企業兼大株主シード東証プライム:7743】「精密機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1)経営方針・理念

 当社グループは、1957年10月9日の設立以来、半世紀以上に亘り「『眼』の専門総合メーカー」として、人々の多様な「みえる」喜びを創造できる社会の実現を目指し、コンタクトレンズとケア用品を中心に取扱い、幅広く事業を展開しております。

 当社グループの企業ビジョンについては以下のとおりです。

(企業ビジョン)

 企業ビジョンとしての最上位概念をパーパスとしております。パーパスの実現のため、会社としての行

 動方針や意思決定の基準となる経営理念、社員が日常の業務レベルで持つべき価値観・行動基準をカル

 チャー、順守すべき規範を表した行動規範として設計しています。

(2)経営環境

 当連結会計年度における日本経済につきましては、価格転嫁や円安の影響で好調な企業による業績拡大と人手不

 足を背景とした雇用・所得環境の改善、企業の設備投資意欲の継続が主導することで、緩やかながらも回復基調を

 維持しております。また、世界経済につきましては、中国や欧州の一部において景気減速・足踏み状態にあります

 が、好調を維持してきた米国が牽引することで堅調に成長して来たものの、米国の現政権の関税や各種の貿易制限

 の影響により実体経済に対する懸念が増しております。

 国内のコンタクトレンズ市場においては、近視人口増加に伴う装用人口の増加や高齢化を背景とした遠近両用タ

 イプの需要拡大等によるスペシャリティレンズの伸長、円安・資源価格の高止まりといった様々なコスト上昇要因

 による価格転嫁が進むことと歩調を合わせて成長しております。また、就寝時に装用し日中裸眼で視力矯正効果が

 得られるオルソケラトロジーレンズにつきましても、コンタクトレンズ市場全体の成長を大幅に上回るスピードで

 成長が見られます。

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の景気見通しにつきましては、為替相場は一定の円高への修正はあるものの、資材コスト、配送コスト並び

 に人件費は高騰を続けると推測されます。賃金の上昇はあるものの、金利の上昇と生鮮食料品を中心とした物価の

 上昇により、消費者マインドに陰りの兆しが見られるといった懸念点があります。一方、日本を含めた世界経済の

 先行きは、米国政権交代後の関税政策により物価や為替、金利に大きな混乱が生じて世界経済全体に対する不透明

 感を醸成していることに加え、各地域で地政学リスクが長期化する等、不確実性がさらに高まっている状況である

 と認識しております。

 コンタクトレンズの国内市場におきましては、高齢化と人口減少が進んでいる現状であるものの、近視人口増加

 に伴う装用人口の増加や、高齢化を背景とした遠近両用タイプの需要拡大等によるスペシャリティレンズの伸長、

 円安・資源価格の高止まりといった様々なコスト上昇要因による価格転嫁が進み、今後も継続することで、当面は

 安定して成長するものと推測しております。

 海外市場につきましても、近視人口の増加は同様であり、すでに一定の規模がある欧州や中国でも成長が見込ま

 れておりますが、特に人口増加と所得水準上昇が見込まれるアジア、インド、中近東等の新興国は今後の市場伸長

 が期待されます。

 鴻巣研究所では、国内外で今後も需要拡大が見込まれるコンタクトレンズ市場でプレゼンスを発揮するため生産

 力の抜本的引き上げに取り組んでおり、本格稼働した2号棟別館に引き続き、4号棟につきましても2024年11月に

 着工しております。4号棟につきましては、2026年1月建屋竣工、第一期計画において2026年3月生産開始を目指

 し計画を進めております。

 具体的には、鴻巣研究所における月間最大生産枚数につきましては、2024年3月期末で5,800万枚でありました

 が、2号棟別館の稼働により2025年3月期末において6,500万枚へと引き上げられております。4号棟第一期計画

 につきましては、1,400万枚を追加する計画となっており、完了することで7,900万枚まで月間最大生産枚数を引き

 上げられる予定となっております。さらに、第一期計画の終了後に着手する計画で検討を進めております4号棟第

 二期計画は、1,000万枚の増産余地を確保しており、第二期計画完了時点では、総合計8,900万枚の月間最大生産枚

 数にまで、設備能力は拡張出来る想定となっております。

 商品戦略としましては、主力商品である国産の「シード1dayPureシリーズ」の中でも、とりわけ乱視用、遠近

 両用コンタクトレンズといったスペシャリティレンズの販売に引き続き注力してまいります。乱視用と一部の遠近

 両用において発生していた長期間にわたる納期遅延に関して、2025年5月28日の乱視用コンタクトレンズの納期正

 常化をもって解消となることから、納期遅延の影響で流出した顧客の回帰に加え、新規顧客獲得に向けた積極的な

 営業戦略を推し進めてまいります。市場のニーズが高まっており市場でのさらなる拡大が見込まれるシリコーンハ

 イドロゲルレンズにつきましては、市場のニーズに合わせて新シリコーンハイドロゲルの開発から治験終了段階に

 計画は進んでおり、新商品の上市に向け取り組んでおります。また、クリアレンズを上回る伸長を見せるカラー・

 サークルレンズ分野においてもプレゼンスを発揮するため、2024年12月に発売した遠近両用サークルコンタクトレ

 ンズ「シード Eye coffret 1day UV M Multistage」等の多機能な商品を中心に新たな商品展開や販売施策を実施

 してまいります。

 海外市場では、国内市場同様、鴻巣研究所における生産能力の回復に伴い販売活動を活性化することで、海外市

 場で一定の円安メリットを活かすとともに、各種の販売促進活動をより積極的に展開し、輸出や海外子会社の売上

 拡大を目指しております。また、それぞれの市場ニーズに合わせて、中国・アジア市場を中心にケア用品やカラー

 レンズの外部調達も活用することでラインアップの拡充を図り、売上拡大を進めてまいります。さらに、2026年3

 月期からベトナムとマレーシアの現地法人2社と2025年4月1日に株式取得した、Scotlens Holdings Limitedも

 連結子会社の対象範囲となることで連結業績への貢献が見込まれます。

(4)TCFD提言に対する当社の対応

(ガバナンス)

① 気候変動関連のリスク及び機会についての取締役会による監督体制

 気候変動関連のリスク及び機会を含む経営上の最重要事項に関する意思決定機能は取締役会が担っており、業務執行状況に関する定期報告やリスク・セキュリティ管理委員会における重要決定事項の報告を受け、業務執行の監督を行っています。

EMS(環境マネジメントシステム)における各実施責任者が環境法規におけるリスクや気候変動関連リスクに関して十分な審議を行った上で、環境管理責任者に報告し、リスク・セキュリティ管理委員会に付議されます。リスク・セキュリティ管理委員会はリスク管理プロセスにおいて中心的な役割を果たしており、全社に影響を及ぼすリスクの特定及び対策を策定し、適宜取締役会に付議しています。また、年度毎に各実施責任者が現状のリスク及び機会についての評価案をまとめ、環境管理責任者に報告し、環境管理責任者がリスク・セキュリティ管理委員会に付議し、委員会における討議を経て、リスク・セキュリティ管理委員会の委員長でもある代表取締役が取締役会に報告を行います。

② 気候変動関連のリスク及び機会を評価・管理する上での経営者の役割

 当社のEMSにおけるトップマネジメントは代表取締役が担っております。代表取締役は、取締役会のメンバーであり、リスク・セキュリティ管理委員会の委員長です。EMSのポリシー、リスクと機会、ビジネス戦略、目的、行動計画、及び進捗状況について、リスク・セキュリティ管理委員会で意思決定された事項の報告を受け、EMS推進業務執行及びリスク管理システムの監督を行います。

(戦略)

① 短期・中期・長期のリスクと機会

 リスク:TCFDが定義するハイリスクセクターのように、長期的に大規模な事業転換や投資を必要とするような重大な気候関連リスクは認識されていませんが以下のリスクについて今後対応策を検討してまいります。

・物理的リスク

 気候変動に伴う製造設備地域での災害リスク、サプライチェーンの寸断リスク等

・移行リスク

 カーボンプライシングによるコスト増(炭素税によるコスト増加。排出権取引)

・法令リスク

 環境関連法令の厳格化に伴う遵守に向けての体制整備、設備対応等によるコストアップ等

 機会:気温上昇に起因する生活環境の変化による、アレルギー罹患率の増加等の事業機会が考えられます。眼におけるアレルギー罹患率も同様に増加すると考えられ、1日使い捨てコンタクトレンズユーザーの増加や、抗アレルギー薬を持続的に投与できる機能性コンタクトレンズへのニーズの増加が予測されます。また、環境意識の高まりによる環境配慮商品への期待等、新たな商品開発や研究開発の機会が増加すると考えております。

② 事業・戦略・財務計画に及ぼす影響

 製造業一般に対する新たな規制強化が実施される可能性も念頭に規制動向は注視することが必要であると認識しております。一方で、環境負荷を低減する製造プロセスの構築や、サプライチェーン全体の気候レジリエンス強化への対応による、機会のポテンシャルもあると考えています。

③ 1.5℃目標等の気候シナリオを考慮した組織戦略の強靭性

 環境関連法令等を管理する部署を一元管理および監督するプロジェクト発足等、EMS(環境マネジメントシステム)にて情報収集、審議を行っております。

  なお、国際エネルギー機関(IEA)および気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のシナリオを参考に、1.5℃

 (脱炭素社会への移行を達成)シナリオにおいて、ロジックツリーを用いた、気候変動による当社事業への影響

 (リスク)と対応策を整理し、グループ一体で環境経営を推進します

(リスク管理)

① リスク識別・評価のプロセス

 リスク・セキュリティ管理委員会は、EMS(環境マネジメントシステム)における各実施責任者が特定し、環境管理責任者より報告された環境法規におけるリスクや気候変動関連リスクのうち、特に経営に大きな影響を与えるものを全社リスクとして特定します。さらに、リスクの影響度(財務的影響)及び発生可能性(発生頻度)を討議し、高・中・低の3段階で優先順位を決定するとともに、対応する部署を選定し、取締役会へ報告します。

② リスク管理のプロセス

 実施責任者は、抽出したリスクの評価と改善を行い、適切なタイミングで環境管理責任者に報告を行います。環境管理責任者は、報告内容を評価し、代表取締役がトップマネジメントを行うリスク・セキュリティ管理委員会に報告します。

③ 組織全体のリスク管理への統合状況

 リスク・セキュリティ管理委員会規程に基づく全社的なリスクマネジメント体制を構築しております。気候変動を含む外部環境変化についても、全社的「リスク」、業務別「リスク」の大きさ・発生可能性・発生頻度の評価を行い、重要なリスクの対策及び対応に関しては、取締役会に上程し、取締役会で検討及び関係各署への改善指示を行います。

(指標と目標)

① 組織が戦略・リスク管理に即して用いる指標

 当社は中長期的な視点をもって環境保全活動を推進しており、2021年11月に発表した中期経営計画の一つの柱としてSDGsの推進を掲げております。今後、社会からの期待・要望の変化を踏まえ、中長期視点でマテリアリティを設定し対応してまいります。最終的には、2050年カーボンニュートラルの実現を目指して、2030年を中間目標として設定し、2030年において鴻巣研究所におけるScope1、2を対象としてCO2排出量原単位を2022年度比で50%改善することを削減目標としております。

② 温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)

Scope1、2、3について算出を終了し、削減計画の 策定を行っております。

Scope1

4,895(t-CO2)

Scope2

16,643(t-CO2)

Scope3

49,295(t-CO2)

合計

70,833(t-CO2)

③ リスクと機会の管理上の目標と実績

 リスク、機会の抽出については取締役会に提案し、議論を実施し、共有を図っています。

[削減目標(KPI)]

項目

削減量

2030

原単位排出量

23.15g/枚

CO2排出量

24,307t

(5)重要課題(マテリアリティ)

  2024年10月、当社グループの存在意義を、多様な「みえる」喜びを創造できる社会を実現することとし、『まだ

 みぬ、世界は、美しい』をキャッチコピーとするパーパスを策定いたしました。
    それに伴い当社が解決すべき社会課題や、社会要請を「シードのマテリアリティ」と特定し、ステークホルダー

 とのエンゲージメントを高める指標といたします。

  グループパーパスと実現のための経営理念は、ゆるがない、あるべき姿です。
    これらを支える価値創造基盤が「品質」「人材」「環境」「ガバナンス」であり、今回のマテリアリティの大枠

 としています。抽出した課題への対応状況においては毎年実績を報告するとともに、外部環境の変化に応じて数年

 ごとにマテリアリティの見直しも実施する予定です。

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