クリーマ
【東証グロース:4017】「情報・通信業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「まるくて大きな時代をつくろう」という企業理念のもと、クリエイターエンパワーメント事業を推進しています。日本及び中国語圏に展開するグローバルハンドメイドマーケットプレイス「Creema(クリーマ)」に加え、同サービスと連携可能な唯一のネットショップ開設サービス「InFRAME」の運営、クリエイター・企業・地方公共団体のマーケティング支援を行うプラットフォームサービス、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’(東京ビッグサイト)」の開催、さらに、クリエイター支援に特化したクラウドファンディング「Creema SPRINGS」、レッスン動画プラットフォーム「FANTIST」など、多角的にクリエイターの活動を支援するサービスを展開しています。
これらの取り組みを通じ、クリーマ経済圏の確立とクラフトカルチャーの発展に注力しています。
(2)経営戦略等
当社グループは、マーケットプレイスサービスを基盤とし、クリエイター数やユーザー数(アプリDL数・訪問数など)を安定的に拡大しながら、広告サービスやイベントサービス、クラウドファンディングサービスなどの周辺領域でも収益を拡大するモデルを構築しています。今後も、事業の基盤であるマーケットプレイスサービスの品質向上を最優先とし、ストック収益とプラットフォーム基盤の強化に注力します。さらに、そこで蓄積した有形・無形の資産を活用し、新サービス群にもリソースを投下することで、シナジーを生かした事業の多角化を推進していきます。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの事業においては、中心的なサービスである「Creema」のプラットフォーム価値を高めることが重要です。そのため、経営目標の達成状況を判断する客観的な指標として、登録作品数、アプリダウンロード数、流通総額を重視しています。
(4)当社グループの経営成績に影響を与える経営環境
日本のハンドメイドマーケット市場は、2010年に当社が日本初のハンドメイドマーケットプレイス「Creema」をリリースしたことを契機に誕生した比較的新しい市場です。現在の国内市場では、当社グループが運営する「Creema」と、GMOペパボ株式会社が運営する「minne」の二大サービスが市場を牽引しています。
近年では、スマートフォンの普及に伴い、個人間の電子商取引(CtoC)市場が拡大し、個人のECサイト開設や企業のECサイト提供が増加する傾向にあります。この流れと相まって、オンラインでのハンドメイド製品の流通も一般化し、市場は今後も一定の高成長率で拡大すると見込まれます。
また、当社グループのマーケットプレイスはプラットフォームとしての特性を持ち、流通規模が拡大するにつれ、クリエイター数、会員数、登録作品数などが増加し、それに伴いプラットフォームの価値も向上する構造となっています。このプラットフォーム価値の向上が、広告サービスやクリエイター・会員向け支援サービスの収益を押し上げ、当社グループが関わる市場規模をさらに拡大させます。そのため、当社グループが提供するサービスの潜在市場規模は、単なるハンドメイドマーケット市場の枠を超え、大きな成長ポテンシャルを有しています。
当社は「Creema」の立ち上げ以来、業界の先駆者として市場の成長を牽引してきました。2025年2月期には「Creema」の流通総額が154億円を突破し、日本最大のハンドメイドマーケットプレイスとしての地位をさらに強固なものとしています。加えて、クリエイター支援の多様なサービスも順調に成長しています。
今後も市場の動向やトレンド、ニーズを的確に捉えながら、「クリーマ経済圏」のさらなる拡大に取り組んでまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2025年2月期において、当社の主力事業であるマーケットプレイスサービスは、2024年2月期に実施したTVCM効果の反動、世界的なWeb広告単価の高騰による広告効率の悪化、さらには当社ドメイン名を悪用したフィッシング詐欺目的の「なりすましメール」の横行といった外部環境の影響を受け、かつてない規模で成長上の下方圧力に直面し、当該サービスの流通総額は前期比93%の154.5億円へと減少いたしました。しかしながら、競合サービスとの流通総額の差は拡大を続けており、当社の国内ハンドメイドマーケットプレイス市場におけるNo.1のポジションがより一層強固なものとなる結果となりました。
一方で、マーケットプレイスサービス以外の事業は順調に成長いたしました。プラットフォームサービスは、マーケットプレイスサービスの増減と連動するサービス構造でありながら、外部広告及び内部広告サービスの地力が向上し、前期比101%で着地いたしました。また、イベントサービスは、「Creema YAMABIKO FES」の開催に加え、「HandMade In Japan Fes’」が計画を上回る成長を遂げるなどした結果、売上高は前期比128%と大幅な成長を記録しました。さらに、新サービス群においては、「FANTIST」及び「Creema SPRINGS」が力強い成長を遂げ、前期比177%を達成。今後さらなる拡大が期待される分野となっております。
その結果、全社売上高は前期比100%の2,507,008千円で着地し、厳しい市場環境の中でも堅調な推移を維持いたしました。また、費用適正化や生産性向上に向けた各種施策も奏功し、「Creema YAMABIKO FES」の追加開催があったにもかかわらず、原価・販管費の合計は前期比97%に抑制されました。その結果、営業利益は前期比249%となる103,126千円を確保し、事業の効率化と利益率の改善を達成しました。加えて、経常利益は104,701千円(前期比152%)、繰延税金資産の計上を踏まえた親会社株主に帰属する当期純利益は103,017千円(前期比130%)となり、前年同期と比較して大幅な増益を実現いたしました。
2026年2月期に向けては、前期に発生した外部環境の影響を踏まえ、マーケットプレイスサービスの再成長を最優先課題として取り組んでまいります。その一環で、「オーダーメイド」や「希少性」といったクリエイター作品の特性と親和性が高く、市場規模も拡大傾向にある「ギフト市場」への参入を推進いたします。加えて、「Creema」の取扱カテゴリーの拡張や、ユーザービリティを高める大型機能の開発等、新たな顧客層の獲得を推進します。また、Web広告の急激な単価高騰への課題解決を最優先施策の一つとして位置づけ、一時的に広告投資額を増額し、新しい最適なマーケティング手法の確立を目指します。これらの取り組みにより、流通総額の拡大を推進してまいります。
加えて、成長が著しい新興サービスである「Creema SPRINGS」、「FANTIST」、「InFRAME」については、引き続き積極的な投資を継続してまいります。「Creema SPRINGS」については、組織拡大を行い提案力・編集力を強化し、起案プロジェクトの質・量を拡大することで購入者の方々により魅力的な選択肢を提供すると同時に、「Creema」との連携施策を強化することでさらなる成長を目指します。「FANTIST」についても組織の拡大を行い、学習者からの反響が大きい公式コースレッスンをはじめ、受講可能なレッスン動画の質・量を最大化することで、日本最大級のレッスン動画プラットフォームとしての地位をさらに強固なものとしてまいります。「InFRAME」については、重要機能の開発と営業強化を推進し、「Creema」との連携を深めながら、より競争力のあるサービスへと進化させてまいります。
また、日本最大のハンドメイドマーケットプレイスである「Creema」が蓄積・保有する有形・無形の戦略資産を活用し、シナジーのある新サービスをリリースすることで、サービスの複層化による収益力の向上を一層進めてまいります。その一環で、ギフト関連サービスのリリース、プラットフォームサービスの拡充、配送サービスの拡充など、流通総額の拡大と収益基盤の強化を並行的に進める施策を中心に積極展開してまいります。
さらに、中長期的な非連続的成長の実現に向け、既存の経営資源を活用した新たな収益基盤の確立を推進するとともに、その手段の一つとしてM&Aの有効活用を進めてまいります。今後2年以内に総額7〜8億円規模のM&Aを実行する計画であり、クリエイターエンパワーメント事業のさらなる拡張、「Creema」とのシナジーが見込める新領域への進出を視野に入れながら、新たな成長機会を創出してまいります。
当社は、これらの成長戦略を通じて、「Creema」の再成長を確実なものとし、新規サービスの拡大とM&Aによる事業ポートフォリオの強化を図ることで、持続可能かつ非連続的な成長基盤の構築を目指してまいります。2026年2月期においても、経営資源の最適配分と市場環境の変化に柔軟に対応しながら、さらなる事業成長に向けた施策を推進してまいります。
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