企業クオルテック東証グロース:9165】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

「クオルテックは、「真理の探究」に対して妥協することなく、技術者としての情熱と客観的なデータの蓄積を大切にし、製品の「安全」「環境」「快適性」の向上に取組み、お客様に<満足>と<感動>を提供し、社会に貢献できる企業を目指します。」を企業理念としています。

 また、それを実現するための社員の心構えとして、次の5項目を掲げています。

 一、技術者としての高い「志」をもとう!

 一、現場現物に徹し、「理論的思考力」を磨こう!

 一、小さな変化に気付く「感性」を養おう!

 一、「スピード」の重要性を再確認しよう!

 一、人間としての「心」を大切にしよう!

(2)経営環境

(信頼性評価事業)

 自動車業界における「CASE(注)」を背景に、「クルマ」の概念が大きく変わろうとしています。将来の自動車業界の変革には、大きくxEV(次世代車)の普及、ADAS(先進運転支援システム)の採用の2点が挙げられます。

 世界の主要国においてCo2削減目標が掲げられておりますが、その目標達成に向けた取組みとして自動車の電動化が加速すると考えられ、わが国においても自動車メーカーによる自動車の電動化の開発が進められております。各国がCo2削減目標達成に向けた様々な取組みを行うなか、次世代車の普及は世界的に年々増加するものと見ております。

 また、株式会社矢野経済研究所によると、“ADAS/自動運転システム(本調査における自動運転システムはSAE(米国自動車技術協会)の自動化レベル0~5までの6段階で分類しており、レベル1、2を「運転支援」、レベル3を「条件付自動運転」、レベル4を「高度自動運転」、レベル5を「完全自動運転」と定義している。)の標準搭載が進み、日米欧中において2025年には世界搭載台数は6,739万台(乗用車及び車両重量3.5t以下の商用車の新車に搭載される自動運転システムの搭載台数ベースで算出。)(※1)”にまで2021年実績から年平均成長率13.2%で成長すると予測されています。また、これに紐付く形で5G関連の需要が大きく拡大し、ADAS用センサーの需要が大きく伸びていると考えております。

 これらを背景に自動車の信頼性評価試験の市場では、特にEV化・自動運転に向けた車載機器の信頼性評価の需要が大きく伸びております。製品固有の試験需要や電動化、自動運転技術に伴う高度な試験への対応、また試験設備への投資ハードルや試験コスト削減を目的に、製品開発会社からの委託ニーズも高まりを見せております。また、電気モーターとエンジンを併用するハイブリッド車(HV)の保有台数が右肩上がりで増えており、一般財団法人自動車検査登録情報協会によりますと、“2022年の乗用車の保有台数は6,186万台(※2)”で、うち“ハイブリッド車(HV)は1,080万台を突破(※3)”し、乗用車の電動化が加速しております。近年では、エンジンを発電のみに使うタイプや、家庭の電源で充電可能なプラグインHV(PHV)も人気を集めております。一方、電気自動車(EV)の保有台数は、充電網の拡大などを背景に順調な伸びが続いておりますが、乗用車の保有台数に占める比率はハイブリッド車(HV)やプラグインHV(PHV)と比較して低位にとどまっております。

(微細加工事業)

“2010年NTTドコモ、2012年ソフトバンクとKDDIが4Gの商用サービスを開始(※4)”して以降、4Gでの通信が主流となり、大容量データの送受信やより高品質なリアルタイムの映像を受信できるようになったことで、スマートフォンの普及が加速しました。

 現在では、5G(第5世代移動通信システム)が次世代の通信システムとして世界中で導入・整備が進められており、高速・大容量、高信頼・低遅延、多数同時接続という特長によって4Gでは叶わなかった高速通信が可能になります。5Gは4Kや8Kといった高画質の動画データを瞬時に送受信し、車の操作を遅延なく行う自動運転システムにも搭載されると考えられます。

 そして5Gからさらに進化した“6G(第6世代移動通信システム)は2030年代のサービス開始が目指されており、100Gbps以上の通信速度の実現、宇宙空間からの通信環境への活用など(※5)”が期待されています。

6Gの高速通信が身近なものになると、多くの人が同時に接続し情報を共有することが可能になると言われており、通信エリアや通信速度を意識することがなくなると予想されます。5Gで実現できるとされる自動運転や遠隔操作による診療などにおいても、6Gではより安定した高速通信で改善を図っていくことができると考えられております。

 一方で、米中貿易摩擦による半導体不足やコロナ禍による国際物流の混乱等の影響から、試作加工から量産加工への移行に慎重となる顧客が増加するなど、市場環境の変化が激しい市場でもあります。このため、4G需要の拡大から5G需要の立ちあがりまでにタイムラグが発生し、当社の微細加工事業売上もその影響を受けたことからターゲット市場の拡大に努めています。

 当社が加工するビルドアップ基板やフレキシブルプリント基板などの電子部品は、スマートフォンを代表とする通信系デバイスや、ミリ波レーダーやカメラを使った自動ブレーキ・車線維持支援などの先進運転支援システム、LiDAR(Light detection and ranging:光による検知と測距)などの自動運転に関わるもの、ハイブリッド・ガソリンから電気に完全シフトした電気自動車の各種制御基板や、超音波プローブ・CTスキャナーなどの医療機器に至るまで、幅広い分野に使用されていることから、今後も需要がさらに増える見通しです。また、技術的な進歩は目まぐるしく、短小軽薄・高多層・高精細化がさらに進んでいくと考えております。

 これらの通信以外の市場での量産受注の拡大や今後の5G需要の拡大により、半導体不足や物流混乱による在庫調整の影響を上回る市場の伸びが期待できるものと考えています。

(その他事業)

 その他事業に属するバイオ事業では、再生医療関連の産業化は、経産省主導の国家戦略として推進されております。また、遺伝子検査の事業においては、2019年の動物愛護管理法の改正により、ペット販売における遺伝性疾患の発生状況の対面での説明が義務化されたことから致死性遺伝性疾患に対する関心の高まりを受けて、遺伝子検査の需要の拡大が見込まれると考えております。

(注)CASE

 自動車業界において次世代技術やサービスを意味する「Connected(つながる)」、「Autonomous(自動運転)」、「Shared(共有)」、「Electric(電動化)」の4つの英語の頭文字をつなげた造語。

<出典>

※1:株式会社矢野経済研究所「自動運転システムの世界市場に関する調査(2022年)」(2022年8月24日発表)

※2:一般財団法人自動車検査登録情報協会 統計情報「わが国の自動車保有動向」自動車保有台数推移表 令和4年 https://www.airia.or.jp/publish/statistics/trend.html

※3:一般財団法人自動車検査登録情報協会 統計情報「わが国の自動車保有動向」ハイブリッド車・電気自動車の保有台数推移表 令和4年 https://www.airia.or.jp/publish/statistics/trend.html

※4:総務省「令和2年版情報通信白書」15ページhttps://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/pdf/02honpen.pdf

※5:株式会社NTTドコモ「ホワイトペーパー 5Gの高度化と6G」12~13ページ https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/technology/whitepaper_6g/DOCOMO_6G_White_PaperJP_20221116.pdf

(3)経営戦略等

 当社では、今後も発展を続ける自動車業界において、そのパラダイムシフトの方向性を的確に把握、認識し、その変化に素早く対応できるように、日ごろから体制構築を図っております。

 信頼性評価事業において、当社の強みは、「独立系検査会社」であることと、試験ラインナップが多いことで実現する、幅広い顧客のニーズにワンストップで応えられる「Total Quality Solution」が可能であることと認識しており、ケイパビリティの優位性があるものと考えております。

 昨今の検査データ改ざんに見られる企業の不正を無くすことが当社の存在意義であり、メーカーが自らの検査データを改ざんする可能性があるような状況においては、当社のような中立な第三者が担う信頼性評価試験の重要性が高まると考えております。当社は、これまで培った技術力を発揮することにより業界内での存在感を増していきたいと考えております。

 当社は、品質検査や分析、測定などを行う試験所等に対する要求事項を定めた試験所認定と呼ばれるISO/IEC17025の認定を取得しており、当社の技術力は国際的に認められており、今後も同認定を維持して参ります。高度な分析には高性能の装置や設備が不可欠になることから、以前より設備投資を行って参りました。顧客の要望に応えるために必要な設備を揃えることで、技術やノウハウを蓄積しております。

「(2)経営環境」でも述べたとおり、CASEを背景に2030年頃からEV(電気自動車)市場が急拡大すると言われており、当社は日本でCASEを推進している企業と取引しております。

 市場が急拡大する前段階にある試作品段階では、量産時の製品の安全性を確保するため、何度も信頼性評価試験が繰り返されます。当社はこれらの需要を着実に獲得し、その後の量産品段階での需要獲得に繋げることを目指して参ります。

 自家用車のEV化が進むその先には、モビリティの小型化や建設機械及び航空分野の電動化も進むものと予測されます。そのような環境においても、これまでどおり当社の高度な技術力に基づいた信頼性評価試験を行うことで、顧客と共に成長できるパートナーとしての確固たる地位の獲得を目指して参ります。

 さらに、裾野の広い自動車業界に属する主要顧客との関係性を強化、確立することで、幅広く関連企業のニーズ開拓に繋げていきたいと考えております。

 微細加工事業における市場環境は、半導体不足によりスマートフォン向けの電子基板、モジュール基板などの製品の生産が減少する中でも、自動運転に関連した製品や医療機器などは安定した生産が続くと考えております。それらの市場をターゲットに高付加価値、特殊用途、小ロット多品種でも製品ライフの長い製品に関する試作の受注拡大を進めており、これらの量産受注の獲得を目指して参ります。

 当社は同事業において20年以上の歴史を持っており、大ロットの量産から、小ロット多品種の試作、材料評価まで幅広い対応力を持つ強みと24時間受付、稼働することで幅広いニーズをキャッチする体制を整えております。また、フェムト秒グリーンレーザ加工(※)など特殊な材料の加工や特殊な工法が可能なことも強みのひとつであり、これら当社の強みを活かして医療分野などで大ロット製品の量産受注を目指すなど、ターゲット市場の開拓を進める考えです。

 その他事業において、表面処理技術事業では当社の技術力により顧客との信頼関係をさらに強固なものとし、安定した受注の獲得を図って参ります。また遺伝子検査では、ペット販売における遺伝子疾患の発生状況を対面で説明することの義務化により生じた需要を協業企業と共に、受注増に繋げる考えです。

 販売戦略としては、技術営業を強化し、計画的・戦略的にプッシュ型コンタクトによる顧客開拓を進め、同時にルールメークの輪に技術と営業の両面で入り込むことを計画しております。

 技術戦略としては、顧客の多種多様なニーズに対応できる技術陣が当社の強みであり、特異技術を駆使した特殊解析のニーズへの対応力を保つことで、競争優位性を確保し、さらに高度なニーズにも応えられるよう、人材育成と技術の伝承に注力し、期待以上の提案ができる集団を目指して参ります。

 当社が重要と考える自動車市場は、時代と共に変化しながらも益々成長する可能性を秘めていると考えており、同市場において当社は、顧客のニーズのひとつひとつに実直に応えることで着実な成長を目指します。

 当社はこれからも、環境性能と安全性能の評価技術を確立し、安心・快適な未来社会の実現に貢献することを基本方針とし、「未来品質の創造」をスローガンに全てのステークホルダーのため、社業に邁進して参ります。

※パルス幅(時間幅)が数ピコ秒(1兆分の1秒)よりも短いレーザ加工で、熱拡散する時間を与えずに分子結合を切断、除去することで、熱影響の少ない高品位な加工を可能にする工法。

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、継続的な事業拡大及び成長の観点から、売上高及び売上高営業利益率を重要な経営指標としており、業界動向及び当社業績の推移等を勘案し、適切な目標設定を行い、企業価値向上に努めて参ります。

 売上高を指標とすることは、当社の主要市場の成長や同業他社の売上高との比較、分析に有用であると考え重要な指標と位置付けております。当社が市場での競争優位性を確保しつつ売上高を向上させるために、主要市場の動向を注視し、ニーズに応える技術力の向上に取組んで参ります。併せて、事業の収益性、販売活動の効率性を図る観点から、売上高営業利益率を重要な指標と位置付けております。当社が市場での競争優位性を確保するために、高い付加価値の提供と効率的かつ効果的な販売活動に取組んで参ります。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の我が国経済は、資源価格の高騰やロシアのウクライナ侵攻による不安定な国際情勢の中で、当面は先行き不透明な事業環境が継続するものと見込まれます。このような環境の中、以下の事項を当社の対処すべき課題として取組みを進めていきます。

① 自動車業界以外の柱となる業界の開拓

 当社の主要事業である信頼性評価事業においては、自動車業界の得意先向けの売上割合が高い状況となっております。今後は、微細加工事業においてヘルスケア分野への進出や新規事業として取組んでいるバイオ事業の規模拡大を図ること等により自動車業界以外の柱となる業界を開拓していきます。

② 設備の増強

 自動車業界におけるティア2(ティア1に部品を供給する企業)やティア3(ティア2に部品を供給する企業)メーカーといった部品メーカーからの受託試験のみならず、今後ティア1(完成車メーカーに部品を供給する企業)からのインバータやモーターなどユニット単位の受託試験のニーズに対応するため、大型冷熱、大型振動、大型X線CT等の導入を進めて参ります。

③ 技術力の向上

 顧客の様々なニーズに応えるためには今後も技術力の向上が必要であると考えており、規格に沿った信頼性評価試験のみならず、パワーサイクル試験、アバランシェ試験、メーカー独自規格の試験に取組むことで高難度な試験能力を蓄積することで技術力の向上を図ります。

④ 新規事業の醸成

AIを活用したクラック、ボイドの観察などの解析技術をX線など分析装置メーカーと協力して一体販売することでAIによる解析技術を事業化することを目指していきます。現在、ボイド解析アプリの提案を顧客数社へ行い、解析性能の向上やユーザーごとのカスタマイズ対応など、事業化に向けた取組みを進めております。

AIを活用した技術の現状は日進月歩で、様々な分野での活用例が見られます。AIを当社の事業へ活用するためには、AIでの解析精度を熟練技術者レベルにまで引き上げることが課題と考えており、より多くの解析データの機械学習により解析精度の向上を図って参ります。

⑤ 優秀な技術者の採用及び育成

 当社では、優秀な技術者の採用と育成が事業成長に必要不可欠であると認識しております。近年、技術者の採用市場は獲得競争が激化しており、今後も人材確保には厳しい状況が続くものと予想されますが、労働環境の改善や紹介会社との連携強化を行うなど引き続き積極的な採用活動を行って参ります。また、採用後も高いモチベーションを持って安心して働くことができる労働環境の改善、人事制度の充実、人材育成のための教育・研修制度の整備を進めて参ります。

⑥ 営業体制の強化

 当社の継続的な事業成長には、既存顧客のニーズを的確に把握すること等による更なる関係強化に加え、新規顧客開拓を強化する必要があると認識しております。そのため、既存顧客のニーズへの迅速な対応が可能な体制強化の推進と、ホームページでの技術力のアピールや展示会への積極的な出展等により新規顧客を獲得することで受注量拡大を図り、引き続き顧客満足度の向上に取組んでいく必要があると考えております。

⑦ 情報セキュリティの強化

 当社では、技術や営業に関する情報、取引先の重要情報など多くの情報を取扱っており、情報セキュリティの強化が重要であると認識しております。

 情報セキュリティに関する規程等を策定し、情報セキュリティ委員会を通じて、情報資産の機密性、完全性、可用性の視点から情報セキュリティの維持、向上の取組みを行うなど、これら情報資産の流出や外部からの攻撃の対応策を徹底し、情報資産の毀損による損害の防止や取引先からの信頼に応えるべく、情報セキュリティの強化を継続的に図り、万全な防御体制の構築を進めていきます。

⑧ 内部管理体制の強化

 当社は現在、成長途上にあり、今後もより一層の事業拡大を進める上で、内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。このため、バックオフィス業務の効率化を図るための業務改革を推進し、事業運営上のリスクの把握と管理をより適切に行う強固な内部管理体制を構築し、コンプライアンスを重視した経営管理体制を敷くことで経営の公平性や透明性を確保いたします。

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