企業クラシコム東証グロース:7110】「小売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
 

(1) 会社経営の基本方針

 当社グループは「フィットする暮らし、つくろう。」をミッションとして掲げ、ライフカルチャープラットフォーム事業を展開しております。事業を持続的に成長させることを通じて、より多くのさまざまなステークホルダーの「フィットする暮らし」づくりに貢献することに努めてまいります。

 ミッションを果たすために、「自由」「平和」「希望」を十分に獲得した状態を目指しており、これらをマニフェストと呼んでおります。他者に支配されない「自由」を獲得する力、ユニークなポジションを築いて望まない競争に巻き込まれない「平和」を維持する力、未来は今よりも良いものだと無理なく思える「希望」を生み出す力、という三つの力を獲得・維持することにより、ミッションに真っ直ぐに力強く向かうことを経営方針としております。

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、ライフカルチャー(世界観)によってユーザーと結びついており、共感してくださるユーザーがSNSをフォローしてくれたり商品購入といった行動に至ることで収益化できております。そのため、ユーザーとの関係の蓄積を表す指標を重視しており、ビジネスモデルが確立できている「北欧、暮らしの道具店」セグメントにおいては、エンゲージメントアカウント数、累計会員数、及び会計期間において購買に至った結果としての年間購入者数を客観的な指標としております。

 また、持続的に成長しミッションを果たしていくためにも財務的に健全な状態であることが重要であると認識しており、各種の財務指標を意識した経営を行っております。収益性指標として特に重視しているものは、資金を生みだす源泉としての売上高、各ステークホルダーや投資などへの分配原資と捉えている売上総利益やEBITDAといった利益、健全な取引やコストコントロールの結果としての売上総利益率やEBITDAマージンといった指標になります。貸借対照表が健全な状態にあることも強く意識しており、安全性指標としての自己資本比率や資産効率を示す在庫回転率などの指標も注視していることによって、適切なキャッシュフローの状態や資本効率につながっていると考えております。

(3) 経営環境

 当社グループは、「北欧、暮らしの道具店」と「foufou」という2つのセグメントがありますが、どちらのセグメントも売上高の多くがいわゆるBtoCのECのため経営環境としては区別せずに記載しております。

 経済産業省による電子商取引に関する市場調査報告書(※)によりますと、物販系分野のBtoC-EC市場規模は2024年に15.2兆円(前年比3.7%増)となりました。2020年は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う巣ごもり需要の影響でECの利用が拡大しましたが、それ以降はスマホの普及が一段落したことや、消費者の実店舗回帰の機運が高まるなどしたことで、物販におけるEC利用の伸びは年々鈍化してきていると報告書では説明されています。成長率は鈍化してきていますが、EC市場は確実に右肩上がりで拡大しており、EC化率はまだ9.8%のため今後も成長が期待されます。また利用端末としては「スマートフォン」が伸び続けており、物販系ECの売上高のスマートフォン比率は61.7%、9.3兆円に達しております。

 このような市場環境のもと、当社はライフカルチャープラットフォーム事業としてD2Cドメインを展開し、コンテンツパブリッシャーとしての活動によりユーザーからのエンゲージメントを得ることで市場平均を超える売上高の成長率を続けておりますが、ユーザーの「フィットする暮らし」に貢献するさまざまなコンテンツを提供するとともに広告などのマーケティング活動を組み合わせ顧客基盤を拡大・強化することが必要であると認識しております。

(※) 出典:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」

(4) 経営戦略等

 当社グループの展開するライフカルチャープラットフォーム事業は、カルチャーアセットとエンゲージメントチャネルによってユーザーと世界観でつながっていることが土台となっており、その上に収益化する複数のビジネスラインが存在することが特徴となっております。

 ユーザーに興味をもってもらえる(リーチするに値すると思われる)価値あるコンテンツを提供することにより、エンゲージメントを最大化し、エンゲージしたユーザーに各エンゲージメントチャネルを通じて高頻度にコンテンツを提供することで、購買動機につながる機会を増やすことが可能になります。その結果としてユーザーが購入会員化していくとともに、購入後も毎日のようにエンゲージメントチャネルを通じてコンテンツを提供することでリテンション(再訪問を促すこと)を図っております。このように価値あるコンテンツの提供によってプラットフォームが拡大していく構造となっております。

 そのため、ビジネスライン、カルチャーアセット、エンゲージメントチャネルという3つの層ごとに経営戦略を考えております。

 ビジネスラインについては、既存ビジネスラインの拡大と新規ビジネスラインの開発を行ってまいります。D2Cドメインでは、引き続きカバレッジする商品カテゴリを拡充すること(当社ではこれを「カテゴリの花束戦略」と呼んでおります。)で、長期的成長を目指します。ブランドソリューションドメインでは、新規サービスやタイアップ等のより高単価なメニューを開発し、さらなる案件単価の向上とプレゼンスの向上で成長を図ります。また、ライフカルチャープラットフォームの拡大に伴って生まれた事業機会を活かし、新たなビジネスラインを開発し、展開することも長期的に取り組んでまいります。

 カルチャーアセットについては、継続して投資を続けてまいります。当社グループのプラットフォームにとっての最重要戦略は、ユーザーと当社とを結びつけるライフカルチャー(世界観)に対する強いエンゲージメントを生み出し続けることであります。コンテンツやデザインへ継続的に投資し、魅力的な世界観を醸成し広げることによって、ブランド及びデータも蓄積されていきます。このようにカルチャーアセットを積み重ねることがプラットフォーム上で取り組む事業の成長と収益性の向上にもつながります。

 エンゲージメントチャネルについても、引き続き拡大を図ります。エンゲージメントアカウント数を増やすことによって潜在顧客群を形成することが、将来の新規顧客を作ることになり、当社の中長期の成長を支える要因の1つでもあるため、エンゲージメントアカウント拡大のための投資を行っております。現在は主にアプリがエンゲージメントアカウント数の増加を牽引しており、さらなる伸長の余地があると考えているため、アプリのダウンロードを訴求する広告投資については引き続き一定の効率性と投資対効果のなかで継続してまいります。

 新規購入者の増加や既存顧客のリテンションを促すことを通じて購入者数を伸ばす活動も状況に応じて行ってまいります。マス広告などの新規のマーケティング投資やセールスプロモーションなどにも挑戦することによって、幅広い層への認知を広げるとともに既存会員も含め購買動機をより多く提供することが可能であると考えております。現状では、このようなマーケティング活動をほぼ行わずに成長を実現してきておりますが、中長期的な成長を支える未開拓の分野の一つとして捉えております。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループの優先的に対処すべき主な課題は以下のとおりであります。なお、優先的に対処すべき財務上の課題につきましては、資金需要は自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とした手元資金にて対応してまいりましたので、現時点ではございません。

① 提供するコンテンツ、商品などの強化

 当社グループは、「北欧、暮らしの道具店」や「foufou」に来店していただいたユーザーに、良質なコンテンツや商品を提供することを通して収益機会を得ております。お客様の本質的なニーズを捉えながら、提供するコンテンツの品質を高めるとともに映像コンテンツなど幅を広げる取り組みも継続しております。商品についても、オリジナル商品の開発や著名ブランドとのコラボ、限定品企画などに挑戦し、これからも魅力的な商品を戦略的に揃えてまいります。商品とそれにまつわるユーザー体験をはじめとした提供する全てのコンテンツを通して、多くの人のフィットする暮らしづくりに貢献できるよう努めてまいります。

② 集客方法の強化と購入者数の拡大

 当社グループは、各種SNS、メルマガ、アプリといったさまざまな導線をつくり、それを活用することで効率的な集客を実現しております。既存チャネルにおいて使用する広告素材(クリエイティブ)の改善などによる効率化をさらに進めるとともに、消費者の行動変化を見通しながら新たなチャネルの開発にも取り組むことで、集客力の強化と効率性の維持に努めてまいります。また、広告など資金を活用したマーケティング活動も成長戦略の重要な一つとして強化しております。より多くの方に認知を広げ新たな購買動機を提供することで購入者数が増えれば、より安定した成長につながると考えております。

③ 有能な人材確保 

 ミッションを実現し、今後の健やかな成長を目指す上で、有能な人材の獲得が重要であると考えております。当社グループのミッションなど経営方針に共感し、今後の事業に必要な能力や求める資質を有する人材を惹きつけられるように、外部ノウハウの活用にも積極的に取り組み、採用活動を強化することで中長期での企業価値向上に必要となる適切な人材リソースの確保に努めてまいります。また、外部パートナーとの協働も推進し、社内外を問わない安定的なリソース基盤の構築を図ってまいります。

④ ステークホルダーの期待に応えるコーポレート・ガバナンスの実現

 事業の継続的な発展を実現させるためには各方面のステークホルダーの期待に応えられるよう、コーポレート・ガバナンス機能の強化は必須であると認識しております。そのために、常にミッション及びマニフェストを念頭に置きながら経営状況を捉え、ステークホルダーとの対話の機会を通じて、自らのガバナンス上の課題の有無を十分に把握した上で、適切に対応してまいります。

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