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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループのパーパス(Purpose)は「私たちは、世界中の人が対話に参加できる機会を創り出し、社会に貢献しています。」です。

コーチングとは、対話を通して、目標達成に向けた能力、リソース、可能性を最大化するプロセスです。

対話は、「互いの共通性」に焦点を当て安心感を醸成することを主目的とする会話とは異なり、「互いの違い」にフォーカスします。対話することで、それぞれが培ってきた経験や価値観をもとに情報交換し、お互いの違いを顕在化させていきながら、「物事に対する新たな洞察」を一緒につくりだしていきます。そのため、対話に参加している人は、違いによる緊張感や違和感を持つこともあるでしょう。しかし、「違い」に蓋をし、対話を避けてしまっては、組織において、行動やルーティンの変化は起こりにくくなり、その前進が阻害されてしまいます。組織のあらゆる場面で、一時的な躊躇や不快感を避けずに、変革に向けた対話を意図的に起こすことのできるリーダーを開発し、組織の未来に貢献すること、それが当社グループの社会における存在意義です。

当該パーパス(Purpose)を実現し続けるために、当社グループは主力ビジネスであるシステミック・コーチング™による組織開発ビジネスにより、クライアント企業の組織変革を実現させるとともに、コーチング人材開発ビジネスにより、対話を起こすことのできるリーダーを開発し続けていきます。

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが重視している経営指標は、売上高の先行指標としての受注高、売上高、営業利益及びコーチ人数(委託コーチを除く)であります。売上高及び営業利益を継続的に成長させるとともに、品質の高いサービスを提供するコーチ人数を確保することにより、企業価値の向上を実現してまいります。なお、当社ではコーチ人数を当社の役員であるコーチ及び従業員であるコーチの人数と定義しております。

 当連結会計年度においては、受注高は3,652,873千円(前連結会計年度比3.0%減)、売上高は3,642,692千円(前連結会計年度比0.2%減)、営業利益は155,242千円(前連結会計年度比46.5%減)となりました。また、当連結会計年度末のコーチ人数は130名(前連結会計年度末比2名増)となりましたが、引き続き品質の高いサービスを提供するコーチ人数を確保することに努めてまいります。

(3) 経営環境

① 市場の状況

 我が国における国内企業向け研修サービス市場は、2022年度年間5,370億円(注1)で、新型コロナウィルス感染症拡大の影響があった2020年度を除いてほぼ横ばいに推移しているものの、2023年5月に新型コロナウィルスの感染症法上の位置づけが緩和されたことで、回復基調にある対面型の集合研修の需要の取り込みが本格化し、オンライン研修等のサービスとともに引き続き拡大していくものと考えております。また、我が国においては、“GDPに占める企業の能力開発費の割合が、国際的にみて突出して低い水準にとどまっており(注2)”、当連結会計年度末現在においても、人材開発への投資は欧米企業と比較しても遅れている状況であると当社は考えております。このような環境の中、“経営陣においては、企業理念や存在意義(パーパス)、経営戦略を明確化した上で、経営戦略と連動した人材戦略を策定・実行すべきである。(注3)”とされており、人的資本への投資が今後さらに高まっていくものと考えております。
(注1)出典:株式会社矢野経済研究所「企業向け研修サービス市場に関する調査(2023年)」2023年10月
(注2)出典:厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析 働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について」2018年9月
(注3)出典:経済産業省「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書 ~人材版伊藤レポート~」2020年9月

② 競争優位性

 文中の当社の強みに関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

 当社グループは、当社の前身である有限会社コーチ・トゥエンティワンが、1997年10月にコーチ・トレーニング・プログラムの提供を開始してから、コーチ人材を開発するとともに、定量的な実証を試みながら、多くのクライアント企業の組織変革の支援をしてまいりました。当社の強みは以下のとおりと認識しています。

a.正社員としてのコーチとコーチ育成

 当社は、約130名のコーチを有しており、その大部分を正社員として雇用しております。また、コーチの多くは、国際コーチング連盟もしくは一般財団法人生涯学習開発財団の認定資格の保有者です。確かなコーチングスキルを持つコーチがチームとなって、システミック・コーチング™を実現しています。

 また当社では、コーチ育成に多面的に取り組んでいます。コーチングは、理論を理解するだけでなく、幅広い知識とコーチング対象者一人ひとりに合わせたコミュニケーション力を必要とします。そのため、当社は、約30年にわたって蓄積したコーチングノウハウにより独自のコーチ育成プログラムを構築・活用しており、人材育成を行っております。

b.国際コーチング連盟及び国内外の教育分野との連携

 当社の前身である有限会社コーチ・トゥエンティワンは、1997年10月よりコーチ・トレーニング・プログラム(現コーチ・エィ アカデミア)を提供しております。プログラムを開発するにあたり、米国から有識者を招くなど、コーチングに関する技能面だけでなく、背景にある価値観や理論を深く研究してまいりました。なお、当該プログラムは1999年10月に国際コーチング連盟の認定を受けております。

 また、コーチングに関する書籍を出版してきたほか、メールマガジン等のオウンドメディアを通じて、組織やチームを率いるリーダーに、コーチングをはじめ、リーダーシップやマネジメントに関する情報を提供しています。また、国内外の大学及び大学院の教育・研究分野と連携し、大学での講義やコーチング研究も行っております。

c.自社開発のコーチング管理システムとコーチング研究所

 あらゆるコーチングセッションは、統合された自社開発のシステムで運用・管理されています。コーチング対象者は、スケジュール、これまでの対話の記録、アセスメント結果等を確認できます。

 当社組織内にあるコーチング研究所は、こうして蓄積してきた膨大なデータを活用し、コーチングの効果を定量的に分析する取り組みを続けています。

 このようにコーチングそのものの品質だけでなく、オペレーショナルな仕組みと膨大なデータから得られる洞察を活用し、より効果的な組織開発を実現しています。

d.グローバルでのサービス展開

 当社のクライアント企業には、グローバル展開を進めている企業も多く、当社は海外現地法人の組織開発プロジェクトも手がけてまいりました。当社は、現地法人を設立し、英語・中国語・タイ語にも対応した正社員のコーチを有しており、現地企業向けにもコーチングを提供しています。

(4) 経営戦略等

 今後、さらなる成長のために、当社グループは、以下の3つのポイントを中心に事業展開を行います。

① システミック・コーチング™による組織開発ビジネスの拡大

ECを起点に、DAIBE、DCD、3分間コーチ、AIコーチングサービス(CoachAmit)等各種サービスの提供を通じ、クライアント企業組織の変革をより効果的に促す、システミック・コーチング™による組織開発ビジネスを拡大してまいります。

② サービス開発とそれを支えるIT投資・情報セキュリティ強化

 当社のサービスは、コーチによる対話とともに、各種アセスメント等を通じた客観的データによるフィードバックやコーチングに関する理解を深めることを通じて、コーチング対象者はより深い気づきを得られ、自らの考え方や行動を変化させていくことが可能になります。これらを可能にする各種ITシステムの開発を各プログラムの成長ステージに合わせて、継続してまいります。また事業の根幹を支えるITシステムのセキュリティ強化への投資は最重要項目としています。

③ 海外ビジネスの展開

 システミック・コーチング™による組織開発ビジネスについては、既存の海外拠点だけでなく、新規に拠点を設立することで海外進出した日系企業を中心に、グローバルでのサービス展開を強化してまいります。コーチング人材開発ビジネスについては、米国子会社であるCOACH U, INC.の長年培われたブランド力、高品質なプログラム、幅広い受講生ネットワークを活用してまいります。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社の優先的に対処すべき事業上の課題は以下のとおりです。なお、優先的に対処すべき財務上の課題については、無借金経営を行っていること、キャッシュ・フロー、手元流動性ともに大きな問題はないため、該当事項はございません。

① コーチ人材の育成

 当社グループは、システミック・コーチング™のアプローチで、組織全体の変革を支援する対話を通じた組織開発を推進しており、そのプロジェクトは、複数のコーチで組成されるチームで進めております。そのため、当社グループが持続的に事業成長するためには、コーチ人材の採用はもちろんのこと、採用したコーチ人材がクライアントに質の高いサービスを継続的に提供できるよう、その育成が必須となります。コーチング力はもちろんのこと、プロジェクトマネジメント力強化のための専門チームが伴走することで、コーチ人材の育成を一層推進しております。

② 変化する顧客ニーズへの対応

 クライアントを取り巻く事業環境が一層複雑化するに従い、組織開発・人材開発領域におけるサービスやソリューションに対する顧客ニーズの変化スピードが速くなっています。これらに応えることが当社グループにとってのマーケット拡大にもつながると考え、「組織変革」をテーマにしたプロジェクトが終了した後も、顧客への継続的なサービス提供が行えるよう、各種新サービスの開発に注力しています。また、新サービスの販売拡大のため、既存クライアントだけでなく、新規クライアントの開拓にも注力できるよう、その体制構築を進めています。

③ サービス品質向上を支えるIT開発・情報セキュリティ

 システミック・コーチング™では、コーチによるコーチングサービスの提供だけではなく、AIコーチングや各種アセスメントサービスを提供しております。これらにおいては、客観的データに基づくデータ提供等を行うため、ITシステムの継続的な向上はサービス品質の向上に直結するものと考えております。また、コーチングセッションでは、クライアント企業の機密情報、個人情報等、秘匿性の高い情報に触れる機会が多くなっております。昨今では、ランサムウェア等のサイバー攻撃技術が向上しており、当社グループも技術の進化に対応した情報セキュリティ投資を引き続き積極的に行ってまいります。

 当社グループはこれらの事業活動を通じて、株主価値及び企業価値の最大化に取り組んでまいります。

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