企業クラダシ東証グロース:5884】「小売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本提出書日現在において、当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社はミッション「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」、ビジョン「日本で最もフードロスを削減する会社」、ブランドパーパス「楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドマーケットを創る」を策定し事業活動を行っております。これまでの常識では経済活動を進めれば進めるほど、環境に負荷をかけてしまうモデルが一般的でした。「Kuradashi」は、社会性、環境性、経済性を重視した三方よしのビジネスモデルであり、私たちが成長することで持続可能な社会を実現していきます。

① ミッション:ソーシャルグッドカンパニーでありつづける

 もったいないを価値へ~凸と凹をマッチングすることで世界を豊かにする。世の中に山積する社会課題解決を目的に設立したソーシャルグッドカンパニー。社会性、環境性、経済性を重視した活動をしていきます。

当社は様々な社会課題をボランティアではなく、あえて「事業」として解決することで、経済を循環させながら解決することを目指しております。この背景には、当社代表取締役社長の原体験と想いが深く関わっております。1995年に日本を襲った阪神淡路大震災、代表取締役社長の関藤もこれを経験しました。当時、救援物資を抱え救助に出向くも、「たった一人の力では、多くの人は救えない。」と、個の限界を痛感しました。この想いが、「社会課題は、一人の力ではなく大きな仕組みのもとあらゆる人を巻き込んで取り組む」という当社のビジネスモデルの構想につながっております。

② ビジョン:日本で最もフードロスを削減する会社

 国内消費食料の約6割を輸入している(※1)にも関わらず、世界有数のフードロス大国である日本。 「3分の1ルール」などの商慣習のために、その多くを無駄にしているのです。私たちクラダシは1.5次流通革命を通じて、日本のフードロスを削減します。

世界では今、本来食べられるはずの食料が廃棄される「フードロス」が大きな社会問題となっております。なかでも日本は世界有数のフードロス大国であります。この背景には、「3分の1ルール」という納品期限・販売期限を設ける独特の商慣習があり、ロスが発生しやすい社会構造となっております。当社はこの世界の危機に向き合い、フードロス削減に貢献するため、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を展開しております。

③ ブランドパーパス:楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドマーケットを創る

当社は、義務感や強制力などではなく、「楽しいから」という理由でお買い物してもらえる場所を目指して参ります。「トクする」には「得する」「徳する」の2つの意味を込めており、お得なお買い物が、お客さま、企業、社会、地球、みんなのトク(得及び徳)に繋がります。 Kuradashiは「ソーシャルグッド」という言葉をこれからも愚直に、まっすぐと、掲げて参ります。

 ※1 消費者庁消費者教育推進課食品ロス削減推進室 「食品ロス削減関係参考資料(令和3年8月26日版)

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社のビジネスは、社会的価値の向上と利益の創出の両立を可能とするものです。すなわち、フードロスの削減という社会的な価値の向上を「Kuradashi」という販路を通じて利益という形で体現しています。このため、売上高の成長を通じて企業価値の向上を図って参ります。

 売上高の成長のための客観的な指標として、「累計会員数(※2)」、「月間UU(※3)」及び「ARPPU(※4)」の最大化を図っております。

 また、ユーザーに魅力的なサービス提供を行うためには、より多くのパートナー企業とのリレーション強化が重要であることから、「累計パートナー企業数(※5)」、「アクティブ企業数(※6)」及び「平均仕入高(※7)」を重視しております。

 加えて、「限界利益率(※8)」を重視することで、採用活動や広告宣伝活動など、売上高を成長させるための施策の自由度を高めることが可能となるため、重要指標と位置づけております。

 これらの重要指標を最大化し、パートナー企業と会員双方のメリットを高めてソーシャルグッドの輪を広げることでフードロス削減の第一人者としての地位を確固たるものとし、持続的な企業価値の向上を目指しております。

 ※2 創業から四半期会計期間の末日までの累計会員登録者数

 ※3 月間UU(Unique Userの購入ID数)の四半期(3ヶ月)の平均数

 ※4 Average Revenue per Paid User(月間UU1人当たり平均購入金額)

 ※5 創業から四半期会計期間の末日までに取引実績のあるパートナー企業数

 ※6 四半期会計期間内に取引が発生したパートナー企業

 ※7 四半期会計期間の仕入高をアクティブ企業数で除して算出

 ※8 限界利益(売上高から売上原価及び配送料等の変動費を控除した金額)を売上高で除して算出

(3)経営環境及び経営戦略等

 当社はこれまで、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」の拡大、及び産官学連携・メディア戦略により当社「Kuradashi」ブランドの認知度向上を強化する戦略を推進して参りましたが、今後もこの戦略を継続し事業拡大を図ります。

「Kuradashi」の成長は、社会、消費者及びパートナー企業に支えられております。すなわち、フードロスの削減及び社会貢献活動を行う人口の増加を通じた社会的意義、社会貢献を通じた「イミ消費」の実感に裏打ちされた消費者における意義、そして余剰商品の供給及びブランド価値の保護を可能とするパートナー企業の意義です。これらの意義をさらに高めるべく、会員数の増加、寄付金額の増加、取扱商品数の増加並びに買取価格及び販売価格の最適水準の追求を行って参ります。

2023年6月期における支援金額(社会貢献団体への寄付及びクラダシ基金の活動原資の総額)は27,484千円であり、当事業年度末における累計支援金額は、113,160千円となっております。

①会員の体験価値

 モノ消費、コト消費から、昨今ではイミ消費が重視されるようになりました。近年のクラウドファンディングの台頭や寄付文化の拡大に伴い、消費者のイミ消費を求める潮流は更に強まっております。

「Kuradashi」は、フードロス削減という社会課題に、手軽に楽しく取り組めるという体験を提供しております。売上金の一部が社会問題の解決に取り組む団体に寄付されることから、一般的な社会貢献活動と比して非常に簡単に取組可能な点が特徴になります。

 また、フードロスの発生原因の約半分が家庭内である(※9)以上、「Kuradashi」で商品を買っていただくだけの関係では、フードロス削減というビジョンの実現は不十分であると考えております。ビジョンの実現を目指し、調理する、保存するといった“「Kuradashi」を利用していない”時であっても同じ価値観を共有できる“仲間”としての関係を、より多くの会員と築いていくことを目指します。そのために、多様化する食の体験ニーズに応え、より多くの会員と接点を作りながら、社会の役に立つことを楽しみ、喜べるようになっていただくためのコンテンツや購買体験を実現しています。一例として支援金の可視化があります。購入価格には社会貢献活動に対する支援金が含まれており、会員の購入による支援総額がマイページ等で認識でき、いつものお買い物でエシカル消費が実現・実感できます。

②パートナー企業のブランド価値向上

 当社にとって、社会を持続可能な状態にしていく本当の主役はパートナー企業であり会員であります。市場価格保護のために“ブランドを守るために捨てる”という企業行動を変えてフードロスを削減していくためには、捨てない、無駄にしないことこそがブランドの持続可能性につながる、という世の中に変えていかなくてはなりません。当社は、主役のひとりであるパートナー企業の“捨てない、無駄にしない”という決意とアクションが正しく社会に評価され、それを企業の持続可能性と競争優位につなげていくためのパートナーであります。

 パートナー企業は当社との取引を通じて、廃棄コストをゼロにすることのみならず「Kuradashi」に再流通させることでフードロスを削減し環境に配慮した会社としての評価を高めることが可能であります。

 サステナビリティが新標準となるなか、企業は従来の商慣習の廃棄という選択から環境を配慮したサステナブルな選択へとシフトすることが求められ、「Kuradashi」はブランド価値向上のための新しいソリューションを提供しております。

※9 農林水産省「食品ロス量の推移(平成24~令和3年度)」

(4)中期経営戦略

 当社のビジョンは、「日本で最もフードロスを削減する会社」であり、当社はフードロス削減においてなくてはならない存在であることを目指しております。また、当社のブランドパーパスである、「楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドマーケットを創る」を実現するため、当社のあるべき姿を「みんなトクするフードロス削減のインフラに」と設定しております。

 上記のあるべき姿を実現するため、主たる事業であるソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」の成長を加速させ、かつ、収益を複線化させる以下の事業展開を中期経営戦略として設定しており、収益基盤強化を図っていく方針であります。これらの施策を継続していくことにより、「Kuradashi」ブランドを一層強化し、規模を拡大し持続可能な成長を目指して参ります。

① ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」

 取引形態は在庫型とマーケットプレイス型の2種類に分類されます。今後はマーケットプレイス型を機能開発し、掲載業務をパートナー企業に開放していく予定です。その結果、マーケットプレイス型は当社の流通キャパシティの制約を受けないという現在の利点だけでなく、パートナー企業は当社の人的リソースの制約を受けずに出品可能となることから、取引規模の成長が加速するものと考えております。

② Kuradashi Base

 キャパシティの拡張・効率化など、物流機能強化への投資を予定しております。物流機能強化による在庫型の取引形態の生産性向上はもちろんのこと、その発展形として物流機能の外販を検討しております。パートナー企業の商品管理を担い通常の1次流通で流通される商品状況をタイムリーに把握することで、フードロス商品を当社で販売する1.5次流通の構築が実現可能となります。

③ Kuradashi Stores

 当社に蓄積したPV(閲覧数)、CVR(購入転換率)、AUP(平均購入単価)等のデータ及びナレッジをパートナー企業に提供するコンサルティングサービスの提供を開始しております。商品毎の売上分析や購入者の属性分析を週次でレポートすることで、パートナー企業のビジネスの課題を特定、もしくはニーズを把握し、それに対しての改善策、ニーズに応える戦略、アクションプランの企画立案、提案、実行を行います。さらに、お客様の購買行動や、購入率などのパフォーマンスを定期的に分析し、課題を明確にしながらウェブを活用した販売計画の策定、商品の販売促進プロモーション・広告宣伝(ブランディング)、新商品開発案などを企画、提案、実行します。

 さらにその発展形として、クライアントに代わってEC戦略立案から物流フルフィルメントまでを実行するEC代行事業を検討しております。

④ Kuradashi Hub

「Kuradashi」事業の認知拡大及び実店舗にて集客した顧客を「Kuradashi」に誘導することを主目的として商業施設にて期間限定のポップアップストアを運営しておりましたが、当事業年度において、常設店舗をオープンしました。さらに常設店、移動販売又はフランチャイズなど、オンラインとオフラインをつなぐ施策を検討し、会員の商品の認知から比較・検討、購入後のアフターサポートに至る一連の体験価値を向上して参ります。

⑤ Kuradashi Forecast

 当社は、ダイナミックプライシング(※10)技術を活用し最適な販売価格を算出することにより、販売数量の最適化を行っております。現状、「商品掲載後」の受注進捗と残数及び残存賞味期限に応じて最適価格を算出するアルゴリズムを組み、算出された最適価格を販売価格へ適用するダイナミックプライシングを導入しておりますが、今後、商品掲載前に商品特性により最適販売価格を自動で算出する機能を、当社に蓄積したデータを活用し開発する予定でおります。そのため、現状は「Kuradashi」における販売価格への導入にとどまっておりますが、当機能の開発により「受注掲載開始時」から最適価格が算出されるため、販売開始時の販売価格に加え、仕入価格にもダイナミックプライシングを導入することでマーケットプレイス型へのシフト強化及び成長が加速するものと考えております。また、ダイナミックプライシングによる蓄積データにより需給予測システムを開発し外販することを検討しております。廃棄可能性のある商品を再流通させるフードロスを削減する機能に留まらず、そもそもフードロス自体を発生させないことで、フードロス削減のインフラを目指します。

 以上のように、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」に加え、4つの事業を展開して参ります。

 なおそれぞれの事業は相互に関連しあい相乗効果が発生すると考えております。たとえばKuradashi Baseにてパートナー企業の商品状況をタイムリーに把握すること、及びKuradashi Hubによりオフラインにおける消費者の購買行動のデータを蓄積することでKuradashi Storesにてさらなる適切な販売戦略の構築が可能となります。またKuradashi Baseの商品状況の把握及びソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」やKuradashi Hubの購買データを蓄積することでKuradashi Forecastのダイナミックプライシング自動化及び需給予測システム開発が可能となります。

4つの事業によりソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」にさらなる付加価値をつけることにより、「みんなトクするフードロス削減のインフラに」という姿を実現して参ります。    

 ※10 ダイナミックプライシングとは、商品やサービスの需要に応じて価格を変動させる仕組みの呼称であります。

(5)経営環境についての経営者の認識

 当社は、環境省から委託を受けたみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社(以下「みずほリサーチ&テクノロジーズ」)と連携し、「デジタル技術を活用した脱炭素型 2R ビジネスの効果実証」を行いました。当実証実験において、当社のビジネスが削減した食品ロス量は3,745トン(※11)と試算されております。また、当実証実験と同様の方法により、当社が試算した当事業年度中に当社のビジネスが削減した食品ロス量は6,473トンであります。

 農林水産省及び環境省の推計によると、日本では、まだ食べられるものの廃棄される食品、いわゆる「フードロス」が食品製造業、食品卸売業、食品小売業合計で年間2,000千トン(※9)発生しているといわれております。

 以上の計数から当社が削減した食品ロス量の占有率は1%未満と大きく伸びしろを残していると考えております。当社は1.5次流通の創出により当市場のフロントランナーとして開拓して参ります。

※11 試算対象期間:2020年11月~2021年10月、実施時期:2022年2月

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社の対処すべき主な課題は以下のとおりであります。

① フードロス市場の拡大

2023年6月現在、農林水産省及び環境省の推計によると、日本では、まだ食べられるものの廃棄される食品、いわゆる「フードロス」が食品製造業、食品卸売業、食品小売業合計で年間2,000千トン(※9)発生しているといわれております。当社が削減した食品ロス量の占有率は1%未満と大きく伸びしろを残していると考えております。当社は問題なく消費できるが廃棄されてしまう商品を価値あるものに生まれ返らせ中古でもない新品でもない商品を市場に提供する1.5次流通を創出し、市場規模拡大の取り組みを行っており、リーディングカンパニーとして市場を牽引する立場であり続けることが当社の成長においても重要であると考えております。

② サービスの認知度向上、新規ユーザーの獲得

 当社が今後も高い成長率を持続していくためには、「Kuradashi」のブランディング及び認知度の向上が重要な課題であると認識しております。従来より、積極的な広報活動に加え、インターネットを活用したマーケティング・広告活動、大手企業との提携等により認知度向上に向けた取り組みを行って参りましたが、今後、これらの活動をより一層強化・推進して参ります。

③ 優良パートナー企業の獲得

 当社が継続的に成長するためには、優良なパートナー企業の獲得が重要な課題であると認識しております。従来より、金融機関・自治体・大手企業等によるビジネスマッチングを通じたパートナー企業獲得に取り組んで参りましたが、今後、これらの活動をより一層強化・推進して参ります。

④ 優秀な人材の採用と育成

 今後の成長を推進するにあたり、優秀な人材を適時に採用することが重要な課題であると認識しているため、採用の強化及び研修制度の充実化に努めて参ります。今後も優秀な人材の採用と更なる育成に投資を行っていく方針であります。

⑤ 技術力の強化について

 当社は、インターネット上でサービスを提供しており、サービス提供に関するシステムを安定的に稼働させることが事業運営上、重要であると認識しております。会員数の増加に伴うアクセス数の増加を考慮したサーバー設備の強化等、継続的にシステムの安定性確保に努めて参ります。

 また、先端技術への投資に注力し、更なるサービス向上に努めて参ります。具体的には、パートナー企業、当社、会員間のデータを一元管理し、生産計画・需給バランスを予測可能な仕組みを導入することを検討しております。

⑥ サービスの安全性及び健全性の確保

Eコマースサービスやソーシャルメディア等が普及していくにしたがい、インターネット上のサービスの安全性維持に対する社会的要請は一層高まりをみせております。当社は、サービスの安全性、健全性確保に継続的に取り組んで参ります。

⑦ 情報管理体制の強化について

 当社は、システム開発やシステム運用、又はサービス提供の遂行過程において、機密情報や個人情報を取り扱っており、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、情報システム管理規程等に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育、研修の実施やシステムの整備を継続して参ります。

⑧ 内部管理体制の強化について

 当社は、成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。そのため、バックオフィス業務の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するため、より強固な内部管理体制の構築に取り組んで参ります。

⑨ 利益の創出

 当社は、2021年6月期まで営業利益を計上しておりましたが、事業拡大を目指し認知拡大のための広告宣伝活動に積極的に投資を行った結果、2022年6月期及び2023年6月期は営業損失を計上しております。

 当社の事業拡大には、フードロスという社会課題の認知度向上及びフードロス削減におけるプレーヤーとしての当社の認知度向上が不可欠であるため、第三者割当有償増資により調達した資金を認知度向上に投資して参りましたが、フードロス削減におけるプレーヤーとして第一想起される認知を確立したうえで、今後は効率的な広告宣伝活動へと注力することで規律ある固定費の支出を行い、利益の創出を図って参ります。

⑩ 財務上の課題

 当社は、基本的に自己資金による安定的な財務基盤を確保しており、優先的に対処すべき財務上の課題はありません。ただし、今後の成長戦略の展開に伴い、資金需要が発生する可能性があることから、内部留保の確保により、さらに財務体質を強化するとともに、株式市場からの必要な資金確保と金融機関からの融資等を選択肢とする等により多様な資金調達を図って参ります。

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