企業ジェイテックコーポレーション東証プライム:3446】「金属製品 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境、及び対処すべき課題は、以下の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは「オプティカル事業」、「ライフサイエンス・機器開発事業」及び「その他事業(電子科学株式会社を含む)」の3つの事業を有しております。

(1) 経営方針

 当社は、「世の中にないオンリーワンの技術により製品を作り出し、広く社会に貢献する」ことを経営理念に掲げ、各種産業分野の技術発展に寄与し、創薬や再生医療をはじめとした先端技術の研究及び実用化の促進に役立つことにより、「科学技術イノベーションの創出に貢献する製品開発を推進する」ことを経営方針に定めております。

(2) 経営環境等

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が世界的に緩和へ向かい、我が国におきましても感染症法上の位置付けが「2類相当」から「5類感染症」へ移行したことに伴い、長く続いた経済・社会活動に対する制限が緩和され、概ね正常化に至っております。その一方で、コロナ禍による生活様式の変化や労働力不足に伴う賃金上昇、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う資源や食料品などの価格高騰の影響により世界的インフレが発生、インフレ抑制に向けた金融政策の影響による景気動向の先行き不透明感などによって世界経済の不確実性が高まっております。

 このような経済環境のもと当社グループは、オプティカル事業、ライフサイエンス・機器開発事業及びその他事業(電子科学株式会社を含む)という独自の技術を利用した3つの事業によって、高品質な製品提供と研究開発活動の強化に取組み、経営基盤拡充と企業価値向上に努めてまいりました。

 オプティカル事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響による活動停滞が徐々に緩和され、国内外の放射光施設やX線自由電子レーザー施設においては通常稼働の状態に至っており、国内の次世代放射光施設NanoTerasuをはじめ、中国及び欧米の放射光施設のバージョンアップや新設の計画も順調に推移しております。

 そのため受注環境も好転しており、特に中国では各主要都市において放射光施設及びX線自由電子レーザー施設の新設やバージョンアップが進められていることから、北京市の次世代放射光施設「HEPS」、上海のX線自由電子レーザー施設「SHINE」からは継続的な受注に至るとともに、立上げ計画中の合肥市や深圳市の関連施設から複数の問合せを受けております。また、欧州につきましては、エネルギー、半導体に関する最先端研究の活性化に伴い、スペイン、イタリア、フランスの中規模放射光施設においても高精度ミラーの需要が高まっており、現在進めている市場開拓の成果が順調に得られております。良好な市場環境を活かし、取引拡大に努めてまいります。

 ライフサイエンス・機器開発事業おいては、重点新規事業分野として掲げる、各半導体材料を主たる対象としたナノ表面加工技術(触媒基準エッチング法(CARE)関連装置、プラズマ援用研磨法(PAP)、プラズマ化学気相化加工法(PCVM))を搭載した装置の商品化、受注及び販売活動を推進によって、独自の表面加工・研磨技術及び装置の開発推進、実用化へと展開を図ってまいりましたが、セミコン・展示会への出展や自社セミナーの開催などの効果もあり、当社技術を高く評価いただくユーザー数が徐々に拡大しております。今後も更に営業の展開力を高め、販路拡大や大手企業との共同開発契約締結に繋げるなど、各種半導体材料等の表面加工技術の実用化と高度化を図り、製品展開を推進してまいります。

 ライフサイエンス関連事業を取巻く環境につきまして、昨今の長時間労働是正による労働環境改善が全ての業界の重要課題となっており、各研究機関においても自動培養装置導入への意欲が高まりをみせております。また東京医科歯科大学において、当社独自の3次元回転浮遊培養技術をもとに開発した当社の装置を用いて、iPS細胞由来のヒト腸管オルガノイド(HIO)の生成に成功されたことを受け、国内のみならず、海外のユーザーからも当社製品に関する問い合わせが拡大しております。

 その他事業である子会社の電子科学株式会社においては、主力製品である昇温脱離分析装置(TDS)の需要が現在の半導体や液晶・カラーフィルター企業向けのみならず、鉄鋼、電機、自動車、水晶振動子等の様々な産業分野にも市場拡大が見込まれるため、既存製品の販売だけでなく、新しい製品の企画、創出に注力し、新たな市場に製品投入することで新規顧客の開拓を進め、収益力の拡大に努めてまいります。

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 事業活動に関わる課題

(オプティカル事業)

・放射光施設関連

 オプティカル事業の主なユーザーである国内外の放射光施設及びⅩ線自由電子レーザー施設はコロナ禍によって停滞していた研究活動が復調しており、ミラーの需要もコロナ禍前の状態に回復しております。

 欧州、米国、中国では新設及び第4世代へのアップグレードに伴う新設ビームラインの中期的な開発計画が始動しており、すでに一部の施設からは各種ミラーの受託に至っております。その他の施設からも継続的に問い合わせを受けており、具体的な仕様の検討に着手しております。

 一方、国内においても、大型放射光施設「SPring-8」やⅩ線自由電子レーザー施設「SACLA」だけでなく、2024年稼働予定の東北大学に隣接する次世代放射光施設(NanoTerasu)からの引合いも増え、受注も順調に推移しております。

 このように世界規模で拡大している放射光施設及びⅩ線自由電子レーザー施設からのⅩ線ミラーの需要増大要求に的確に応えるため、生産設備の増強や生産工程の短縮化によって生産性の向上を図ることが重要課題であると認識しております。2022年11月に稼働を開始した栃木生産技術センターの生産能力を最大限活用し、前加工工程を依頼する外注加工先を含めて、全社の連携強化を図り生産工程全体の効率化を目指してまいります。

 また、世界各地で放射光施設やⅩ線自由電子レーザー施設の新設や第4世代放射光施設へのバージョンアップにより光源性能の向上が伴うため、これまで以上に高い精度がミラーに要求されております。当社は主力製品とするナノ集光ミラーのさらなる高精度化を促進するとともに、新たな光学系の積極的な開発・販売も推進してまいります。

・半導体・宇宙等に関連する光学部品への展開

 各種Ⅹ線ミラー(光学素子)は、従来技術では不可能であった表面形状の超高精度化を実現することができ、さまざまな産業分野においてビジネスを展開するための技術的ポテンシャルを有しております。

 宇宙や半導体といった産業において光学部品は必要不可欠な存在であり、これらに対し、当社がこれまで大阪大学との共同研究で開発を進めてきたナノ加工技術(EEM、プラズマCVM、CARE)とナノ計測技術(RADSI、MSI)が精度的に十分活用できるレベルにあるため、特に高性能化傾向が強く量産化速度の高い半導体分野に参入する上で重要な要素の技術となります。

 現在、宇宙ならびに半導体の露光、検査に関わる高精度光学部品の問い合わせを複数頂いており、テスト加工の受託や大手メーカーとの共同研究開発の締結なども進み、技術検討から開発・試作フェーズに進んでいる案件も多くあります。オプティカル事業の展開によって蓄積された光学素子に関連する知見と技術を活かし、半導体産業などでの利用が見込まれる光学素子製品を中心として、ミラー製品の需要に左右されない新たな事業の柱を構築してまいります。

<ライフサイエンス・機器開発事業>

・ライフサイエンス事業

 新型コロナウイルス感染症が世界的に収束へ向かい、これまでの行動制限や様々な規制が緩和される中、生命科学の領域におきましても、働き方改革を実現するための長時間労働是正による労働環境の改善と景気回復に伴う人手不足の影響を受け、自動細胞培養装置を導入する機運が高まっております。そのような中、当社におきましても大型自動培養装置をはじめ、低価格の汎用型自動細胞培養装置「MakCell®」の引合いが増加しており、その地域は国内に止まらず、海外からの引合いも増加傾向にあります。このような環境の変化による国内外からのニーズ増加への対応を進め、積極的に営業活動を展開することで収益確保に努めてまいります。

 また、2022年11月に東京医科歯科大学において、当社独自の3次元回転浮遊培養技術「CELLFLOAT®」をもとにした「CellPet3D-iPS®」を用いて、iPS細胞由来のヒト腸管オルガノイド(HIO)の生成に成功され、再生医療に大きな期待が寄せられております。当該製品に関しましても、これを契機に国内のみならず、海外のユーザーからも問い合わせが拡大しております。対象マーケットの幅を広げ、顧客ニーズを細胞培養に関わる新たな商品開発につなげるとともに、対応可能な商材の拡大を図り、ライフサイエンス分野の成長を促すことで、人類、社会の健やかな発展に寄与してまいります。

 さらに、当社は「国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下AMED)」が募集する研究開発委託事業「令和5年度橋渡し研究プログラム(シーズF)」において、研究代表者である東京大学、橋渡し研究支援機関である大阪大学、そのほか公立大学、公立病院、再生医療企業とともに、ヒト小児の組織から再構築した弾性軟骨デバイスによる「小児鼻変形疾患」の治療法の開発課題を提案し、採択されました。今回の委託事業において当社は、弾性軟骨デバイス製造で必要不可欠となる3次元回転浮遊培養装置「CellPet 3D®」とその培養容器「SV-100」を用いた臨床製造に係る研究開発を担っております。今後、本研究開発の推進により再生医療等製品事業に係る知見を高め、再生医療分野における培養装置・システムならびに消耗品の販売ビジネスや新規支援ビジネス等の事業展開につなげてまいります。
 また、医療機器の開発も積極的に進めており、特にAMEDからの競争的資金を受け、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構及び日本光電工業株式会社と進めている、脳梗塞治療に寄与する幹細胞分離機器(医療機器)の共同開発も計画通り推進してまいります。

・機器開発事業

 当社設立当初より各種自動細胞培養装置を開発してまいりましたが、その自動化設計技術を活かし、当社の高精度KB型集光ミラーを用いた集光装置や各種OEM製品の製品開発を手掛けてまいりました。

 創業以来の装置開発で培った技術を活かし、新たな事業の柱として、独自の表面加工・研磨技術及び装置の開発推進、実用化へと展開を図ってまいりました。当連結会計年度におきまして、新たな事業への展開に一定の成果が得られ、半導体事業の展開に関連するプラズマ化学気相加工法(PCVM)装置とプラズマ援用研磨法(PAP)装置(いずれも試作機)の販売実績に繋がりました。

 上記の両装置にナノ表面加工技術の触媒基準エッチング法(CARE)装置を加えた次世代研磨装置を主体として、半導体製造装置、半導体デバイスメーカー、次世代に向けた基礎研究開発分野への展開を図ることで、半導体ビジネスへの進出に注力し、中長期的な成長を支える技術基盤の強化を実現してまいります。

 当連結会計年度の第2四半期末には「SEMICOM Japan 2022」へ出展をした結果、複数企業からテスト加工の依頼を受けております。展示会への出展だけでなく、自社セミナーの開催やホームページの見直しと活用などによって営業の展開力を高め、販路拡大や大手企業との共同開発契約締結に繋げるなど、各種半導体材料等の表面加工技術の実用化と高度化を図り、製品展開を推進してまいります。

 ライフサイエンス・機器開発事業においては、ライフサイエンス分野や半導体分野における独自の製品開発を積極的に進めて顧客を獲得するとともに、市場の拡大に備えるために優秀な技術者の確保、生産体制の強化、保守サービスの構築が重要課題であると認識しております。

 このため当社では、優秀な技術者の確保のために積極的な中途採用活動を展開する一方で、生産体制の強化や保守サービスの構築につきましては、電子科学株式会社や新たな協力会社との関係構築によって対応してまいります。

<電子科学株式会社>

 電子科学株式会社は、超高真空環境下で試料を加熱することで放出される微量の気体成分(主に水素、水)を高精度に分析する昇温脱離分析装置(TDS)を製造・販売しており、半導体や液晶業界を中心に材料の研究や、製造工程の評価と品質管理において高い評価を得ておりますが、これまでの顧客層のみならず、鉄鋼、電機、自動車、水晶振動子等の様々な産業分野にも市場拡大が見込まれております。

 今後は、電子科学株式会社の分析技術と当社の自動化技術との連携を行い、新しい製品の企画、創出に注力し、新たな市場に製品投入することで新規顧客の開拓を進め、収益力の拡大に努めてまいります。営業活動地域についても、対象マーケットの幅を広げ、当社のオプティカル事業の海外チャネルを活用して積極的に営業活動を推進し、新規顧客の開拓を進め、収益力の拡大を図ってまいります。

② 技術開発体制の構築

 当社グループの顧客の多くは基礎研究に取り組んでいる研究機関・大学・企業の研究者であり、この基礎研究の分野で成長するためには、最先端の技術動向のキャッチアップと継続的な技術開発を行う体制を構築し、継続的に付加価値を提供することが重要であると考えております。

 このような認識のもと、オプティカル事業では国内外で開催される国際学会での企業展示だけでなく、当社の製品や最新の技術紹介等を積極的に発信してまいります。また、ライフサイエンス・機器開発事業においては細胞培養センターを活用し、オープンイノベーションの拠点として、最先端の技術開発に取り組んでいる研究機関や大学との共同研究や企業との事業連携を積極的に推進してまいります。

③ 営業力の強化

 当社グループにおいて、事業規模を拡大させるためには営業力の強化が重要であると考えております。しかしながら、取り扱う製品はコンサルティング営業ができるような技術知識が必要となるため、即戦力となる営業人材の確保が難しく、継続的な営業人材の確保と強化が重要な課題であると考えております。具体的には、技術者の社内ローテーションや物理学等の基礎学力を有している人材の採用活動によって営業人材を確保し、入社後は教育を担当する上司による継続的なOJTの推進によって営業力の強化に注力してまいります。

 オプティカル事業においては、世界的に新型コロナウイルス感染症の影響が収束したことにより、世界各地で行動制限が解除され、展示会や学会なども従来どおり開催されるようになりました。特に海外については対面営業に加えて、営業効率を考慮し、新型コロナウイルス感染症禍で活用したWEB会議も併用して商談を有効に進めてまいります。また、我が国への入国制限が解除されたことによって海外の研究者が来日され、当社にて商談する機会も得られており、今後も状況に応じてより効率的な営業手法を選択して、高い効果が得られるよう努めてまいります。

 ライフサイエンス・機器開発事業においても、訪問とWEB会議を組み合わせて有効に営業活動を進めてまいります。直近においては、これまでの活動成果が徐々に表れ、当社が開発した自動細胞培養装置に関して、台湾、中国、韓国からの問合せが増加しております。同事業につきましても、よりニーズの高い地域を選定した海外への展開を徐々に進めており、有力地域での販売網の確立に努めてまいります。

④ 生産管理体制の強化

 オプティカル事業において、需要が拡大しグローバルな競争に生き残っていくためには、生産管理の役割が大きくなっており、組織力強化が重要であると考えております。

 一方、ライフサイエンス・機器開発事業及び電子科学株式会社は、新規事業を含めて、ファブレスによる柔軟な生産体制にて事業を展開しており、協力企業との緊密な連携体制が重要であると考えております。

 さらに、今後の量産化や顧客ニーズの増加に伴う受注増に向けて、それぞれの製造工程、生産管理や品質管理等における最適なチェック体制を構築し、安定した品質の製品を提供する仕組みが必要不可欠となるため、生産管理体制を強化してまいります。

⑤ 内部管理体制の強化

 電子科学株式会社の子会社化などによって当社グループの規模が徐々に拡大するに伴い、内部管理に関係する業務が多岐にわたって発生しておりますが、今後のさらなる成長のためには内部管理体制の一層の強化を図る必要があると認識しております。そのためには、内部管理の重要性に対する全社的な認識の強化を図り、また、法務・財務・経理・人事・広報・情報システム等に精通した人材も積極的に登用することによって、業務の有効性と効率性を高めてまいります。

PR
検索