企業コニカミノルタ東証プライム:4902】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)当連結会計年度の総括

 当連結会計年度(以下「当期」)における経済情勢は、経済活動が前期の新型コロナウイルス感染症拡大期から回復基調でしたが、世界的な物価高と欧米を中心とした各国の金融引き締め政策により回復が鈍化しました。一方で、日本など回復傾向が続く地域もありました。こうした外部環境の下、当期における当社グループの連結売上高は、1兆1,303億円と、2003年のコニカとミノルタの経営統合以来最高の売上高となりました。デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業、インダストリー事業のセンシング分野などの増収により売上総利益を拡大させるとともに、販売費及び一般管理費の抑制や構造改革を行い、業績見通しの達成を目指してまいりました。一方で過去の買収を中心とした投資の精査を行った結果、ヘルスケア事業のプレシジョンメディシン分野に係るのれんなどにおいて1,166億円の減損損失を計上しました。これらの結果、当期の連結営業損失は951億円、税引前損失は1,018億円、親会社の所有者に帰属する当期損失は1,031億円となりました。但し、減損損失を除いた営業利益は業績見通し150億円を上回る215億円となり、事業の稼ぐ力は着実に回復しております。

 当社は、2020年度より当期まで、中期経営計画「DX2022」の達成に向け取り組んでまいりましたが、達成できた点・達成できなかった点については以下のように認識しております。

 達成できた事項として、オフィス事業の営業利益回復に向けた構造改革を推進し、実現できたことが挙げられます。また、総固定費を2020年度水準で維持する目標に対して、現地通貨ベースで達成することができました。さらに、ポートフォリオ転換に関して、オフィス事業に続く柱となる事業構築を加速することで営業利益を2020年度から2022年度にかけて235億円増額させる目標に対して、262億円の増額を達成することが出来ました。この増額は、センシング・IJコンポーネント・プロダクションプリント・産業印刷・ヘルスケア分野の成長が寄与しております。

 一方で、達成できなかった事項としては、収益性の全社経営目標として2022年度営業利益550億円、営業利益率5.3%を設定していましたが、実績は951億円の営業損失(減損損失を除くと215億円の営業利益)となり、営業利益率は減損損失を除いても1.9%に留まりました。また、財務健全性の目標として、自己資本比率40%以上、ネット・デット/EBITDAを2.0以下(格付け評価用の指標)を目標としていましたが、実績は自己資本比率34.5%、ネット・デット/EBITDA△17.1と未達となりました。事業別にみるとオフィス事業については、営業利益を2018年度レベルに回復させる目標に対して、構造改革は推進できたものの、新型コロナウイルス感染症によるプリントボリューム減少やサプライチェーン混乱の影響に加え、当社グループ会社のトナー工場事故による製品の供給不足等により目標未達となりました。プレシジョンメディシン分野、DW-DXユニット、画像IoTソリューション分野等、新規事業と位置付けた事業について2022年度に黒字化とする目標としていましたが、236億円の営業損失(減損損失を除く)となりました。これは、プレシジョンメディシン分野で新型コロナウイルス感染症拡大時の来院患者数の激減及びそれ以降の医療スタッフ不足等による遺伝子検査数の伸長が減速したこと、製薬会社での治験が遅延したことに加え、遺伝子分野でパートナー企業との協業などの自社戦略の実行遅延などが影響しております。さらに、デジタルワークプレイス事業での高収益サービスの伸長の遅れと販売費及び一般管理費の増加、画像IoTソリューション分野においての半導体部材高騰による利益率悪化が、営業損失拡大の主な要因となりました。

 当社としては、2022年4月からの新経営体制において業績見通しの達成を目指してまいりましたが、3期連続での営業損失、4期連続の当期損失という結果を改めて重く受け止め、これまで当社が展開してきた施策を総合的に評価し、企業価値向上に資するものは継承し、変革すべき部分については速やかに判断することで企業価値の向上に努めてまいります。

(2)翌連結会計年度の経営方針

 翌連結会計年度における世界の経済情勢は、欧米を中心とした物価高と地政学的リスクやエネルギーコスト高騰に伴う景気減速のリスクは依然として継続し、経営環境の不確実性は高まると見込んでいます。また、当社が関連する市場の動向は、インダストリー事業においては、センシング分野のスマートフォン用ディスプレイ計測器は設備投資の端境期となりますが、一方で新たなディスプレイ技術の開発が進むと見ており、先行需要の取り込みに注力していきます。材料・コンポーネント分野の機能材料ユニットは、ITデバイス・スマートフォン用薄膜フィルムは市場在庫調整からの回復が2024年度にずれ込む見込みですが、テレビ用ディスプレイは、巣ごもり需要反動の市場在庫調整が一巡し、大型ディスプレイ向けを中心に回復することが期待されます。プロフェッショナルプリント事業のプロダクションプリント・産業印刷ユニットでは、オフセット印刷からデジタル印刷へシフトする流れは不変であり、中期的には中堅・大手印刷会社を中心に需要をけん引して市場は成長すると見込んでいますが、欧米を中心とした景気減速影響による一部顧客との商談長期化のリスクも見ています。ヘルスケア事業のヘルスケア分野では、医療及びITサービスの質の向上や効率化に向けて、デジタル技術の利活用が進展していくことが想定されます。デジタルワークプレ

 イス事業のオフィスユニットでは、リモートワークの増加に伴うプリントボリュームの緩やかな減少や、半導体不足に代表されるサプライチェーン影響の緩和による当期の受注残解消及びそれに伴う複合機販売台数減が想定されますが、オフィスソリューションの提供やモノづくり革新による更なるコスト低減、固定費削減等により資産効率を高めキャッシュを創出します。

 こうした市場動向を認識しながらリスクも織り込み、赤字からの力強い脱却と財務基盤の強化を図り、新たな中期経営計画で掲げた経営目標を達成しROE5%の早期達成を実現していきます。また、販売費及び一般管理費の圧縮などコスト削減を徹底するとともに、経営資産を適正化して事業活動の効率化を図り、高収益企業を目指して事業の選択と集中を実行していきます。

(3)2025年度に実現する事業構造

2023年度に入り、2025年度を最終年度とする新たな中期経営計画を策定しました。この新中期経営計画においては方針として以下3点を掲げています。

1. 事業の選択と集中を実行する。強化事業の中核を担うインダストリー事業では、事業横断的な事業開発を進める組織を立ち上げ、ターゲット領域での既存事業の成長と新規事業開発の加速を推進する。

2. 構造改革や間接機能の仕分け、販売費及び一般管理費の圧縮などコスト削減を徹底するとともに、経営資産を適正化し、事業活動の効率化を進める。

3. 全社横断機能の再編を実施することで、事業ごとのパフォーマンスを明確化し、継続的に事業の選択と集中を加速させる。

1.については、各事業を新たに「強化事業」「収益堅守事業」「非重点事業」「方向転換事業」と位置付けました。強化事業と位置付けたインダストリー事業、プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア分野には経営資源を重点的に配分して利益率の向上を図り一層の成長を目指します。特にインダストリー事業ではターゲット領域をディスプレイ、モビリティ、半導体等に定め、強みである材料、光学、微細加工、画像等の「コア技術」をAI活用と事業をまたぐ技術融合により強化し、「顧客との共創」につなげ既存事業の一層の強化と新規事業開発を推進します。デジタルワークプレイス事業のオフィスユニットは、収益堅守事業として、中期的な市場の縮小を見据え、損益分岐点売上高の引き下げなどにより事業価値の最大化に努め、継続的なキャッシュ創出を担う事業とします。当社との戦略適合性を考慮して非重点事業と位置付けたプレシジョンメディシン分野は、社会的価値が大きいことは疑いなく、長期的に潜在的な成長力のある領域です。一方で、今後も継続的に成長投資が必要であるという認識に加え、当社の現状の財務状況を考慮し、現在準備を進めて時機を見計らっている米国株式市場への上場だけではなく、当事業の成長を支えることができる第三者への事業譲渡も含めた戦略的選択肢を早急に検討します。また、DW-DXユニット、画像IoTソリューション分野などの方向転換事業は、これまでの課題を踏まえ事業ごとに戦略の方向性を再設定し、事業構造の転換を図ります。

2.については、研究開発テーマ・人財活用のあり方・拠点の機能や構造等の見直しなどにより販売費及び一般管理費を中心とする費用を削減し、収益性を改善させます。また、棚卸資産や売上債権の管理を強化するとともに、厳選した設備投資と拠点の統廃合などにより資産効率の向上を目指します。これらにより、財務基盤の強化を図ります。

3.については、事業ごとの投下資本に対する成果を見える化するとともに厳格に評価し、継続的に経営資源の選択と集中を判断していきます。総資産回転率を改善させるとともに資本を増強することにより、環境変化に強い事業構造と持続的な利益成長が可能な経営基盤の確立を目指します。これらにより、2025年度をゴールとした財務指標としてROE5%以上を設定し、企業価値向上を実現していきます。

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