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【東証グロース:157A】「サービス業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「おかねに対する意識と行動を変える。」をミッションとして、投資や資産形成を通して、消費者から支援者へと、人々の社会との関わり方を変えていくことの背中を押せるようなプロダクトの開発に取組んでおります。当該ミッションを達成すべく事業を展開していくことを、経営の基本方針としております。
(2) 経営環境
当社グループを取り巻く経営環境について、経営者の認識は次のとおりです。
① 社会的動向について
a. 「個人投資新時代へ」
個人投資に関する社会的動向として、当社は、2014年1月のNISA(少額投資非課税制度)開始を皮切りとした時期を、「個人投資復興期」と捉えております。
・2014年1月にNISAが開始
・2015年にアベノミクス相場のなかで日経平均株価は2万円台に復活
・口座開設から取引までスマートフォン上で完結できる「スマホ証券」、AI(人工知能)を活用して、投資診断や投資アドバイス、運用などを行う「ロボアドバイザー(ロボアド)」等の登場
そして、2024年以降を「個人投資新時代」と捉え、「おかね」について学び、投資を行う層が拡大する時代に突入すると考えております。
その背景として、2022年11月に政府が決定した「資産所得倍増プラン」では、NISAの抜本的拡充・恒久化や、金融経済教育の充実が掲げられています。NISAについては、「令和5年度税制改正」により2024年1月から新NISAが始まりました。2014年に始まったNISAが10年を経て、投資可能期間の恒久化、非課税期間の無期限化、年間投資枠及び生涯投資上限の増額、売却枠の再利用等、より利便性の高い制度となりました。
b. 資産運用意向及び証券口座数の推移
特に2020年のコロナ禍以降に個人の資産運用意向は高まっており、メットライフ生命保険株式会社の調査によれば、2024年の調査において特に20代・30代・40代では約70%が「今後の資産運用意向がある(「したい」「ややしたい」)」と回答しています。(出所:メットライフ生命保険株式会社、「全国47都道府県大調査2024」。下記グラフは同資料より当社作成。)
また、日本証券業協会の四半期統計「会員の主要勘定及び顧客口座数等」によれば、同協会の会員である証券会社における、2024年末時点の顧客口座数(個人)は37,432,262口座となり、堅調に増加しています。(出所:日本証券業協会、「会員の主要勘定及び顧客口座数等」。下記グラフは同資料より当社作成。)
② 市場規模について
当社は、投資家デビュー支援市場の中でもライト層をターゲットとしており、2024年1月から始まった新NISAや政府の資産所得倍増プランも追い風となり新たに投資を始める人の割合は増加していくと考えており、次の図に示す当社の現在のマーケットシェアを加味しても、成長余地は大きいと考えております。
※1 証券口座数36,409,389口(全国証券会社主要勘定及び顧客口座数等 2024年3月時点)を基に、投資をしている人の割合25%(株式会社野村総合研究所「生活者1万人アンケート(金融編)」2022年版)を除し、投資をしていない人の割合75%を乗じた数に、2022年7月〜2024年6月までの投資デビュー時の口座開設平均単価26,388円を乗じて算出。
※2 政府方針(資産所得倍増プラン)により、2027年までに増える新NISA口座約1700万口座に直近2年間の投資デビュー時の口座開設平均単価26,388円を乗じて算出。
※3 株式会社トレジャープロモートの調べ(2023年春)によれば、20代・30代で含み益を抱えている割合は74%と高い。https://presswalker.jp/press/11443
※4 SOMの約4,500億円の市場規模に対して、2025年6月期の体験型投資学習事業の売上高15.7億円の割合として算出。
当社は、こうした市場規模の状況と、上記「① 社会的動向について」の動向も合わせ、投資家デビュー支援市場は今後さらに拡大していくものと考えております。
(3) 経営戦略
a. 当社のターゲットについて
次の図のように、既に投資を始めている中・上級者ではなく、投資未経験の潜在層が当社のサービス提供対象のボリュームゾーンとなっており、今後のサービス提供においてもターゲットとしております。
株式会社野村総合研究所の「生活者1万人アンケート(金融編)」2022年版によれば、約7割の国民が投資をしていません(注1)。そして、投資をしない理由としては、金融庁が2021年6月30日に公表した「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」によれば、知識がないことや損することへの不安が上位に上げられています(注2)。
当社はこうした投資未経験の潜在層に対してリーチし、体験型投資学習アプリで知識を身につけ、ゲーム感覚のデモトレードやシミュレーションを通して成功だけでなく失敗も経験しながら、「投資家デビュー」とその先の継続的な資産運用を支援していきたいと考えております。
(注) 1.投資(リターン(利益)を得ることを目的に株式・債券・投資信託などの金融商品を保有・売買すること)の経験がある人が25%、ない人が75%となっている。
2.質問「これまでリスク性金融商品を購入しなかった理由は何ですか。当てはまるもの全てお選びください。」に対して、「余裕資金が無いから」56.7%に次いで、「資産運用に関する知識がないから」40.4%、「購入・保有することに不安を感じるから」26.3%が上位に上がっている。
b. 当社のポジショニングについて
当社は、金融教育において、従来の座学型に対して「体験型」投資学習アプリというユニークなポジショニングを構築し、「投資に興味・関心はあるが、実際には投資経験がないユーザー」を広く捉えられていると考えております。
c. 成長戦略
(目標)
2025年4月に東京証券取引所から発表された「グロース市場における今後の対応」を好機と捉え、全社一丸となり時価総額100億円の早期実現を目指します。そのために、まず2028年6月期において売上高、営業利益共に過去最高値の更新を目指すとともに、2031年6月期に次の目標達成を掲げております。
・EBITDA 15億円
・資産形成支援事業の売上高比率 約40%
・M&A件数 累計5社
(事業ポートフォリオ)
上記目標達成に向け、力点と役割を明確にするべく、次のように事業ポートフォリオを整理します。
(注) 「FI/FP」という記載について、「FI」は株式会社ファイナンシャルインテリジェンスを、「FP」は株式会社FPコンサルティングを指しております。
(成長戦略)
体験型投資学習事業については、FXジャンルへの依存からの脱却を図るべく、新たなプロダクトを開発しパイプラインを拡充します。「FXなび」についても、収益性のさらなる強化を図ります。
資産形成支援事業については、「新たな成長エンジン」として戦略的投資対象に位置付け、積極投資します。
(タイムライン)
以上の成長戦略をタイムラインで示すと次のとおりとなります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、当社アプリを介して証券会社の口座開設がなされた場合の成功報酬を主な収益としていることから、投資デビュー支援数(口座開設数)と報酬単価を重視しております。
また、上記の先行指標としてアプリダウンロード数を重視しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 当社グループのサービスに対する認知度向上
当社グループが継続的な成長を遂げるには、投資学習の社会的意義や当社グループのサービスについて、広く世間一般の人々の認知度を向上させることが重要であると考えております。
当社は、継続的な事業拡大はもちろんのこと、認知度向上のためのWeb広告、マス広告、イベント出展等による広告宣伝活動を通して、認知度向上を図っていくことが重要であると認識しております。
② プロダクトの強化
当社グループが継続的な成長を遂げるには、当社プロダクトであるアプリの品質向上を図り、ユーザーにより良い投資学習体験を提供していくことが重要であると考えております。当社は、継続的にアプリの機能やUI/UXの強化・改善を行ってまいります。
③ 人材確保と組織体制の整備
当社グループの事業の継続的な成長の実現に向けて、サービスを企画・設計するプランナー人材、事業の拡大やアライアンスを手がける事業開発人材等を中心に、優秀な人材を採用し、強固な組織体制を整備することが重要だと認識しております。今後も積極的な採用活動と教育を推進していく一方で、従業員が中長期にわたって活躍しやすい環境の整備、企業カルチャーの醸成及び人事制度の構築等を進め、組織力の強化に取組んでまいります。
④ システムの安定稼働
当社グループのサービスは、その大部分がインターネットを利用したサービスであり、システムの安定的な稼働が不可欠です。そのため、不正アクセス対策、コンピュータウィルス対策、データの管理等の徹底を図っております。今後見込まれる利用者数及び取引量の増加や取り扱いデータ容量の拡大に伴うシステム投資、適切な人員体制の拡充を計画的に行うとともに、データのバックアップ体制強化等についても努めてまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
当社グループは成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。当社はこれまでも体制整備を進めてまいりましたが、今後も事業規模の拡大に伴って、管理系の各部署における優秀な人材の採用・確保、定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンスの充実などを行っていく方針です。
⑥ 財務上の課題
当社グループは、金融機関からの借入金を有するものの十分な手元流動性が確保されております。また、2025年6月末時点において、4つの金融機関と総額13億円の当座貸越契約に基づく借入による資金調達も可能であることから、優先的に対処すべき財務上の課題はないと考えておりますが、今後の事業拡大に備えて、更なる内部留保の確保と営業キャッシュ・フローの改善等により財務体質の強化を図ってまいります。
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