グンゼ
【東証プライム:3002】「繊維製品」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「人間尊重と優良品の生産を基礎として、会社をめぐるすべての関係者との共存共栄をはかる」という創業の精神を変えてはならない経糸(たていと)、社会からの期待に誠意をもって柔軟に応えることを緯糸(よこいと)とし、様々な製品やサービスの提供を通じて時代に求められた社会課題の解決に取り組み、企業価値の持続的向上を目指しております。
(2) 中期的な経営戦略
当社グループは、2030年ビジョン「新しい価値を創造し『ここちよさ』を提供することで持続可能な社会の実現に貢献します」を掲げ、「変革と挑戦」をキーワードに、経済的利益と社会的利益を両立させるサステナブル経営を通じて社会貢献と当社グループの持続的成長の実現を目指す中期経営計画「VISION 2030」を2022年度より推進しております。
(2030年に向けたグランドデザイン)
2025年度からは、2027年度までの3ヵ年を期間とする「VISION 2030 stage2」を推進し、コア事業の成長と聖域なき構造改革により、2030年のありたい姿の実現を目指してまいります。
(VISION2030 stage2 計画[サマリー])
(財務戦略)
当社は企業価値の持続的向上のため、成長事業への積極投資と低収益事業の事業構造改革による利益伸長ならびに最適資本構成を目指した資本政策による資本収益性の向上に取り組んでまいります。加えて、資本政策と連動した株主還元方針の実施とPER向上政策にも取り組み、PBR 1.0倍以上の早期実現を図ります。
(目標とする経営指標)
[財務目標]
VISION 2030 stage2 の経営目標は、グループ売上高1,400億円、営業利益125億円、ROE(自己資本利益率)8%以上、ROIC(投下資本収益率)6.6%以上としております。引き続きROICとGVA※による業績管理を事業毎に月度単位で実施し資本コストを上回る資本収益性を実現し、企業価値向上に努めてまいります。
※GVA(Gunze Value Added)= 税引後営業利益 + 配当金 - 期末投下資本 × WACC(加重平均資本コスト)
上記財務目標に加え、サステナブル経営の視点から2030年度までの非財務目標を以下のとおり設定しております。
[非財務目標]
区分 | 目標指標 | 2027年度目標 | 2030年度目標 | |
環境対応 | CO2排出量 削減率(対2013年比) | 31%以上 | 35%以上 | |
エネルギー原単位削減率(対前年) | 1%/年以上 | |||
企業体質の進化 | 女性活躍推進 | 女性管理職比率 | 14%以上 | 20%以上 |
女性社員比率 | 38% | 41% | ||
女性総合職採用比率 | 50% | 50% | ||
子育て支援 | 男性育休取得率 | 70% | 100% | |
組織風土づくり | エンゲージメントスコア | 66点想定 | 70点想定 | |
働き方改革 | 年休取得率 | 80% | 80% |
(3) 当社グループの対処すべき課題
(セグメント別課題)
機能ソリューション事業においては、持続的な成長と社会的価値の創出に取り組んでおります。
プラスチックフィルム分野では、「社会的利益と経済的利益の両立を基本に、資源循環モデルをグローバルに展開する」を事業ビジョンに掲げ、サステナブルな社会の実現に貢献することを目指しております。環境対応型の新製品を積極的に市場に投入するとともに、サーキュラーファクトリー(資源循環型工場)を中核とした資源循環モデルの確立を進めております。これにより、従来の生産・消費モデルから脱却し、資源の再利用を前提とした「サーキュラーメーカー」への転換を図り、増収増益の実現を目指してまいります。
エンジニアリングプラスチックス分野では、「独自技術の掛け合わせで、より良い環境と快適な暮らしに貢献する」を事業ビジョンとし、主力であるOA市場向け製品のシェア拡大を図るとともに、医療・半導体分野における需要拡大への対応として江南工場の増設を行いました。更に、新たにエネルギー分野を戦略的事業単位(SBU)として立ち上げ、環境対応商品の創出を通じて新市場の開拓を推進してまいります。
メディカル事業においては、「革新的な“バイオマテリアル×デバイス”の提供により、明るい未来を描く」を事業ビジョンに掲げ、人工皮膚、組織補強材、癒着防止材を中心とした製品群により、着実な売上拡大を図りながら、グローバルに展開する医療機器企業への成長を目指しております。
事業拡大の加速に向けては、地域ごとの市場特性を踏まえた戦略を推進しております。日本及び中国においては、既存製品の拡販に加えて新製品の開発・上市を積極的に行い、シェア拡大を図ってまいります。欧州及び米国においては、現地代理店及び販売会社の開拓・育成を通じて販売体制を強化し、市場浸透を進めております。更に、中東・南米・アジア地域においては、各国の規制動向や市場ニーズの調査を通じて、迅速かつ確実な市場参入を目指してまいります。
アパレル事業においては、「国内市場縮小」「競争激化」「円安進行」に対して有効な施策が追い付かず、資本効率は低位で推移しています。そのため、現行の中期経営計画を中止し、2025年度から2026年度の2年間を構造改革期間と位置づけ、再生に向けた取り組みを行います。従来から当社の強みを活かせるカテゴリーの強化を図ってまいりましたが、今後は更に創益カテゴリーに集中特化し、生産物流再編、間接部門効率化及び地産地消への取り組み強化により、資本効率を高め、持続的創益事業に再生してまいります。
不動産分野では、投資効率を重視した物件別管理を強化し、低収益アセットは改善もしくは成長領域・新規分野へシフトを進めます。グリーン分野では、開発計画における緑化需要の取り込みと大気中のCO2削減に向け、CO2固定化に積極的に取り組んでまいります。スポーツクラブ分野は、課題店舗への対応を強化するとともに、スクール事業の拡大と地域・店舗特性に合わせた特長のあるサービス提供や新業態の開発に取り組んでまいります。
(財務戦略課題)
中期経営計画「VISION 2030 stage1」の最終年度である2025年3月期のROEは5.3%であり、目標である6.3%を下回る結果となりました。PERも東証プライム上場企業平均を下回り、PBRは1.0倍を下回る水準が継続していることから、企業価値の向上のためには、資本収益性・PER双方の向上に取り組む必要があると認識しております。
新中期経営計画「VISION 2030 stage2」期間における当社の株主資本コストは、CAPM(資本資産価格モデル)による試算結果のほか、投資家の皆さまとの対話を通じて認識した資本収益性の期待水準などを踏まえ、7.2~7.8%と推計しております。この水準を上回る資本収益性の実現のためには、利益伸長だけでなく、資本収益性最大化・財務健全性維持を両立する資本の最適化に取り組む必要があると考えております。また、当社株価や出来高、株主構成などの分析結果から、株式市場に対する成長期待の醸成のほか、当社の認知度向上、株式の流動性改善によってPERを向上させる余地があると推測しております。
以上を踏まえ、新中期経営計画「VISION 2030 stage2」では、部門別WACCに基づく経営判断の強化や当社独自の資本効率性指標GVAによる管理、ROICツリー展開といった当社グループにおける資本コスト経営マネジメントの下、成長牽引事業であるメディカル・エンジニアリングプラスチックス事業の投資促進および新規事業・M&Aによる事業拡大を図るとともに、低収益事業の構造改革を推進し、さらなる利益伸長に取り組んでまいります。加えて、総還元性向100%超の株主還元などの資本政策(※)によって最適資本構成を構築し、資本コストを上回る資本収益性の早期実現を図ります。さらに、株式の流動性改善やIR強化などによるPER向上政策にも取り組み、PBR1.0倍を超える企業価値を実現してまいります。
※具体的な資本政策については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載しております。
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