サッポロホールディングス
【東証プライム:2501】「食品業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サッポログループの経営理念
サッポログループは、「潤いを創造し 豊かさに貢献する」を経営理念に掲げ、「ステークホルダーの信頼を高める誠実な企業活動を実践し、持続的な企業価値の向上を目指す」ことを経営の基本方針として、企業活動を実践しています。
時代とともに変容する“豊かさ”の本質によりいっそう向き合い、明日につながる、自然、社会、心の“豊かさ”に貢献していきます。
(2)中期経営計画(2023~26)
1876年の創業以来、様々なイノベーションを発揮し、お客様に潤いと豊かさをもたらす商品やサービスをお届けしてきた当社グループは、2026年に創業150周年を迎えます。
150年を越えて独自の存在価値を発揮し続けるために、2023年~2026年までの4か年の経営計画を策定し、推進しております。本計画は「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」を基本方針とし、そのポイントは、事業ポートフォリオの見直しと、各事業のポジショニングに沿ったグループマネジメントを実現し、資本効率を高め企業価値を向上させていくことです。詳細は以下のとおりです。
(構造改革)
不確実性の高い環境に適応するべく、各事業を市場環境、独自の強み、サステナビリティ、収益性、シナジー、リソース配分の6つの視点から考察し、企業価値向上の実現に向け、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでおります。
事業整理に位置付けた事業は速やかに整理を進め、再編に位置づけた事業は抜本的な見直し等、構造改革を断行しております。
(強化・成長)
海外酒類は2022年に子会社化したSTONE BREWING CO.,LLCの拠点を活用した「SAPPORO PREMIUM BEER」の現地製造開始とあわせ、マーケティング投資によるブランド強化を行います。海外飲料はシンガポールを起点にマレーシア、中東等での売上拡大を目指します。国内酒類は黒ラベル・ヱビスへの集中投資によるビールカテゴリーの強化を行うとともに、RTD(※)は2023年に稼働を開始した自社製造拠点を活用した成長を目指します。不動産は恵比寿・札幌エリアでの保有物件の価値向上を行い、まちづくりを推進することにより、収益と効率を向上させます。
※RTD:Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイなどのアルコール飲料
(財務目標)
・ROE:8%
・EBITDA年平均成長率(CAGR):10%程度
・海外売上高年平均成長率(CAGR):10%程度
(主な非財務目標)
・温室効果ガス排出削減(いずれも2022年比)
スコープ1,2 2030年 42%削減(2026年 21%削減)
スコープ3 2030年 25%削減(2026年 12.5%削減)
※SBT認定済
・女性役員比率、女性管理職比率:12%以上
(3)財務戦略
「持続的成長と資本効率重視」をテーマに、構造改革・事業成長による収益力強化と、資産や事業ポートフォリオの見直しにより資本効率を高め企業価値向上を確かなものにします。
財務の健全性は、現状格付けを維持することを基本とします。投資については、営業キャッシュフローとのバランスを取りながら、海外への投資を優先することで成長促進を図ると共に、サステナビリティ関連の投資も推進します。なお、M&A等の成長投資の機会には、現状格付を確保できる範囲で機動的に対応します。
株主の皆様への利益還元は、経営上の重要政策と位置付けており、業績や財務状況を勘案して安定した配当を行うことを基本方針としています。今後の配当水準につきましては、連結配当性向30%以上を基本に、1株当たりの年間配当金の下限を42円(※)に設定し、企業価値向上を伴う配当水準の向上を図ります。なお、特殊要因にかかる一時的な損失や利益計上により、当期利益が大きく変動する場合は、その影響を考慮して配当金額を決定することがあります。
※現中期経営計画を発表した2022年12月期の1株当たり年間配当金
(4)対処すべき課題
①中期経営計画(2023~26)の推進とモニタリングについて
当社グループは、「中期経営計画(2023~26)」の達成に向けて、内部運用ならびに外部開示の2つの観点からモニタリング体制を構築し、運用しております。内部運用の観点では、各事業セグメントにおける構造改革および成長戦略に関する具体的なアクションプランの進捗について、取締役会等を通じて綿密なモニタリングを行い、計画達成の裏付けを強化しております。また、外部開示の観点では、当社グループの取り組みを、従来以上に具体的に分かりやすく、且つタイムリーにステークホルダーの皆様にお伝えすることで、計画達成の蓋然性に対する信頼性の向上に努めております。
②サステナビリティ経営の推進について
「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。
③DXの推進について
大きな環境変化が続く中で、サッポログループでは新たな時代のニーズに即した価値を創出する手段として、DXを推進しております。
以下のとおり「サッポログループDX方針」を策定し、グループ内でのDX・IT人財の育成と活用を進めております。
「サッポログループDX方針」
方針① お客様接点を拡大:お客さまとつながり、理解を深め、寄り添うこと
方針② 既存・新規ビジネスを拡大:お客さま起点で考えぬかれた新たな価値の創造と、稼ぐ力を増強すること
方針③ 働き方の改革:サッポログループにかかわるあらゆるステークホルダーと共に成長し続けるため
自分たちの仕事をもっと楽に、もっと楽しく、働くことに誇りを持てるものにしていくこと
DX推進体制
グループのDX・ITに関する経営資源配分の支援・調整・確認を行い、方向性を決定するための機関として、DX・IT担当役員を委員長とする「グループDX・IT委員会」を2022年4月1日付で設置しております。
DX推進戦略
2022年から2023年にかけて「DX・IT人財育成プログラム(DXP)」を通じて、200名のDX・IT推進基幹人財の育成を実施し、2024年は高度デジタル人財の育成強化、市民開発ツールの積極展開、生成AIの全社展開、新たなデータ基盤構築などの環境整備を進めており、引き続き育成人財の成果創出を推進してまいります。
④グループ中長期成長戦略
当社は2024年2月14日に「グループ価値向上のための中長期経営方針」を公表し、その具体化に向けて「中長期戦略プロジェクト」で継続的に検討を進めてまいりました。今般、その検討結果の内容を「グループ中長期成長戦略」として、2025年2月14日の取締役会において決議いたしました。その概要は以下のとおりです。
1.中長期ビジョン及び戦略骨子
当社は、中長期ビジョンである「世界をフィールドに豊かなビール体験、顧客体験を創造する企業」を目指し、以下の5つの戦略を展開します。
戦略骨子 | 施策・ターゲット |
① Bonds with Community (わくわくする体験や新しい楽しみ方の提供) | 基軸ブランドのマーケティング投資倍増、外食事業を中心に顧客接点を拡大する等により、国内ビールシェア25%、2030年国内酒類事業利益率10%以上を目指す |
② Healthier Choice (より健康的な選択肢の提供) | 国内ではノンアルコール・RTD(※)開発体制強化、酒類と飲料の組織融合により健康機能価値を訴求。海外ではノンアルコール展開エリアを北米で拡大 |
③ Efficient Foundation (成長戦略実行に向けた組織改革) | 2026年に事業持株会社体制へ移行予定。国内・海外の2事業本部体制により経営効率向上、ガバナンス強化、人的資本投資を継続実施 |
④ Strategic Alliance (戦略的パートナーシップの構築) | 米国では構造改革に加え、サッポロブランドの成長基盤構築で他社と提携を検討 ベトナムでは製造販売両面で、カールスバーグ社と協業した市場拡大を検討 |
⑤ Inorganic Growth (インオーガニック成長) | 不動産事業への外部資本導入による資金を活用し大型のM&A等を検討。国内ではRTD(※)事業とSCM領域強化、海外の重要市場である米国ではビールビジネス基盤確立と飛躍的成長(含ノンアルコール)を目指す |
※RTD:Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイなどのアルコール飲料
2.財務戦略
長期目標としてROE10%以上を設定し、ROICを指標とした財務管理により、資本効率の向上を目指します。また、持続的な成長を実現するための財務安全性(格付A格)を確保しながら、適切なキャッシュアロケーションを行います。
さらに、上記戦略により収益力を向上させ、2024年から2030年までの事業利益で年平均10%程度の成長を目指します。後述する不動産事業のオフバランスにより資本増加が見込まれ、ROEは一時的に低下する見込みですが、酒類事業への成長投資に資本投下することで利益成長を加速させ、長期視点でのさらなる資本効率性の向上を目指します。
なお、今後の中期的な期間は、当社が取り得る戦略により財務構造が大きく変わる変革期であるため、2030年の財務目標は次期中期経営計画の策定と合わせて検討を進める予定です。
3.不動産事業への外部資本導入
不動産事業への外部資本導入は、グループの経営リソースを酒類事業に集中させ、酒類事業の成長投資原資を捻出し、サッポログループの企業価値向上を目指すものです。サッポロ不動産開発株式会社(以下、SRE)においては、戦略パートナーの資本導入等によりグループからオフバランスするとともに、企業価値を高めることを目指します。
現在十数社から具体的な提案を受けており、恵比寿ガーデンプレイスを保有するSRE株式の譲渡を含む様々な選択肢の中から、最適な方策と時間軸について、2025年内を目途に結論を出す予定です。今後は重要な局面に入るため、経過開示は予定していませんが、重要事象発生時は適時適切に開示いたします。
詳細はホームページをご参照ください。https://www.sapporoholdings.jp/news/items/20250214_sh_mlt_ja.pdf
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