サンコール
【東証スタンダード:5985】「金属製品」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「技翔創変」を経営理念とし、技術集約型精密製品の創造を通じてお客様の問題解決を図り社会に貢献することを基本方針としております。
当社グループといたしましては、お客様の海外現地調達の加速、激化する価格競争や為替の変動、その他いかなる環境の変化にも耐えうる経営体質の構築が不可欠と考え、持続的成長を支えるため経営効率を高めることにグループ一丸となって積極的に挑戦してまいりました。
そのような状況下、当社は中期経営計画2027を策定し、2025年5月に発表いたしました。中期経営計画2027では「既存自動車分野における収益性の改善」「成長事業の基盤強化」「安定経営を実現・維持するための財務戦略」の3つの基本方針を掲げ、ステークホルダーの皆さまの期待に応えるため、資本コストを上回る資本収益性を意識し、ポートフォリオ改革を実行してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画2027において策定した最終年度(2027年度)の連結売上高480億円、営業利益30億円、営業利益率6.3%、当期純利益18億円、ROE6.1%を重要な経営指標としており、前述の3つの基本方針を以て、安定的な収益基盤構築を推進してまいります。
(3)経営環境
世界経済は、北米や欧州における堅調な景気状況が継続した一方で、ロシアのウクライナ侵攻長期化によるエネルギー・原材料価格の高騰や、弱含む中国経済の影響、米国の関税政策などにより先行きは依然不透明な状況が続いております。
一方で、カーボンニュートラル実現に向けた自動車電動化の拡大と、生成AI活用・IoT・デジタル社会進展によるクラウドストレージ需要の伸びは、今後も確実に進んでいくと認識しており、当社の事業環境は大きな変革期を迎えております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
ア 事業上の対処すべき課題
① 自動車関連既存事業(産業構造の変化に対応・収益力改善)
電動車の需要増加が予想される中で、当社の自動車関連既存事業のうちエンジンやミッション系精密機能部品は、2030年以降の減少を見据える必要があります。これに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。
・将来的な市場成長縮小による収益性重視の事業運営
・価格転嫁、拠点戦略の再整理、不採算製品の方針再検討
② EV等電動化関連成長事業(グローバルに売上拡大・次世代主力事業へ)
EVおよびHVやPHV等を含めた電動車の需要が大きく増加することが予測されることから、高精度に電流を検出するニーズが増してきています。これに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。
・電動車ニーズに応えるべく「バスバー」「シャントバスバー」「電流センサー」の開発と量産体制の拡大
・EV等電動化製品の欧州・中国・米国での拡販の展開
③ 電子情報通信関連成長事業(成長の実現・利益成長の追求)
光情報通信産業の三大用途市場であるデータセンター/テレコム/ワイヤーレス市場においては、
生成AI・IoT・5G関連の強い需要により、今後も市場拡大していく見通しです。これらに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。
・光通信用コネクタ・アダプタは自社独自設計により、顧客ニーズを反映した豊富なラインナップを展開
・タイムリーな生産能力増強
イ 財務上の対処すべき課題
企業価値向上のために従来の事業収益性改善だけでなく、不採算事業からの撤退を含めた事業ポートフォリオ見直しを図ってまいります。更に資本コストを意識した投資判断の徹底を継続し、必要な資金調達を進めてまいります。
(継続企業の前提に関する重要事象等の解消について)
当社グループは前連結会計年度において営業損失35億42百万円、経常損失26億92百万円、親会社株主に帰属する当期純損失118億16百万円を計上し、当連結会計年度の第3四半期連結会計期間まで継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しておりました。
当該状況を解消するため、当連結会計年度において、企業価値向上のために従来から取り組んできた事業収益性改善を引き続き進めるとともに、前年度の営業赤字の要因であったHDD用サスペンション事業の撤退を当連結会計年度において決定しました。通信関連事業ではデータセンター向け需要が好調に推移していることにより、売上及び利益は拡大しております。今後も自社独自設計や、顧客ニーズを反映した豊富なラインナップの展開、タイムリーな生産能力増強等の取り組みにより安定した売上及び利益を確保する見込みです。自動車分野及び通信関連事業での安定した利益確保により、当連結会計年度は、営業利益34億42百万円を計上し、かつ2026年3月期も営業黒字を見込んでおり、営業黒字を確保できる体質となりました。
資金面については、第3四半期連結会計期間にシンジケートローンを契約したことにより、運転資金と新規事業の設備投資資金の安定的な確保が可能となったことに加えて、長短借入金のバランスが改善され、従来よりも安定的かつ柔軟な資金調達が可能となりました。
これらの状況から、当連結会計年度において、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象または状況は解消したと判断いたしました。
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