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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは「企業価値の中に、未来を見つける。」というミッションのもと、「中小企業にテクノロジーを届けよう。」というビジョンを掲げております。主力サービスである中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance(ビッグアドバンス)」の普及と関連するサービスの提供により、中小企業の成長支援や新しい付加価値の創造、労働生産性の向上に貢献してまいります。

(2) 目標とする経営指標

「Big Advance」は金融機関より受領するサービス導入時の初期導入費用に加えて、毎月運用・保守費を受領しております。

 運用・保守費はサブスクリプション型(継続課金型)であり、金融機関より月額固定形式で受領する収益、金融機関と会員企業との間の月額利用料に対するレベニューシェア方式を採用した収益により構成されていることから、導入金融機関数や会員企業数、会員企業の解約率(チャーンレート)を重要指標としております。

(3) 当社グループの強み

① 地域金融機関と協業したユニークで強固なビジネスモデル

「Big Advance」は、全国の地域金融機関とパートナーシップを結び展開する、日本で最も裾野の広い中小企業向け経営支援プラットフォームであると判断しております。中小企業の経営支援を実施する上で、金融機関の果たすべき役割は大変重要であり、2023年版の小規模企業白書によると、中小企業の76.6%が相談する支援機関先として金融機関を挙げています。

「Big Advance」は、圧倒的な中小企業の顧客基盤を有する金融機関とパートナーシップを結び中小企業へサービスを提供することで、全国の中小企業に対して効率的にサービスを届けることを可能にしました。また、金融機関のサービスとして提供することで中小企業は安心して「Big Advance」の機能を活用することができ、かつ金融機関とのコミュニケーションも増加するため、融資等の金融サービスもスムーズに享受できる可能性が高まります。

事業者が相談先として利用を検討する支援機関


 資料:(株)東京商工リサーチ「中小企業が直面する経営課題に関する調査」

(注)1.ここでの回答割合は、ある事業者が「事業計画策定」、「販路開拓・マーケティング」、「生産設備増強、技術・研究開発」、「人材採用・育成」、「経営改善」、「企業再生」、「事業承継・M&A」、「海外展開」、「創業」、「専門家活用」の各経営課題について、利用を検討すると回答した支援機関をそれぞれ集計したもの。

 2.複数回答のため、合計は必ずしも100%にはならない。

(出典:2023年版 小規模企業白書)

② 「テクノロジー」と「Face to Face」を融合し、様々な企業ニーズに対応

 主力サービスである中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」は基本機能及びオプション機能を含め、中小企業のニーズに対応した13機能を有しております。

 その内、主要機能でもあるビジネスマッチングにおいて、これまで企業が金融機関にマッチングを依頼すると、その金融機関内で保有する情報をもとにマッチング候補先を紹介されるためマッチングの成約率に限界がありました。「Big Advance」では、「Big Advance」導入金融機関の全ての取引先のマッチングニーズを企業自ら検索することができるため、マッチング候補先を効率的かつ地域を越えて見つけることが可能となっており、またマッチングの面談セッティングは、金融機関が間に入ってコーディネートする仕組みになっているため、安心して面談を実施できる仕組みとなっております。「Big Advance」の導入金融機関及び会員企業数が増加することによって更なるネットワーク効果が発揮されます。

 また従来、企業と金融機関とのコンタクト方法は電話が中心でありコミュニケーションコストが非常に高かったところ、「Big Advance」のチャット機能を活用することにより、金融機関と気軽にコミュニケーションをとることができ、経営課題の早期発見・早期解決にも効果を発揮しております。

  ③ 全国の中小企業が参加する独自のネットワークと生成AIを活用したデータ分析や還元

「Big Advance」は地域を超えた中小企業のネットワークで構築されており、「Big Advance」に蓄積されたデータを活用し、金融機関の取引先に対しての本業支援をサポートすることができます。また「Big Advance」への生成AIの実装を行うことで、ホームページや商談ニーズの文言の自動作成やビジネスマッチングの候補先の選定のレコメンド機能を実現し、中小企業の業務負担の軽減や効率化に寄与しております。

④ 金融庁、財務局、第二地方銀行協会等からの認知

 関東財務局東京財務事務所や第二地方銀行協会のセミナー等での講演活動や、「Big Advance」や地域金融機関との協業に関する講演活動を行うとともに、2019年8月に公表された金融庁「金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポート」に地域金融機関との提携例の一つとして、「金融機関広域連携プラットフォームを提供する企業と連携し、地域企業のビジネスマッチングを支援」するサービスとして、当社事例が掲載されており、官公庁や第二地方銀行協会等に対する当社サービスの認知度は向上しているものと考えております。

 また2023年7月には経済産業省が定める「スマートSMEサポーター(情報処理支援機関)」(注)に認定され、中小企業の生産性向上と経営基盤強化に貢献するIT導入支援者として行政機関からの一定の信頼を得ています。

(注) 経済産業省が創設した中小企業者等の生産性向上・経営基盤強化を目的に、ITツールを提供するITベンダー等のIT導入支援者を「情報処理支援機関(スマートSMEサポーター)」として認定する制度

⑤ 高い安定性を誇るBtoB・SaaSモデル

 当社は、主に中小企業向けサービスをSaaSモデルで提供しており、損益分岐点を超える会員企業数を獲得できた後は、安定的に収益を計上できることから、外部環境の変化に強く、安定的かつ継続的な収益構造にあります。また、継続率の向上を目的としたAIを活用した機能改善の開発やカスタマーサクセス等に投資しております。「Big Advance」の会員企業の獲得は、導入金融機関の担当者が推進しており、会員企業は「Big Advance」登録後も活用方法などのサポートを金融機関の担当者から継続的に受けられます。

 また活用のサポート活動を通して会員企業のニーズを収集し、すばやくサービスにフィードバックすることで、2024年4月~2025年3月の平均チャーンレート(注)は、1.35%で推移しております。


(注)当月解約企業数÷前月末有料会員企業数で算出したチャーンレートの四半期平均

⑥ 企業文化

 当社では「Deep User In(ユーザーを知り尽くし、ユーザーの期待を超えよう)」「Commit myself(今、自分にできる最高の仕事をしよう)」「Big & Speedy(大胆な方針を立て、素早く実行しよう)」「Team is Great(一人ではできないことを成し遂げよう)」という4つの行動指針を共通の価値観として大切にしています。その結果、メンバーは高い自律性と専門性を発揮しながらも強いチームワークを持ち、AIを始めとする先進的なテクノロジーを追求しながら、利用企業が使いやすい温もりのあるサービスの開発・提供に取り組んでおります。

(4) 経営環境

 国内経済環境としては、少子高齢化を背景とした労働力不足が問題視される一方で、政府主導により時間外労働時間の上限引き下げ等の労働法規の改正といった働き方改革が推進される中、労働生産性の向上に向けたソリューションへの期待が高まっているものと認識しております。そのような状況の中、当社が事業展開する「国内ソフトウエア市場」はこれまで大きな成長を果たしてきております。さらに当社の中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」の主力機能であるビジネスマッチングプラットフォームの市場規模は近年急激な拡大を続けており、今後も引き続き成長が見込まれる市場として注目を集めております。


(出典)デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「国内ビジネスマッチングプラットフォーム 市場の現状と展望[2023年版]」2023年12月13日発行(https://mic-r.co.jp/mr/02980/)

 また、「国内AIシステム市場」では近年、生成AIの商用化が急速に進み、AIアシスタント機能がソフトウェアに本格的に組み込まれ普及し、企業の基幹業務における自動化や最適化の需要により、今後も市場規模は拡大していくことが予想されます。AI台頭の当初から当社も積極的なAI活用モデルの作成やサービスへの実装を重ね、今期、専門性AI FAQ「SAF(サフ)」のリリースに至りました。引き続き積極的にAIの活用するとともに、業界の競争優位性が変化していく中で、今後はAIが自律的にタスクを実行し中小企業の伴走をするAIエージェント化を目指します。

 加えて、パートナーである金融業界においてもDX推進の必要性が一層高まっていると認識しております。中小企業の経営支援において主要な役割を果たし、地域金融インフラの中心的存在である金融機関は、長引く低金利等を背景に更なる取引企業の本業支援を通じた持続的な資金需要の創出を実現するためにも、DX推進が不可欠であります。その中で当社では金融機関向けに中小企業の接点を強化するデジタルツール「BAポータル」、社内の問合せ業務に対する専門性 AI「SAF」、ファイル送受信・共有サービス「WebFile」等のサービス提供を強化しており、中小企業のみならず金融機関のデジタル支援も加速させていきます。

 しかしながら、今後の状況によって、経済活動自体が減速することとなった場合には、当社の業績に影響を与える可能性があり、今後の経営環境の変化を注視していく必要があるものと考えております。

(5) 中長期的な経営戦略

① ユーザー数の拡大

 当社のビジネスモデルの大きな特徴ですが、「Big Advance」の会員企業獲得は、導入金融機関の各支店の担当者が推進しており、当社としては、これまで金融機関の各支店の担当者の会員獲得推進サポートとして、担当者向け研修や同行訪問、オンラインセミナー等を実施しております。

2019年6月から半年に1回「BAカンファレンス」と称し、導入金融機関の「Big Advance」推進担当者が一堂に会し金融機関の枠を越えて情報交換をできる機会を設けております。

 また、2023年より生成AIに関する取り組みを積極的に行っており、2024年3月期においてビジネスマッチングやホームページ作成の既存機能に対して、AIを活用した文章自動生成機能を、2025年3月期には金融機関にて社内の問合せ業務に対する専門性AI FAQ「SAF」をリリースし、業務負担の軽減や効率化に寄与しております。引き続き生成AIの活用を行うとともに、今後はAIが自律的にタスクを実行し中小企業の伴走をするAIエージェント化を目指します。

 さらに中小企業の福利厚生クーポンサイト「FUKURI」においてリロクラブとの業務提携により利用クーポンの拡充及びデザインの刷新と機能追加を行い、会員企業の退会抑止を促進するとともに新規会員の獲得の強化を目指します。

 今後も隔週単位でのバージョンアップの実施やAIの活用による最適なUI/UX(注1)の実現により圧倒的な業務効率化や顧客満足度の向上を目指してくとともに、付加価値を提供できる新機能のリリースや既存機能の強化、金融機関とのリレーション強化等を通じたサービスの認知度向上により、新たな導入金融機関及び会員企業の開拓を図ってまいります。

②ARPA(注2)拡大戦略

 今後、様々な新機能・新サービスのリリースにより、収益力の向上を図ります。オプション機能としては、ちゃんとシリーズとして2022年10月に株式会社ジオコードと連携し、「ちゃんと勤怠byネクストICカード」をリリース、また、2023年1月にはインボイス制度にも対応した、オンライン請求書電子化サービス「ちゃんと請求書」をリリースしております。さらに「ちゃんと請求書」においては2023年8月より電子帳簿保存法に対応した「電子保存機能」や2024年3月より「領収書発行機能」の提供を開始し、機能拡充に努めております。

 また、2026年3月期には、海外ビジネスマッチングプラットフォーム「BIG ADVANCE GLOBAL」を日本およびタイにて同時に提供開始予定です。中小企業の海外進出の新しい需要を取り込み、ARPA拡大を図るとともに、BtoBビジネスプラットフォームにおいて「日本初のグローバルスタンダード」を目指していきます。

 引き続き、グループ全体で中小企業の課題解決につながる新機能・新事業のリリースを行い、中小企業の様々なニーズにスピーディーに対応できる様、中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」を中核にビジネスエコシステムの構築を進めてまいります。

③DX Solutions戦略

 これまで中小企業の経営支援を重きに置き「Big Advance」の提供を行ってきましたが、当期はパートナーである金融機関のデジタル支援を目的とした新たなサービスのラインナップの拡充を強化しました。金融機関向けに中小企業の接点を強化するデジタルツール「BAポータル」、金融機関にて社内の問い合わせ業務に対する専門性AI FAQ「SAF」等の金融機関への提供を開始し、導入強化に取り組んでまいります。金融機関とのリレーションをより強固にし、中小企業のみならず中小企業を支える金融機関の生産性向上と業務効率化を推進するためのソリューションを提供していきます。

 また新しく取り扱う省エネ補助金や大規模成長投資補助金の案件を開拓する等、補助金活用コンサルティングサービスの強化や厳しいセキュリティ要件に対応したファイル送受信・共有サービス「GrpMail」「WebFile」等の金融機関への拡販をしてまいります。

(注) 1. UI/UX:UIはユーザーインターフェイスのことで、ユーザーとの間に現れるサービスやプロダクトの外観を表します。UXはユーザーエクスペリエンスのことで、ユーザーがプロダクトやサービスを通して得られた体験を表します。

2. ARPA:Average Revenue per Account の頭文字をとったもので、1アカウントあたりの平均売上を示す指標のことです。

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 情報管理体制の強化

 当社グループが提供するサービスは、ビジネスの根幹となるインフラ機能であり、また機密性の高い情報を多く扱っているため、情報セキュリティの確保及び情報管理体制の継続的な強化が極めて重要であると認識しております。情報セキュリティの認証資格の取得に加え、社内教育・研修体制の整備を推進しておりますが、今後も自社による監視体制のみならず、外部専門業者によるシステムの脆弱性診断等を継続的に実施し、情報管理体制の整備、強化を行ってまいります。

② 優秀な人材の確保と育成

 当社グループの持続的な成長のためには、優秀な人材を採用・育成し、開発体制、営業体制、管理体制等を強化していくことが重要であると捉えております。当社グループの経営理念や事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を進めるとともに、働きやすい環境や制度の構築、研修体制の充実等に取り組んでまいります。

③ プロダクト・サービスの強化

 当社グループの収益の中心は、サブスクリプション型のビジネスモデルであり、継続してサービスが利用されることで収益が積み上がるストック型の収益モデルになります。引き続き顧客ニーズを的確に捉え、継続的なユーザビリティの向上や利用体験の改善、各種機能の強化に取り組むとともに、顧客サポートの品質向上にも注力し、サービスを使い続ける価値を顧客に感じていただけるように取り組んでまいります。

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