企業兼大株主クボタ東証プライム:6326】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社は食料・水・環境を一体のものとして捉え、技術とソリューションを通じてこの3つを正しく循環させることで持続可能な社会の実現をめざしております。近い将来起こり得る社会課題を予見し、それを見越した製品開発と新たなサービス・事業の創出を通じて、より一層社会に貢献していきます。これに向けて、事業に直結した製品・技術の開発と会社の持続的な発展を支える中長期的研究開発の両立に努めております。

 また、当社は、中期経営計画2025のメインテーマの1つとして「次世代の成長ドライバー候補の確保に向けた取組み」を掲げ、GMB2030実現へ向けた基礎づくりを進めており、グローバル規模での競争を勝ち抜いて持続的な成長を実現するために、研究開発に積極的に資源を投入しております。

 当年度に発生した研究開発支出は1,007億円であり、事業別セグメントごとの研究開発支出及びその主な研究開発成果等は次のとおりです。なお、「その他」事業の研究開発支出及び特定の事業セグメントに関連づけられない基礎研究支出等は、合算の上で「その他・全社」として分類しております。

(1) 機械

 農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械に係る製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。

① 営農支援システム「KSAS」の追加機能の開発

 ほ場水管理システム「WATARAS(注1)」による水管理状況を営農支援システム「KSAS」で確認できる機能を備えた「KSAS水管理マップ(パソコン版)」、リモートセンシング用ドローンで空撮したほ場の画像を「KSAS」に取込み「KSAS」上で生育マップを閲覧できる機能、可変施肥仕様(PF仕様)田植機のユーザー向けに現在どのほ場の施肥データを田植機が受信しているかを確認できる「可変施肥ダウンロード確認機能」を開発しました。主な特長は以下のとおりです。

水管理マップ(パソコン版)

[特長1] 「WATARAS」設置済ほ場に加え、未設置ほ場を含めた水管理状況(入水・出水・入出・止水)を一括表示できます。

[特長2] 水位・水温に応じたグラデーション表示や給水状況による色分け表示ができます。

リモートセンシング(生育マップ機能)

[特長3] 専用アプリを「KSAS」からダウンロードすることで、生育マップを作成できるようになります。これまで目視で行ってきたほ場の見回り等の生育状況等の確認に要する時間を削減できます。

[特長4] 生育マップを通してほ場内の生育差の「見える化」が可能となり、可変施肥や栽培管理の改善に活用することができます。

可変施肥ダウンロード確認機能

[特長5] 生育ムラの改善及び効率的な施肥技術として可変施肥に取組むことが可能となります。可変施肥を通して、経営安定化と「みどりの食料システム戦略(注2)」に貢献できます。

(注) 1 当社が提供する、水田の給水・排水をスマートフォンやパソコンでモニタリングしながら遠隔操作または自動で制御するシステム。

2 農林水産省が2021年に策定した、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するための政策方針。

② 自脱型7条刈コンバイン「DR7130」の開発

 収穫作業の効率化に貢献する自脱型7条刈コンバイン「DR7130」を開発しました。主な特長は以下のとおりです。

[特長1] 新開発の刈取部は刈幅が広く、ほ場での旋回回数が減少します。作業能率の向上に寄与するとともに、枕地を荒らしにくい「ほ場にやさしい」収穫作業が可能となります。また、同馬力の6条刈と比べて主に機体右側に刈幅を広げたことにより、周囲刈時に畦を踏みにくく、中割時に未刈株への泥寄せも軽減できるため、ストレスが少ない収穫作業が可能となります。

[特長2] 刈取部の最適設計により、部品を取外すことなく大型トラック(荷台幅内寸2,340mm以上)に積載できるため、倉庫からほ場への移動及びほ場間移動をスムーズに行うことが可能です。

[特長3] 刈取部の引起し上部空間を6条刈に対して50mm拡大したことにより、長稈品種や高ボリューム作物において、引起し部での穂先の引掛りが低減します。引起し部でのヘッドロスの減少及びこぎ胴へのスムーズな搬送による脱こく負荷の軽減に効果があります。

[特長4] 長さ1,300mmのロングこぎ胴と選別面積800mm×1,930mmの大きな揺動板により、7条分の作物でもゆとりをもった脱こく・選別が可能です。

[特長5] 当社のコンバインで好評の「電動フルアップこぎ胴」や「刈取部・引起し部オープン」のほか、ディオニスシリーズで搭載した「グレンタンク側板オープン」や「排わらチェーンオープン」のほか、「カッタ後部カバーオープン」等、毎日の清掃作業の効率化だけでなく、万が一のつまり時のダウンタイムを短縮する高いメンテナンス性能を有しております。

[特長6] 標準装備の「直接通信ユニット」はコンバインをキーオンするだけで機械の位置情報・作業情報・稼働情報が自動的に「KSAS」クラウドにアップされます。これらの情報に基づいて、「KSAS」が自動で作業日誌を作成するため、オペレータの日誌作成労力が大幅に軽減されます。また、機械の位置情報や稼働情報等をお客様のパソコンやスマートフォンで簡単に確認できる「MY農機」のサービスに対応しており、機械情報の「見える化」が可能です。「PF(食味収量センサ)仕様」では、ほ場毎のタンパク含有率、水分率、収量が確認可能です。さらに別途オプション採用の「食味収量メッシュマップキット」により、ほ場を3段階(10m、15m、20m区画)に区切り、タンパク含有レベル及び収量レベルをそれぞれの色の濃淡で表示するため、「ほ場の見える化」が可能となります。特に大区画ほ場で、ほ場内のばらつきを把握し、翌年のほ場改善や土作り、施肥設計に役立てることができます。

③ コンパクト電動トラクタ「LXe-261」の開発

 カーボンニュートラル実現に向けた取組みの1つとして、欧州向けにコンパクト電動トラクタ「LXe-261」を開発しました。主な特長は以下のとおりです。

[特長1] 1時間の急速充電で3~4時間の連続稼働が可能な大容量バッテリーを搭載しており、午前中の作業で消費したバッテリーを昼休みに急速充電することで午後も作業ができる仕様です。

[特長2] 同出力帯のディーゼルエンジンを搭載したトラクタとほぼ同じコンパクトサイズで実現しております。

[特長3] 自治体や公共団体への有償長期レンタルを通じて、お客様の声や実際の使用に際しての課題等の知見を得ながら、環境に配慮した製品の開発やさらなるラインアップ拡充を進めます。

 当セグメントに係る研究開発支出は654億円です。

(2) 水・環境

 パイプシステム(ダクタイル鉄管、合成管等)、産業機材(反応管、スパイラル鋼管、空調機器等)、環境(各種環境プラント、ポンプ等)に係る製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。

① 水道管路のAI老朽度評価方法の開発

 これまでダクタイル鉄管についてAI技術を活用した腐食予測式により高精度な老朽度評価を行ってきましたが、スパイラル鋼管・合成管についても、事故履歴データや地図情報等をもとに高精度に漏水事故率を予測するAIモデルを構築しました。主な特長は以下のとおりです。

[特長1] 全管種について、現地調査なしで管路の更新優先度を高精度に定量的に表示できるようになりました。

[特長2] 併せて、管路を一定の集合体に自動でグルーピングする技術を開発しました。管路の更新工事は、予算に応じて管路延長や工事費等の様々な制約のもと、効率性が求められます。管路単位ではなく工事区間相当の管路グループ単位で優先順位を決定することで、より効率的な更新計画の立案が可能となりました。

[特長3] この老朽度評価方法とグルーピング技術によって、管路更新の効果を長期的かつ定量的に評価できるようになり、水道事業体職員の作業負荷を軽減でき、効率的な更新計画の策定に活用できます。

② 産業排水処理向け凝集センサの開発

 画像診断技術を利用した産業排水処理向け「凝集センサ」を開発しました。主な特長は以下のとおりです。

[特長1] 排水と接触しない観測窓の構造及び水面反射の影響を受けない独自の装置構造により、カメラ画像による診断が可能となり、同時に容易なメンテナンス性を実現しました。

[特長2] フロック径や濁質度を画像解析によって数値化することにより、人の感覚に近いセンシング装置を実現し、排水処理異常を検知でき、安全運転を実現するとともに運転管理コストの削減と省人化を図ることができます。

 当セグメントに係る研究開発支出は57億円です。

(3) その他・全社

 当社はK-ESG経営を推進しており、研究開発においても環境・社会課題の解決に資するイノベ-ションの創出に向けた取組みを加速しております。カーボンニュートラルでは、農業機械及び建設機械について、BEV(注3)トラクタを当年度に上市し、さらにBEVミニバックホー、BEVゼロターンモア(乗用芝刈機)等の製品化に向けた取組みや、燃料電池や水素等の新動力源の実現に向けた取組みを行っております。

 また、これまで進めてきた燃焼効率向上等の低燃費化やバイオディーゼル含有率向上等の研究開発にも引続き注力して取組んでおります。加えて、自動運転技術による作業ロス低減や最適省エネ運転、バイオマス(農業残渣や食料残渣)の活用等、多面的な取組みを結集することで、カーボンニュートラルを実現していきます。

 スマート農業については、他社に先駆けてトラクタ・コンバイン・田植機の自動運転技術を確立しておりますが、より一層使いやすい機械とすべく、AIや先進センサの活用研究といったさらに高度な取組みを進めております。天候情報、生育モデル、リモートセンシングの活用等、データ農業の取組みも現地実証を計画的に進めております。

 また、田んぼダムに関する研究等、営農支援システム「KSAS」、ほ場水管理システム「WATARAS」及び水環境プラットフォーム「KSIS(注4)」の連携に関する研究開発も引続き計画的に進めております。

(注) 3 バッテリー式電気自動車(Battery Electric Vehicle)の略称。

4 クボタスマートインフラストラクチャシステム。水環境インフラ施設・機器向けのIoTソリューションシステム。

 当セグメントに係る研究開発支出は296億円です。

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