クニミネ工業
【東証スタンダード:5388】「ガラス・土石製品」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、創業以来一貫して、人類共通の財産である地下資源の有効活用に取り組んでまいりました。地下資源のもつ秘められた可能性にますます大きな期待がかけられている現在、当社グループは、長年培ってまいりました「品質と技術」をさらに研鑽し、多様化するニーズにグループ各社が一丸となって、積極果敢に挑戦して、企業価値の一層の向上を図り、社会に貢献していくことを経営の基本としております。
(2) 目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略
当社グループは2023年度を初年度とする3ヵ年中期経営計画を策定しておりますが、外部環境の急激な変化を踏まえ、最終年度である2025年度の経営数値目標を見直しました。見直し後の目標値は、連結売上高169億円、連結営業利益16億円、ROE5.7%以上としております。当社の想定する株主資本コストは5~6%であり、現時点ではこれに近接する水準を目標としておりますが、将来的にはこれを安定的に上回るROEを確実に実現していく方針です。その実現に向けて、ベントナイト本来の性能を最大限に活かした高付加価値製品の開発、生産販売の省人化、デジタル化を通じて、社会課題の解決、顧客の価値創造を実現し、高収益事業構造を構築してまいります。
具体的な戦略としては、次のとおりであります。
① 脱炭素関連・国土強靭化関連・静脈産業への取組み
・地熱発電事業/放射性廃棄物処理事業への注力(環境建設分野)
・森林整備事業(アグリビジネス分野)
・インフラ整備事業(国土強靭化)の取込み推進(環境建設分野)
② 新規事業領域拡大
・種子コーティング事業(アグリ分野)
・ガスバリア材料(クレイサイエンス分野)
③ 海外市場展開・海外鉱探査
・素形材分野、クレイサイエンス分野のアセアン市場展開推進
・高品質原鉱の安定調達に向けた海外鉱利用
④ 企業体質強化
・ESG経営及びDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
・新鉱区開発、採鉱技術開発
(3) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
世界経済は、ウクライナ、中東をはじめとする地政学リスクの継続に加え、米国トランプ政権の関税政策による減速への懸念が高まっております。加えて、国内においては労働力不足や物流費・人件費の上昇等、構造的なコスト負担の増大が見込まれるなど、不確実性の高い事業環境が継続すると認識しております。
このような認識のもと、当社グループは、事業分野間の連携強化と機動的な事業運営を推進し、各事業領域における付加価値の創出および諸課題の解決を通じて、持続的な収益の確保に努めてまいります。また、成長戦略の実現に向けては、研究開発や人材育成への投資を継続するとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進体制の整備にも注力してまいります。
各事業部門の経営環境及び事業上の課題については、下記の通りであります。
① ベントナイト事業 素形材分野
世界的な脱炭素化への潮流を受けた自動車の国内生産台数の減少、化石燃料車のEVシフトに伴う鋳造部品点数の減少により、国内鋳造向けベントナイト需要の低減が予想され、将来的な国内市場縮小への対応が課題となっております。対処といたしましては、海外事業会社のKUNIMINE (THAILAND) CO.,LTD.を通じてアセアンへ進出する日系企業との連携を強め、海外ユーザーへ対応していくとともに、国内においても高い販売占有率(シェア)を活かした関連商材の拡販、製品と技術サービスの充実を図ることにより、収益の拡大に努めてまいります。
② ベントナイト事業 環境建設分野
建設業界においては、資材価格や人件費の高騰が工事単価を押し上げており、予算制約等の影響により土木工事件数は低調な推移が予想されます。また、一部大型公共工事において、自治体の財源不足、地域との調和不足による工期遅延等が発生しております。大型工事の遅延や急な再開による出荷変動が発生した場合、出荷量が計画に対して大きく変動するため、業績予測が困難なことが課題となっております。当分野の安定した成長を図るため、国内インフラ整備事業、地熱発電事業の取り込み、放射性廃棄物処理事業に対して積極的な営業活動を行うとともに、止水材等の高付加価値品の販売を拡充してまいります。
③ ベントナイト事業 ペット関連分野
国内の猫飼育頭数は堅調に推移しており、安定した需要が見込まれる一方で、国内市場における製品の多様化が進み、競争環境は厳しさを増しております。また、インフレ進行による原料、包装資材、物流費の上昇が課題となっておりますが、原料調達から生産販売までのバリューチェーンを国内で完結できる強みを活かして、コストダウンを進めるとともに、関連商品の拡充を図ることで収益の拡大に努めてまいります。
④ クレイサイエンス事業
当分野の製品は、一般工業用途として各種産業で広く利用されておりますが、環境規制強化にともなう市場ニーズの変化や、代替技術・素材の出現が、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当分野は、粘土本来の秘められた効能を最大限引き出す新規用途開発を進めておりますが、社会実装に時間を要することも課題となっております。今後も産学官連携を高めて、先端機能材料分野等での速やかな研究・製品開発を目指すとともに、国内外への市場拡大を図るべく市場ニーズを捉えた製品開発を進めてまいります。
⑤ アグリ事業
当分野は農薬等の受託生産が中心であるため、農薬市場の縮小等による委託元の販売不振や、委託方針の変化による受注減少等が懸念され、当社側で生産量を主体的にコントロール出来ず販売量が減少することが課題となっております。当分野では、種子コーティング等の新規受託領域の拡大を進めるとともに、製剤技術力、特に造粒技術の高度化にさらに磨きをかけ、事業分野の成長を図ってまいります。
⑥ その他
生産関連につきましては、継続した省人・省力化投資を推し進めることによって生産体制を強化し、人手不足の問題解消や生産性向上を実現することで、事業機会を確実に捉えるよう努めてまいります。またベントナイト資源確保の観点から、鉱量の確保や新鉱区開発のための積極投資も行ってまいります。輸入原鉱の急激な為替変動によるリスクへの対策としては、為替予約、外貨預金等を活用する事でヘッジを行ってまいります。
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