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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境、及び対処すべき課題は、以下の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは「オプティカル事業」、「ライフサイエンス・機器開発事業」及び「その他事業(電子科学株式会社を含む)」の3つの事業を有しております。

(1) 経営方針

 当社は、「世の中にないオンリーワンの技術により製品を作り出し、広く社会に貢献する」ことを経営理念に掲げ、各種産業分野の技術発展に寄与し、創薬や再生医療をはじめとした先端技術の研究及び実用化の促進に役立つことにより、「科学技術イノベーションの創出に貢献する製品開発を推進する」ことを経営方針に定めております。

(2) 経営環境等

 当連結会計年度における世界経済は、継続的な物価の上昇や急激な為替変動に加えて、米国の政策動向、中国経済の低迷、中東やウクライナでの地域紛争などにより依然として景気への懸念事項が多く、先行き不透明な状況が続いております。

 国内経済は、良好な企業業績を背景とした設備投資が引続き増加しており、賃上げによる実質賃金の改善によって個人消費も改善傾向にあり、堅調なインバウンド需要が加わって国内景気は緩やかな回復を続けております。

 このような経済環境のもと当社グループは、オプティカル事業、ライフサイエンス・機器開発事業及びその他事業(電子科学株式会社を含む)という独自の技術を利用した3つの事業によって、高品質な製品提供と研究開発活動の強化に取り組み、経営基盤拡充と企業価値向上に努めてまいりました。

 オプティカル事業においては、当連結会計年度は、国内市場ではSPring-8、SACLA、NanoTerasu、アジア市場では中国のSHINE(上海)、HALF(合肥)、IASF(深圳)、台湾のTPS、アメリカ市場ではLCLS、欧州市場ではEu-XFEL(ドイツ)、PSI(スイス)、ESRF(フランス)への売上が中心となり経営成績を牽引しました。世界各国において多くのアップグレードや新設を控えるに従い、ミラーの需要がこれまで以上に増大しておりますが、いずれの施設もより高い精度を実現するための綿密な設計検討に想定以上の時間を費やしたため、多くの案件で受注計画の変更や遅れが発生することとなりました。遅れて受注した案件については、生産計画の見直しにより一部の製品において大幅な工期短縮を果たしたものの、全体としては当初計画を下回る出荷数に留まり、売上高は前期比微減となりました。またセグメント利益につきましては人員増に伴う労務費の上昇などに伴い前期比減益となりました。

 営業活動につきましては、国内外の主たる放射光分野の学会での発表を通じて、当社の研究・開発成果の進捗報告することによる当社技術のアピールに加え、光学全般を対象にした展示会においても当社の超精密加工・計測技術のアピールを継続的に展開しております。また、各国施設の研究者の訪日機会も増加し、商談のみならず共同研究の機会も確保され、売上向上を見据えた積極的な営業活動に努めてまいりました。

 ライフサイエンス・機器開発事業おいては、機器開発事業はその重点分野として、各半導体材料を主たる対象としたナノ表面加工技術の装置化及び受注・販売活動を推進してまいりました。従来から継続している「プラズマ化学気相加工法(PCVM)」、「プラズマ援用研磨法(PAP)」、「触媒基準エッチング法(CARE)」に「電気化学機械研磨法(ECMP)」を加えた4つの新しい研磨プロセスによる拡販活動、潜在顧客の掘り起こし活動に注力してまいりました。その結果、設備導入を前提にした試作評価案件は大幅に増加し、そのうち、プラズマ援用研磨装置2台を受注し、売上に貢献しました。しかしながら、期初計画に沿った営業成果には至らず、実績は低調に推移する結果となりました。

 一方、ライフサイエンス事業では「MakCell®」や各種CellPetシリーズが売上に貢献しました。しかしながら、自動培養装置や大型の細胞培養システムは、顧客の予算や方針変更により、期初計画に沿った受注・売上営業成果には至らず、実績は低調に推移する結果となりました。そのため事業としての収益は前期比減収減益となりました。

 営業活動の状況につきましては、個別顧客訪問による営業活動やホームページからの問い合わせ対応だけでなく「SEMICON Taiwan 2024」、「SEMICON Japan 2024」、「SiC・GaN加工技術展」等半導体関連の専門性の高い展示会へ出展し、積極的な広報活動と新規顧客開拓を行ってまいりました。その結果、「プラズマ援用研磨法(PAP)」、「電気化学機械研磨法(ECMP)」を中心に複数企業からテスト加工の依頼を受け、試作と顧客評価を進めてまいりました。今後更なる技術のブラッシュアップと営業の展開力アップを図り、市場ニーズに合致した装置の提供と、販路拡大や顧客との共同開発等の実現によって売上拡大を推進してまいります。

 ライフサイエンス事業におきましては、自動培養装置は営業活動や展示会、学術誌への寄稿に対する反響を受け、医療現場の労働環境改善という点から市場ニーズの高い製品であることを改めて認識しました。また、日本医療研究開発機構(AMED)の成果である単核球分離装置も新たな医療活動に貢献できる製品であることから今後は技術を前面に押し出した潜在顧客の掘り起こしを更に進めてまいります。

 その他事業は子会社の電子科学株式会社であり、同社の売上構成は、装置販売(TDS:昇温脱離分析装置)及び大型工事・装置のメンテナンス業務・受託分析業務の3つに分かれますが、受注金額が大きくなる主力事業の装置販売及び大型工事において6件(販売先:韓国、中国、国内)の売上を計上したことにより昨年度実績を上回る結果となりました。また、装置販売につきましては、初の中国企業への納入実績を積むことができ、今後大きな市場となる中国企業への販売に向けて重要な一歩となりました。一方、事業拡大に向けての人員獲得及び積極的な研究開発投資によって費用が増加し、利益を圧迫する要因となりました。

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが10~20年先に目指すべき企業像を明確にした長期成長戦略「Innovation2030」の実現に向けて、当社グループが対処すべき課題として認識しています点は以下のとおりであります。

<当社グループ共通>

 グループ共通の課題として事業成長や収益拡大を一層加速させるため、以下の事項について対処する必要があります。

① 人的資本の向上

2025年7月より新人事制度の役割等級制度へ移行いたします。従業員の意欲を高める新人事制度の導入によって成長の機会を創出してまいります。新人事制度においては社員の役割と評価基準を明確にし、従業員が自身のキャリアパスを描きやすくすることで、従業員個人のキャリア形成につなげるとともに組織としての人的資本の向上を図り、社員と会社の飛躍的な成長を目指します。

② 業務効率化・DX化

2026年7月より新基幹システム(クラウドERP)を導入し、各種業務の見える化、情報の一元化により業務効率化を進めてまいります。社員数や製造数が増加する中、旧来より属人的な業務や情報収集等を効率的に実施することにより、当社グループの強みでもある高精度な製品製造や研究開発により一層注力できる体制にいたします。経営判断に必要な情報を適時適切に活用することで迅速な意思決定に繋げ、効率経営へと生かしてまいります。

③ IR強化・株価向上

 ステークホルダーへの情報開示や対話を強化し、当社グループの事業内容と成長性に対する理解を促進してまいります。併せて、サステナビリティを筆頭に見えない資産である非財務情報への適切な取組みを進め、企業収益の源であることをより強く意識し、企業価値の向上につなげてまいります。

 また、当連結会計年度より個人投資家の皆様に当社ビジネスモデルの理解を深めていただくため、事業のポジショニングやマーケット環境、当社グループの強みと成長戦略をより分かり易く解説したIRプレゼンテーション動画の配信を順次スタートいたしました。今後は事業成長していくために、幅広いステークホルダーとの対話を積極的に進め、当社に対する期待や経営課題の把握に活かし、実効性のある取締役会を中心とした経営活動の実践によって企業価値の向上を図ってまいります。

④ 経営基盤の強化

 受注生産型の事業を中心としている当社グループの強みを活かし、新製品・サービス・技術の創出による新規事業の展開と既存事業の深化によって他社との差別化を図り、資本・資産効率の向上やバランスの取れた成長投資によって、持続的成長と企業価値の最大化を実現いたします。人的資本の強化としては生産性向上への人材育成とその基盤となる人事制度整備などの実施、内部統制を意識したDX化や新基幹システムの導入などIT・デジタル化の推進、新たな収益基盤創出に向けた研究開発投資等を積極的、継続的に実施してまいります。中長期的に資本コストや市場評価を意識して健全な財務基盤を築き、信用力の向上を図ってまいります。

<オプティカル事業>

(生産性向上)

 ミラーを製造する社内工程を前工程と後工程に明確に分離し、前工程を栃木生産技術センターで、後工程を本社で担えるよう生産体制を最適化してきた結果、社内リードタイムの大幅短縮の実現が確認できました。今後も一層の効率化を目指し、積極的に改善を行ってまいります。一方、社外工程の外注加工先におけるリードタイムの改善にはまだ充分に着手できておらず、特に当社の加工工程後に実施する刻線及び成膜の社外工程が全体のリードタイムに影響を及ぼしております。今後は調達先の拡大はもとより内製化も視野に入れ、リードタイムの短縮を図ってまいります。

(製品力・技術開発力の強化)

 当社経営理念に基づき、学術機関との共同研究を進め、世の中にない新しい技術の開発とその実用化に取り組んできました。その成果は、放射光市場における最先端の研究領域において既に利用されており、当社でしか実現できない光学理論限界の精度で、様々な種類のミラーを製品として世界中に供給してまいりました。この姿勢は、当社が長年深く関わってきた放射光市場以外の半導体や宇宙分野といった新しい領域でビジネス展開するための推進力となっております。いずれの分野においても、精度と新規性の両観点において比類のない製品を提供することを理念としており、そのためには研究・開発の促進と製造装置の機能性向上が必要となるため、今まで以上に人材と設備の投資を積極的に行ってまいります。

(営業力の強化)

 放射光市場においては、常に今より高精度を実現することと、新規性と進歩性を備えた製品を供給することで恒常的に技術優位性を有することで競争力を維持してまいります。一方、現在参入を目指す半導体市場においては、学術機関との共同研究や競争的資金の活用、積極的で効果的な経営資源投入を通して当社のものづくりの範囲を広げ、得られた成果を新規顧客のニーズにマッチした製品を開発することにより、収益拡大に貢献するアプローチを展開してまいります。

<ライフサイエンス・機器開発事業>

(生産性向上)

 ライフサイエンス・機器開発事業はファブレスで装置を生産しておりますが、生産台数の増加や装置仕様に対する顧客からの厳しい要求に応えるためにも、新たなアウトソーシング先の開拓と育成に注力し、併せて、安定性、信頼性の向上に向けて、品質管理体制とリスクアセスメント体制の構築と強化を図ってまいります。

 海外市場、特に商談数の多い中国、台湾市場への装置納入に備えて、現地でのメンテナンスが重要な業務となりますので、現地の業務パートナー開拓と育成を含めたサポート体制を確立してまいります。

(製品力・技術開発力の強化)

 半導体関連のウェハ表面研磨を大学独自あるいは大学との共同研究によって得られる次世代の加工研磨技術の成果をもとに半導体ウェハ表面研磨の工業的実用化、特に大学初のチャンピオンデータの工業的かつ安定的な再現性について生産設備と機能性の両面から開発を推進してまいります。半導体素材は現在、Si、SiO2、SiC等のSi系ウェハが主流ですが、今後、GaN、Ga2O3、ダイヤモンド等の新たな素材へ変わりつつあり、プロセス開発を大学と共同でスタートさせております。

 ライフサイエンス事業では、日本医療研究開発機構(AMED)のプロジェクトへの参画や製薬・創薬企業とのコラボレーションにより進めてきた脳梗塞治療に寄与する単核球分離装置の実用化及び同装置の認知症治療への適用開発を加速してまいります。

(営業力の強化)

 国内外問わず、専門性の高い展示会出展を通じて得た見込み先やホームページからの問い合わせ先への訪問、ウェブ会議でのアプローチによる顧客開拓を推進するとともに、半導体関連や細胞培養関連に強いサプライチェーンの確立と販売網の強化、成長性高い営業展開の継続を支援する人的ネットワークの構築を進めてまいります。海外市場、特に中国、台湾市場等へのアプローチをより効果的に進めるために現地の商社や代理店等とのコラボレーション強化を図ってまいります。

<電子科学株式会社>

(生産性向上)

 当事業年度より標準仕様品はアウトソーシング、特殊仕様品は社内生産の並行生産を開始しております。安定的かつ効率的な装置製造に向けて新規アウトソーシング先の確保に努めてまいります。また、サービス業務の対象地域拡大による収益拡大に向けた体制作りとして、人材の確保と海外業務に対応するパートナーの開拓及びその育成を強化していきます。

(製品力・技術開発力の強化)

 顧客の研究部門など社外組織との共同研究による現有装置の機能強化や新たな機能の開発による付加価値の増大によって開発力を高め、製品力の強化を図ってまいります。

(営業力の強化)

 新規市場として中国・米国・欧州での展開を推進しており、経済安全保障の問題への対策を講じながら、収益拡大につながる販売チャネルの確保に努めてまいります。販売促進ツールである製品総合カタログ、ウェブ広告やホームページの刷新に伴い、多言語化対応(日、英、簡体、繁体、韓国)を進め、広く認知度を高めるなど、営業力の強化に努めてまいります。

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