入を目指してまいります。

 また、中国市場においては、2023年12月にSEMIが発表した半導体製造装置の需要見通しにあるとおり、今後も成長が期待されております。米国により最先端の製造技術を使用する半導体投資に関しては規制が強化されておりますが、当社のターゲットとなる最先端の製造技術を使用しない半導体投資は継続されており、当社グループとしましては、既存の顧客との関係を維持すべく、重要な市場と考えております。

 当社設立以降、継続的に取引している大手ファウンドリ(注1)や韓国メーカーの中国工場などの追加投資への対応、新たに立ち上げられている中国メモリーメーカーへの対応について、韓国市場にて実績のある装置を主体に販売施策を進めております。また、今後追加投資が見込まれるパワー系半導体を製造しているファウンドリに対しては、メモリーと比較して求められる微細化の基準が低いことからシリコンウエハだけでなくSiCウエハ(注2)対応の装置を提案し、日系競合他社のサービスに不満を持つ顧客に対しては、性能や価格にて顧客の要求に合致する装置を提案しております。

(注1)半導体の設計は行わず、半導体チップを受託生産する企業。

(注2)ケイ素 (Si)と炭素(C)により構成される化合物半導体材料。

② コスト改善戦略

 ここ数年の急激な受注増加に対応すべく、また、突発的な需要の減少といったリスクも考慮し、製造における外部委託施策を積極的に進め、フレキシブルで効率的な生産体制の構築を進めてまいります。具体的には、BW2000及びBW3000にて中国向けなど標準的な仕様の装置は外部でのOEM製作に切り替え、当社及び韓国製造子会社ではカスタマイズ度の高いBW3000及び今後の主力となるBW3700を生産することにより、効率を高め、短納期対応、コストの削減を図っております。

 顧客からの納期短縮要請に対応すべく、各ユニットの標準化を図り、社内での先行製作、外注先でのOEM製作を進めております。併せて、納期のかかる石英部材、架台製作については、近隣の地域に拘らず海外まで含めて、新たな仕入先の開拓を進めております。

 また、2024年1月より営業部隊とは別に、SD(システムデザイン)部を立ち上げ、設計段階から当社主導で製品仕様を顧客へ提案することにより、個々の顧客に対し最適な仕様、且つ大幅なコストダウンを実現するよう進めております。

③ その他

 安定した経営基盤を構築すべく、半導体関連事業においては、装置市況が悪化した時期においても売上、利益を確保すべく、顧客に納入済みの装置の性能改善及び安定性向上の提案や保守メンテナンスサービスを行うフィールドサービス事業を海外においても積極的に展開すべく準備を進めております。

 半導体関連事業以外では、今後成長が見込まれるリチウムイオン電池に関連する検査・製造装置の開発・製造・販売を事業化すべく活動しております。詳しくは、「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ④新規事業の創出」に記載しております。

 また、同様に安定した経営基盤を構築すべく、景気変動による影響が大きな装置事業以外に、今後安定して利益を確保すべく農産物生産事業(以下、アグリ事業といいます。)に取り組んでおります。詳しくは、「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ④新規事業の創出」に記載しております。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 中長期的な会社の経営戦略の実現を果たすため、当社グループは下記の課題に取り組んでまいります。

① 顧客基盤の拡大

 当社の半導体関連事業の主力市場である韓国市場において、日韓の貿易問題に端を発する韓国国内での装置製造ニーズをチャンスと捉え、韓国での製造拠点となる現地法人J.E.T. Korea Co., Ltd.を設立し、2021年7月には初号機を製造、出荷し、2023年度には8台の装置を製造いたしました。今後は、更なる人員の増強や装置製造のための設備等の充実を確実に進め、日本と同等の原価・納期・品質にて装置を製造することにより、目的の一つである主要顧客から新規プロセス装置を受注することが、最も重要な課題であると認識しております。

 今後も成長が期待される中国市場においては、当社グループの売上、シェアを確保していくための対応が重要になっております。2022年に開設したテクニカル・センターの有効活用に加え、中国市場向けに新たな装置を提案するなど施策を実行してまいります。

 また、米国の対中国の半導体の輸出規制の強化により、米国や日本国内への半導体工場の投資が計画されており、米国においては新たな顧客への洗浄装置納入を目指し、米国現地法人「JET AMERICA INC.」(連結子会社)(当社100%出資)を2023年10月に設立し、活動を開始しております。また、日本においても、2024年1月より新たに洗浄装置の営業部隊を立ち上げ、最先端プロセスへの対応に加え、車載向け及びパワー半導体向け等、新たな顧客の開拓に取り組みを開始しております。

② 人材の確保・育成 

 技術革新の激しい半導体洗浄装置業界において事業を継続し、今後も成長を続けるためには、高度な専門技術をもったエンジニア等の人材の確保と育成が必須であると考えております。国内においては、毎年3~5名程度の新入社員の採用を継続して行うこととしており、早期育成に努めておりますが、エンジニアについては、国内、海外ともに優秀な人材が不足しており、課題として、積極的な採用活動を継続していきます。

③ 内部管理体制の強化

 当社は、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置付け、取締役会による業務執行の監督と監査役による経営監視体制を構築し、さらに内部監査室を設け、監査にあたっては各部署の業務活動全般に関して、職務分掌、職務権限、社内諸規程に基づき内部統制及びコンプライアンスの観点から監査を行うなど、多様な施策を実施しております。業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する様、一層の体制整備、運用の強化を図ってまいります。なお、親会社からの役職員の受入等はなく、当社グループの方針・政策決定及び事業展開については、当社独自の意思決定によって進めております。

④ 新規事業の創出

 安定した経営基盤を構築すべく、半導体関連事業以外でも今後成長が見込まれるリチウムイオン電池に関連する検査・製造装置の事業化を進めております。現在、開発段階から製品段階へ移行中ではありますが、密閉後の電池ケースや外装材のピンホール等による電解液の漏れを検出する「電解液リーク検査装置(ELC-J1000)」、多層箔やフィルム等に対しても材料の熱変性や変形が少なく信頼性の高い超音波接合を可能にする「超音波接合システム(UWS-J1000)」など、これまで存在しないユーザーニーズに対応した装置を製品化しております。どちらの装置もリチウムイオン電池の弱点である発熱、発火、爆発といったリスクを製造段階で検出できることが大きな特徴であり、基本技術については特許を取得しており、今後は同様の装置を全固体電池向けに展開していくよう活動を開始しております。

 アグリ事業については、株式会社OSMICがFC展開するオスミック農産物生産事業を採用し、2020年11月には計画どおり初出荷を実現し、2023年度には年間約22トンの生産・出荷をいたしました。また、2021年10月には、独立した法人として個別採算管理を徹底すること、責任の明確化を図ることとともに、本事業の収益力及び競争力を向上させるため、株式会社ジェイ・イー・ティ・アグリを設立いたしました。2022年1月より株式会社ジェイ・イー・ティ・アグリにてアグリ事業を行っており、従業員の人材育成に取り組み、生産技術の向上や更なる品質向上を目指しております。なお、当面は農地所有の計画がないため、2022年1月に議決権の所有割合を74.5%とし、本書提出日現在では農地所有適格法人の要件を充足しておりません。

⑤ 資金調達

 当社製品である半導体洗浄装置は、受注生産で装置製作を行っております。受注後に装置製作に必要な部材等を調達して、その後装置を製作し、出荷時に装置価格の90%相当額を回収するため、一定の運転資金が必要となります。当社は取引金融機関とコミットメントライン契約を締結する等、必要かつ十分な資金を柔軟に調達できる体制を整えております。

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